クラウドエンジニアとは?仕事内容・年収とインフラ経験の通用度
2026年09月30日更新
現場でクラウド案件が増えるなか、「AWSの経験はある?」と聞かれて答えに詰まったことはないでしょうか。コンソールを触ったことはあっても、それを実務経験と呼んでいいのか迷う方は多いはずです。
クラウドエンジニアは、クラウドサービスを使ってITインフラを設計・構築・運用する職種で、インフラエンジニアの一種です。
ただし、公的な定義や資格要件はないため、同じクラウドエンジニアの求人でも、設計から任される職場もあれば、監視業務が中心の職場もあります。サーバーやネットワークの実務を積んできた人ほど、自分の経験がどこまで通用するのかを具体的に測りにくいのが実情です。
この記事では、以下の内容を解説します。
- クラウドエンジニアの仕事内容と、インフラ・サーバー・ネットワークエンジニアとの違い
- 企業タイプによって変わるクラウドエンジニア求人の中身
- オンプレミスの経験がそのまま通用する領域と、覚え直しになる領域
- 担当工程で差がつくクラウドエンジニアの年収相場
- 現役のインフラエンジニアが押さえたい資格と取得の順番
サーバーやネットワークの実務経験を持ち、クラウドへ軸足を移そうと考えているインフラエンジニアの方に、自分の現在地を確かめるための判断材料をお伝えしているので、ぜひ参考にしてください。

著者
川村 莉子
(Kawamura Riko)
名古屋工業大学卒業後、新卒でDirbatoに入社。通信会社に対する業務改善プロジェクトや次世代ネットワーク移行案件のPMOなどに従事。自身のコンサルタント経験を活かした、IT系コンサルファームへの開発支援を得意とする。
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監修者
伊東 光雄
(Ito Mitsuo)
専門学校卒業後、約12 年間IT サービス事業会社にてシステム開発、インフラ運用管理、自社製品の新規開拓営業に従事。その後、2014 年に株式会社ワークポートに就業しキャリアアドバイザーとして転職相談にお越し頂く求職者に対し、キャリアに関する相談業務~求人企業のご紹介~内定・入社までのサポート及び、入社後のアフターフォロー業務全般に従事。
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目次
CONTENTS
クラウドエンジニアとは?
クラウドエンジニアは新しい職種に見えますが、仕事の中身はインフラエンジニアの延長線上にあります。
まずは職種の定義と、担当する範囲の線引きを確認しましょう。
クラウド上でITインフラを設計・構築・運用する職種
クラウドエンジニアは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどのクラウドサービスを使い、サーバーやネットワーク、ストレージといったITインフラを設計・構築・運用するエンジニアです。
システムが動く基盤を担う点はオンプレミスのインフラエンジニアと同じで、職種としてはインフラエンジニアの一種にあたります。
ただし、クラウドエンジニアという呼び方には、公的な定義も資格要件もありません。企業が求人に付けている職種名なので、同じ肩書きでも、要件定義から任される職場と、構築済みの環境を監視する職場が混在しています。
一方で、職種としての需要は安定しています。新しいシステムをはじめからクラウド上に作る企業が増え、物理サーバーを前提にした案件が減っているためです。
クラウドエンジニアが担当する範囲と、担当しない範囲
クラウドエンジニアの担当範囲を分けるのは、物理的な機器に触れるかどうかです。クラウド上で構築する場合、機器の実体はクラウド事業者のデータセンターにあり、利用者はハードウェアにまったく触れずに設計と構築を進めます。
| 区分 | 主な業務 |
|---|---|
| 担当する | ・クラウド環境の設計 ・ネットワークと仮想サーバーの構築 ・権限と監視の設定 |
| 担当しない | ・機器の調達と発注 ・ラックへの搭載と配線 ・データセンターでの作業 |
深夜の機器交換やデータセンターへの駆けつけがなくなるのは、オンプレミスの現場から見ると大きな変化です。その一方で、機器の搬入や配線に費やしてきた経験は、クラウドの求人ではアピール材料になりにくいでしょう。
ただし、オンプレミスで身につけた障害の切り分けや構成設計の考え方は、クラウドでもそのまま使えます。失われるのは作業の手順であって、判断の経験ではありません。
クラウドエンジニアと他のインフラ系職種の違い
クラウドエンジニアと近い職種の違いは、物理的な機器に触れるかどうかと、構成をコードで管理するかどうかで見ると整理できます。
4つの職種の担当範囲と、クラウドエンジニアとの主な差は次のとおりです。
| 職種 | 主な担当範囲 | クラウドエンジニアとの主な差 |
|---|---|---|
| インフラエンジニア | ITインフラ全般 | 物理作業の有無 |
| サーバーエンジニア | OSとミドルウェア | 作り直す前提の設計 |
| ネットワークエンジニア | 通信経路と機器 | 配線と機器設定の有無 |
| SRE(サイト信頼性エンジニア) | 信頼性の維持と自動化 | 運用側に重心がある |
以下、今いる職種からクラウドエンジニアまでの距離を、職種ごとに見ていきます。
インフラエンジニア
インフラエンジニアは、サーバーやネットワークを含むITインフラ全般を設計・構築・運用する職種です。クラウドエンジニアはその中で、クラウド上の環境を主に扱う人を指す呼び方であり、両者は別の仕事ではありません。
オンプレミスのインフラエンジニアとの差は、物理作業がなくなり、代わりに構成をコードで書く作業と、利用者ごとの権限を設計する作業が加わる点にあります。要件から構成を決め、構築し、安定して動かすという仕事の流れは変わりません。
4つの職種の中で、クラウドエンジニアまでの距離が最も短いのは、インフラ全般を経験してきた人です。

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サーバーエンジニア
サーバーエンジニアは、OSやミドルウェアのインストール、設定、チューニングを中心に担当する職種です。仮想サーバーの上でも同じ作業は残るため、LinuxやWindows Serverの運用経験はクラウドでそのまま使えます。
変わるのは、サーバーに対する考え方です。オンプレミスでは1台を長く使うので、設定を手作業で少しずつ調整していきます。
これに対してクラウドでは、同じ構成のサーバーをコードから何台でも作れるため、不具合が出たサーバーは直さずに作り直す運用が選ばれます。
求められるのは技術の上積みより、1台を作り込む発想から、作り直せる前提で設計する発想への切り替えです。

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ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、通信経路の設計と、ルーターやスイッチなどの機器の設定を担当する職種です。クラウドの時代にネットワークエンジニアは不要になるのでは、と不安を感じている方もいるでしょう。
実際に減っていくのは、ケーブルの配線や、ネットワーク機器の個別の設定作業です。一方で、IPアドレスの割り当て、サブネットの分け方、ルーティング、通信の許可と拒否のルールは、クラウド上でもほぼ同じ考え方で組み立てます。
クラウドのネットワーク設計は、オンプレミスの設計経験がある人ほど早く身につきます。 仮想ネットワークの仕組みを理解せずに設定だけを覚えた人は、通信障害が起きたときに原因を切り分けられないためです。

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SRE(サイト信頼性エンジニア)
SREは、サービスの信頼性を数値の目標で管理し、運用の自動化で維持する職種です。クラウドエンジニアが基盤を作る側だとすれば、SREは作った基盤を止めずに動かし続ける側です。
ただし、両者の仕事は大きく重なっています。IaCでの構築、監視の設計、障害対応の自動化はどちらも担当するため、求人によっては同じ仕事を別の名前で募集していることもあります。
そのため、SREはクラウドエンジニアと並ぶ転職先というより、クラウドエンジニアとして経験を積んだ先にあるポジションと考えたほうが実態に近いでしょう。

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クラウドエンジニアの主な仕事内容
クラウドエンジニアの仕事は、設計から運用までの流れの中に、次の7つの業務があります。ただし、7つすべてを1人で担当することはまれで、どこを任されるかは企業と案件次第です。
- クラウド環境の設計
- クラウド環境の構築
- 運用・保守・監視
- 既存システムのクラウド移行(マイグレーション)
- 運用の自動化・効率化
- セキュリティ設計とアクセス権限の管理
- 顧客への構成提案と折衝
以下、それぞれの業務の中身と、求人票でどう書かれやすいかをあわせて見ていきます。
クラウド環境の設計
設計は、システムの要件をもとに、どのクラウドサービスをどう組み合わせるかを決める工程です。止まりにくさ、負荷が増えたときの広げやすさ、費用のバランスをどこで取るかを判断し、構成図と設計書にまとめます。
要件から構成を逆算する進め方は、オンプレミスの設計と変わりません。違うのは、機器を調達する待ち時間がないため、あとから構成を変えられる前提で設計する点です。オンプレミスのように、数年先のピークを見込んで最初から大きめの構成を用意する必要はありません。
求人票では、アーキテクチャ設計、基盤設計、要件定義といった言葉で書かれます。
クラウド環境の構築
構築は、設計した構成をクラウド上に実際に作る工程です。仮想ネットワーク、仮想サーバー、データベース、ストレージを設定し、つながりを確認していきます。
作り方は、管理画面を操作する方法と、構成をコードで書いて自動で作る方法の2つです。後者はIaCと呼ばれ、同じ環境を何度でも同じ状態で再現できるため、現場の標準になりつつあります。
そのため、管理画面での手作業しか経験がない場合、構築の経験として評価されにくい傾向があります。求人票では、環境構築、基盤構築、インフラ構築と書かれることが大半です。
運用・保守・監視
運用・保守・監視は、構築した環境を安定して動かし続ける工程です。監視ツールでのアラート対応、障害の一次対応、OSやミドルウェアの更新、定期的なバックアップの確認が中心になります。
クラウドエンジニアの求人の中でも、募集が多いのがこの工程です。24時間動き続けるサービスを担当するため、夜間や休日に障害の呼び出しがかかることもあります。クラウド事業者側で障害が起きた場合は、自分たちでは直せないまま、利用者への説明と復旧の段取りを担うことになるでしょう。
また、この工程に長くいると、設計や構築に上がるきっかけをつかみにくくなります。 求人票では、運用保守、監視業務、サービスデスクといった言葉で書かれます。

川村 莉子
Kawamura Riko
クラウドエンジニアは「やめとけ」という声を聞いて、職種そのものに不安を感じる方もいるでしょう。ただ、そうした声は、運用や監視の工程に固定された働き方から出ていることが目立ちます。職種の名前よりも、どの工程を任される職場かを確かめましょう。
既存システムのクラウド移行(マイグレーション)
マイグレーションは、社内のサーバーで動いている既存システムを、クラウドへ移し替える工程です。現行システムの調査、移行方式の決定、移行計画の作成、切り替え当日の作業までを担当します。
移し方には、構成をほぼそのまま移す方法と、クラウドに合わせて作り直す方法があり、費用と期間を見ながら選びます。どちらの場合も、移行元の構成を読み解けなければ計画が立てられません。
そのため、マイグレーションは、オンプレミスの構築・運用経験が最も直接評価される工程です。 オンプレミスで動くシステムはまだ多く残っており、移行の案件も当面続きます。
求人票では、クラウド移行、マイグレーション、モダナイゼーションと書かれます。
運用の自動化・効率化
運用の自動化・効率化は、手作業で繰り返している作業を仕組みに置き換える業務です。負荷に応じてサーバーの台数を自動で増減させる設定や、定型作業のスクリプト化、IaCによる構成の管理が代表例です。
この業務には、クラウドの費用を下げる取り組みも含まれます。クラウドは使った分だけ料金がかかるので、使っていないリソースの削除や、長期利用の割引プランへの切り替えだけで毎月の請求額が変わります。費用の削減も、エンジニアの成果として評価の対象です。 技術側から費用を管理するこの考え方は、FinOpsと呼ばれます。
求人票では、運用改善、自動化推進、SRE、コスト最適化といった言葉で書かれることが多いです。
セキュリティ設計とアクセス権限の管理
セキュリティ設計とアクセス権限の管理は、誰がどのリソースに何をしてよいかを決め、通信とデータを守る仕組みを作る業務です。IAMによる権限の設定、多要素認証、通信とデータの暗号化、操作ログの記録が中心です。
クラウドでは、データセンターや機器の安全はクラウド事業者が守り、その上で動く設定の安全は利用者が守ります。この役割分担が、責任共有モデルという考え方です。
オンプレミスではネットワークの境界で外部からの侵入を防ぐ考え方が中心でしたが、クラウドでは権限の設計そのものが防御になります。 権限を1つ広く与えすぎただけで、データが外部から見える状態になることもあり、設定ミスがそのまま事故につながる重さがあります。
求人票での書かれ方は、クラウドセキュリティ、IAM設計、ガバナンスなどです。
顧客への構成提案と折衝
顧客への構成提案と折衝は、どのサービスを使い、どんな構成にするかを顧客や開発チームと話し合い、合意を取る業務です。クラウドエンジニアは、インフラの担当者でありながら、この場面に立つ機会が多くあります。
理由は、クラウドではインフラとアプリケーションの担当がはっきり分かれていないためです。データベースをマネージドサービスにするか、処理をどのサービスで動かすかといった判断は、アプリの作りと費用の両方に関わるので、インフラ側だけでは決められません。
インフラだけを見ていたい人にとって、この業務は負担に感じられるでしょう。一方で、技術の選択肢を費用と結びつけて説明できる人は少なく、ここを担えるかどうかで評価と年収に差がつきます。
求人票では、提案、顧客折衝、プリセールス、技術支援といった言葉で書かれます。
求人票の「クラウドエンジニア」は、企業タイプによって中身が違う
クラウドエンジニアという職種名は、企業が求人に付ける呼び方にすぎません。そのため、同じ肩書きの求人でも、任される工程と、数年後に手元に残る経験は企業タイプによって変わります。
主な4つの企業タイプの違いは次のとおりです。
| 企業タイプ | 主に任される工程 | 積み上がる経験 |
|---|---|---|
| クラウド事業者・メガベンチャーの場合 | 設計と基盤の開発 | 大規模な自動化 |
| SIer・ITコンサルティングファームの場合 | 移行の要件定義と設計 | 顧客への提案と移行計画 |
| SES・受託開発の場合 | 配属先の案件次第 | 案件によって差が大きい |
| 事業会社の社内情報システム部門の場合 | 既存環境の運用と一部移行 | 業務知識と社内調整 |
求人票の年収や社名だけで応募先を決めると、入社してから運用中心の配属だったとわかることもあります。以下、企業タイプごとに、求人票の読み方と積み上がる経験を見ていきます。

川村 莉子
Kawamura Riko
リモートワークの可否も、職種ではなく案件で決まります。クラウド上の作業は場所を選びませんが、顧客先への常駐が前提の案件や、セキュリティ要件の厳しい金融・官公庁の案件では出社が求められます。求人票の勤務地欄だけでなく、配属先の働き方まで確認しましょう。
クラウド事業者・メガベンチャーの場合
クラウド事業者や、自社サービスを大規模に運営するメガベンチャーでは、自社の基盤を作る側に立ちます。設計と基盤の開発が中心で、運用の多くはすでに自動化されているため、手作業の監視を任されることはまれです。求人票では、SRE、プラットフォームエンジニア、基盤開発といった職種名と並べて募集されることが目立ちます。
この環境で積み上がるのは、大規模なシステムを自動化で回す設計の経験です。一方で、顧客に構成を提案する経験や、オンプレミスとクラウドをつなぐ経験は積みにくいでしょう。
選考では設計やIaCの実務経験が求められるため、オンプレミス中心の経歴から直接入るのは難しく、別の環境で実績を作ってから狙う企業タイプです。

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SIer・ITコンサルティングファームの場合
SIerやITコンサルティングファームでは、顧客企業のクラウド移行を支援する立場に立ちます。移行案件の要件定義、設計、移行計画の作成が中心で、プロジェクトマネージャーの補佐として進行管理を担うこともあります。求人票では、クラウド移行、インフラ設計、インフラ領域のITコンサルタントといった言葉が並ぶのが特徴です。
オンプレミスの構築・運用経験を、いちばん評価につなげやすい企業タイプです。 移行案件を多く抱える企業ほど、移行元のシステムを読み解ける人材を必要としています。
積み上がるのは、顧客への提案、移行計画の立て方、関係者との調整の経験です。反対に、自分で構築作業を手がける時間は減りやすく、手を動かし続けたい人には物足りなさが残るでしょう。
SES・受託開発の場合
SESや受託開発では、担当する工程が配属される案件によって大きく変わります。設計・構築から入れる案件もあれば、運用・監視に固定される案件もあり、同じ会社にいても配属先で積み上がる経験に差が出ます。求人票に書かれている業務内容は、会社として扱っている案件の範囲であり、自分が入る案件を示しているとは限りません。
一方で、複数の現場を経験できる点は、ほかの企業タイプにない強みです。短い期間で異なる構成や業界の環境に触れられるため、経験の幅を広げやすいでしょう。
近年は、エンジニアが案件を選べる制度を設けている会社もあります。SESで経験を積むなら、配属される案件を自分で選べるかどうかを入社前に確認しましょう。
事業会社の社内情報システム部門の場合
事業会社の社内情報システム部門では、自社で使うシステムの運用と、既存環境の一部をクラウドへ移す作業が中心です。設計から構築、移行、運用までを少人数で担当することが多く、1人が見る範囲は広くなります。求人票では、社内SE、情報システム担当、インフラ担当といった職種名が使われます。
この環境で積み上がるのは、自社の業務への理解と、関係部署との調整の経験です。外部の顧客の都合に左右されにくく、働き方が安定しやすい傾向があります。
その反面、使う技術が自社の方針で決まるため、新しいサービスや大規模な構成に触れる機会は限られます。技術を軸にキャリアを伸ばしたい場合、数年後に転職市場で比べられる経験が不足しやすい点に気をつけましょう。
今のインフラ経験でクラウドエンジニアになれるのか
結論から言うと、サーバーやネットワークの実務経験があれば、クラウドエンジニアは十分に目指せる職種です。ただし、今の経験のまま名乗れるわけではなく、埋めるべき差分があります。
ここでは、オンプレミスでサーバーやネットワークに携わってきた経験を前提に、手持ちの経験を次の3つに分けて整理します。
| 区分 | 主な例 |
|---|---|
| そのまま持ち込める経験 | ・ネットワークの設計 ・OSとミドルウェアの運用 ・障害の切り分け |
| 読み替えが必要になる経験 | ・冗長化 ・処理能力の見積もり ・境界での防御 |
| ゼロから覚え直しになる領域 | ・IaC ・IAMでの権限設計 ・費用の見積もり |
アプリケーション開発が中心の経験や、IT実務経験がない場合は、足りないものの中身が大きく変わる点にも気をつけましょう。
以下、自分の経験がどこに当てはまるかを確かめていきます。
そのまま持ち込める経験
オンプレミスで積んだ経験のうち、次のものはクラウドでもほぼ形を変えずに使えます。
- サブネットやルーティングの設計はVPC設計に使える
- OSとミドルウェアの設定は仮想サーバー上でも同じ
- データベース設計の考え方はマネージドDBでも変わらない
- 障害時にどの層で止まっているかを切り分けられる
- 要件から構成を逆算して設計できる
とくに価値が高いのは、障害の切り分けです。クラウドでは物理層が見えない分、ログと監視データから原因の層を推測する場面が多くなるためです。オンプレミスで障害対応を経験してきた人は、この推測の筋道をすでに持っています。
また、オンプレミスとクラウドを組み合わせて使うハイブリッド構成の案件も増えています。両方の環境がわかる人は、こうした案件で重宝されるでしょう。
読み替えが必要になる経験
読み替えとは、ゼロから学び直すことではなく、同じ目的を別の手段で達成することです。考え方はそのまま活きますが、手段が変わるため、実機で一度は手を動かして確かめておきましょう。
| 目的 | オンプレミスでの手段 | クラウドでの手段 |
|---|---|---|
| 冗長化 | 機器の二重化 | 複数拠点への分散配置 |
| 処理能力の確保 | ピークに合わせた機器調達 | 負荷に応じた自動増減 |
| バックアップ | テープやスナップショット | マネージドな復旧の仕組み |
| セキュリティ | ネットワーク境界での防御 | 権限と暗号化での防御 |
たとえば冗長化では、機器を2台並べる代わりに、複数のアベイラビリティゾーンにまたがって構成を置く設計になります。なぜ冗長化するのかがわかっている人ほど、クラウドでの手段にも早く慣れます。
ゼロから覚え直しになる領域
一方で、次の領域はオンプレミスの経験だけでは埋まらず、新しく身につけることになります。
- IaCでインフラをコードとして書き、Gitで管理する
- IAMで利用者ごとの権限を細かく設計する
- コンテナとオーケストレーションの仕組みを理解する
- 設計の判断ごとに費用を見積もる
中でも差がつきやすいのはIaCで、インフラをコードで書き、変更をレビューして履歴で管理する進め方は、手順書と手作業で構築してきた現場にはない文化です。クラウドの求人で重く見られやすいのも、この領域の実務経験です。
これらは本を読むだけでは身につかず、実機で手を動かした経験が欠かせません。無料枠のある環境で自分で構築し、コードとして残しておくと、職務経歴書に書ける材料になります。
クラウドエンジニアに求められるスキル
クラウドエンジニアに求められるスキルは、次の9つです。9つすべてを最初から揃える必要はなく、担当する工程によって求められる深さが変わります。
運用・監視と設計・構築の求人で、それぞれどこまで求められるかの目安は次のとおりです。
| スキル | 運用・監視の求人 | 設計・構築の求人 |
|---|---|---|
| 主要クラウドサービスの知識と操作スキル | 操作できる | 選定と設計ができる |
| サーバー・ネットワークの知識 | 障害を切り分けられる | 構成を設計できる |
| セキュリティと権限管理(IAM)の知識 | 設定を確認できる | 権限を設計できる |
| ミドルウェア・データベースの知識 | 設定を変更できる | 方式を選べる |
| IaC(コードによるインフラ管理)での自動化スキル | コードを読める | コードで構築できる |
| コンテナ技術とコンテナオーケストレーション | 仕組みを理解している | 本番で運用できる |
| 監視とパフォーマンスチューニング | アラートに対応できる | 監視を設計できる |
| コストを設計に織り込む視点 | 請求額を把握できる | 費用込みで設計できる |
| 顧客・開発チームと合意を取るコミュニケーション力 | 状況を報告できる | 構成を説明し合意を取れる |
以下、スキルごとに、求められる深さと身につけ方を見ていきます。
主要クラウドサービスの知識と操作スキル
すべてのサービスを覚える必要はありません。実務で使うのは、仮想サーバー、ストレージ、マネージドDB、ロードバランサー、仮想ネットワーク、権限管理、監視といった10〜20ほどのサービスです。設計の求人では、各サービスの制限と料金体系まで把握し、要件に合うものを選べる深さが求められます。
どのクラウドから学ぶかは、狙う企業で使われているものに合わせましょう。世界シェアはAWSが最も大きく、求人数も多いため、迷ったらAWSから始めるのが無難です。
たとえばMicrosoft Azureは大企業や官公庁、金融で採用が多く、Windows ServerやActive Directoryとの連携に強みがあります。Google Cloudはデータ分析や機械学習の基盤に強く、Web系企業で使われることが目立ちます。
サーバー・ネットワークの知識
サーバーとネットワークの知識は、オンプレミスの実務経験者ならすでに持っているスキルです。クラウドで上乗せが必要になるのは、次の部分に限られます。
- 仮想ネットワークとサブネットの切り方を決める
- オンプレミスとクラウドをVPNや専用線でつなぐ
- クラウド内外の名前解決をまとめて設計する
とくにオンプレミスとの接続は、両方の環境を知る人にしか設計できない領域です。 社内ネットワークとクラウドのIPアドレスが重複していると接続後に通信できなくなるため、移行の初期段階から計画に入れておきましょう。
セキュリティと権限管理(IAM)の知識
IAMでは、人やシステムに必要な分だけ権限を渡す、最小権限という考え方で設計します。運用の求人では既存の権限設定を読み解けること、設計の求人では権限の設計方針を一から決められることが求められます。
設計の段階で押さえたいのは、次の3点です。
- 人とシステムで権限の渡し方を分ける
- 長期間使えるアクセスキーを発行しない
- 複数のアカウントを使う場合は組織全体で制限をかける
権限は一度広く渡すと、あとから絞るのが難しくなります。 最初の設計で範囲を決めておくことが、事故を避けるいちばんの近道です。
ミドルウェア・データベースの知識
マネージドサービスを使えば、ミドルウェアやデータベースのインストールと日々の保守は、クラウド事業者に任せられます。ただし、マネージドだから中身を知らなくてよいわけではありません。
処理が遅くなったときのチューニングや、障害時に何が起きているかの判断では、ミドルウェアとデータベースの内部の理解が求められます。設計の求人では、データの性質に合わせてリレーショナル型とNoSQL型を選び分けることや、読み取りの負荷を分散する構成を組めることが期待されます。
マネージドサービスは運用の手間を減らしますが、設計の判断までは肩代わりしません。
IaC(コードによるインフラ管理)での自動化スキル
IaCの代表的なツールには、複数のクラウドで使えるTerraformと、AWS専用のCloudFormationがあります。複数のクラウドを扱う現場では、Terraformが選ばれやすいでしょう。
求められる深さは工程で変わります。運用の求人では、既存のコードを読んで小さな変更を加えられれば十分です。設計・構築の求人では、構成を部品に分けて再利用できる形で書き、変更をレビューしたうえで自動で反映する仕組みまで組めることが求められます。
コードを書けるだけでなく、変更を安全に反映する流れまで設計できると、評価が一段上がります。 自動反映にはCI/CDの仕組みを使うため、あわせて触れておくと理解が早まります。
コンテナ技術とコンテナオーケストレーション
コンテナは、アプリケーションと実行環境をひとまとめにして、どこでも同じように動かす技術です。Dockerでコンテナを作り、KubernetesやAWSのECS・EKSといった仕組みで、複数のコンテナをまとめて管理します。
このスキルは、すべてのクラウドエンジニアに必須というわけではありません。ただし、マイクロサービス構成の大規模なWebサービスや、金融系のシステムでは導入が進んでおり、コンテナの運用経験があると応募できる求人の幅が広がります。
オンプレミス中心の経験者にとっては、アプリケーション側の知識が必要になる点がハードルです。まずは手元でDockerを動かし、仕組みを理解するところから始めるのが現実的です。
監視とパフォーマンスチューニング
監視は、オンプレミスの運用経験がそのまま活きやすい領域です。使うツールがクラウドの監視サービスや、DatadogやNew Relicといった外部のサービスに変わるだけで、何をどの基準で見るかという考え方は変わりません。
クラウドで新しく求められるのは、監視の結果を自動の対応につなげる設計です。負荷の上昇を検知したらサーバーを自動で増やす、特定のエラーが出たら担当者に通知して復旧の処理を動かす、といった仕組みを組み込みます。
運用の求人ではアラートに対応できること、設計の求人ではどの指標を監視し、どこで自動対応に切り替えるかを決められることが求められます。
コストを設計に織り込む視点
オンプレミスでは、費用は機器を調達する時点でほぼ決まっていました。クラウドでは、構成の選び方ひとつで毎月の請求額が変わるため、設計の判断に費用が常についてまわります。
設計の求人で求められるのは、構成案ごとに月額の費用を試算し、性能とのバランスを説明できることです。とくに見落としやすいのが、クラウドの外へデータを送るときにかかる転送料金です。サーバーの料金だけで見積もると、運用を始めてから想定外の請求が発生します。
各クラウドが提供している料金計算ツールで、自分が組んだ構成の月額を出してみると、感覚がつかみやすくなるでしょう。
顧客・開発チームと合意を取るコミュニケーション力
ここでいうコミュニケーション力は、話し上手であることではありません。技術の判断を、相手が決められる形に直して伝える力です。たとえば、次のような場面で差が出ます。
- 可用性を上げると費用が増えることを非技術者に数字で示す
- 開発チームの要望をインフラの構成に置き換えて提案する
- 障害の原因と再発防止策を経営層にもわかる言葉で報告する
運用の求人では状況を正確に報告できれば十分ですが、設計の求人では複数の案を示して相手に選んでもらい、合意を取るところまでが仕事です。合意を取れる人ほど、設計や提案の工程を任されやすくなります。
クラウドエンジニアにおすすめの資格と取得の順番
資格を取っても、実務ができる証明にはなりません。それでも取る意味があるのは、書類選考を通過するための判断材料として働くからです。とくに、実務経験が薄い領域の求人に応募するときほど効き目があります。反対に、すでに実務で経験している領域では、資格より職務経歴書に書ける構築の実績のほうが強く評価されます。
つまり、資格は経験がない領域を狙うときに取るものです。次の表は、取得をおすすめする順に並べています。
| 資格 | 取得をおすすめする人 | 受験料の目安 |
|---|---|---|
| Linux技術者認定 | Linuxの実務経験が浅い人 | 1試験16,500円 |
| シスコ技術者認定 | サーバー中心で経験してきた人 | 約47,100円 |
| AWS認定 | すべての人 | 約23,500円 |
| Microsoft Azure認定 | Windows環境の運用経験者 | 約23,000円 |
| Google Cloud認定 | データ基盤の案件を狙う人 | 約19,600円 |
| ネットワークスペシャリスト試験 | SIerや大手企業を狙う人 | 7,500円 |
| CCSP | セキュリティを専門にしたい人 | 約94,000円 |
(※)受験料の目安のうち、ドル建ての資格は、2026年9月30日時点の為替レートである1ドル156.85円で換算した金額です。
AWS、Microsoft Azure、Google Cloudは、それぞれ最初に受けることをおすすめする試験の金額を載せています。為替の変動や料金の改定で金額は変わるため、受験前に公式サイトで確認しましょう。
LinuxやCCNAの範囲をすでに業務で経験している場合は、飛ばしてAWS認定から始めてかまいません。
Linux技術者認定
Linux技術者認定には、国内のLPI-Japanが運営するLinuCと、国際的な団体であるLPIが運営するLPICがあります。クラウドの仮想サーバーは多くがLinuxで動いているため、OSの操作やシステム管理の知識を体系立てて示せる資格です。
LinuCのレベル1は、101試験と102試験の2つに合格すると認定され、受験料は1試験あたり16,500円です。出題範囲には、仮想マシンやコンテナを含むLinuxサーバーの構築・運用や、クラウドのセキュリティの理解も含まれています。
すでにLinuxサーバーを業務で構築・運用している人にとって、取る優先度は高くありません。 Windows Server中心で経験してきた人や、Linuxの操作に自信がない人が、クラウドの学習に入る前に固めておく資格です。
シスコ技術者認定
シスコ技術者認定の中で、クラウドエンジニアを目指す人が検討するのはCCNAです。
ルーティング、スイッチング、IPアドレスの設計といったネットワークの基礎を体系立てて確認できる資格で、試験は120分、受験料は300ドル、日本円で約47,100円です。認定の有効期間は3年で、更新には再受験か継続教育の単位が必要になります。
クラウドの仮想ネットワークはシスコの機器で動いているわけではありませんが、設計の考え方は共通しています。現職のネットワークエンジニアには不要で、サーバー中心で経験してきた人がネットワークの弱点を補うときに役立つ資格です。
AWS認定
AWS認定は、クラウドエンジニアの転職で最も知られている資格です。レベルは、Foundational、Associate、Professional、Specialtyの4段階に分かれています。
オンプレミスで実務を積んできた人は、FoundationalのCloud Practitionerを飛ばし、AssociateのSolutions Architect – Associateから受けてかまいません。AWS自身も、この試験をオンプレミスのIT経験が豊富な人が最初に受ける試験として適していると説明しています。試験は130分・65問で、受験料は150ドル、日本円で約23,500円です。
上位のProfessionalは受験料300ドル、日本円で約47,100円、試験は180分・75問で、負担はAssociateの倍前後になります。転職を目的にするなら、まずはAssociateで十分です。 ProfessionalやSpecialtyの試験は、実務で該当する領域に触れてから受けても遅くありません。

川村 莉子
Kawamura Riko
職務経歴書では、資格名を並べるより、その知識で何を構築したかを1行でも添えるほうが評価されます。資格は、実務の説明を裏づける材料として使いましょう。
Microsoft Azure認定
Microsoft Azure認定は、Azureの基礎を確認するAZ-900と、管理者としての実務スキルを確かめるAZ-104が入り口になります。
Windows ServerやActive Directoryの運用経験がある人にとっては、AWSよりAzureから学ぶほうが近道になります。 社内のActive Directoryとクラウドの認証基盤を同期する構成など、オンプレミスのWindows環境の知識が、そのまま出題範囲とつながる場面が多いためです。
注意したいのは、Associate以上の認定は1年ごとに有効期限を迎える点です。更新はMicrosoft Learnの無料のオンライン評価に合格すればよく、再受験は求められません。受験料はAZ-104で約23,000円です。大企業や官公庁、金融機関の求人を狙う場合に効きやすい資格です。
Google Cloud認定
Google Cloud認定は、実務の入り口となるAssociate Cloud Engineerと、設計者向けのProfessional Cloud Architectが代表的です。
Associate Cloud Engineerは試験時間2時間・受験料は税別で125ドル、日本円で約19,600円です。Professional Cloud Architectは2時間・200ドル、約31,400円で、どちらも日本語で受験できます。
Google Cloudはデータ分析や機械学習の基盤に強い一方で、求人数はAWSやAzureに比べると限られます。そのため、3つ目のクラウドとして取るか、狙う企業がGoogle Cloudを使っている場合に取るのが効率的です。Professional Cloud Architectの有効期間は2年で、ほかの資格より更新の間隔が短い点にも気をつけましょう。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は、IPAが実施する国家試験です。特定のベンダーに依存しないネットワーク設計の知識を示せるため、SIerや大手企業では評価されやすい傾向があります。
ただし、高度試験に分類され、合格までに長い学習期間がかかります。転職を急いでいる人には、クラウドの資格より先に取ることはおすすめしません。 設計の知識を体系的に固めたい人が、腰を据えて取り組む資格です。
なお、2026年度からはパソコンで受験するCBT方式に移り、実施時期も従来の4月から10〜11月ごろに変わっています。受験手数料は7,500円です。
CCSP
CCSPは、国際的な情報セキュリティの認定団体であるISC2が運営する、クラウドセキュリティの専門資格です。特定のクラウドに依存せず、クラウドの設計、データの保護、法令への対応までを幅広く扱います。
認定を受けるには、IT分野で5年以上の実務経験があり、そのうち3年以上が情報セキュリティ、1年以上がCCSPの出題分野に関わる経験であることが条件です。経験が足りない場合でも試験は受けられ、合格後に定められた期間内に経験を満たす道も用意されています。
受験料は599ドル、日本円で約94,000円と高く、実務経験の条件もあるため、キャリアの中盤以降に検討する資格です。 金融機関や公的機関の案件で、クラウドのセキュリティを専門にしたい人に向いています。
クラウドエンジニアの年収相場は?
クラウドエンジニアの年収は、平均で743万円が目安です。これはエンジニア特化の転職エージェント「テックゴー」が保有する求人データから、クラウドエンジニアの求人に提示されている年収を平均した金額です。
実は、厚生労働省による統計にはクラウドエンジニアという職業の区分がありません。参考になるのは、厚生労働省の職業情報提供サイトで、クラウド上での構築も仕事に含むとされるシステムエンジニア(基盤システム)です。
この区分の平均年収は889万円ですが、ほかの職業と合わせて集計された数字のため、クラウドエンジニア単独より高めに出ていると見ておきましょう。
同じサイトでは、設計・構築を担う人のスキルの段階ごとの年収も公開されています。
| スキルの段階 | 目安となる状態 | 年収の目安 |
|---|---|---|
| ITSSレベル1〜2 | 指導を受けながら作業する | 420万〜620万円 |
| ITSSレベル3 | 一人で設計・構築できる | 450万〜700万円 |
| ITSSレベル4 | 設計を主導できる | 500万〜780万円 |
| ITSSレベル5以上 | 社内で専門家として認められる | 600万〜950万円 |
ここで使われているITSSレベルとは、ITエンジニアの実務能力を7段階で示したものです。レベル1〜3は情報処理技術者試験の合格が判定の目安とされており、レベル4以上は、試験に加えて業務での経験や実績が判断の基準です。
一人で設計・構築できる段階から、設計を主導する段階へ進むほど、年収の幅は上に広がります。 同じクラウドエンジニアでも、運用を任されているのか、設計から任されているのかで、手にする年収は変わります。

川村 莉子
Kawamura Riko
年収を上げたいなら、今と同じ工程のまま職場を変えるより、設計から任される職場を選ぶほうが上がり幅は大きくなります。今の経験でどこまでの工程を任されるかを確かめるところから始めましょう。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「システムエンジニア(基盤システム)」
元エンジニアのアドバイザーが対応
クラウドエンジニアに向いている人は?
クラウドエンジニアのやりがいは、新しい技術を実務で使い続けながら、ネットワークからアプリケーションの実行環境まで幅広い知識を一つの仕事で活かせる点にあります。
一方で、顧客や開発チームとの折衝を避けたい人や、一つの技術を長く使い続けたい人には、負担の大きい仕事です。向いているかどうかは、性格よりも、これまでの仕事の進め方で判断できます。
目安になるのは次の4つです。
- 学習を仕組みとして回せる人
- 問題の切り分けを面白がれる人
- プラットフォームごとの差分を受け入れられる人
- 技術だけでなくコストや事業に関心を持てる人
以下、それぞれに当てはまるかを、過去の行動に照らして確かめてみましょう。
学習を仕組みとして回せる人
クラウドは、主要なサービスの機能追加や仕様の変更が絶えず続く分野です。数年前に覚えた設定の方法が、今は推奨されていない場面もよくあります。
そのため、一度にまとめて勉強する人より、情報が自然に入ってくる仕組みを持っている人のほうが伸びます。当てはまるかどうかの目安は、次のような行動です。
- 使っている技術の更新情報を定期的に確認している
- 試せる検証環境を自分で持っている
- 調べたことをメモや記事として残している
どれか1つでも今の業務で習慣になっていれば、クラウドの学習にもそのまま移せます。
問題の切り分けを面白がれる人
クラウドで障害が起きると、原因が自分たちの設定にあるのか、クラウド事業者側にあるのかをまず見極めます。物理的な機器を直接確かめられないため、ログや監視の数値から、どの層で止まっているかを推理して絞り込んでいく作業です。
この過程を面白いと感じるか、苦痛と感じるかで、クラウドの仕事への向き不向きは大きく変わります。オンプレミスで障害対応を経験してきた人は、自分がどちらだったかを思い出してみましょう。原因がわかるまで仮説を立て直し続けた経験があるなら、クラウドでもその強みは活きます。
プラットフォームごとの差分を受け入れられる人
AWS、Microsoft Azure、Google Cloudでは、同じことをする機能でも名前や設定の方法が違います。さらに、同じクラウドの中でも、似た役割のサービスが複数用意されていることがあります。
こうした違いに対して、なぜ統一されていないのかと苛立つ人は、クラウドの仕事で疲れやすいでしょう。反対に、違いを前提として受け入れ、共通する考え方を抜き出せる人は、2つ目以降のクラウドも早く覚えられます。
新しい製品を導入するときに、既存の製品との違いを表にまとめて比べた経験がある人は、この素質を持っています。
技術だけでなくコストや事業に関心を持てる人
クラウドでは、構成の選び方がそのまま毎月の費用に表れる仕組みです。性能を最優先にした構成が、費用の面で採用されないこともよくあります。そのため、技術的に正しいかどうかだけでなく、その構成が事業にとって見合うかどうかを考えられる人が評価される職種です。
- 見積もりや予算の話に自分から関わってきた
- システムを使う部署の業務に興味を持って聞いてきた
- 障害の影響を、止まった時間ではなく損失で考えたことがある
こうした経験は、設計や提案の工程に上がったときの強みになります。
上流のクラウド案件への転職ならテックゴー
クラウドエンジニアとして年収を上げるには、どの工程を任される職場に移るかで結果が変わります。ところが、求人票に書かれているのは職種名と年収の幅が中心で、入社後に担当する工程までは読み取れません。
応募の前に確かめたいのは、設計・構築の工程を任される見込みがあるか、IaCを実務で使っているか、クラウド移行の案件を継続して持っているかといった点です。こうした情報は、企業の内情を知る第三者でなければ、入社前に確かめにくいものです。
テックゴーは、エンジニアに特化した転職エージェントで、上流の工程やITコンサルティング領域の求人に強みがあります。アドバイザーには元エンジニアやITコンサルタント出身者が多く、今の経験でどの工程まで狙えるかを、担当工程の話が通じる相手と整理できるのが特徴です。
- エンジニアに特化しており、上流案件・ITコンサル領域の求人に強い
- 平均年収アップ金額は144万円と、年収アップの実績がある
- 年収アップ成功率は86%で、年収交渉はアドバイザーが代行してくれる
- アドバイザーは元エンジニア・ITコンサル出身者が多く、現場の感覚で相談できる
- 面接対策は回数無制限で、選考の準備を十分に進められる
登録は1分で完了します。オンプレミスで積んできた経験をどの工程で活かせるか、まずは相談してみましょう。
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まとめ
この記事では、クラウドエンジニアの仕事内容と、インフラ系のほかの職種との違い、企業タイプによって変わる求人の中身、オンプレミスの経験がどこまで通用するかを解説しました。
クラウドエンジニアはインフラエンジニアの一種であり、サーバーやネットワークの実務経験があれば十分に目指せる職種です。ただし、IaCや権限設計のように、新しく身につける領域も残ります。
年収を左右するのは、保有資格よりも担当する工程です。今後は、マネージドサービスや自動化の広がりによって、手作業での構築や定型的な監視の仕事は減っていくでしょう。
一方で、要件から構成を決め、費用と性能の折り合いを関係者と合意する設計の仕事は、求められる場面が増えていきます。縮んでいくのは手を動かす作業で、残るのは判断を担う工程です。
自分がどの工程にいて、手持ちの経験のどこが通用し、何を覚え直すのかを整理できれば、次の一歩は決まります。設計から任される環境に移れるかどうかが、クラウドエンジニアとしての年収と経験の積み上がりを大きく左右します。
オンプレミスの経験を活かしてクラウドの上流工程を目指すなら、テックゴーへの相談がおすすめです。上流案件・ITコンサル領域に強く、元エンジニアのアドバイザーが、今の経験で狙える工程と求人を一緒に整理します。
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よくある質問
IT実務経験がまったくない30代でもクラウドエンジニアになれますか?
IT実務経験がまったくない状態から、30代でクラウドエンジニアに直接転職するのは難しいでしょう。クラウドエンジニアの中途採用は、インフラの実務経験者を対象にした求人が中心です。現実的なのは、次の順番で経験を積むルートです。 ・運用・監視や構築補助の職種でインフラの実務に入る ・Linuxやネットワークの基礎を業務の中で固める ・クラウドの案件に関わり、構築の経験を積む 年齢が上がるほど未経験での採用枠は狭くなるため、最初の一歩は早めに踏み出しましょう。
アプリケーション開発の経験はクラウドエンジニアで活きますか?
活きます。今のシステム開発はクラウドの利用を前提に進むことが多く、開発の経験はクラウドエンジニアの仕事と重なる部分が大きいです。とくに次の領域では、コードを書いてきた経験がそのまま役立ちます。 ・IaCでインフラをコードとして管理する ・CI/CDで開発から本番への反映を自動化する ・コンテナでアプリケーションの実行環境を整える 一方で、ネットワークやOSの基礎は不足しやすいため、サブネットの設計やLinuxの運用を先に補っておくと移りやすくなります。
AWSを覚えれば、AzureやGoogle Cloudにも応用できますか?
特定のクラウドにスキルが偏ることを心配する方は多いですが、設計の考え方は応用できます。サービスの名前や操作の方法はクラウドごとに違う一方で、次の考え方はどのクラウドでも共通です。 ・止まりにくい構成を設計する ・ネットワークを分けて設計する ・利用者ごとに権限を設計する ・構成ごとに費用を見積もる そのため、1つのクラウドを深く理解していれば、2つ目は短い期間で身につけられます。反対に、複数のクラウドを浅く触るだけでは、どれも設計の段階まで届かないため効率がよくありません。まずは1つのクラウドを深く学ぶところから始めましょう。
クラウドエンジニアの仕事は「つまらない」と言われることがありますが、実際はどうですか?
つまらないと感じる人の多くは、担当する工程が運用・監視の定型業務に固定されています。アラートへの対応や手順書どおりの作業が続き、技術を使って判断する場面が少ないためです。 一方で、設計や移行の工程に入ると、仕事の性質は変わります。 ・要件と費用の制約の中で構成を決める ・複数のサービスから合う組み合わせを選ぶ ・移行の手順とリスクを計画する つまらないかどうかは職種ではなく工程で決まるため、今の仕事が合わないと感じるなら、任される工程を変えることを考えてみましょう。
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