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SIerはやめとけ?8つの理由と向いている人・ブラック企業の見分け方

2026年10月15日更新

SIerへの転職を考えて情報を集めるうちに、「SIerはやめとけ」という言葉にぶつかって迷っていませんか?ITの仕事はこれからという方ほど、応募していいのか決めかねてしまうでしょう。

SIerがやめとけに当てはまるかどうかは業態ではなく、会社ごとの仕事内容や待遇、希望する働き方がかなうかどうかで決まります。 これらのポイントを見極めれば、自分に合う1社を見つけやすくなります。

この記事では、以下の内容を解説します。

  • やめとけと言われる8つの理由
  • それでもSIerで働く5つのメリット
  • SIerに向いている人・向いていない人
  • 未経験からSIerに入るのはありかなしか
  • 避けるべきブラックSIerを見分ける7つのポイント

SIerに応募するか迷っている方に、判断するための材料をお伝えしているので、ぜひ参考にしてください。

目次

CONTENTS

SIerはやめとけと言われる8つの理由

SIerについては、やめとけのほかにブラック、きつい、やばいといった言葉も並びます。もっとも、そう呼ばれる状態が起きるかどうかは会社によって違うものです。ここでは、よく挙げられる理由を8つに整理しました。

  • 多重下請けの下層では単価も裁量も削られる
  • 納期と仕様変更の板挟みで長時間労働になりやすい
  • レガシーな技術環境が多く、転職市場で評価されるスキルが身につきにくい
  • 客先常駐が多く、自社への帰属意識を持ちにくい
  • 案件と配属を自分で選べず、経験がばらつく
  • コードを書く時間が短く、調整と資料作成が中心になりがち
  • 年功序列と古い体質が残り、成果が昇給に反映されにくい
  • 年収の水準が会社の立ち位置で決まる

それでは、順に見ていきましょう。

SIerの案件は、1社で完結するとは限りません。元請けが受注した仕事を下請けに出し、その下請けがさらに別の会社へ出す多重下請けの形が残っています。システムを使う企業から直接受注する立場を元請けと呼び、1次請けやプライムと言うこともあります。

項目元請け(1次請け)2次請け3次請け以下
契約の相手システムを使う企業元請けの企業上位の下請け企業
担当しやすい工程要件定義や基本設計詳細設計や実装テストや運用監視
顧客との距離直接やり取りする元請け経由で話が届く接点がほぼない
単価の決まり方顧客と直接交渉する元請けの予算に従う上位の提示額を受ける

この構造のなかで金額を決める仕組みが、人月商売と呼ばれる見積もり方です。エンジニア1人が1ヶ月働く量を単位に見積もるため、成果ではなく投入した時間で売上が決まります。階層が下がるごとに間の会社が取り分を引くので、下層ほど単価は薄くなります。担当できる工程も、階層に応じて下に移る傾向があります。

SESとSIerの違いは?年収差とどっちを選ぶべきか解説

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受託開発の多くは、ウォーターフォール型と呼ばれる進め方で動きます。要件定義から設計、実装、テストへと、工程を一方向に流していく形です。前の工程が遅れると、そのぶんが後ろの工程にずれ込みます。

しかも、納期は顧客との契約で決まっているため、動かせません。結果として、負荷はテストと本番稼働の直前に集中します。 きつい、激務といった声も、この時期の働き方に向けられたものが目立ちます。

とはいえ、働き方改革の広がりを受けて、残業の管理を厳しくしたSIerも増えました。同じ受託開発でも、残業時間の実績や勤怠の運用は会社ごとに差が出ます。

金融や公共、製造業の基幹システムには、20年、30年と動き続けているものがあります。改修や運用を担当する場合、使う技術は稼働中のシステムに合わせることになります。新しい仕組みを持ち込める余地は、案件の性質上どうしても限られてしまうのです。その結果、新しい技術の経験は積み上がりにくくなります。

この影響が出るのは、入社してすぐではなく、数年たって経歴を振り返るころです。ただし、すべての案件が古い技術というわけではありません。クラウドへの移行や新規の開発を主力にしている会社もあり、どの技術に触れられるかは会社と案件の組み合わせで変わります。

SIerの仕事は、自社のオフィスで完結するとは限りません。顧客のオフィスに常駐し、そこで数ヶ月から数年にわたって働く案件も一定数あります。

常駐が続くと、自社の同僚と顔を合わせる機会が減ります。技術的な相談ができる相手が近くにおらず、評価する上司も現場を直接見ていない状態になりがちです。加えて、案件が変わるごとに職場も人間関係も入れ替わります。その結果、本来なら社内に積み上がるはずの知識や関係が途切れやすくなります。

注意したいのは、常駐が下請けの案件だけで起きるものではない点です。元請けとして受注した案件でも、顧客のオフィスに席を置いて進めるケースはあります。セキュリティの都合で社外に持ち出せないデータを扱う案件では、なおさら常駐が前提になりやすいです。

SIerでは、どの案件を担当するかを自分で決められないのが一般的です。配属は、そのときに人手が必要な案件の状況に合わせて決まります。未経験で入社した場合も、研修を終えたあとに配属先が決まる流れが多く、希望を出す制度があっても、要員が足りていない案件が優先されるケースもあります。

その結果、同じ年に入社した2人でも、数年後の経歴は違うものになります。片方は要件定義から関わり、もう片方はテストと報告書の作成を担当し続けているという状況も起こり得ます。 SIerはきついという声が出る背景のひとつが、この差です。

入社から下流の工程だけを担当し続けている状況では、設計や要件定義の経験を求める求人には応募しにくくなります。

SIerは、顧客の要望を整理してシステムの形に落とす仕事を請け負います。そのため、担当する工程が上流に寄るほど、実装との距離が開きます。手を動かす部分は協力会社やグループ会社に委託されるケースも多いです。結果として、社員の仕事は要件の整理、設計書の作成、進捗の管理、顧客との調整に集まります。

この分業は日本の企業に定着しています。IPAが2025年に公表した調査では、事業のコア領域のシステム開発で外部委託を選ぶ日本企業が4割弱と最も多く、米国では内製が5割弱で最多でした。顧客が開発を外に出し、受けたSIerがさらに実装を協力会社へ回す。この二段の委託があるため、SIerの社員には要件の整理と進行の管理が残りやすくなります。

もちろん、コードをまったく書かないわけではありません。ただし、時期によっては1日の大半が会議と資料作成で埋まることもあります。

参考:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」

SIerでは、昔から使われてきた人事の制度がそのまま残っている会社もあります。その場合、評価の面談や目標設定の仕組みが用意されていても、実際の昇給額と昇進の順番は勤続年数と年次の影響を強く受けます。成果の大小よりも、何年目かで待遇が決まっていく形です。 加えて大手のグループ会社では、親会社から出向してきた社員が管理職のポストに就き、昇進できる枠が限られるケースもあります。

この構造のもとでは、大きな成果を上げても、昇給や昇進にすぐ結びつくとは限りません。評価の基準や昇格の条件が社内に示されていない場合、次に何を目指せばいいのかという悩みに発展する可能性もあります。

ただし、なかには成果を重視して評価に反映するSIerもあります。同じ受託開発でも昇給の決まり方には差があるため、個々の企業の評価制度などを確認しましょう。

SIerの年収は、勤め先が商流のどこにいるかで変わりやすい傾向があります。人月商売では、売上はエンジニアの人数と単価の掛け算で決まります。そのため、下請けの階層が下がるほど単価は薄くなり、給与の原資も限られてしまうのです。

もうひとつの条件が、資本の系統です。SIerは、特定の親会社を持たない独立系、メーカーの販売網に組み込まれたメーカー系、事業会社や金融機関がシステム部門を切り出して設立したユーザー系に分かれます。親会社から継続して案件が入る会社と、自力で受注を取りにいく会社とでは、収益の安定度も給与の決まり方も違ってきます。同じ経験年数でも、どの系統の会社に在籍しているかで年収の水準に差が生じることもあります。

つまり、年収の高さは入社後の働きぶりだけでは決まりません。どの会社を選ぶかの段階で、ある程度の幅が決まると言えます。

それでもSIerで働く5つのメリット

やめとけと言われる理由の裏側には、SIerだから得られるものもあります。主なメリットは、以下の5つです。

  • 上流工程と大規模案件を経験できる
  • 顧客の業務とビジネスの仕組みを学べる
  • 雇用と収入の土台が安定する
  • プロジェクト管理のスキルが身につく
  • 社会や生活に役立つシステムに携われる

ひとつずつ確認していきましょう。

SIerが手がける案件には、数千万円から数億円の規模になるものがあります。官公庁の行政システムや金融機関の勘定系システム、通信の基盤システムなどが代表例です。多くの人が日常的に使う仕組みを、自分の手で作る側に回れます。

規模が大きい案件では、何を作るかを決める段階から関わる機会も生まれます。顧客の要望を聞き、業務の流れを整理し、システムの形に落とす工程です。この部分は発注する側と請け負う側の境目にあたるため、自社でサービスを作る現場ではなかなか経験できません。

数十人から数百人が動く開発の進め方を間近で見られる点も、SIerならではでしょう。

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システムを作る前には、顧客の業務を細かく理解する作業があります。金融なら融資や決済の流れ、製造なら生産計画や在庫の管理といった具合です。担当した業界の仕事の進め方を、その現場で働く人と同じ目線まで掘り下げて理解できます。

この知識は、システムを作る力とは別の価値ある経験になります。同じ業界のシステムを扱う会社では、業務を分かっている人が要件を聞き出して整理する場面で重宝されるためです。技術の流行が変わっても、業務の中身は簡単には変わりません。

さらに、案件を通じて複数の業界に触れる機会もあります。金融と製造の両方に携わった人は、その掛け合わせで語れる領域が広がるでしょう。

SIerの売上は、長期の契約や運用保守の仕事に支えられています。一度動き始めたシステムは簡単には止められないため、景気の変化がすぐに受注へ跳ね返るわけではありません。数年先まで受注を積み上げた状態で計画を組む会社も見られます。

親会社やグループ会社を顧客に持つ会社であれば、案件の流れはさらに安定します。営業で新規の顧客を開拓しなくても、継続的に仕事が入る仕組みがあるためです。

給与面でも、基本給が案件の状況で変わることはありません。住宅手当や資格の取得支援、研修の制度が整っている会社も多く、生活の土台を保ちながらキャリアを築ける環境です。

SIerでは、担当者の段階から人と期間とコストを動かす仕事に関わります。担当範囲の工数を見積もる、メンバーに作業を割り振る、遅れが出た箇所を早めに共有するといった動きが、日々の業務に組み込まれています。

こうした経験を重ねると、計画を立て、実行に移す力が実務のなかで整っていくでしょう。関係者の間に立って落としどころを作る調整力や、遅れの兆しを早い段階でつかんで手を打つ判断力も一緒に養われます。これらは開発の手法や担当する業界が変わっても使える、汎用性の高いスキルです。

そして、この力はプロジェクトリーダー(PL)やプロジェクトマネージャー(PM)へのキャリアにつながります。技術の深さで勝負する道とは別に、人と案件を動かす道を選べる点は、SIerで働く強みと言えるでしょう。

SIerの転職先はどこがいい?おすすめ6選と失敗しない選び方を解説

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SIerが手がける案件は、前述の行政システムや勘定系システムだけではありません。通信や交通、医療、物流を支える仕組みも含まれます。いずれも、多くの人が日常のなかで当たり前に使っているシステムです。

システムの先にいるのは、依頼した顧客と、それを毎日使う生活者です。自分の書いた仕様や設計が、誰かの手続きや暮らしの一場面につながっていく仕事といえます。

だからこそ、稼働を迎えた日の手ごたえは大きいものになります。家族や友人が使っているサービスを自分が支えていると気づく瞬間もあるでしょう。誰かの生活の一部を担っているという実感は、日々の仕事を続けるうえでの張り合いになります。

SIerとは?企業の分類や仕事内容・SEとの違いをわかりやすく解説

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SIerに向いている人の特徴

SIerで働きやすいかどうかは、性格よりも仕事の進め方への向き合い方で決まります。次の4つに当てはまる方は、力を発揮しやすいでしょう。

  • 人と対話しながら物事を進めるのが得意
  • プロジェクトの進行やマネジメントに関心がある
  • 幅広い知識を身につけることにやりがいを感じる
  • 論理を整理して文書にまとめる作業が好き

それぞれどのような場面で力になるのかを見ていきましょう。

SIerの仕事では、立場の違う人の話を聞いて折り合いをつける場面が繰り返し出てきます。顧客は早く安く作ってほしいと言い、開発のチームは期間を確保したいと考えます。その間に立って着地点を探すのが、担当者の役割です。

技術だけで勝負するよりも、人と対話しながら進める現場のほうが力を発揮できる方に合っています。

SIerの仕事の中心には、案件そのものを動かす役割があります。どの順番で進めるか、誰がどこを担当するか、予算と期間をどう配分するかを決め、顧客と開発チームの間を取り持つ仕事です。手を動かして作ることより、全体が前に進む状態を作ることに重きを置きます。

開発の腕前だけでなく、人をまとめる力や顧客と話す力がそのまま評価につなります。今の現場で進め方を考えたり、関係者に声をかけて動かしたりした経験があるなら、SIerで活かせるチャンスが豊富にあります。

SIerの仕事では、幅広い知識が必要になります。顧客の仕事のやり方や業界特有のルール、システムを動かす技術、案件を進めるための契約や体制の知識まで、どれも欠かせません。担当する案件が変わるたびに、覚えることが増えていく仕事です。

知識が積み上がるほど、任される工程も提案できる内容も広がります。業務と技術の両方がわかる人は現場で重宝されるため、経験を重ねるほど自分の立ち位置が固まっていくでしょう。

SIerの現場では、顧客とコミュニケーションをとり、そこで得た情報を整理して要件定義書や設計書などに落とし込む作業があります。口頭で決めたことも、文書にして初めて顧客との合意になります。認識のずれを防いでスムーズにプロジェクトを進行するために、文書を作る工程も重要な仕事のひとつです。

読み手に伝わる文書を書ける人は、顧客との合意形成や開発チームへの引き継ぎで頼りにされます。文書を書く力は、任される案件の幅を広げることにもつながるでしょう。

SIerに向いていない人の特徴

SIerの仕事の進め方が、自分の望む働き方と合わない場合もあります。次の4つに当てはまる方は、ほかの選択肢も含めて検討したほうがよいでしょう。

  • コードを書くことと技術選定の裁量を最優先にしたい
  • 意思決定の遅さや手戻りに強いストレスを感じる
  • 人と話しながら進める仕事に負担を感じる
  • 入社後も学び続けることに気が進まない

いくつ当てはまるかよりも、自分にとってどれが譲れない条件かを考えながら読んでみてください。

SIerは上流工程を担当する場面が多く、実装は協力会社に任せるケースが目立ちます。とくに元請けとして受注している会社ほどその傾向が強く、社員の仕事は要件の整理や進捗の管理に寄っていきます。

使う技術も、顧客の環境や運用の方針に合わせて決まります。システムとの兼ね合いや、保守を担当する会社の体制も判断の材料に入るためです。個人の技術的な好みが、そのまま選定に反映される場面は限られます。

手を動かす時間の長さで仕事の満足度が決まるなら、自社でサービスを開発している企業のほうが合うでしょう。プロダクトを自分たちで作り続ける環境であれば、実装を主軸に置いたままキャリアを重ねられます。

SIerの案件では、ひとつの判断に複数の関係者の合意が必要です。顧客の担当者、その上長、社内の責任者、協力会社と、確認に関わる人が増えます。決まったはずの仕様が上位の判断で覆り、作ったものを作り直す場面も出てきます。

こうした進み方に納得できない場合、判断にかかわる人が少ない環境を探すのがひとつの手です。事業会社の社内システム部門やサービス開発の現場であれば、判断から実行までの距離が短くなります。

SIerの仕事は、顧客の要望を聞き取り、システムの形に落とすところから始まります。何を作るかは顧客の業務のなかにあるため、相手の話を引き出し、言葉にして確かめる作業が欠かせません。作るものを決める過程そのものが、人とのやり取りで成り立っています。

決まった内容は、開発を担当するチームへ正確に渡す必要があります。仕様の変更が入れば、顧客と開発の双方に説明し、期限や作業量の落としどころを探るのも担当者の役目でしょう。要件の確認、作業の割り振り、進み具合の報告と、仕事の節目ごとに誰かと話す場面が挟まります。

ひとりで黙々と作業を進めたい場合、この進み方は合わないかもしれません。手を動かす時間を長く取れる工程もありますが、顧客やチームとのやり取りを前提に仕事が組み立てられている点は変わらないためです。

SIerは、案件に必要な知識と技術の両方を、継続して学び続ける職種です。担当する案件が変われば、顧客の業界の仕組みを一から覚えることになります。金融なら融資や決済の流れ、製造なら生産計画や在庫の管理といった具合です。業界の知識がないと、顧客に合うシステムの形を提案できません。

技術の面でも、覚え直しは続きます。開発の手法やクラウドのサービス、セキュリティの考え方は移り変わるため、日々の業務に追われて学ぶ時間を取れないままでいると、扱える範囲が広がりません。

学ぶことを負担に感じる場合、任される仕事の幅も広がりにくくなります。これまで新しいことを覚えた場面を思い返し、どれくらいのペースなら続けられそうかを考えてみましょう。

未経験からSIerに入るのは「あり」か「なし」か

ここまで読んで、SIerに応募するかどうかを決めかねている方もいるでしょう。答えは、何を優先してキャリアを始めたいかで変わります。

  • 「あり」なのはIT経験をゼロから作りたい人
  • 「なし」なのは下請け環境で安定を求める人
  • 迷うのはWeb系自社開発とSIerを比べている人

自分がどれに近いかを確かめながら読み進めてください。

未経験からITの仕事を始めたいなら、SIerは現実的な選択肢です。顧客の要望を形にする流れのなかで、ITの仕事がどう組み立てられているかを一から学べます。設計書の読み方、テストの進め方、チームでの作業の分担と、現場で使われている型を身につけられます。

ひとりで学習を続けるのとは違い、先輩や顧客との仕事のなかで覚えていく環境です。 基本情報技術者試験のような資格の取得を支援している会社もあり、学んだことを業務と結びつけながら進められます。

身につくものは、特定の言語やツールの扱いだけではありません。顧客の業界の仕組み、見積もりや進め方の決まりごと、関係者との話の進め方まで含まれます。ITの仕事を続けていくうえで、どの現場でも土台になる部分です。

未経験で応募できる求人には、下請けとして案件を受ける会社のものが一定数含まれます。そこから始めること自体は、現実的な選択肢のひとつです。ただし、落ち着いた環境で着実に待遇を上げていきたいと考えている場合、期待と噛み合わない部分が出てくる可能性があります。

下請けの会社では、次の項目が自分の働きぶりとは別のところで決まります。

項目何によって決まるか
作業の内容と期限顧客の要望と契約で決めた納期
激務かどうか配属された案件の進み具合
給与の水準会社が商流のどこにいるか・SIerの系統
研修の手厚さ会社が教育にかけている費用

同じテストの工程を担当していても、元請けの会社にいる場合と下請けの会社にいる場合では、待遇の決まり方が違います。成果を上げれば環境が変わるという形にはなりにくく、自分の裁量が届く範囲は限られるでしょう。

働く環境を自分で選び、積み上げた成果が待遇に返ってくる形を優先するなら、自社内で開発している会社や、事業会社の社内システム部門の未経験枠も候補に入れておきましょう。

Web系の自社開発企業とSIerで迷っている場合、違いが出るのは採用の間口です。Web系は未経験者を募集する求人そのものが少なく、応募の段階で技術の素養を見られます。ポートフォリオと呼ばれる、自分で作ったものの提出を求められるケースもあります。

SIerは、未経験や第二新卒を対象にした求人が出ており、入社後に技術を身につける前提で選考を進められます。同じ未経験でも、チャレンジしやすいのはSIerの側です。

ただし、Web系を目指すチャンスがまったくないわけではありません。未経験からWeb系に転職する人もいます。応募できる求人の数と求められる準備が違うため、どちらに時間と労力を向けるかを決めてから動きましょう。

「やめとけ」なブラックSIerを見分ける7つのポイント

ブラックと呼ばれる状態に当てはまる会社かどうかは、応募する前に調べて判断できます。会社の規模や知名度だけでは、担当する工程や配属先までは決まりません。確認したいのは、以下の7つです。

  • 求人票の担当工程と勤務地から実態を読む
  • 研修とOJTの中身を具体的に確認する
  • 「未経験歓迎・大量募集」が続いていないかを調べる
  • 導入事例で元請け実績があるかを確認する
  • 平均年齢と平均勤続年数から定着状況を確かめる
  • 客先常駐が多い会社には案件が終わったあとの扱いを聞く
  • 転職エージェントを活用する

手間のかからないものから順に並べています。上から確認していきましょう。

求人票からは、担当できる工程と働く場所の条件が読み取れます。

上流工程という言葉の指す範囲は、会社によって違います。詳細設計を上流に含める会社もあれば、実装の準備として下流に置く会社もあるためです。上流工程から携われるという記載だけでは、実際にどこまで任されるのかは判断できません。

そのほか、次の項目からも実態が読み取れます。

見る項目読み取れること
勤務地プロジェクトによる、といった記載は客先常駐の可能性あり
契約形態準委任契約の記載が中心なら、常駐前提の案件が多い可能性あり
主要取引先エンドユーザーの社名が並ぶなら元請けの可能性が高い
必須要件条件が低く大量募集なら下流工程が中心の可能性あり
研修制度期間やカリキュラムの記載がなければ実態は不明

求人票で判断がつかない部分は、面接で確かめましょう。要件定義に顧客と同席するのか、見積もりは誰が作るのかと、工程名ではなく行為で聞くと実態が見えてきます。

避けたいのは、研修があると書かれているだけで、中身が決まっていない会社です。未経験で入った場合、最初の数ヶ月をどう過ごすかで、そのあと任される仕事が変わります。

確認するのは、求人票と採用ページの研修に関する記載です。期間、学ぶ内容、現場に出てからの支援体制の3つが書かれているかを見ましょう。 期間だけが書かれていて中身がない場合や、OJTで学べるという一文で終わっている場合は、面接で踏み込みます。

聞き方は、制度の名前ではなく過ごし方で尋ねると実態が出ます。

  • 研修期間は何ヶ月で、何を学ぶのか
  • 現場に出たあと、質問できる先輩はつくのか
  • 未経験で入った人は、最初にどの工程を担当するのか

具体的な期間や内容がすぐに出てこない場合、教育の仕組みが決まっていない可能性があります。

未経験歓迎という文言そのものは、問題ではありません。見たいのは、同じ求人が長い期間出続けていないかどうかです。人が辞めた分を採用の量で埋め続けている場合、募集が途切れにくくなります。

調べ方は、求人サイトで気になる会社の掲載履歴をさかのぼる方法です。半年前にも同じ職種で同じ人数を募集していないかを確かめましょう。 採用ページで、過去の入社者数が公開されている会社もあります。口コミサイトにある社員の声からチェックするのもひとつの手です。

募集が続いている理由は、事業の拡大による場合もあるため、すべてを避ける必要はありません。長く働きやすい会社かを見極めるポイントとして、あらかじめ確認しておきましょう。

企業サイトの導入事例からは、その会社が商流のどこにいるかが見えてきます。

見るべきは、顧客の名前が出ているかどうかです。社名を公表できるのは、顧客と直接契約している元請けの立場だからというケースが多くあります。反対に、パートナーとして参画という書き方が並ぶ場合や、事例の更新が数年前で止まっている場合は、元請けの実績が限られている可能性があります。

公開情報で判断がつかないときは、面接で直接聞くのも手です。発注元はシステムを使う企業なのか、それとも別の会社を経由しているのかを尋ねてみましょう。商流は本来すぐに答えられる情報なので、明言を避ける、話をそらすなど、反応そのものが判断の材料になります。

人が定着している会社かどうかは、平均年齢と平均勤続年数から見当がつきます。比較の目安になるのが、情報通信業の平均です。賃金構造基本統計調査では、平均年齢が40.2歳、平均勤続年数が12.3年でした。候補の会社がこの水準からどれだけ離れているかを見ると、人の出入りの傾向が見えてきます。

数字が載っているのは、採用ページの「数字で見る〇〇社」といったページです。上場企業であれば、有価証券報告書の従業員の状況という欄にも、平均年間給与とあわせて記載されています。平均年齢が極端に若く、平均勤続年数が3年を下回る場合は、人が入れ替わっている可能性があります。

ただし、設立から間もない会社や、採用を急に増やした会社でも同じ数字になります。面接で、過去3年の平均在籍年数を尋ね、具体的な数字が返ってくるかを確かめましょう。回答を濁す会社であれば、定着に課題を抱えている可能性があります。

参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査(5)産業別にみた賃金」

客先常駐(SES)の形でエンジニアを出している会社では、常駐先の契約が切れると次の現場が決まるまで空白が生まれる可能性があります。この期間が長引くと、実務から離れる時間が延び、給与の扱いも会社の決まりごと次第になります。 請負でシステムを作る会社であれば、案件が終われば次の案件や社内の作業に移ります。

そのため、求人票から常駐の可能性が見えた会社では、面接で次の3点を聞いておきましょう。

  • 案件の切れ目は、どれくらいの頻度で発生するのか
  • その期間の給与は、どのように扱われるのか
  • 待機期間として、何をして過ごすことになるのか

現場では、この期間をベンチ期間と呼ぶこともあります。ほぼ発生しない、研修や勉強に充てられると答えられる会社は、安定して案件を獲得できている状態にある可能性が高いと言えます。答えが曖昧な場合は、入社後にどの案件へ配属される見込みかを重ねて聞いてみましょう。

ここまでの項目で確認できるのは、公開されている情報の範囲です。とくに配属先の決まり方や異動希望制度が実際に機能しているかは、求人票にもIR資料にも載りません。面接で聞いても制度の説明にとどまることが多く、外から読み取るのが難しい情報です。

転職エージェントは、実際にその企業の選考を受けた人の話や、各社の働き方といった情報を蓄積しています。公開されていない求人を紹介してもらえる点も含め、自分ひとりで調べる範囲を超えたい段階で使う価値があるでしょう。

さらに、SIerが自分に合うかどうかの判断も一緒に整理できます。同じSIerでも、これまでの経験や希望する工程によって向き不向きは変わるためです。今の経歴なら元請けの会社を狙えるのか、上流工程を任されるまでにどれくらいかかるのかを、市場の相場と照らして教えてもらえます。

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  • 年収アップ成功率は86%(※2)

未経験からの相談にも対応しています。自分の経歴でどういう会社を狙えるのか、気になっている会社の実態はどうなのかを、確かめるところから始めてみましょう。

(※1)2026年3月に内定承諾をし、年収アップを実現された方の平均実績 (※2)同期間に内定を承諾された方のうち、年収アップを実現された方の割合

まとめ

SIerがやめとけと言われる理由は、多重下請けの階層、長時間労働、客先常駐、配属の決まり方など、どれも会社によって当たり外れが分かれるものでした。つまり、やめとけが当てはまるかどうかはSIerという業態ではなく、どの会社に入るかと、自分が何を優先したいかの2つで決まります。

この記事では、「SIerはやめとけ」に該当する会社や人を見極める材料をお伝えしてきました。会社については、求人票の担当工程や研修の中身、導入事例や定着状況から、応募前に判断できます。自分自身についても、向いている人と向いていない人の特徴、未経験での「あり」と「なし」の切り分けから整理してみてください。

自分の経歴でどういう会社を狙えるのかは、転職エージェントに聞くのが近道です。テックゴーは、SIerをはじめとしたエンジニア向けの求人を多数扱っています。現場を熟知したアドバイザーが、いまの市場で狙える選択肢を一緒に考えます。

よくある質問

30代・未経験からSIerへの転職は手遅れですか?

30代・未経験からのSIer転職は、手遅れではありません。ただし、20代と同じ進め方にはならず、職種と工程を絞って応募することになります。 強みになるのは、これまでの社会人経験です。営業の経験があれば顧客との折衝に、経理の経験があれば業務系システムの理解につながります。一方で、20代向けの未経験枠より募集の数が少ないのは事実です。基本情報技術者試験の取得や、プログラミングの基礎に触れておくといった準備を、応募の前に進めておきましょう。

プログラミング未経験でもSIerで働けますか?

プログラミング未経験でも、SIerで働けます。担当する工程によって求められるものが変わり、要件の整理や設計、進行の管理に軸足を置いたポジションもあるためです。未経験でも採用している企業は一定数存在し、入社後の研修でプログラミングの基礎を学ぶ流れが用意されているケースもあります。 入社前に準備しておくと有利なのは、次の3つです。 ・HTMLやPython、SQLの基礎に触れておく ・基本情報技術者試験の出題範囲を一通り確認する ・興味のある業界の仕組みを調べておく 技術の基礎があると、入社後の研修で覚えるスピードが変わります。業界の知識は、配属された案件で顧客の話を理解するときに役立ちます。

SIerはオワコンと言われますが、将来性はどうですか?

SIerがオワコンだという見方は、市場の動きとは合っていません。企業のIT投資は増え続けており、基幹システムの刷新やデジタル化への対応で、開発を受ける側の需要は残っています。IT人材の不足も解消されていません。 ただし、業界に将来性があることと、自分に将来性があることは別です。同じSIerにいても、担当する工程や扱う技術によって、数年後に説明できる経験は変わります。業界の見通しではなく、入る会社で何を任されるのかを確かめましょう。

大手SIerなら「やめとけ」は当てはまりませんか?

大手SIerは、転職先の選択肢として有力です。年収の水準や雇用の安定、研修や福利厚生の面では、規模の大きい会社のほうが恵まれている傾向があります。元請けとして受注する案件が多く、経営の基盤が安定している点も理由のひとつです。 ただし、大手でも配属によって経験できる仕事は変わります。会社の規模や知名度だけで判断せず、担当工程と配属の決まり方は個別に確かめましょう。

大手SIerとは?企業例とその年収、キャリアパスや転職するためのポイントについて解説

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