【例文11選】SIerの志望動機の書き方|NG例・面接対応や差別化のコツも解説
SIerへの転職を目指すなかで、「志望動機がうまく書けない」「何を書いても、ありきたりな内容になってしまう」と悩んでいませんか。
志望動機が書けないのは、文章力の問題ではありません。手が止まるのは、年収や担当する工程といった現職の不満を、応募先で何を実現したいのかという言葉に置き換えられていないからです。逆にいえば、言い換えの型と書き方のポイントさえつかめば、説得力のある志望動機は組み立てられます。
この記事では、以下の内容を解説します。
- 採用担当者が志望動機で見ているポイント
- キャリア別・企業別・転職理由別の志望動機の例文11選
- 評価を下げてしまうNG例
- 現職の不満を志望理由に言い換える5つのパターン
- 面接で志望動機を深掘りされたときの答え方
SIerへの転職で志望動機に悩んでいる方に、説得力のある志望動機を組み立てるための具体的な方法と手順を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

著者
石川 喜佐
(Ishikawa Kisa)
大学を卒業後、大手システムインテグレーターである伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)に勤務。自身の現場経験を活かし、表面的な情報だけでは辿り着けない優良ポジションや狙い目の求人を数多く、ご提案。
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監修者
伊東 光雄
(Ito Mitsuo)
専門学校卒業後、約12 年間IT サービス事業会社にてシステム開発、インフラ運用管理、自社製品の新規開拓営業に従事。その後、2014 年に株式会社ワークポートに就業しキャリアアドバイザーとして転職相談にお越し頂く求職者に対し、キャリアに関する相談業務~求人企業のご紹介~内定・入社までのサポート及び、入社後のアフターフォロー業務全般に従事。
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目次
CONTENTS
そもそもSIerとは?志望動機を書く前に知っておきたい業界知識
志望動機を書く前に、応募先がどのようなSIerなのかを整理しておきましょう。同じSIerでも、担当する工程や顧客との関わり方は企業ごとに異なります。この違いが、「なぜこの会社を選んだのか」と説得力のある志望動機を書くときの材料になります。
ここでは、次の3点を解説します。
- SIerの仕事内容
- SIerとSE・SESの違い
- SIerの分類と特徴(メーカー系・ユーザー系・独立系)
それぞれ見ていきましょう。
SIerの仕事内容
SIer(システムインテグレーター)は、顧客企業の要望をもとにシステムの企画・設計・開発を担う企業です。完成したシステムを納品して終わりではなく、導入の支援や稼働後の運用保守まで請け負います。
ただし、すべてのSIerが企画から運用までを一手に引き受けるわけではありません。コンサルティングと設計を中心に担う企業もあれば、開発工程を専門にしている企業もあります。
どの工程に強みを持つかは、応募先ごとに異なります。 そのため、担当する工程を確かめておくと、なぜこの会社を選んだのかを伝えるときの根拠になるでしょう。
SIerとSE・SESの違い
SIerとよく混同される言葉に、SEとSESがあります。3つは、指している対象がそれぞれ違います。
| 用語 | 区分 | 内容 |
|---|---|---|
| SIer | 企業 | システムの企画・設計・開発から運用保守までを請け負う |
| SE | 職種 | 要件定義や設計を担当するエンジニア |
| SES | 契約形態 | エンジニアの稼働を提供し、業務の遂行に対して報酬が発生する |
SIerという企業のなかで、SEという職種の人が開発を進める関係にあります。SESとの違いが出るのは、報酬が何に対して発生するかという点です。SIerが開発を一括で請け負う場合、報酬は成果物の完成に対して発生します。一方、SESで使われる準委任契約では、業務の遂行に対して支払われます。
3つの言葉を混同したまま書くと、志望理由の前提がぶれます。志望先がどの立場にあたるかを確かめておきましょう。
SIerの分類と特徴(メーカー系・ユーザー系・独立系)
SIerは、会社の成り立ちや資本関係によって3つに分けられます。代表的なのが、メーカー系・ユーザー系・独立系SIerです。
| 分類 | 母体 | 案件の特徴 |
|---|---|---|
| メーカー系SIer | ハードウェアを製造するメーカー | 親会社の製品を組み合わせたシステム開発が中心になる |
| ユーザー系SIer | 金融・商社などの事業会社の情報システム部門 | 親会社やグループ会社向けのシステム開発が柱になる |
| 独立系SIer | 親会社を持たない独立資本 | 業界を問わず案件を受注し、採用する製品も自社で選べる |
応募先がどの分類にあたるかは、親会社の有無と、その母体がどの業界かで見分けられます。社名に親会社の名前の一部が入っている企業も多くあります。
分類が変わると、関わる顧客の層も、任される案件の性質も変わります。親会社やグループ向けの案件が柱の企業と、業界を問わず受注する企業では、志望動機で伝えるべき内容も違ってきます。

SIerとは?企業の分類や仕事内容・SEとの違いをわかりやすく解説
採用担当者が志望動機で評価しているポイント
SIerの選考では、技術力や経験だけでなく、顧客やプロジェクトにどう向き合うかという志向性まで確認されます。
中途採用の面接では、志望動機が確認項目のひとつに挙がります。入社後の働き方が想像できる内容であれば、ミスマッチが起きにくいと判断されやすくなるでしょう。責任感や学習意欲、周囲と協力する姿勢も、志望動機の書き方に表れます。
採用担当者が見ているポイントは、次の4つです。
- SIerを選んだ理由が具体的に伝わっているか
- 応募先の会社を選んだ理由を説明できているか
- これまでの経験と志望理由に一貫性があるか
- 入社後に活躍するイメージを描けているか
自分が書いた文章と照らしながら、順に確認していきましょう。
なぜSIerを志望するのかが具体的に伝わっているか
採用担当者がまず確認するのは、数あるIT企業のなかでSIerを選んだ理由が具体的に伝わるかどうかです。SIerの役割を理解したうえで、自分の経験や志向と結びつけて書けているかを見ています。
Web系や自社開発ではなくSIerを選んだ理由まで示せていると、志望動機の説得力が増します。どの業界の顧客に対して、どの工程で何をしたいのかまで書けているかが見られます。
顧客の課題解決に関わりたい、上流工程に携わりたいという書き方は、経験者がよく使う言い回しです。自分の文章がその一段先まで届いているかを読み返してみましょう。
なぜこの会社を志望するのかが具体的に伝わっているか
SIerを選んだ理由に加えて、数あるSIerのなかからこの会社を選んだ理由も確認されます。企業ごとに得意な業界や担当する工程が異なるため、業界全体の魅力だけでは応募先への理解が伝わりません。
採用担当者が見ているのは、次の3点です。
- 企業の強みや事業領域が自分の志向と合っている
- 他社と比べたうえでこの会社を選んだ根拠がある
- 関わりたい仕事やプロジェクトを具体的に書けている
やりたい仕事だからで終わらせず、その会社ならではの特徴と自分の志向を結びつけて書きましょう。 同じ分類のSIerが複数ある場合は、担当する業界や工程の違いに目を向けると書き分けられます。
これまでの経験やキャリアとの一貫性があるか
採用担当者は、これまでの経験と志望理由がつながっているかも見ています。過去の仕事で得た学びの延長線上にSIerがあると伝われば、入社後の働き方を想像しやすくなるためです。
| これまでの経験 | SIerの業務で活きる場面 |
|---|---|
| 顧客先に常駐し、担当者と仕様を調整した | 要件定義で顧客の要望を整理する |
| 詳細設計から実装・テストまでを担当した | 設計の実現性をふまえて提案する |
| 協力会社と作業範囲や期限をすり合わせた | プロジェクトの進捗を管理する |
下流工程が中心の経歴でも、一貫性は示せます。仕様の確認や調整で顧客と直接やり取りした経験は、要件定義につながる実績として伝えられます。 担当した工程の名前だけでなく、そこで何を判断してきたかを書き出しておきましょう。
入社後に活躍するイメージを具体的に描けているか
評価される志望動機には、入社後にどう貢献するかが具体的に書かれています。採用担当者は、応募者の強みがどの業務で活き、チームにどう役立つかという観点でも読んでいます。
書くときは、時間軸を分けて整理しましょう。
- 最初の1年で担いたい役割を書く
- 慣れたあとに挑戦したい工程を書く
- 将来目指すキャリアの方向性を書く
成長したい、活躍したいという言葉だけでは、配属後の姿が伝わりません。最初の半年で何を覚え、何から任されたいのかまで書けると、読み手は配属後を思い描けます。 担当したい業務の名前まで踏み込んでみましょう。
SIerの現場に詳しいアドバイザーが対応
【キャリア別】SIerの志望動機の例文
ここからは、これまでのキャリア別に志望動機の例文を紹介します。同じSIer志望でも、どの環境から転職するかによって、伝えるべき強みは変わります。
- 未経験からSIerを目指す場合
- エンジニア経験者からSIerを目指す場合
- SES・自社開発からSIerを目指す場合
- SIerからSIerに転職する場合
自分の経歴に近いものから確認してください。
未経験からSIerを目指す場合
実務経験がない場合は、技術力よりも、なぜSIerを選んだのかを説明できているかが見られやすくなります。現職で培った力とSIerの仕事の接点を示しましょう。応募先でどう成長していきたいかまで書けていると、一歩踏み込んだ志望動機になります。
▽志望動機の例文
| 例 | ITを通じて企業の課題解決に関われる仕事に魅力を感じ、SIerを志望しました。前職の営業では、顧客の要望を丁寧にヒアリングし、課題に合わせた提案をする経験を積んできました。そのなかで、業務の仕組みそのものを改善する手段としてITの可能性に関心を持つようになりました。 SIerは顧客の業務を理解したうえで、要件定義から導入まで一貫して関われる点に特徴があり、技術を提供するだけでなく課題解決に深く携われる仕事だと考えています。なかでも貴社は特定の業界に深く根ざしたシステム開発に強みがあり、腰を据えて顧客の課題に向き合える環境に惹かれました。 IT業界は未経験ですが、前職の営業で培った傾聴力やチームで成果を出す姿勢は、SIerの業務でも活かせると考えています。入社後はまず基礎から知識を身につけ、ゆくゆくは顧客の課題に主体的に提案できるエンジニアを目指します。 |
この志望動機のポイントは、以下の通りです。
- SIerという仕事・業界を理解している
- これまでの経験がどう活かせるかを説明できている
- 入社後の成長イメージが描けている
未経験の場合、現時点の技術力以上に志望動機の明確さが見られます。未経験であること自体がマイナスになるとは限らないため、学ぶ意欲や前職の経験との接点を前向きに伝えましょう。
エンジニア経験者からSIerを目指す場合
エンジニア経験者は、これまでの経験をSIerでどう活かし、次に何を目指すのかが問われます。担当してきた工程と、そこで気づいたことを志望理由につなげましょう。
▽志望動機の例文
| 例 | これまで業務システムの開発に携わり、主に詳細設計から実装の工程を担当してきました。開発を進めるなかで、要件の背景や業務フローを理解したうえで設計することの大切さを実感しました。 SIerは顧客の業務理解を起点に、要件定義から運用まで一貫して関われる点に強みがあると考えています。なかでも貴社は上流工程から顧客に深く関わる案件が多く、これまで培った設計力や調整力をさらに高められる環境だと感じ、志望しました。 今後は上流工程からプロジェクトに関わり、顧客の課題に技術と業務の両面から提案できるエンジニアとして成長したいと考えています。 |
この志望動機のポイントは、次のとおりです。
- 業務内容や担当工程を具体的に説明できている
- SIerで活かしたいスキルや経験が明確になっている
- 現職で感じた課題が志望理由につながっている
- 入社後に挑戦したい仕事を描けている
経験者の場合、単にスキルを並べるだけでは差別化につながりません。過去の経験、そこで得た気づき、今後の方向性を一本の軸でつなげると、志望動機の説得力が高まります。
SES・自社開発からSIerを目指す場合
SESや自社開発からの転職では、環境を変えたいという理由だけでは評価につながりにくくなります。これまでの経験を踏まえて、SIerでどんな価値を出せるのかまで書きましょう。現職が準委任契約での稼働中心なら、成果物に責任を持つ立場で働きたいという志向も、SIerを選ぶ理由として説明できます。
▽志望動機の例文
| 例 | これまでSESで業務システムの設計・実装に携わり、要件理解や技術面での課題解決を経験してきました。さまざまな現場で開発を進めるなかで、目の前の開発だけでなく、顧客の業務理解や上流工程に深く関わりたいという思いが強まりました。 SIerは要件定義から運用まで一貫して関われる点に魅力があり、なかでも貴社は顧客のビジネス全体を見据えた提案に力を入れている点に惹かれました。 これまで培った技術力と要件整理の経験を活かし、企画段階から顧客に価値を提供できるエンジニアとして貢献したいと考えています。 |
この志望動機のポイントは、以下の通りです。
- これまでの経験がSIerでどう活かせるかが明確になっている
- SESや自社開発での学びとSIerでの役割のつながりを説明できている
- 顧客理解や上流工程への意欲が示されている
- 入社後の貢献イメージや成長ビジョンを描けている
さまざまな現場を経験してきたからこそ、顧客の業務全体に踏み込みたいという志向を示せます。 現場ごとに何を任され、何を判断してきたかを書き出しておきましょう。
SIerからSIerに転職する場合
同じSIer同士の転職では、なぜ会社を変えるのかの納得感が求められます。現職では実現しにくい役割や経験を、転職先でどう叶えたいのかを示しましょう。
▽志望動機の例文
| 例 | これまで金融業界向けシステムの開発に携わり、主に設計・調整・クライアント対応を中心に経験を積んできました。業務を通じて、単に機能をつくるだけでなく、顧客の業務背景を理解したうえで価値ある提案をしたいという思いが強くなりました。 貴社は上流工程や顧客との交渉フェーズに強みを持ち、特定業界における豊富な知見をお持ちである点に魅力を感じています。 これまで培ってきた経験を活かし、まずは上流工程での提案力・調整力を磨きつつ、将来的にはプロジェクトリーダーやPMとしてチームを牽引したいと考え、志望しました。 |
この志望動機のポイントは、次のとおりです。
- 現職の経験が次のキャリアにどうつながるかが明確になっている
- 転職先で叶えたいことが整理されている
- 志望企業の特徴・強みを理解した理由が示されている
- 将来のキャリア目標を描けている
SIerからSIerへの転職では、次に挑戦したいことを軸に書きましょう。 自分の希望と応募先の強みが重なる点を示せると、なぜその会社なのかが伝わります。
【企業別】SIerの志望動機の例文
ここからは、メーカー系・ユーザー系・独立系の分類ごとに志望動機の例文を紹介します。同じSIerでも、分類によって事業の成り立ちが違うため、評価される切り口も変わります。
- メーカー系SIerの志望動機
- ユーザー系SIerの志望動機
- 独立系SIerの志望動機
あわせて、その分類では刺さりにくい書き方も示します。応募先がどの分類にあたるかを思い浮かべながら読み進めてください。
メーカー系SIerの志望動機
メーカー系SIerは、ハードウェアを製造するメーカーを親会社に持ち、親会社の製品を組み合わせたシステム開発が中心になります。官公庁や大企業向けの基幹システムなど、規模の大きい案件を手がける企業も多くあります。製品と一体でシステムをつくる仕事への関心を、自分の経験と結びつけて書きましょう。
▽志望動機の例文
| 例 | ハードウェアと連携するシステム開発に関心があり、貴社を志望しました。前職では業務アプリケーションの開発に携わり、要件整理から実装までを一貫して経験してきました。 なかでも貴社は通信機器を活かした社会インフラ向けシステムに強みがあり、自分が培ってきたソフトウェア開発の経験を、製品と一体となった大規模なシステムづくりに活かせる点に魅力を感じています。 今後はハードウェアへの理解も深めながら、安定した基盤のもとで社会を支えるシステムに貢献したいと考えています。 |
この志望動機のポイントは、次のとおりです。
- 親会社の製品を使った開発に関心を示せている
- 製品が組み込まれる大規模案件で何をしたいかが具体的である
- これまでの経験との接点を説明できている
一方で、特定の製品に縛られず技術を自由に選びたいという書き方は、メーカー系の事業の成り立ちと噛み合いません。 親会社の製品を前提に開発を進める構造のため、製品への関心を避けた志望動機は応募先の実態から離れてしまいます。

メーカー系SIerとは?企業や強み・デメリット・ユーザー系との違いなど解説
ユーザー系SIerの志望動機
ユーザー系SIerは、金融や商社などの事業会社の情報システム部門が独立した企業で、親会社やグループ会社向けの開発が柱になります。志望動機では、その業界の業務を理解したうえで、システムを長く手がけていきたいという姿勢を示しましょう。
▽志望動機の例文
| 例 | 金融業界の仕組みを支えるシステムに長く携わりたいと考え、貴社を志望しました。前職では金融機関向けの業務システム開発に携わり、利用者の要望を整理しながら使いやすさを追求してきました。 開発を通じて金融業務の奥深さに触れるうちに、案件単位で関わるのではなく、ひとつの企業に腰を据えて業務知識を深め、システムを継続的に支えたいという思いが強まりました。 なかでも貴社は親会社である金融グループの基幹システムを長期的に手がけており、業界に密着して開発できる環境に惹かれました。まずは金融業務の知識をさらに吸収し、将来は業界に精通したエンジニアとして、利用者が安定して使い続けられるシステムづくりに貢献したいと考えています。 |
この志望動機のポイントは、次のとおりです。
- 親会社やグループが属する業界への関心を示せている
- 業務知識を活かしてシステムに貢献したい姿勢が伝わる
- これまでの経験との接点を説明できている
一方で、幅広い業界のシステムを経験したいという書き方は、ユーザー系の受注の仕組みと逆を向きます。 親会社やグループからの発注が事業の柱になるため、ひとつの業界を深めたいという志向のほうが噛み合います。

石川 喜佐
Ishikawa Kisa
ユーザー系SIerのなかには、グループ外の顧客向けに外販を広げている企業もあります。応募先が内販と外販のどちらに力を入れているかで、評価される志望動機は変わります。採用ページや事業紹介で売上の構成などを確認してみてください。
ユーザー系SIer向けの志望動機や仕事については以下の記事で詳しく解説しています。

【例文あり】ユーザー系SIerの志望動機の書き方!質を高めるポイントやNG例も解説

ユーザー系SIerとは?代表企業や強み・年収・内販外販の違いを解説
独立系SIerの志望動機
独立系SIerは親会社を持たず、業界を問わず案件を受注します。採用する製品も自社で選べるため、志望動機では多様な案件に関わりたい理由と、その先に何を目指すのかをあわせて示しましょう。
▽志望動機の例文
| 例 | 業界や技術にとらわれず、多様な案件を通じて開発の幅を広げたいと考え、貴社を志望しました。前職では特定業界向けのシステム開発が中心で、扱う技術も限られていました。さまざまな業界の課題に触れ、対応できる技術の引き出しを増やしたいという思いから、独立系SIerに関心を持ちました。 なかでも貴社は製造から流通まで幅広い業界の案件を上流から手がけている点に強みがあり、多様なプロジェクトで成長できる環境だと感じています。 これまで培った開発経験を土台に、要件定義から運用まで一貫して関われるエンジニアとして力を広げ、将来はどんな業界の案件にも対応できる人材を目指したいと考えています。 |
この志望動機のポイントは、次のとおりです。
- 多様な案件・技術に携わりたい意欲を示せている
- なぜ幅広さを求めるのか、その目的を説明できている
- 入社後に目指したい成長の方向性を伝えている
一方で、幅広い案件に関われそうだからという理由だけでは、ほかの独立系SIerにも当てはまります。 独立系のなかにも得意な業界を持つ企業があるため、応募先がどの分野に力を入れているかを踏まえて書きましょう。

独立系SIerとは?大手企業や強み・年収・キャリアまで詳しく解説
【転職理由別】SIerの志望動機の例文
ここからは、記事前半で紹介したSIer志望の代表的な転職理由をもとに、志望動機の例文を紹介します。
- 大規模・長期案件に関わりたい場合
- 幅広い業界のシステムに関わりたい場合
- チームで開発に取り組みたい場合
- 顧客の課題解決に直接関わりたい場合
同じ理由でも、そこから何を身につけたいのか、どんな課題に向き合いたいのかまで具体化することで志望動機の質が変わります。自分の志望理由に近いものを参考にしてみてください。
大規模・長期案件に関わりたい場合
大規模・長期案件を理由にする場合は、規模の大きさではなく、そこでどの工程に関わり何を得たいのかまで書きましょう。SIerは公共機関や大手企業のシステムを、要件定義から運用まで長く担います。どの工程をどこまで担いたいのかを書けていると、業界の特性を理解した動機として伝わります。
▽志望動機の例文
| 例 | 社会基盤を支える大規模なシステムに、長く腰を据えて関わりたいと考え、貴社を志望しました。 前職では小規模な開発案件で実装を担当し、ひとつひとつの機能を着実に形にする経験を積んできました。経験を重ねるなかで、より大きなシステムの全体像に関わり、要件定義から運用までの流れを担いたいという思いが強まり、大規模案件に強みを持つSIerに関心を持ちました。 なかでも貴社は、公共インフラ向けの長期プロジェクトを多く手がけており、システム全体を俯瞰する視点を養える環境だと感じています。これまでの開発経験を活かし、上流から運用までを理解したエンジニアとして貢献したいと考えています。 |
この志望動機のポイントは、次のとおりです。
- 規模の大きさだけでなく、関わりたい工程が具体的である
- そこで何を身につけたいのかを説明できている
- これまでの経験との対比で理由に説得力がある
長期の案件では、稼働後の運用まで同じメンバーが関わるケースもあります。全体を見渡す視点と、長く関わりたい意欲をあわせて書くと、入社後の成長イメージが伝わりやすくなります。
幅広い業界のシステムに関わりたい場合
幅広さを理由にする場合は、どの業界で何を身につけたいのかまで書きましょう。SIerは金融や製造、流通、公共まで、業界を問わず顧客のシステムを手がけます。関心のある業界をひとつ挙げられると、幅広さを求める理由に具体性が出ます。
▽志望動機の例文
| 例 | さまざまな業界のシステムに携わり、どんな業界の顧客にも対応できるエンジニアになりたいと考え、貴社を志望しました。 前職では製造業向けのシステム開発に集中して取り組み、業界特有の業務知識を深める経験を積んできました。その経験から、ひとつの業界を深く理解することの価値を実感すると同時に、複数の業界に精通すればより多様な顧客の課題に応えられると考えるようになりました。 なかでも貴社は金融から公共まで多様な業界の案件を手がけており、業界をまたいで知見を広げられる環境に惹かれました。これまで培った業務理解の進め方を活かし、業界をまたいで顧客の課題を的確にとらえられるエンジニアを目指したいと考えています。 |
この志望動機のポイントは、次のとおりです。
- どの業界に関心があるか、何を学びたいかが具体的である
- 幅広さの先に目指すエンジニア像を説明できている
- これまでの経験を前向きに結びつけている
幅広さそのものを目的にしないことが大切です。 どの業界の、どんな業務知識を、次にどう活かしたいかを整理しておくと、漠然とした興味との違いがはっきりします。
チームで開発に取り組みたい場合
チームでの開発を理由にする場合は、そのなかで自分が果たしたい役割まで書きましょう。SIerの開発は、要件定義から運用までを複数のメンバーが役割を分担して進めます。協力会社と一緒に進めるケースもあるため、立場の違う相手と連携した経験も活かせます。
▽志望動機の例文
| 例 | チームで連携しながら大きなシステムを作り上げる仕事に魅力を感じ、貴社を志望しました。 前職では少人数での開発が中心で、設計から実装まで幅広く担当してきました。その経験を通じて、メンバーと役割を分担し、互いの強みを持ち寄って進めるほうが、より大きな成果につながると実感しました。 なかでも貴社はチーム間で知見を共有しながら開発を進める体制を整えており、メンバーと協力しながら成長できる環境だと感じています。これまで培った設計から実装までの知見を活かし、メンバー間の調整役も担いながら、チーム全体の開発を円滑に進められるエンジニアとして貢献したいと考えています。 |
この志望動機のポイントは、次のとおりです。
- チームのなかで自分が果たしたい役割が具体的である
- 過去の協働経験を交えて説明できている
- 入社後にどう貢献したいかを示している
自分が果たしてきた立ち位置をひとつ用意しておきましょう。 調整役や推進役など、担ってきた役割を言葉にしておくと、協調性の伝え方に具体性が生まれます。
顧客の課題解決に直接関わりたい場合
課題解決を理由にする場合は、どんな課題にどう関わりたいのかまで書きましょう。SIerは顧客の要望をそのまま形にするのではなく、業務の背景を理解して解決策を考えます。関心のある業務領域まで示せると、志望動機の輪郭がはっきりします。
▽志望動機の例文
| 例 | 顧客の業務課題を理解し、システムを通じて解決まで導く仕事に魅力を感じ、貴社を志望しました。 前職では受託開発で仕様に沿った実装を担当し、要望どおりに動くシステムを着実に形にしてきました。経験を重ねるなかで、与えられた仕様を実装するだけでなく、なぜその機能が必要なのかという業務背景から関わりたいという思いが強まりました。 なかでも貴社は顧客の業務分析から提案まで一貫して手がける進め方を大切にしており、課題の本質に踏み込める環境だと感じています。これまで培った開発経験を活かし、顧客の業務を理解したうえで最適な解決策を提案できるエンジニアとして貢献したいと考えています。 |
この志望動機のポイントは、次のとおりです。
- どんな課題に関心があるかが具体的である
- 顧客とどう関わり、何を提供したいかを説明できている
- これまでの経験を前向きに結びつけている
応募先がどんな顧客のどんな課題を扱う会社かを調べると、具体的に書けます。 志望先の事業内容と自分の関心が重なる点を見つけられれば、その会社を選んだ理由として伝わります。
SIerの志望動機でよくあるNG例
志望動機は、書き方によって評価を下げてしまうこともあります。よかれと思って書いた内容が、かえって印象を弱めるケースも少なくありません。
ここでは、評価が下がりやすい代表的な5つのパターンを紹介します。
- 志望理由が抽象的すぎる
- どのSIerにも当てはまる内容になっている
- 仕事内容の理解不足が表面化している
- 企業の説明・紹介になってしまっている
- 受け身・安定志向に見えてしまう
自分の文章と照らし合わせながら確認してください。
志望理由が抽象的すぎる
評価されにくい志望動機の代表が、理由が抽象的すぎるケースです。たとえば「顧客の課題解決に関わりたい」、「上流工程に携わりたい」という書き方は、SIerの仕事を理解しているように見えて、評価にはつながりにくい表現です。
弱くなる理由は2つあります。ひとつは、同じ表現をほかの応募者も書いているため、読み手が違いを判断できない点です。もうひとつは、SIerであれば必ず上流から関われるわけではなく、担当する工程が企業や案件によって変わる点にあります。応募先の実態と噛み合わないまま、理想だけを書いた文章に見えてしまいます。
どの業界の、どんな業務の課題に関わりたいのかまで書き足しましょう。 その関心が自分のどの経験から生まれたかを添えると、ほかの応募者と重ならない志望理由になります。
どのSIerにも当てはまる内容になっている
志望動機の評価を下げやすいのが、どのSIerにも当てはまる一般的な内容になっているケースです。応募先の社名を別の会社に置き換えても意味が通るなら、企業研究が浅いと受け取られます。SIerは企業ごとに得意な業界や顧客との関わり方が異なるため、業界全体の魅力だけでは選んだ理由が見えません。
自分の文章が当てはまっていないかは、次の手順で確かめられます。
- 社名や事業内容など、応募先に固有の情報をすべて伏せる
- 残った文章を通しで読み返す
- 意味が通るようであれば、書き換えが必要だと判断する
その会社固有の特徴をひとつ盛り込むだけでも、使い回しの印象は大きく変わります。 事業領域や主な顧客など、調べてわかった事実を足していきましょう。
仕事内容の理解不足が表面化している
評価を下げる志望動機のひとつが、仕事内容への理解不足が表面化しているケースです。たとえば「開発が好きだから」、「コードを書けるようになりたい」という理由にとどまると、SIerの業務全体を把握できていない印象につながります。SIerの仕事は開発作業だけでなく、顧客の業務を理解したうえで要件定義から運用保守まで幅広い工程に関わるためです。
工程の一部しか見ていない志望動機は、入社後にミスマッチが起きやすいと判断されます。配属される工程が想定と違ったときに、早期の離職につながると受け取られかねません。
SIerの業務の流れを踏まえたうえで、自分が関わりたい工程を挙げましょう。 担当したい工程を名指しできると、理解の深さが自然と伝わります。
企業の説明・紹介になってしまっている
見落としがちなのが、志望動機が企業の説明や紹介で埋まってしまうケースです。応募先の事業内容や実績を並べるだけで終わると、志望動機として成立しません。採用担当者が知りたいのは企業の特徴ではなく、「応募者がその企業で何をしたいのか」、「どう貢献できるのか」だからです。
応募先に強く惹かれたときほど、このパターンに陥りやすくなります。会社の魅力を書き進めるうちに、自分の意欲や強みに触れないまま文章が終わってしまいます。
企業の魅力に触れたら、だから自分はこう貢献できると主語を自分に戻しましょう。 会社の魅力と自分の経験をセットにすることで、説明文が志望動機に変わります。
受け身・安定志向に見えてしまう
評価を下げてしまう志望動機として、受け身や安定志向が伝わりすぎてしまうケースがあります。「安定しているから」、「残業が少なそうだから」という理由を前面に出すと、仕事への関心が低いと受け取られます。企業は、自ら考えて価値を提供する姿勢を評価しやすいためです。
待遇や働き方を重視すること自体は、応募者として自然な判断です。ただ、条件だけを志望動機の中心に据えると、ほかの会社でも同じことが言える内容になってしまいます。
待遇や働き方の希望は、志望動機とは切り離して伝えられます。 志望動機には、その環境を土台に何を成し遂げたいのかを書きましょう。
SIerの志望動機の書き方
評価ポイントやNG例を押さえても、いざ自分で書くとなると手が止まってしまう方もいるでしょう。志望動機は、次の6つのステップで考えると組み立てやすくなります。
- SIerを選んだ理由(業界志望理由)を言語化する
- 応募先企業を選んだ理由を明確にする
- 自分の経験・スキルがどう活きるかを示す
- 入社後に取り組みたいことを具体化する
- 将来のキャリアプランにつなげる
- 転職理由と志望理由に矛盾がないか見直す
書くときは、結論から述べる形を意識しましょう。最初に志望理由をひと言で示し、そのあとに根拠となる経験を続けると、読み手が要点をつかみやすくなります。
1. SIerを選んだ理由(業界志望理由)を言語化する
まず、なぜIT業界のなかでもSIerを選んだのかを言葉にします。ここが曖昧なままだと、志望動機全体がぼんやりした印象になってしまいます。
手がかりになるのが、自分が何を大切にして働きたいかの整理です。次の3つの問いに答えてみましょう。
- SIerのどんな働き方や役割に魅力を感じるのか
- 仕事のなかで何にやりがいや不満を感じてきたか
- 今後どんな働き方やキャリアを実現したいか
自分の経験に根ざした言葉で書くと、業界志望理由に説得力が出ます。 たとえば顧客と関わる仕事にやりがいを感じてきたと気づければ、それがSIerを選んだ理由の土台になります。ほかのIT職種では満たせない理由になっているかも、あわせて確かめましょう。
2. 応募先企業を選んだ理由を明確にする
次に、なぜ数あるSIerのなかでこの企業なのかを明確にします。ここが具体的だと、企業研究の深さと志望度が伝わります。
調べるときは、次の順に見ていくと整理しやすくなります。
- 公式サイトの事業内容と採用ページに目を通す
- どの業界の顧客を抱え、どの工程に強みを持つかを把握する
- メーカー系・ユーザー系・独立系のどれにあたるかを確認する
複数社に応募する場合は、使い回せる部分と企業ごとに変える部分を切り分けておきましょう。業界を選んだ理由と自分の経験は共通で使えますが、応募先を選んだ理由は毎回書き分けが必要です。 切り分けておくと、応募社数が増えても志望動機の質を保てます。
3. 自分の経験・スキルがどう活きるかを示す
業界と企業の理由が固まったら、これまでの経験がSIerの仕事でどう活きるかを示します。ここを書けると、入社後の活躍イメージが採用担当者に伝わります。
まず、どんな業務に取り組み、何を得意としてきたかを書き出してみましょう。そのうえで、次の視点で振り返ると、SIerにつながる経験が見つかります。
- 顧客や関係者と調整しながら開発を進めた経験はあるか
- 課題を整理して解決策を考えた経験はあるか
- チームで成果を出すために工夫したことはあるか
経験を挙げるだけで終わらせず、SIerのどの業務につながるかまで紐づけることが大切です。挙げた経験のとなりに、SIerでいえば何にあたるかを書き添えてみましょう。 この作業をしておくと、志望動機でも面接でも同じ説明ができます。
4. 入社後に取り組みたいことを具体化する
次は、入社後に何に取り組みたいかを具体化します。漠然とした意気込みではなく、どの業務でどう力を発揮したいのかまで書きましょう。
イメージを固めるには、時間軸を分けて考えます。
- まずは何を担い、どう貢献したいか
- 慣れてきたら、どの工程や役割に挑戦したいか
- そのために、入社後どんな知識を身につけたいか
最初は設計・開発で成果を出し、ゆくゆくは要件定義に関わりたいというように、段階を追って示すと現実味が増します。 応募先の事業領域や担当しそうな案件と結びつけて書けば、採用担当者も配属後の姿を思い描けます。
5. 将来のキャリアプランにつなげる
入社後の取り組みのその先にある、将来のキャリアプランを示します。長期的な展望まで書けると、腰を据えて働く意志が伝わります。
SIerには、次のようなキャリアの方向性があります。
- プロジェクトをまとめるマネジメント職を目指す
- 特定の業界や技術に精通したスペシャリストになる
- 上流工程を中心に、顧客への提案力を磨いていく
ステップ4で描いた取り組みの延長線上にキャリア像を置くと、一貫性が生まれます。 SIerは長く続くプロジェクトが多く、継続して働く意志が見られる仕事です。応募先で実現できるキャリアと自分の目標が重なるかを確かめておきましょう。
6. 転職理由と志望理由に矛盾がないか見直す
転職理由と志望理由のあいだに矛盾がないかを見直します。この確認をしておくと、面接で深掘りされても崩れない志望動機になります。
たとえば上流工程に挑戦したいと志望理由で書いているのに、転職理由が残業を減らしたいだけになっていると、読み手は一貫性のなさを感じ取ります。転職で実現したいことと、その企業を選んだ理由が同じ方向を向いているかを確かめましょう。
あわせて見ておきたいのが、その目的は本当に転職でしか叶わないのかという視点です。 現職でも実現できそうな内容だと、説得力が弱まります。転職理由と志望理由、将来の目標が一本の線でつながっているかを、声に出して読み返してみましょう。
仕事の不満・悩みを志望動機に言い換える5つのパターン
現職を離れたい本当の理由が、年収や働き方にあるという方もいるでしょう。収入や労働条件は、仕事を辞めるきっかけとして上位に挙がる理由です。
ただ、そのまま書くと、なぜこの会社でなければならないのかが伝わらない文章になります。現職を否定的に書く必要もありません。ここでは、そのままでは書きにくい5つの不満・悩みを、志望理由に言い換える方法を紹介します。
- 年収が上がらない
- 下流工程ばかりで経験が広がらない
- 客先常駐で働き方を変えられない
- 案件を自分で選べない
- 残業が多く生活に余裕がない
なお、5つ目の残業だけは言い換えではなく、志望動機と条件面を切り分ける形で扱います。
年収が上がらない
現職で任される仕事が変わらないかぎり、年収も上がりにくい状態が続きます。同じ工程を担当し続けている人が、技術を磨いたという理由だけで評価を大きく変えてもらうのは難しいためです。
この状況をそのまま書くと、採用担当者は、条件がよければどの会社でもよいのだろうと受け取ります。応募先を選んだ理由が文章に出てこないためです。
年収そのものではなく、キャリアのステップアップとして言い換えましょう。 どの工程を担いたいか、どんな成果で評価されたいかまで書けば、志望理由として成立します。
▽言い換えた志望動機の例
| 例 | 顧客への提案から関わり、提案の内容で評価される働き方をしたいと考え、貴社を志望しました。 現職では詳細設計から実装までを担当し、決められた仕様を形にする経験を積んできました。経験を重ねるうちに、何をつくるかを決める場面から関わりたいという思いが強まりました。 なかでも貴社は上流工程から参画する案件が多く、提案力を磨ける環境だと感じています。これまでの開発経験を活かし、顧客に提案できるエンジニアとして貢献したいと考えています。 |
参考:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況」
下流工程ばかりで経験が広がらない
詳細設計から実装、テストを担当し続けていると、システム全体の土台をつくる経験が積めません。決められた仕様を形にする力は身についても、次のステップにつながる経験としては積み上がりにくくなります。
この状況をそのまま書くと、現職への不満を述べただけの文章になります。採用担当者は、応募先で何をしたいのかを読み取れません。
関わりたい業務を具体的に言い換えましょう。 顧客に業務の流れを聞き取る、必要な機能を決める、システムの方式を選ぶというように書けば、やりたいことがはっきり伝わります。
▽言い換えた志望動機の例
| 例 | 顧客の業務課題を聞き取り、必要な機能を決める段階から開発に関わりたいと考え、貴社を志望しました。 現職では詳細設計から実装までを担当してきましたが、仕様が決まったあとの工程が中心でした。実装を重ねるうちに、なぜその機能が必要なのかを顧客と詰める場面に携わりたいという思いが強まりました。 なかでも貴社は顧客の業務分析から一貫して手がけており、システム全体を設計する経験を積める環境だと感じています。これまでの開発経験を活かし、実現性を踏まえた要件を固められるエンジニアとして貢献したいと考えています。 |
客先常駐で働き方を変えられない
常駐先が変わるたびに、関わるシステムもチームの顔ぶれも入れ替わります。ひとつのシステムに腰を据えて関わりたい、所属する会社の一員として働きたいという希望は、この環境では叶えにくくなります。
この状況をそのまま書くと、働く場所についての希望として読まれます。SIerでも運用保守の工程で顧客先に常駐するケースがあるため、場所だけを理由にすると、応募先でも同じ状況が起こりえます。
場所ではなく、誰とどう仕事を進めたいかに言い換えましょう。 同じシステムに長く関わりたい、社内にたまった知見を使って進めたいという形なら、応募先を選んだ理由につながります。
▽言い換えた志望動機の例
| 例 | ひとつのシステムに長く関わり、改善を重ねていく働き方をしたいと考え、貴社を志望しました。 現職では常駐先ごとに担当するシステムが変わり、稼働後の改善まで見届けられない場面が続きました。利用者の声を受けて改善する段階まで携わりたいという思いが強まっています。 なかでも貴社は〇〇業界のシステムを長期的に手がけており、腰を据えて取り組める環境だと感じています。これまでの開発経験を活かし、使い続けられるシステムづくりに貢献したいと考えています。 |
案件を自分で選べない
扱う業界も技術も、配属やアサインが決まってはじめて決まります。関心を持った分野があっても、次の案件では別の業界を担当することになり、知識を積み重ねにくくなります。ただ、SIerのなかには特定の業界に強みを持ち、同じ分野の案件を長く手がける企業もあります。応募先の選び方で状況は変わります。
この状況をそのまま書くと、採用担当者は、希望の案件がなければまた辞めるのではないかと考えます。
選べない不満ではなく、深めたい分野の宣言に言い換えましょう。 どの業界のどんな業務を扱いたいのかを挙げ、その分野に強い応募先を選んだ理由とつなげます。
▽言い換えた志望動機の例
| 例 | 金融業務の知識を深め、その領域に強いエンジニアになりたいと考え、貴社を志望しました。 現職では複数の業界のシステムに携わり、そのなかで金融業務の仕組みに関心を持ちました。案件ごとに扱う分野が変わるなかで、ひとつの業界を掘り下げたいという思いが強まっています。 なかでも貴社は金融機関向けの案件を長く手がけており、業務知識を積み上げられる環境だと感じています。これまでの開発経験を活かし、業務に踏み込んだ提案ができるエンジニアとして貢献したいと考えています。 |
残業が多く生活に余裕がない
残業を減らしたいという希望は、そのままでは志望理由になりません。労働時間の長さは、応募先で何をしたいのかという話につながらないためです。
志望動機の中心に置くと、採用担当者は、仕事への関心よりも条件を優先していると受け取ります。待遇を重視すること自体は自然な判断ですが、志望動機とは分けて伝えましょう。
残業が生まれる背景に目を向けて、別の切り口から志望理由を立てます。 手戻りの多さや品質のばらつきに課題を感じているなら、開発の進め方や品質への取り組みを志望理由にできます。
▽言い換えた志望動機の例
| 例 | 品質を保ちながら開発を進める体制のなかで力を伸ばしたいと考え、貴社を志望しました。 現職ではレビューが個人の判断に任されており、後工程で手戻りが生じる場面がありました。設計の段階から複数の目で確認する進め方を身につけたいという思いが強まっています。 なかでも貴社は設計レビューを体制として組み込んでおり、品質に向き合いながら開発を進められる環境だと感じています。これまでの開発経験を活かし、手戻りの少ない進め方でチームに貢献したいと考えています。 |
SIer転職のプロに相談
志望動機に説得力を持たせる差別化のコツ
基本の型に沿って書けても、内容がありきたりだとほかの応募者に埋もれてしまいます。一歩踏み込んで差をつけるために、次の4つを意識してみましょう。
- 応募先の業界知識への理解を示す
- 最新の技術を学び続ける姿勢を伝える
- これまでの実務経験を企業の課題と結びつける
- 転職エージェントを活用する
ひとつずつ見ていきます。
応募先の業界知識への理解を示す
SIerは金融や製造、公共など特定の業界に深く関わるため、その業界の知識があると強みになります。技術力だけでなく業界への理解を示せると、入社後すぐに顧客と向き合えそうだという印象につながります。
たとえば金融系のシステムに強いSIerなら、金融業界の動向や規制、業務の流れに触れながら志望理由を書くと説得力が増します。現職で関わった業界が応募先と重なる場合は、その業務知識を積極的に伝えましょう。
業界経験がない場合も、応募先が関わる業界のニュースや課題を調べておきましょう。 なぜその業界のシステムに関心を持ったのかまで掘り下げると、意欲と本気度が伝わります。
最新の技術を学び続ける姿勢を伝える
IT業界は技術の移り変わりが速く、SIerでも新しい技術への対応力が問われる場面が増えています。そのため、自ら学び続ける姿勢を示せると、変化に対応できる人材として評価されやすくなります。
たとえばクラウドやAIなど、応募先が力を入れている技術領域に触れ、自分が学んでいることや関心を具体的に伝えると効果的です。資格の取得や学習の継続など、行動が伴っていればより説得力が増します。
ただし、すべての案件で最新技術が求められるわけではありません。応募先が扱う技術や案件の傾向を踏まえ、自分の学習姿勢がどう活きるかを結びつけることが大切です。
これまでの実務経験を企業の課題と結びつける
ほかの応募者と差がつきやすいのが、自分の実務経験を応募先の課題と結びつけて書けるかどうかです。経験を並べるだけの応募者が多いなかで、「この課題にこう活かせる」と具体的に書けると、入社後の活躍を想像してもらいやすくなります。
そのためには、応募先が今どこに力を入れているのかを読み取る作業が必要です。次の3つから、注力している領域を探してみましょう。
| 見るもの | 読み取れること |
|---|---|
| 中期経営計画・プレスリリース | 今後伸ばそうとしている事業や技術領域 |
| 求人票の募集職種 | 増やしたい人材と、人手が足りていない工程 |
| 取引先や顧客の業界構成 | 主に担当している業界と案件の性質 |
経験を棚卸ししたうえで、応募先ごとに「自分なら何を解決できるか」をひと言加えるだけでも、志望動機が与える印象は大きく変わります。
転職エージェントを活用する
ここまでのコツをひとりで実践するのは、簡単ではありません。応募先の課題を読み解いたり、自分の経験をどう結びつけるか判断したりするには、客観的な視点があると心強いものです。そこで有効なのが、転職エージェントの活用です。
エージェントを利用すると、次のようなサポートを受けられます。
- 応募先企業の事業内容や求める人物像を教えてもらえる
- 自分の経験のどこをアピールすべきか整理してもらえる
- 志望動機の添削や面接対策を受けられる
とくにSIerやエンジニアの転職に強いエージェントなら、企業ごとの傾向を踏まえた助言が期待できます。 テックゴーは、ITエンジニア領域に特化した転職エージェントです。元エンジニアやITコンサル出身のアドバイザーが、志望動機の作り込みや企業選びをサポートします。
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面接で志望動機を深堀りされたときの対応方法
志望動機は、書類を出して終わりではありません。面接では、書いた内容をもとにさらに掘り下げられます。
ここでは、SIerの面接でよく問われる4つの質問への答え方を紹介します。
- 「今の会社では実現できないのか」と問われたとき
- 「なぜWeb系ではなくSIerなのか」と問われたとき
- 「なぜこのSIerなのか」と問われたとき
- 「入社後にどう活躍したいか」と問われたとき
あらかじめ答え方を押さえておけば、当日も落ち着いて対応できます。
「今の会社では実現できないのか」と問われたとき
この質問で面接官が確かめているのは、転職でしか実現できない理由があるかどうかです。現職でも叶うことを転職の理由にしていると、すぐにまた辞めてしまうのではないかと懸念されます。
答えるときは、不満をぶつけるのではなく、現状、実現が難しい点を事実として伝えましょう。「現職は仕様が決まったあとの工程が中心で、顧客の課題に関わる機会が限られる。だからこそ上流工程に強い御社で挑戦したい」というように、現在の状況と志望先の特徴を対比させると説得力が出ます。
いま置かれている状況を否定的に表現する必要はありません。力を尽くしたうえで次の環境を求めているという姿勢が伝われば、対比を語っても、経験が足りないという印象にはつながらないでしょう。
「Web系ではなく、なぜSIerなのか」と問われたとき
この質問で見られているのは、IT業界のなかでSIerを選んだ理由を自分の言葉で説明できるかどうかです。SIerとWeb系・自社開発では、開発の進め方も顧客との関わり方も異なるため、その違いを理解したうえで選んでいるかが問われます。
答えるときは、SIerならではの魅力と自分の志向が一致している点を伝えましょう。「自社サービスを磨き続ける働き方よりも、さまざまな業界の顧客の課題を理解し、要件定義から関わって解決したい」というように、SIerの特徴と結びつけると説得力が増します。
SIerが顧客の課題を起点に動く仕事だと理解していれば、顧客の業務に深く入り込みたいという志向を、SIerを選ぶ理由として自然に説明できます。
「なぜこのSIerなのか」と問われたとき
この質問で確かめられているのは、数あるSIerのなかからその会社を選んだ理由を具体的に説明できるかどうかです。SIerは企業ごとに得意な業界や工程が異なるため、業界全体の魅力だけでは、どこでもいいのではないかと受け取られてしまいます。
答えるときは、応募先ならではの特徴と自分の志向を結びつけましょう。「御社は金融業界の基幹システムに長く携わっており、ひとつの業界に腰を据えて業務知識を深めたい自分の志向と合っている」というように、その企業だからこそ惹かれた点を挙げると説得力が出ます。
メーカー系・ユーザー系・独立系のどれにあたるか、どの業界や工程に強みを持つのかを調べておけば、他社ではなくその会社を選んだ理由を言葉にできます。企業の特徴を具体的に挙げられるほど、志望度の高さが伝わります。
「入社後にどう活躍したいか」と問われたとき
この質問で見られているのは、入社後の活躍を具体的にイメージできているかどうかです。がんばります、成長したいですという意気込みだけでは、実際にどう貢献してくれるのかが面接官に伝わりません。
答えるときは、自分の経験を踏まえ、どの業務でどう力を発揮したいのかを具体的に伝えましょう。「これまでの開発経験を活かして、まずは設計・開発で成果を出し、ゆくゆくは要件定義で顧客の課題解決に関わりたい」というように、短期と中長期の両方で描くと現実味が高まります。
このとき、応募先が手がける案件や事業領域と結びつけることが大切です。面接官がその会社で働く姿を思い描ける粒度で話せると、ミスマッチの少ない人材だと評価されやすくなります。
面接対策は回数無制限

エンジニア面接の完全ガイド|よく聞かれる質問と通過率を上げる対策法を解説
SIer転職の志望動機づくりならテックゴー
ここまで志望動機の書き方やコツを解説してきましたが、「自分ひとりではうまく言語化できない」「客観的に見てほしい」と感じる方もいるでしょう。現職の不満をどう言い換えるか、自分の経験が応募先でどう評価されるかは、自分だけで判断しにくい部分です。
そんなときは、エンジニアの転職に強い「テックゴー」がサポートします。
- エンジニア・ITコンサル領域に特化しており、SIerの上流案件の求人を多数保有
- アドバイザーは元エンジニア・ITコンサル出身者が多く、現場感覚に基づいてサポート
- 面接対策は回数無制限で、志望動機の深掘りにも備えられる
- 年収アップ金額は平均144万円(※1)
- 年収アップ成功率は86%(※2)
自分の経験がSIerでどう評価されるかわからない、志望動機に自信が持てないという方は、まず気軽に相談してください。専門知識を持つアドバイザーが、志望動機の整理から企業選びまで一緒に進めます。
(※1)2026年3月に内定承諾をし、年収アップを実現された方の平均実績 (※2)同期間に内定を承諾された方のうち、年収アップを実現された方の割合
SIer転職・キャリアの悩み
まとめ
この記事では、SIerの志望動機の書き方を、評価されるポイントや例文、NG例とともに解説しました。志望動機が書けない原因は、文章力ではありません。年収や担当工程、働き方といった現職の不満を、応募先で何を実現したいのかという言葉に置き換えられていないことにあります。
まずは、現職で何に行き詰まっているのかを1行で書き出してみましょう。その不満を、どの工程を担いたいか、どの分野を深めたいかという形に言い換えれば、志望理由の骨格ができます。あとは応募先に固有の情報を足すだけで、どのSIerにも当てはまる文章から抜け出せます。
この記事で紹介した5つの言い換えパターンと例文を、自分の経歴に置き換えながら組み立ててみてください。 それでも、自分の経験をどう伝えれば評価されるのか判断がつかないときは、テックゴーにご相談ください。SIerの現場に詳しいアドバイザーが、志望動機の作り込みから企業選び、面接対策まで転職活動を伴走します。
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よくある質問
志望理由で使用NGなワードはありますか?
志望理由で避けたほうがよい表現はあります。一見前向きに見えても、受け身な印象を与えたり、どの企業にも当てはまったりする言葉です。代表的なNGワードと、言い換えの方向は次のとおりです。
・「成長したい」「学びたい」→「これまでの〇〇の経験を活かし、△△で貢献したい」 ・「安定しているから」「残業が少なそう」→「腰を据えて長期プロジェクトに関わりたい」 ・「社会の役に立ちたい」→「〇〇業界のシステムを支え、△△の課題を解決したい」
いずれも、自分が受け取る姿勢で終わらせず、どう貢献したいのかまでセットで伝えると、主体性が伝わって前向きな志望動機に変わります。
SIerで活かしやすい強みはなんですか?
技術力はもちろんですが、それ以外にもSIerで評価されやすい強みがあります。とくに転職の場合は、前職で培った力を持ち込めるとアピールにつながります。代表的なものは次のとおりです。
・コミュニケーション力:顧客の要望をヒアリングし、わかりやすく伝えられる ・調整力:関係者の間に立ち、プロジェクトを円滑に進められる ・課題解決力:業務の背景を理解し、解決策を筋道立てて考えられる ・業界知識:前職で関わった業界の業務理解を活かせる
たとえば営業や接客の経験がある場合、顧客折衝の力はSIerの要件定義で活きます。IT以外の職種で培った力も、SIerの業務に結びつけて語れば立派な強みになります。応募先のSIerの業務内容を理解したうえで、自分の経験がどの場面で活かせるかを言語化しましょう。
志望動機が理由で不採用になることはありますか?
志望動機が理由で不採用になる可能性はあります。SIerの選考では、技術力やスキルだけでなく、顧客やプロジェクトにどう向き合うかという志向性まで見られるためです。
ただし、志望動機だけで一律に合否が決まるわけではありません。評価を下げやすいのは、志望理由が抽象的すぎる、どのSIerにも当てはまる、仕事内容の理解が浅いといった内容です。これらは、自社への志望度が低い、入社後にミスマッチが起きそうだと受け取られます。
不安がある場合は、転職エージェントなど第三者に客観的に見てもらうのもひとつの方法です。 自分では気づきにくい抽象的な表現を、指摘してもらえます。
志望動機は何文字くらいで書けばよいですか?
志望動機の文字数は、200〜300字程度が目安です。この分量であれば、応募先を選んだ理由と自分の経験を、どちらも具体的に書けます。
ただし、企業の記入欄や応募媒体によって適切な長さは変わります。欄が小さい場合は、応募先を選んだ理由を優先して残しましょう。
文字数を埋めるために要素を増やすと、ひとつひとつが浅くなります。 伝えたいことをひとつに絞り、具体的なエピソードを添えて書くほうが、読み手に届きます。
