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自社開発とは?受託・SESとの違いと移る前に知りたい実態

2026年10月30日更新

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客先常駐の現場が変わるたびに、「自社開発の会社なら、腰を据えて開発できるのでは」と考えたことはないでしょうか。

自社開発は求人やSNSでよく見かける言葉ですが、指す範囲は企業によって大きく異なります。たとえば求人の「自社開発」には、自社のオフィスで受託案件を開発する企業や、SESと並行して自社サービスを運営する企業も含まれるのが実情です。

また、SNSでは「自社開発が正解、SESはやめとけ」という意見が目立つ一方で、自社開発にも業績しだいで給与が変わる厳しさがあります。移るかどうかを決める前に、言葉の中身と実態を知っておくことが大切です。

この記事では、以下の内容を解説します。

  • 自社開発の意味と、受託開発・SES・SIerとの違い
  • 自社開発で働くメリット・デメリットと、年収が決まる仕組み
  • 受託・SESでよくある不満が自社開発で解消できるかの見方
  • 自社開発の選考で評価される受託・SESの経験
  • 求人の「自社開発」の実態と、ホワイト企業の見極め方

受託開発やSESで経験を積み、次の転職先として自社開発を考えているエンジニアの方に、移る前に知っておきたい判断材料をお伝えしているので、ぜひ参考にしてください。

関口 樹

関口 樹

(Sekiguchi Tatsuki)

2020年に新卒でIT・Web・ゲーム業界専門の人材紹介会社に入社いたしました。当初はスカウト担当として、候補者の方々との接点作りに尽力。その後、転職活動のプロセス全体を直接支援したいという強い希望からキャリアアドバイザーへ転身しました。エンジニアやクリエイティブ職を専門とし、月間MVPやQMVPを複数回受賞するなど、現場の最前線で累計171名の方々の入社を支援してまいりました。2022年からはマネジメント職に就き、最大30名の組織を統括しながら、自社採用の面接官や次世代マネージャーの育成にも携わり、組織全体の支援質向上に努めてきました。現在は、個人のキャリア支援への強い志を持ち、MyVisionに入社いたしました。

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高橋 若奈

高橋 若奈

(Takahashi Wakana)

新卒でクラウド型人事労務システムを展開するIT企業に入社いたしました 。1年目から新規営業としてARR3,000万円を超える契約を獲得し、新卒全担当者の中で2位の成績を収めました 。2年目には6名のチームリーダーとしてマネジメントを経験した後、従業員1,000名以上の大手企業を担当するエンタープライズ領域へ転向 。企業の経営計画や決算書を読み解き、HR戦略そのものを支援するソリューション提案を徹底した結果、年間ARR8,500万円(全営業の上位5%)を突破する実績を継続しています 。個人のキャリア支援への強い志を持ち、MyVisionに入社いたしました。

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目次

CONTENTS

自社開発とは自社のサービスやシステムを自ら企画・開発・運用する働き方

自社開発とは、自社のサービスやシステムを、外部に発注せず自社のエンジニアが企画から開発、運用まで担う働き方です。顧客から依頼を受けてシステムを作る受託開発や、エンジニアが顧客先に常駐して働くSESとは、誰のために開発するかという点で異なります。

自社開発で作るものは、大きく分けて次の2つがあります。

開発するもの主な例
外部のユーザーに提供するサービス・フリマアプリやメディア ・企業向けのSaaS ・業務用のパッケージソフト
自社の業務で使うシステム・販売管理システム ・在庫管理システム

求人の「自社開発」で多くの人が思い浮かべるのは、外部のユーザーに提供するサービスの開発でしょう。一方で、事業会社の情報システム部門が自社の業務システムを開発する社内SEも、広い意味では自社開発に含まれます。

ただし、社内SEは開発よりも運用やベンダーとの調整が仕事の中心になる場合もあるため、求人を見るときは担当業務まで確かめましょう。

また、自社開発の仕事は、サービスを作って終わりではありません。新しい機能を企画して開発するだけでなく、利用データやユーザーの声をもとに既存の機能を改善し、利用者や売上を伸ばす開発が大きな比重を占めます。プロダクトの方針を決めるプロダクトマネージャー(PdM)と一緒に、何を作るかから考える場面も多いでしょう。

自社開発と受託開発・SES・SIerの4つの違い

自社開発と受託開発・SES・SIerは、同じ開発の仕事でも、お金の流れや仕事の決め方が大きく違います。SIerは大規模なシステムを受託するケースが多いため、ここでは受託開発とまとめて比べます。

主な違いを整理すると、次のとおりです。

比べる点自社開発受託開発・SIerSES
売上が生まれるところユーザーがサービスを使う顧客にシステムを納める顧客先で技術者が働く
仕様や納期を決める人自社発注元の顧客常駐先の顧客
主な働く場所自社オフィスや在宅自社オフィスが中心顧客先
一緒に働く相手社内の同じチーム自社のチームと顧客現場ごとに変わる
評価されやすいことプロダクトの成果への貢献品質を保ち納期を守ること常駐先の評価と契約単価

なかでも、受託やSESから移った人が最初に戸惑いやすいのは、評価のされ方の違いでしょう。以下、それぞれの違いが働き方にどう表れるかを見ていきます。

受託開発やSIerは、顧客と契約を結び、完成したシステムを納めることで売上を得ます。SESは、エンジニアの技術力を顧客先に提供し、働いた時間に応じて対価を受け取る契約が中心です。どちらも、顧客から仕事を受けた時点で売上の見込みが立ちます。

一方で、自社開発の売上は、ユーザーがサービスを使い続けてくれることで生まれます。どれだけ丁寧に作っても、使われなければ売上にはつながりません。そのため、リリースして終わりではなく、利用状況を見ながら改善を続けることが仕事の中心になります。

受託開発では、仕様と納期を決める権限は発注元の顧客にあります。途中で仕様を変えたくても、顧客の承認を得るまでは進められません。SESでも、常駐先の指示に従って作業を進めます。

これに対して自社開発では、仕様も納期も社内で決めるのが特徴です。使われていない機能を削る、リリースの時期をずらすといった判断を、自分たちの裁量でおこなえます。

ただし、決める権限があるぶん、何を作るかを決める責任も自分たちが負います。誰かが仕様を渡してくれるのを待っていても、仕事は進みません。

SESでは顧客先に常駐し、現場が変わるたびに一緒に働くメンバーも入れ替わります。受託開発は自社内で作業する場合が多いものの、顧客との打ち合わせや調整に多くの時間を割くことになるでしょう。

自社開発では、自社のオフィスか在宅で、社内のチームと長く一緒に働きます。開発のメンバーに加えて、企画や営業、カスタマーサポートといった社内の他部署と話す機会が多いのも特徴です。

とはいえ、リモートワークやフレックスの有無は、開発の形態ではなく企業ごとの制度で決まります。在宅で働けるかどうかは、自社開発かどうかとは別に確認しましょう。

SESでは常駐先からの評価や契約単価が、受託開発では品質を保って納期と予算内に納めることが、評価の軸になりがちです。どちらも、決められたものを決められたとおりに仕上げる力が問われます。

一方、自社開発では、プロダクトの成果にどれだけ貢献したかが評価されやすくなります。たとえば、改善した機能で利用者が増えた、問い合わせが減ったといった変化です。言われたとおりに作るだけでは評価されにくいため、受託やSESから移った人が最初に戸惑いやすい点でもあります。

自社開発で働く5つのメリット

自社開発で働くメリットは、次の5つです。

  • 企画から運用まで一貫して携われる
  • ユーザーの反応を受けて改善を重ねられる
  • 客先常駐がなく同じチームで腰を据えて働ける
  • 技術選定や設計に意見を出しやすい
  • 納期を自社の判断で調整しやすい

ただし、どのメリットも、企業の規模や事業の段階によって受けられる度合いが変わります。それぞれのメリットが当てはまりやすい企業と、当てはまりにくい企業もあわせて確認していきましょう。

受託開発やSESでは、要件定義は上流の会社、実装とテストは自分たちというように、担当する工程が区切られることが多いです。自社開発では、何を作るかを決める段階から、リリース後の運用や改善まで同じチームで担います。

自分が関わった機能がどう使われ、どんな結果につながったかまで見届けられるため、開発の全体像をつかみやすいのが利点です。

一方で、エンジニアが数百人いる大企業では分業が進み、担当範囲が受託の頃と変わらない場合もあります。工程の幅を広げたいなら、少人数のチームで開発している企業のほうが当てはまりやすいでしょう。

自社開発では、利用データやユーザーの声を開発チームが直接見られます。新しい機能を出したあとに利用率が上がった、問い合わせが減ったといった反応を受けて、次の改善を考えられるのが魅力です。

受託開発では、エンドユーザーの声は発注元の顧客で止まり、開発側まで届かないことも多いでしょう。

自分が愛着を持てるサービスに関われれば、反応を見る楽しさはさらに大きくなります。ただし、社内向けのシステムや利用者が少ないサービスでは、反応を数字で追いにくい場合もあります。

自社開発では顧客先に常駐することがないため、現場が変わるたびに人間関係や作業環境を作り直さずに済みます。同じメンバーと長く働くので、わからないことがあればすぐに相談でき、チームの進め方にも慣れていきます。

腰を据えて1つのプロダクトとチームに向き合えることは、客先常駐で現場を転々としてきた人ほど大きな変化に感じるでしょう。

ただし、自社サービスと並行して受託やSESをおこなう企業では、配属によっては常駐の可能性が残ります。求人の表記だけで判断せず、配属先まで確かめておきましょう。

自社開発では、顧客の承認を待たずに、技術の導入や設計の見直しを社内で決められます。現場のエンジニアの提案が通りやすく、ライブラリの更新やリファクタリングにも時間を取りやすいのが特徴です。

とくに、サービスを立ち上げたばかりの企業や成長中の企業では、新しい技術を試す機会も多いでしょう。一方で、長く運用されているプロダクトでは、既存の技術との互換性や移行の手間から、選べる技術が限られます。技術選定に関わりたいなら、プロダクトの段階と使っている技術を事前に確認しましょう。

自社開発では納期を決めるのも自社なので、品質に不安があればリリースを遅らせる判断ができます。受託開発のように顧客との契約で期限が決まっている場合と比べると、無理なスケジュールで残業が続く状況は避けやすいでしょう。

ただし、競合より早く機能を出したい場面や、大型キャンペーンに合わせたリリースでは、社内の都合で締め切りが厳しくなることもあります。納期の調整のしやすさは、事業の計画に余裕があるかどうかで変わります。

自社開発で働く5つのデメリット

「自社開発エンジニアはやめとけ」と言われる理由をたどると、主に次の5つのデメリットに行き着きます。

  • 使う技術が固定され、スキルが偏りやすい
  • プロダクトの売上が給与や雇用に跳ね返る
  • 開発以外の業務まで責任範囲が広がる
  • 社外との接点が減り、人脈が広がりにくい
  • 企業によっては労働環境が整っていない

なかでも影響が大きいのは、プロダクトの売上が給与や雇用に跳ね返る点です。ほかの4つは働き方の工夫や企業選びで和らげられますが、売上の不振は個人の努力では変えにくいためです。

以下、デメリットごとに受け止め方もあわせて解説します。

自社開発では、1つのプロダクトを長く運用するため、使う言語やフレームワークが固定されやすくなります。数年前に選んだ技術を使い続けるうちに、社外では使われなくなったバージョンや独自の仕組みにだけ詳しくなる状況も起こりえます。

複数の現場でさまざまな技術に触れてきた受託やSES出身の人ほど、この変化を窮屈に感じるでしょう。技術の偏りを避けるには、業務時間外の学習や勉強会への参加で、社外で通用する技術に触れ続けることが欠かせません。転職市場での評価を保つための手間がかかる点は、あらかじめ覚悟しておきましょう。

自社開発の給与の原資は、プロダクトが生む売上です。サービスが伸びていれば昇給や賞与に反映されやすい一方で、伸び悩めば昇給を止めたり、人員を減らしたりする判断が下されます。

売上が足りない企業では、開発の人員を受託開発に回して資金をつなぐケースもあります。そうなると、やりたかった自社サービスの開発から外れ、受託の案件を担当することになりかねません。

自社開発に移るなら、プロダクトが実際に収益を上げているかを入社前に確かめておきましょう。

自社開発では、開発だけでなく、仕様の検討や問い合わせへの対応、リリース後の数値の分析まで、エンジニアが担う場面があります。とくに少人数の企業では、1人が複数の役割を兼ねることになるでしょう。

受託やSESのように、決まった仕様を期限までに作れば評価される環境から移ると、この広さに戸惑う人もいます。ただし、担当範囲が広がるぶん、事業全体を見渡せる経験が積めることは、のちにリーダーやPdMを目指すときの強みになります。

開発に専念したい人は、職務内容に開発以外の業務がどこまで含まれるかを確認しましょう。

自社開発では、仕事で関わる相手が主に社内のメンバーになります。現場が変わるたびに新しい人と出会えた受託やSESと比べると、社外の人脈は広がりにくいでしょう。

社外の人脈は、次の転職先を探すときや、新しい技術の情報を得るときに役立ちます。そのため、自社開発で働くエンジニアには、勉強会で登壇したり技術ブログで発信したりして、自分から社外とつながる人も多いです。

会社の中だけで完結しない工夫ができるかどうかで、数年後の選択肢の広さが変わります。

自社開発の企業には、資金や人員に余裕のある大手から、立ち上げたばかりのスタートアップまで幅があります。スタートアップでは、評価制度や研修が整っていなかったり、少ない人数でリリースを急ぐために残業が増えたりすることもあります。

また、売上が伸び悩むと、開発の人員を増やせず、1人あたりの負担が重くなる場合もあるでしょう。自社開発だからといって、働きやすさが保証されるわけではありません。開発チームの人数や離職の状況を、応募前に確認しておくことが大切です。

元エンジニアのアドバイザーが面談します

自社開発エンジニアの年収は次の3要素で決まる

自社開発だからといって、年収が高いとは言い切れません。自社開発エンジニアの年収は、主に次の3つの要素で決まります。

要素年収への影響
事業の業績と収益性給与の原資と上限が決まる
担当する職種職種ごとに相場が異なる
事業への貢献度評価と昇給の幅が決まる

一部の成功した企業が目立つため、自社開発全体が高年収に見えやすい点には気をつけましょう。

以下、3つの要素がそれぞれ年収にどう影響するかを見ていきます。

自社開発企業の給与は、プロダクトが生む利益から支払われます。そのため、売上が伸びている企業ほど昇給や賞与で社員に還元しやすく、伸び悩む企業ではエンジニアの年収も上がりにくくなります。

同じ自社開発でも、黒字で成長しているサービスと、赤字のまま資金調達でしのいでいるサービスでは、数年後の年収の伸び方が大きく変わるでしょう。求人票の想定年収だけでなく、その年収を払い続けられる事業かどうかを見ることが大切です。

上場企業なら決算資料で、非上場の企業なら資金調達の状況やユーザー数の推移で確認できます。

自社開発企業の中でも、年収の水準は担当する職種によって変わります。

自社開発の求人でよく見かける職種について、エンジニア特化の転職エージェント「テックゴー」が保有する求人データから平均年収をまとめると次のとおりです。

職種平均年収
フロントエンドエンジニア約773万円
スマホアプリ開発エンジニア約803万円
バックエンドエンジニア約827万円
SRE約875万円
PdM約946万円
テックリード約971万円
エンジニアリングマネージャー約1,070万円

いずれも求人に記載された想定年収の平均で、自社開発以外の企業の求人も含みます。

一方、厚生労働省による受託開発やWebサービス開発のシステムエンジニア、プログラマーを含む統計では、平均年収は578.5万円でした。

年代別に見ると、25〜29歳で約485万円、30〜34歳で約560万円でした。求人の年収は経験者向けの募集が中心のため、統計の平均より高く出やすい点は差し引いて見ましょう。

実装が中心の職種から、SREやテックリード、PdMのように担う範囲が広い職種へ進むほど、年収の水準は上がります。

参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「システムエンジニア(Webサービス開発)」

【2026年】ITエンジニアの平均年収は?職種・年代・企業規模別の相場

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自社開発では、プロダクトの成果にどれだけ貢献したかが評価に反映されやすいのが特徴です。担当した機能で利用者や売上が伸びれば、それが昇給や昇格の根拠になります。稼働時間や契約単価で給与の上限が決まりやすい受託やSESとは、年収の上がり方が異なるでしょう。

さらに、テックリードやエンジニアリングマネージャー、PdMのように、事業の方向を決める役割に近づくほど、年収の幅は広がります。技術力に加えて、事業の数字を意識して動けるかどうかで、年収の伸び方に差がつきます。

受託・SESでよくある5つの不満は自社開発で解消できる?

「自社開発は勝ち組なのか」「SESとどちらがいいのか」という問いに、ひとつの答えはありません。今の職場で何に不満を感じているかによって、自社開発で解消できるかどうかが変わるためです。

受託・SESでよくある5つの不満を、自社開発で解消できるかの目安とあわせて整理しました。

不満自社開発で解消できるか
客先常駐で現場や人間関係が頻繁に変わる解消しやすい
決まった仕様を作るだけで裁量がない解消しやすい
納期に追われて残業が多い企業次第
年収がなかなか上がらない企業次第
幅広い技術や業界を経験したい解消しにくい

どの不満にも共通して、扱うプロダクトに興味を持てるかどうかは大切な判断材料です。1つのサービスに長く向き合う働き方なので、関心が持てないと、不満が解消されても続けにくいでしょう。

自社開発に移れば、この不満は解消しやすくなります。社内のチームで長く働くため、現場が変わるたびに人間関係を作り直す負担がなくなるからです。

ただし、自社サービスと並行して受託やSESをおこなう企業では、配属によっては常駐の可能性が残ります。常駐をなくすことが一番の目的なら、自社開発に限らず、顧客先に常駐しない働き方ができる企業を広く探すのも手です。受託開発でも、自社内で開発する企業であれば同じ悩みは避けられるでしょう。

SES・客先常駐を抜け出すには?具体的なキャリアパスと失敗しない転職手順

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この不満も、自社開発で解消しやすいでしょう。自社開発では仕様を社内で決めるため、エンジニアが何を作るかの議論に加わる機会が増えます。

一方で、裁量が増えるぶん、自分で考えて決める責任も重くなります。決まった仕様を作るほうが自分に合っていると感じるなら、裁量の大きさがかえって負担になることも考えておきましょう。上流工程に関わりたいだけであれば、受託開発で要件定義から担える企業に移る道もあります。

この不満が解消できるかは、企業次第です。自社開発では納期を社内で調整できるため、顧客の都合で無理なスケジュールを組まされる場面は減ります。

しかし、競合とのリリース競争が激しい企業や、少ない人数で開発している企業では、残業が多い状態が続くこともあります。また、サービスに障害が起きたときに、夜間や休日でも自分たちで対応するのは自社開発ならではの負担でしょう。

残業を減らしたいなら、開発チームの人数と障害対応の当番の有無まで確認しましょう。

この不満も、解消できるかは企業次第です。自社開発の年収は、事業の業績や担当する職種、事業への貢献度で決まるため、移っただけで上がるとは限りません。

伸びている事業で、担う範囲の広い役割に就ければ、受託やSESより年収が上がる可能性はあります。反対に、業績が不安定な企業では、入社時の年収から伸びにくいこともあるでしょう。年収を上げることが一番の目的なら、自社開発にこだわらず、上流工程やITコンサルのように年収の水準が高い職種も比べてみましょう。

この不満は、自社開発では解消しにくいでしょう。自社開発は1つのプロダクトに長く向き合う働き方で、使う技術も業界も固定されやすいためです。

さまざまな技術や業界を経験したいなら、受託開発やSESのほうが合っている場合もあります。現場ごとに新しい技術に触れられる環境は、受託やSESならではの強みです。

今の不満が経験の幅ではなく、常駐先の環境や評価のされ方にあるなら、受託やSESのまま会社を変える選択肢も考えてみましょう。

自社開発の選考で評価される受託・SESの経験4つ

自社開発企業は少人数で事業を回していることが多く、中途採用では入社後すぐに動ける人を求める傾向があります。そのため、選考の難易度は高めです。

とはいえ、受託やSESで積んだ経験が不利になるわけではありません。伝え方しだいで、次の4つの経験は評価につながります。

経験自社開発で評価される理由
要件定義や顧客との調整の経験要望を仕様にする力になる
複数の現場で身につけた技術の幅技術を見直す引き出しになる
運用保守や障害対応の経験リリース後の運用で即戦力になる
リーダーとしてチームを回した経験少人数のチームで重宝される

実装やテストが中心だった人も、担当した工程で何を工夫し、どんな問題を解決したかを具体的に示せば、評価される余地は十分にあります。

SESから自社開発に転職は可能?必要なスキルと選考突破の準備を徹底解説

SESから自社開発に転職は可能?必要なスキルと選考突破の準備を徹底解説

受託開発で顧客の要望を聞き取り、仕様に落とし込んできた経験は、自社開発でも評価されやすい経験です。自社開発では、顧客の代わりにユーザーや社内の他部署の要望を聞き、何を作るかを決める場面が多くあります。

選考では、要望をそのまま形にした経験だけでなく、優先順位をつけたり、代わりの案を出したりした場面を伝えましょう。相手の要望を整理して、作るべきものを決めた経験は、プロダクトの仕様を考える力として受け取られます。

複数の現場で異なる言語やフレームワーク、業界のシステムに触れてきたことは、受託やSESならではの強みです。1つのプロダクトを長く運用する自社開発では技術が固定されやすく、外の技術を知る人材が少ない企業もあります。

そのため、別の現場で使っていた技術や進め方を持ち込み、改善を提案できる人は重宝されるでしょう。選考では、触れた技術を並べるだけでなく、それぞれの現場で技術をどう使い分けたかを説明しましょう。

自社開発では、リリースしたサービスの運用まで自分たちで担います。障害が起きれば、原因を調べて復旧させ、再発を防ぐところまでがエンジニアの仕事です。

そのため、運用保守や障害対応の経験は、入社後すぐに活かせる経験として評価されやすくなります。監視の仕組みを整えた、手順書を作って対応時間を短くしたといった改善の実績があれば、開発しか経験していない人にはない強みになります。運用が中心の経歴でも、引け目を感じずに伝えましょう。

少人数で開発している自社開発企業では、タスクの割り振りや後輩の育成を担える人が重宝されます。受託やSESで小規模なチームのリーダーを務めた経験や、協力会社のメンバーをまとめた経験があれば、積極的に伝えましょう。

評価されやすいのは、メンバーの進捗を管理しただけでなく、チームの進め方を見直して成果を上げた経験です。役職がついていなくても、チームを動かした具体的な場面を示せれば評価につながります。

将来テックリードやエンジニアリングマネージャーを目指す人にとっても、強みになる経験でしょう。

ホワイト企業を見極めるために見るべき4つのポイント

自社開発の求人でも、実際の働き方は企業によって違います。実際の求人を見ると、自社のオフィスで受託案件を開発する企業や、自社サービスと並行して受託やSESで売上を立てる企業も、同じように「自社開発」「自社内開発」と表記していることがあります。

一部の部署だけが自社開発で、配属しだいで客先常駐になる企業もあるでしょう。

そこで、ここでは事業が安定し、開発チームが無理なく回っている企業をホワイト企業と考え、見極めるための4つのポイントを紹介します。

ポイント確認する方法
売上の柱が自社サービスかどうか・会社の事業内容 ・事業別の売上
事業そのものの将来性・決算資料 ・資金調達の状況
開発チームの人数と体制・面接での質問 ・採用ページ
技術ブログや登壇から垣間見える開発文化・技術ブログ ・登壇資料

まず確認したいのは、会社の売上のうち、自社サービスがどれだけを占めているかです。会社概要の事業内容に受託開発やシステムエンジニアリングサービスが並んでいれば、自社開発は事業の一部にとどまっている可能性があります。

上場企業であれば、決算資料の事業別の売上で割合を確かめられます。非上場の企業では、サービスサイトの導入実績や、求人票の業務内容に受託の案件が含まれていないかを見ましょう。売上の柱が自社サービスであれば、配属先が受託や客先常駐に変わる心配は小さくなります。

自社サービスが売上の柱であっても、そのサービスが伸びていなければ、昇給の停止や人員削減のリスクが残ります。上場企業なら決算資料で売上と利益の推移を、非上場の企業なら資金調達の時期や金額、ユーザー数の推移を確認しましょう。

赤字であること自体は、成長のために投資している段階であれば、よくあることです。大切なのは、次の資金調達や黒字化までの見通しが立っているかどうかです。面接で事業の今後の計画を質問し、具体的な答えが返ってくるかを確かめましょう。

開発チームの人数は、1人あたりの負担を見積もる手がかりになります。少ない人数で複数のサービスを抱えている企業では、開発以外の業務や障害対応が特定の人に集中しやすいでしょう。

面接では、エンジニアの人数と中途入社の割合、直近1年で辞めた人がいるかを聞いてみましょう。あわせて、残業時間の実績や障害対応の当番の回り方も確認すると、働き方の実態が見えてきます。

採用ページの社員紹介が更新されているか、同じポジションの求人が何度も出ていないかも、定着の状況を知る手がかりです。

技術ブログや勉強会での登壇資料からは、その企業が使っている技術と、開発の進め方に対する考え方がわかります。コードレビューやテストの方針、障害の振り返りを公開している企業は、品質や改善に時間をかける文化があると見てよいでしょう。

一方で、ブログの更新が何年も止まっている場合は、発信する余裕がないか、エンジニアの入れ替わりが激しい可能性もあります。記事の内容だけでなく、更新の頻度と書いている人の顔ぶれにも目を向けましょう。気になった記事は、面接での質問のきっかけにも使えます。

自社開発への転職ならテックゴー

自社開発への転職では、求人票の「自社開発」が実態どおりかを見極めることと、受託やSESの経験を評価される形で伝えることが欠かせません。どちらも、企業の事業内容や選考の傾向を知らないまま1人で進めると、判断を誤りやすい部分です。

テックゴーは、エンジニア領域に特化した転職エージェントとして、今の不満と経験を整理したうえで、転職先の選択肢を一緒に考えます。

  • 元エンジニアのアドバイザーに経験の伝え方を相談できる
  • 自社開発に加えて、上流案件やITコンサルの求人も比べられる
  • 面接対策は回数無制限で、選考の準備を納得いくまで進められる
  • 年収交渉はアドバイザーが代行し、条件面を任せられる
  • 平均年収アップ金額は144万円で、年収を上げる転職の実績がある

自社開発に移るかどうかを決めるためにも、まずは今の不満と経験を整理するところから始めてみましょう。

まとめ

この記事では、自社開発の意味と、受託開発・SES・SIerとの違い、自社開発で働くメリット・デメリットを解説しました。

自社開発は、仕様や納期を社内で決められ、ユーザーの反応を受けて改善を重ねられる一方で、プロダクトの売上しだいで年収や雇用が左右される働き方です。また、求人に自社開発と書かれていても、受託やSESを並行している企業もあります。

自社開発に移るかを決める前に、今の不満が自社開発で解消できる種類のものかと、応募する企業の売上の柱が本当に自社サービスかの2点を確かめましょう。受託やSESで積んだ要件定義や運用保守、チームをまとめた経験は、伝え方しだいで自社開発の選考でも評価されます。

自社開発への転職を考えているなら、テックゴーへの相談がおすすめです。エンジニア領域に特化した転職エージェントとして上流案件やITコンサル領域にも強く、元エンジニアのアドバイザーが、経験の伝え方から企業選びまでサポートします。

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よくある質問

自社開発から別の会社へ転職するのは難しいですか?

難しいとは限りません。自社開発で積んだ経験には、転職市場で評価されやすい面と、伝わりにくい面の両方があります。

・プロダクトの成長に貢献した実績は評価されやすい ・社内独自の仕組みや古い技術だけの経験は伝わりにくい ・リリース後の運用まで担った経験は即戦力として見られる

転職の選択肢を保つためには、日ごろから社外でも通用する技術に触れ、担当した機能でどんな成果が出たかを数字で説明できるようにしておきましょう。

自社開発に移って「ついていけない」と感じたらどうすればいいですか?

受託やSESから移った直後に戸惑うのは、珍しいことではありません。慣れるまで時間がかかりやすいのは、次のような違いです。

・仕様を自分たちで決めることを求められる ・納期よりプロダクトの成果で評価される ・アジャイルなど開発の進め方が変わる

まずは、担当する小さな機能から、ユーザーの立場で改善案を出すところから始めてみましょう。わからないことは早めにチームに相談し、ユーザーインタビューや数値を共有する場があれば積極的に参加すると、何を求められているかがつかみやすくなります。

それでもしばらく状況が変わらない場合は、仕事内容と自分の適性が合っているかを見直す時期でしょう。

自社開発の企業や求人はどう探せばいいですか?

求人サイトで自社開発の条件を指定するだけでは、受託やSESを並行している企業の求人も混ざります。応募先を絞るときは、会社の事業内容で売上の柱が自社サービスかを確かめたうえで、面接で配属先と担当業務を具体的に聞きましょう。

・配属されるチームは自社サービスの開発を担当していますか ・受託開発や客先常駐の案件に入る可能性はありますか ・入社後に担当する業務の範囲はどこまでですか

求人票に書かれていない配属先の実情は、転職エージェントを通して確認する方法もあります。