SIerはやめとけ?7つの理由とメリット・会社の見分け方まで解説
2026年09月29日更新
SIerへの転職を考えて情報を集めるうちに、やめとけという言葉に何度もぶつかって迷っていませんか?
SIerがやめとけと言われる状況の多くは、業態そのものではなく、会社の請け負う階層や配属される案件から生まれています。だからこそ、同じSIerでも当てはまる会社と、当てはまらない会社に分かれるのです。
この記事では、以下の内容を解説します。
- やめとけと言われる7つの理由
- それでもSIerで働くメリット
- SIerに向いている人・向いていない人
- 求人票や公開情報から候補企業を見極める方法
SIerに転職すべきか迷っている方に、判断の材料をお伝えしているので、ぜひ参考にしてください。

著者
江原 万理
(Ehara Mari)
大学を卒業後、事業会社を楽天グループにてマーケティングコンサルタントとしてMVPを受賞。ITエンジニアやCRM領域からIT系コンサルファームへの転職支援に強みを持つ。特に面接対策を強みとしており、量・質ともに業界トップクラスの転職成功率を有する。
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監修者
伊東 光雄
(Ito Mitsuo)
専門学校卒業後、約12 年間IT サービス事業会社にてシステム開発、インフラ運用管理、自社製品の新規開拓営業に従事。その後、2014 年に株式会社ワークポートに就業しキャリアアドバイザーとして転職相談にお越し頂く求職者に対し、キャリアに関する相談業務~求人企業のご紹介~内定・入社までのサポート及び、入社後のアフターフォロー業務全般に従事。
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目次
CONTENTS
SIerはやめとけと言われる7つの理由
まずは、やめとけと言われる理由を7つに分けて整理します。当てはまるかどうかがは、会社の請け負う階層や配属される案件によって分かれます。
- コードを書く時間が短く、調整と資料作成に寄る
- 納期と仕様変更のしわ寄せで残業が増える
- レガシーな技術環境で市場での評価が上がりにくい
- 客先常駐が多く、自社への帰属意識を持ちにくい
- 多重下請けの下層では単価も裁量も削られる
- 案件と配属を選べず、経験がばらつく
- 年収の伸び方が会社の立ち位置に左右される
それでは、順に見ていきましょう。
コードを書く時間が短く、調整と資料作成が中心になりがち
SIerは、顧客の要望を整理してシステムの形に落とす仕事を請け負います。そのため、担当する工程が上流に寄るほど、実装との距離が開きます。手を動かす部分は協力会社やグループ会社に委託されるケースも多いです。結果として、社員の仕事は要件の整理、設計書の作成、進捗の管理、顧客との調整に集まります。
この分業は日本の企業に定着しています。IPAが2025年に公表した調査では、事業のコア領域のシステム開発で外部委託を選ぶ日本企業が4割弱と最も多く、米国では内製が5割弱で最多でした。顧客が開発を外に出し、受けたSIerがさらに実装を協力会社へ回す。この二段の委託があるため、SIerの社員には要件の整理と進行の管理が残りやすくなります。
もちろん、コードをまったく書かないわけではありません。ただし、時期によっては1日の大半が会議と資料作成で埋まることもあります。
参考:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」

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納期と仕様変更の板挟みで長時間労働になりやすい
受託開発の多くは、ウォーターフォール型と呼ばれる進め方で動きます。要件定義から設計、実装、テストへと一方向に流れる形です。この形では、前の工程の遅れがそのまま後ろにずれ込みます。しかも納期は顧客との契約で決まっているため、動かせません。結果として、負荷はテストと本番稼働の直前に集中します。
とはいえ、働き方改革の広がりを受けて、残業の管理を厳しくしたSIerも増えました。同じ受託開発でも、残業時間の実績や勤怠の運用は会社ごとに差が出ます。
レガシーな技術環境が多く、転職市場で評価されるスキルが身につきにくい
金融や公共、製造業の基幹システムには、20年、30年と動き続けているものがあります。改修や運用を担当する場合、使う技術は稼働中のシステムに合わせる必要があります。新しい仕組みを持ち込める余地は、案件の性質上どうしても限られてしまうのです。
そして、技術環境への不満はSIerに移っても解消しにくい種類のものです。会社を変えても、配属先が古いシステムの案件であれば同じ状況が続きます。新しい技術に触れ続けることを最優先にするなら、会社選びの段階でクラウド移行や新規開発の案件比率を確かめておきましょう。
一方で、すべての案件が古い技術というわけではありません。クラウドへの移行や新規の開発を主力にしている会社もあり、ここは案件と会社の組み合わせで変わります。
客先常駐が多く、自社への帰属意識を持ちにくい
SIerの仕事は、自社のオフィスで完結するとは限りません。顧客のオフィスに常駐し、そこで数ヶ月から数年にわたって働く案件も一定数あります。
常駐が続くと、自社の同僚と顔を合わせる機会が減ります。技術的な相談ができる相手が近くにおらず、評価する上司も現場を直接見ていない状態になりがちです。加えて、案件が変わるごとに職場も人間関係も入れ替わります。その結果、本来なら社内に積み上がるはずの知識や関係が途切れやすくなります。
注意したいのは、常駐が下請けの案件だけで起きるものではない点です。元請けとして受注した案件でも、顧客のオフィスに席を置いて進めるケースはあります。セキュリティの都合で社外に持ち出せないデータを扱う案件では、なおさら常駐が前提になりやすいです。
多重下請けの下層では単価も裁量も削られる
SIerの案件は、1社で完結するとは限りません。元請けが受注した仕事を下請けに出し、その下請けがさらに別の会社へ出す多重下請けの形が残っています。システムを使う企業から直接受注する立場は1次請けと呼ばれ、プライムとも言います。
| 項目 | 1次請け(プライム) | 2次請け | 3次請け以下 |
|---|---|---|---|
| 契約の相手 | システムを使う企業 | 1次請けの企業 | 上位の下請け企業 |
| 担当しやすい工程 | 要件定義や基本設計 | 詳細設計や実装 | テストや運用監視 |
| 顧客との距離 | 直接やり取りする | 元請け経由で話が届く | 接点がほぼない |
| 単価の決まり方 | 顧客と直接交渉する | 元請けの予算に従う | 上位の提示額を受ける |
この構造のなかで金額を決める仕組みが、人月商売と呼ばれる見積もり方です。エンジニア1人が1ヶ月働く量を単位に見積もるため、成果ではなく投入した時間で売上が決まります。階層が下がるごとに間の会社が取り分を引くので、下層ほど単価は薄くなります。担当できる工程も、階層に応じて下に移る傾向があります。

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案件と配属を自分で選べず、経験がばらつく
SIerでは、どの案件を担当するかを自分で決められないのが一般的です。配属は、そのときに人手が必要な案件の状況に合わせて決まります。希望を出す制度があっても、要員が足りていない案件が優先されるケースもあります。
その結果、同じ年に入社した2人でも、数年後の経歴は違うものになります。片方は要件定義から関わり、もう片方はテストの実施と報告書の作成を担当し続けているという状況も起こり得ます。同じ会社に入っても、配属によって得られる経験は変わるのです。
求人票に並ぶ上流工程という言葉も、会社全体として上流を担当しているという意味にとどまります。ただし、求人票には自分がいつからその工程に入れるのかまでは書かれていないため、選考時の確認が必要です。
年収の伸び方が会社の立ち位置に左右される
SIerの年収は、勤め先が商流のどこにいるかで変わりやすい傾向があります。人月商売では、売上はエンジニアの人数と単価の掛け算で決まります。そのため、下請けの階層が下がるほど単価は薄くなり、給与の原資も限られてしまうのです。
もうひとつの条件が、資本の系統です。SIerは、特定の親会社を持たない独立系、メーカーの販売網に組み込まれたメーカー系、事業会社や金融機関がシステム部門を切り出して設立したユーザー系に分かれます。このうちユーザー系では、給与の仕組みが親会社の制度に連動しやすく、管理職の枠も親会社からの出向者で埋まるケースがあります。
同じ働き方をしていても、年収や昇進の伸び方は会社の条件で変わります。担当する工程が下流に固定されている場合は、経験年数を重ねても評価につながりにくい状況が続きます。

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それでもSIerで働く5つのメリット
やめとけと言われる理由の裏側には、SIerだから得られるものもあります。主なメリットは、以下の5つです。
- 上流工程と大規模案件を経験できる
- 顧客の業務とビジネスの仕組みを学べる
- 雇用と収入の土台が安定する
- プロジェクト管理のスキルが身につく
- 社会や生活に役立つシステムに携われる
ひとつずつ確認していきましょう。
上流工程と大規模案件を経験できる
SIerが手がける案件には、数千万円から数億円の規模になるものがあります。官公庁の行政システムや金融機関の勘定系システム、通信の基盤システムなどが代表例です。多くの人が日常的に使う仕組みを、自分の手で作る側に回れます。
規模が大きい案件では、何を作るかを決める段階から関わる機会も生まれます。顧客の要望を聞き、業務の流れを整理し、システムの形に落とす工程です。この部分は発注する側と請け負う側の境目にあたるため、自社でサービスを作る現場ではなかなか経験できません。
数十人から数百人が動く開発の進め方を間近で見られる点も、SIerならではでしょう。

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顧客の業務とビジネスの仕組みを学べる
システムを作る前には、顧客の業務を細かく理解する作業があります。金融なら融資や決済の流れ、製造なら生産計画や在庫の管理といった具合です。担当した業界の仕事の進め方を、その現場で働く人と同じ目線まで掘り下げて理解できます。
この知識は、システムを作る力とは別の価値ある経験になります。同じ業界のシステムを扱う会社では、業務を分かっている人が要件を聞き出して整理する場面で重宝されるためです。技術の流行が変わっても、業務の中身は簡単には変わりません。
さらに、案件を通じて複数の業界に触れる機会もあります。金融と製造の両方に携わった人は、その掛け合わせで語れる領域が広がるでしょう。
雇用と収入の土台が安定する
SIerの売上は、長期の契約や運用保守の仕事に支えられています。一度動き始めたシステムは簡単には止められないため、景気の変化がすぐに受注へ跳ね返るわけではありません。数年先まで受注を積み上げた状態で計画を組む会社も見られます。
親会社やグループ会社を顧客に持つ会社であれば、案件の流れはさらに安定します。営業で新規の顧客を開拓しなくても、継続的に仕事が入る仕組みがあるためです。
給与面でも、基本給が案件の状況で変わることはありません。住宅手当や資格の取得支援、研修の制度が整っている会社も多く、生活の土台を保ちながらキャリアを築ける環境です。
プロジェクト管理のスキルが体系的に身につく
SIerでは、担当者の段階から人と期間とコストを動かす仕事に関わります。担当範囲の工数を見積もる、メンバーに作業を割り振る、遅れが出た箇所を早めに共有するといった動きが、日々の業務に組み込まれています。
こうした経験を重ねると、計画を立て、実行に移す力が実務のなかで整っていくでしょう。関係者の間に立って落としどころを作る調整力や、遅れの兆しを早い段階でつかんで手を打つ判断力も一緒に養われます。これらは開発の手法や担当する業界が変わっても使える、汎用性の高いスキルです。
そして、この力はプロジェクトリーダー(PL)やプロジェクトマネージャー(PM)へのキャリアにつながります。技術の深さで勝負する道とは別に、人と案件を動かす道を選べる点は、SIerで働く強みと言えるでしょう。

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社会や生活に役立つシステムに携われる
SIerが手がける案件は、前述の行政システムや勘定系システムだけではありません。通信や交通、医療、物流を支える仕組みも含まれます。いずれも、多くの人が日常のなかで当たり前に使っているシステムです。
システムの先にいるのは、依頼した顧客と、それを毎日使う生活者です。自分の書いた仕様や設計が、誰かの手続きや暮らしの一場面につながっていく仕事といえます。
だからこそ、稼働を迎えた日の手ごたえは大きいものになります。家族や友人が使っているサービスを自分が支えていると気づく瞬間もあるでしょう。誰かの生活の一部を担っているという実感は、日々の仕事を続けるうえでの張り合いになります。

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SIerに向いている人の特徴
SIerで働きやすいかどうかは、性格よりも仕事の進め方への向き合い方で決まります。次の4つに当てはまる方は、力を発揮しやすいでしょう。
- 人と対話しながら物事を進めるのが得意
- プロジェクトの進行やマネジメントに関心がある
- 幅広い知識を身につけることにやりがいを感じる
- 論理を整理して文書にまとめる作業が好き
それぞれどのような場面で力になるのかを見ていきましょう。
人と対話しながら物事を進めるのが得意
SIerの仕事では、立場の違う人の話を聞いて折り合いをつける場面が繰り返し出てきます。顧客は早く安く作ってほしいと言い、開発のチームは期間を確保したいと考えます。その間に立って着地点を探すのが、担当者の役割です。
技術だけで勝負するよりも、人と対話しながら進める現場のほうが力を発揮できる方に合っています。
プロジェクトの進行やマネジメントに関心がある
SIerの仕事の中心には、案件そのものを動かす役割があります。どの順番で進めるか、誰がどこを担当するか、予算と期間をどう配分するかを決め、顧客と開発チームの間を取り持つ仕事です。手を動かして作ることより、全体が前に進む状態を作ることに重きを置きます。
開発の腕前だけでなく、人をまとめる力や顧客と話す力がそのまま評価につなります。今の現場で進め方を考えたり、関係者に声をかけて動かしたりした経験があるなら、SIerで活かせるチャンスが豊富にあります。
幅広い知識を身につけることにやりがいを感じる
SIerの仕事では、幅広い知識が必要になります。顧客の仕事のやり方や業界特有のルール、システムを動かす技術、案件を進めるための契約や体制の知識まで、どれも欠かせません。担当する案件が変わるたびに、覚えることが増えていく仕事です。
知識が積み上がるほど、任される工程も提案できる内容も広がります。業務と技術の両方がわかる人は現場で重宝されるため、経験を重ねるほど自分の立ち位置が固まっていくでしょう。
論理を整理して文書にまとめる作業が好き
SIerの現場では、顧客とコミュニケーションをとり、そこで得た情報を整理して要件定義書や設計書などに落とし込む作業があります。口頭で決めたことも、文書にして初めて顧客との合意になります。認識のずれを防いでスムーズにプロジェクトを進行するために、文書を作る工程も重要な仕事のひとつです。
読み手に伝わる文書を書ける人は、顧客との合意形成や開発チームへの引き継ぎで頼りにされます。文書を書く力は、任される案件の幅を広げることにもつながるでしょう。
SIerに向いていない人の特徴
SIerの仕事の進め方が、自分の望む働き方と合わない場合もあります。次の4つに当てはまる方は、ほかの選択肢も含めて検討したほうがよいでしょう。
- コードを書き続けることを最優先にしたい
- 意思決定の遅さや手戻りに強いストレスを感じる
- 自分の裁量で技術選定をしたい
- 決められた手順に従うことに納得できない
なお、今の職場への不満が環境によるものか、仕事の進め方そのものへの違和感かで、取るべき選択は変わります。順に見ながら、自分がどちらに近いかを整理してみてください。
コードを書き続けることを最優先にしたい
SIerは上流工程を担当する場面が多く、実装は協力会社に任せるケースが目立ちます。とくに元請けとして受注している会社ほどその傾向が強く、社員の仕事は要件の整理や進捗の管理に寄っていきます。
手を動かす時間の長さで仕事の満足度が決まるなら、自社でサービスを開発している企業のほうが合うでしょう。プロダクトを自分たちで作り続ける環境であれば、実装を主軸に置いたままキャリアを重ねられます。
意思決定の遅さや手戻りに強いストレスを感じる
SIerの案件では、ひとつの判断に複数の関係者の合意が必要です。顧客の担当者、その上長、社内の責任者、協力会社と、確認に関わる人が増えます。決まったはずの仕様が上位の判断で覆り、作ったものを作り直す場面も出てきます。
こうした進み方に納得できない場合、判断にかかわる人が少ない環境を探すのがひとつの手です。事業会社の社内システム部門やサービス開発の現場であれば、判断から実行までの距離が短くなります。
自分の裁量で技術選定をしたい
SIerで使う技術は、顧客の環境や運用の方針に合わせて決まります。稼働中のシステムとの兼ね合いや、保守を担当する会社の体制も判断の材料に入るためです。個人の技術的な好みが、そのまま選定に反映される場面は限られます。
何を使うかを自分で決めたい方には、技術の選択権が社内にある環境が向いています。SIerのなかでも、特定の親会社を持たない独立系であれば、製品やベンダーに縛られずに提案できる余地は広がります。それでも決定権が顧客にある点は変わらないため、技術の選定そのものに関わりたいなら、プロダクトの技術スタックを社内で決められる事業会社も候補に入れておきましょう。
決められた手順に従うことに納得できない
SIerでは、顧客や扱うシステムによって決められたルールに沿って開発を進めます。設計書の書き方、レビューの通し方、テストの実施範囲、変更を反映する手順まで、あらかじめ定められている場合が多いです。とくに金融や公共のように止まったときの影響が大きいシステムでは、ルールが細かく設定されます。
このルールは顧客との取り決めにもとづくため、現場の判断だけでは変えられません。進め方に疑問を持っても、改善を提案する経路は限られます。開発のルールを自分たちで決めて見直していきたい方には、プロセスの決定権が社内にある事業会社やプロダクト開発の現場が向いています。
「やめとけ」なSIerを見極める5つのポイント
やめとけと言われる状況に当てはまる会社かどうかは、外から調べて判断できます。会社の規模や知名度だけでは、担当する工程や配属先までは決まりません。確認したいのは、以下の5つです。
- 求人票で担当工程と契約形態の記載を読む
- 導入事例で元請け実績があるかを確認する
- 有価証券報告書で親会社・顧客構成・平均年収を確かめる
- 平均年齢と離職率から人の出入りを推定する
- 転職エージェントを活用する
手間のかからないものから順に並べています。今の仕事を続けながらでも進められるので、上から確認していきましょう。
求人票の担当工程と勤務地から実態を読む
求人票からは、担当できる工程と働く場所の条件が読み取れます。
上流工程という言葉の指す範囲は、会社によって違います。詳細設計を上流に含める会社もあれば、実装の準備として下流に置く会社もあるためです。上流工程から携われるという記載だけでは、実際にどこまで任されるのかは判断できません。
そのほか、次の項目からも実態が読み取れます。
| 見る項目 | 読み取れること |
|---|---|
| 勤務地 | プロジェクトによる、といった記載は客先常駐の可能性あり |
| 契約形態 | 準委任契約の記載が中心なら、常駐前提の案件が多い可能性あり |
| 主要取引先 | エンドユーザーの社名が並ぶなら元請けの可能性が高い |
| 必須要件 | 条件が低く大量募集なら下流工程が中心の可能性あり |
| 研修制度 | 期間やカリキュラムの記載がなければ実態は不明 |
求人票で判断がつかない部分は、面接で確かめましょう。要件定義に顧客と同席するのか、見積もりは誰が作るのかと、工程名ではなく行為で聞くと実態が見えてきます。
導入事例で元請け実績があるかを確認する
企業サイトの導入事例からは、その会社が商流のどこにいるかが見えてきます。
見るべきは、顧客の名前が出ているかどうかです。社名を公表できるのは、顧客と直接契約している元請けの立場だからというケースが多くあります。反対に、パートナーとして参画という書き方が並ぶ場合や、事例の更新が数年前で止まっている場合は、元請けの実績が限られている可能性があります。
公開情報で判断がつかないときは、「発注元はエンドユーザーですか、それともパートナー経由ですか」と面接で聞くのも手です。商流は本来すぐに答えられる情報なので、明言を避ける、話をそらす、案件によると繰り返すといった反応そのものが判断の材料になります。
有価証券報告書で親会社・顧客構成・平均年収を確かめる
有価証券報告書からは、資本関係と顧客への依存度、待遇の水準がわかります。上場企業であれば、企業サイトのIR情報や、金融庁が運営するEDINETで閲覧できます。
| 見る項目 | わかること | 判断につながる点 |
|---|---|---|
| 大株主の状況 | 親会社の有無と分類 | 親会社があれば案件は安定しやすく、制度も親会社に連動しやすい |
| 事業の内容・セグメント情報 | 特定の顧客への依存度 | 依存度が高い業界に偏りやすく、経験の幅が狭まる可能性がある |
| 従業員の状況 | 平均年間給与、平均年齢、平均勤続年数 | 待遇や働き方の傾向を見て、他社と比較できる |
ただし、平均年間給与は全社員の平均であり、エンジニア職の水準を示す数字ではありません。職種ごとの金額は求人票の給与レンジなどで確かめ、有価証券報告書の数字と組み合わせて判断しましょう。非上場の場合でも、採用サイトなどに情報を公開している企業もあります。
平均年齢と勤続年数、離職率から定着状況を確かめる
平均年齢と平均勤続年数、離職率からは、人が定着している会社かどうかをチェックできます。
比較の目安になるのが、情報通信業の平均です。賃金構造基本統計調査では、平均年齢が40.2歳、平均勤続年数が12.3年でした。候補の会社がこの水準からどれだけ離れているかを見ると、人の出入りの傾向が見えてきます。
一方、離職率は有価証券報告書に開示されないため、別の手段で確かめましょう。口コミサイトで社員や元社員の声を見るほか、面接で直接聞く方法があります。「過去3年の平均在籍年数はどれくらいですか?」と尋ね、具体的な数字が返ってくるかを確かめてみてください。回答を濁す会社であれば、定着に課題を抱えている可能性があります。
参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査(5)産業別にみた賃金」
転職エージェントを活用する
ここまでの4つで確認できるのは、公開されている情報の範囲です。とくに配属先の決まり方や異動希望制度が実際に機能しているかは、求人票にもIR資料にも載りません。面接で聞いても制度の説明にとどまることが多く、外から読み取るのが難しい情報です。
転職エージェントは、実際にその企業の選考を受けた人の話や、各社の働き方といった情報を蓄積しています。公開されていない求人を紹介してもらえる点も含め、自分ひとりで調べる範囲を超えたい段階で使う価値があるでしょう。
さらに、SIerが自分に合うかどうかの判断も一緒に整理できます。同じSIerでも、これまでの経験や希望する工程によって向き不向きは変わるためです。今の経歴なら1次請け(プライム)の会社を狙えるのか、上流工程を任されるまでにどれくらいかかるのかを、市場の相場と照らして教えてもらえます。
SIer転職ならテックゴー

SIerが自分に合うのか迷っているなら、「Tech GO(テックゴー)」にご相談ください。エンジニアとITコンサル領域に特化した転職エージェントとして、商流や工程、配属の話が前提知識の説明なしで通じるアドバイザーが対応します。
▼テックゴーの転職支援が選ばれるポイント
- エンジニアに特化した転職エージェントで、上流案件・ITコンサル領域に強い
- アドバイザーは元エンジニア・ITコンサル出身者が多く、現場感覚に基づいたアドバイスに強み
- 年収アップ金額は平均144万円(※1)
- 年収アップ成功率は86%(※2)
転職を決めていない段階でも相談できます。今の年収を下げずに動けるのか、自分の経験がどこまで評価されるのかを確かめるところから始めてみましょう。
(※1)2026年3月に内定承諾をし、年収アップを実現された方の平均実績 (※2)同期間に内定を承諾された方のうち、年収アップを実現された方の割合
まとめ
SIerはやめとけと言われますが、当てはまるかどうかは、どの会社を選ぶかで変わります。理由の多くは商流の位置や配属される案件から生まれるもので、上流工程や大規模案件を経験できるというメリットも同時にあります。
気になる会社を1社ずつ調べ、条件を確かめていくほど、自分にとってどうなのかがはっきりしてくるでしょう。まずは求人票の担当工程、導入事例の顧客名、有価証券報告書の親会社と平均給与、この3点から確かめてみてください。
自分の経歴でどんな会社を狙えるのかは、転職エージェントに聞くのが近道です。テックゴーは、SIerをはじめとしたエンジニア向けの求人を多数扱っています。現場を熟知したアドバイザーが、今の市場で狙える選択肢を一緒に整理します。

大手SIerとは?企業例とその年収、キャリアパスや転職するためのポイントについて解説
よくある質問
大手SIerなら「やめとけ」は当てはまりませんか?
大手SIerは、転職先の選択肢として有力です。年収の水準や雇用の安定、研修や福利厚生の面では、規模の大きい会社のほうが恵まれている傾向があります。元請けとして受注する案件が多く、経営の基盤が安定している点も理由のひとつです。 ただし、大手でも配属によって経験できる仕事は変わります。会社の規模だけでや知名度だけで判断せず、担当工程と配属の決まり方は個別に確かめましょう。
未経験や文系出身でもSIerに入れますか?
未経験や文系出身の方でも、SIerに入れる可能性は十分にあります。未経験可の求人も一定数出ています。担当する工程によって求められるスキルは変わるため、出身の学部だけで判断されるわけではありません。 研修の期間やカリキュラム、メンターがつくかどうか、そのあとどの工程を担当するのかを確かめておきましょう。未経験歓迎や大量募集をうたう求人の場合は、定着率もあわせて聞いておくと自分にあった環境かどうかを判断しやすくなります。
なぜIT業界はやめたほうがいいのでしょうか?
IT業界がやめとけと言われる背景には、長時間労働や多重下請けによる低賃金、学び続ける負担、AIに仕事を奪われる不安があります。ただし、これらは企業や職種によって程度が大きく異なります。 労働時間を見ても、業界全体が突出して長いわけではありません。毎月勤労統計調査の2025年の結果では、一般労働者の月間総実労働時間は情報通信業が160.5時間で、全産業の平均と同水準でした。 市場としては、DXやAIへの投資を背景に拡大が続いています。人材の不足も解消されていないため、業界そのものが縮小しているわけではありません。避けるべきなのは業界ではなく、環境の選び方を誤ることです。 参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/25cr/dl/pdf25cr.pdf
