ユーザー系SIerはどんな業務をするのか?内販外販・キャリアパスまでエンジニア転職のプロが徹底解説
2026年02月04日更新
ユーザー系SIerは、親会社となる事業会社のIT部門を起点に発展してきたSIerです。
業務システムや基幹システムを通じて、企業のビジネスを支える役割を担う一方で、「安定して働ける」「上流工程に関われる」といったイメージだけで判断すると、転職後にギャップを感じる可能性があります。
本記事では、ユーザー系SIerの定義や業務内容、内販・外販の違い、他のSIerとの比較を整理したうえで、転職を考える際に大切にしたい判断軸やキャリアパスまでをわかりやすく解説します。
著者

川村 莉子
Kawamura Riko
名古屋工業大学卒業後、新卒でDirbatoに入社。通信会社に対する業務改善プロジェクトや次世代ネットワーク移行案件のPMOなどに従事。自身のコンサルタント経験を活かした、IT系コンサルファームへの開発支援を得意とする。
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監修者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
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目次
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ユーザー系SIerとは
ユーザー系SIerとは、親会社となる事業会社のIT部門を母体として設立されたSIerを指します。自社グループや特定業界の業務に精通し、システムの企画・開発・運用を一貫して担う点が特徴です。
ここからは、ユーザー系SIerの基本的な定義や成り立ち、代表的な企業について詳しくみていきましょう。
ユーザー系SIerの定義
ユーザー系SIerとは、金融・通信・製造・流通などの事業会社が、社内の情報システム部門を分社化して設立したSIerを指します。主に親会社やグループ企業の業務を支える立場にあり、業界特性や業務フローを深く理解したうえで、システムの企画・開発・運用に携わる点が大きな特徴です。
一般的なユーザー系SIerには、次のような傾向がみられます。
一般的なユーザー系SIerの主な特徴
- 親会社・グループ企業向けのシステム開発(内販)が中心である
- 業務システムや基幹システムに長期的に関わるケースが多い
- 要件定義など上流工程に携わる機会が比較的多い
- 事業側と近い立場でシステムを考える文化がある
一方で、企業によっては外部顧客向けの開発(外販)も行っており、働き方やキャリアの広がり方には企業ごとに大きな違いがあります。
ユーザー系SIerが生まれた背景
ユーザー系SIerは、事業会社の情報システム部門としてスタートしました。
企業規模の拡大に伴い、社内で利用するITシステムが増加・高度化し、システム開発や運用を専門に担うエンジニア組織の必要性が高まったことが背景にあります。その結果、情報システム部門が分社化され、子会社や関連会社として独立するケースが増えました。
こうした動きは、社内ITの品質向上や運用効率の改善に加え、外部向け開発による収益機会を広げる目的もあり、ユーザー企業をルーツに持つSIerとしてユーザー系SIerが確立されていったのです。
ユーザー系SIerの代表的な企業例
ユーザー系SIerには、**親会社やグループ企業の情報システム部門がルーツとなる大手企業が多く存在します。主に自社グループ向けのシステム開発・運用を手掛けるケースが中心ですが、事業規模や業界の特性によって対応領域や働き方が異なる点も特徴です。
代表的なユーザー系SIer企業には、以下のような企業があります。
代表的なユーザー系SIer企業例
- 株式会社NTTデータ
- 株式会社電通総研
- 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
- 日鉄ソリューションズ株式会社
- SCSK株式会社
- 株式会社野村総合研究所
- 株式会社JR東日本情報システム
- ヤマトシステム開発株式会社
- 東京海上日動システムズ株式会社
- インフォコム株式会社
これらの企業は、金融や通信、商社、製造、物流など多様な業界を背景に持ち、業務知識と技術力を組み合わせたSIサービスを提供しています。親会社の基幹システムを長期的に支えるケースも多く、安定した働き方や上流工程に関与できる点が特徴です。
ユーザー系SIerの業務内容
ユーザー系SIerは、親会社やグループ企業の事業を支える立場として、システムの企画段階から開発、運用まで幅広い業務に関わります。特定の工程に限定せず、業務全体を俯瞰しながらシステムを支えていく点が特徴です。
主な業務内容は、次のとおりです。
ユーザー系SIerの業務内容
- 業務システム・基幹システムの企画・開発
- 要件定義・設計など上流工程の業務
- システム開発・運用保守など下流工程の業務
ここからは、それぞれの業務内容について詳しくみていきましょう。
業務システム・基幹システムの企画・開発
ユーザー系SIerでは、親会社やグループ企業が実際に利用する業務システムや基幹システムの企画・開発を重要な役割として担います。単なるシステム構築にとどまらず、システム化の目的を整理し、事業にどのような価値をもたらすかを検討する段階から関与する点が特徴です。
企画・開発の主な業務は、次のとおりです。
企画・開発の主な業務内容
- 現状の業務フローの把握・課題の整理
- システム化による改善ポイントの抽出
- システム要件の策定や優先順位の検討
- 開発計画・スケジュールの立案
業務システムは日々の業務と密接に関係しているため、企画段階から事業部門と連携し、業務内容を正しく理解したうえで設計を進める必要があります。特に基幹システムでは、企業活動全体を支える役割を担うため、効率性や拡張性に加え、高い品質と安定性を前提とした設計が重視されているのです。
要件定義・設計など上流工程の業務
ユーザー系SIerの上流工程では、システム開発の前提となる要件定義や設計業務を担います。この工程は、システムをどのような形で実現するかを定める重要なフェーズであり、業務担当者の要望を整理し、必要な機能や仕様を明確にしていく役割があります。
上流工程で担当する主な業務内容は次のとおりです。
上流工程の主な業務内容
- 事業部門とのヒアリングによる業務要件の整理
- システム要件の明確化
- 画面設計・データ設計などの基本設計
- 詳細設計への橋渡しと仕様書作成支援
上流工程は、開発品質や後工程の進行に大きく影響する工程です。そのため、利用者の業務を正しく理解する視点と、システムとして実現可能な仕様に落とし込む調整力が求められます。ユーザー系SIerでは事業部門と密接に連携して要件定義を行う機会が多く、上流工程の実務経験を積みやすい点が特徴です。
システム開発・運用保守など下流工程の業務
ユーザー系SIerでは、要件定義や設計で整理した内容をもとに、実際のシステムを構築するシステム開発や、稼働後の運用保守といった下流工程を担当します。開発工程では、仕様に沿った実装や各種テストを行い、運用保守ではシステムの安定稼働を維持しながら、継続的な改善を進めていきます。
下流工程における主な業務内容は次のとおりです。
下流工程の主な業務内容
- プログラミングおよび単体テスト
- 結合・総合テストの実施
- 本番リリースや環境構築支援
- 運用・保守対応(障害対応、定期更新、改善提案など)
下流工程は、システムの品質や信頼性を左右する重要な工程です。ユーザー系SIerでは、グループ企業の業務と密接に関わるケースが多く、業務理解を踏まえた開発や運用改善が求められます。
また、運用保守を通じて利用者と継続的にコミュニケーションを取ることで、新たな要件や改善点を把握する役割を担うことも少なくありません。
内販・外販とは?ユーザー系SIerの働き方
ユーザー系SIerの働き方を理解するうえで欠かせないのが、「内販」と「外販」という区分です。
内販は親会社やグループ企業向けのシステム開発を指し、外販は外部の企業や組織に対するシステム開発を指します。どちらの比重が高いかによって、プロジェクトの進め方や働く環境、身につくスキルや経験には違いが生まれやすくなります。
ここでは、内販・外販それぞれの基本的な考え方と特徴を整理し、ユーザー系SIerならではの働き方をみていきましょう。
内販の基本的な考え方
内販とは、ユーザー系SIerが親会社やグループ企業向けにシステムの開発・運用を行う形態を指します。事業会社のITパートナーとしての位置づけが強く、業務内容を深く理解したうえで、システムを中長期的に支えていく点が特徴です。
内販における基本的な考え方は、次のとおりです。
内販の主な考え方
- 親会社・グループ企業の業務を支えることを重視する
- 業務システムや基幹システムを中長期的に担当する
- 事業部門と密に連携し、要件整理や改善提案を行う
- 安定稼働と継続的な運用改善を重要視する
内販では、システムを構築して終わりではなく、事業環境の変化に対応しながら継続的に改善を行う姿勢が求められます。そのため、技術力に加えて、業務理解や関係者との調整力も重要なスキルとなるでしょう。
外販の基本的な考え方
外販とは、ユーザー系SIerが親会社やグループ企業以外の顧客に対して、システム開発や運用サービスを提供する形態を指します。内販に比べて関わる業務や顧客の業種が幅広く、多様なプロジェクトを経験できる点が特徴です。
外販における基本的な考え方は、次のとおりです。
外販の主な考え方
- 複数の顧客に対してシステム開発・運用サービスを提供する
- 顧客ごとに異なる業務要件や課題に対応する
- さまざまな業界の業務知識や技術スキルを習得できる
- 品質や納期など、成果に対する責任が明確に求められる
外販では、顧客や業務内容がプロジェクトごとに異なるため、技術的な対応力に加えて、円滑なコミュニケーション力や調整力が欠かせません。複数のプロジェクトを通じて経験を積むことで、業務理解や開発手法の幅を広げやすい点も外販の特徴といえるでしょう。
内販・外販で変わる働く環境の違い
ユーザー系SIerにおける「内販」と「外販」は、業務の進め方や働く環境に大きな違いをもたらします。どちらの比重が高いかによって、担当するプロジェクトの性質や関係者との関わり方、評価のされ方にも差が生じます。
内販・外販それぞれの働く環境の特徴は、次のとおりです。
内販での働き方の特徴
- 親会社やグループ企業と密に連携しながら業務を進める
- 自社グループの業務に深く関わるため、長期的・継続的なプロジェクトが多い
- 仕様変更や改善提案にも柔軟に対応しやすい
- 事業部門との調整やコミュニケーションが日常的に発生する
外販での働き方の特徴
- 複数のクライアントと契約し、プロジェクト単位で業務を進める
- 納期や品質といった成果が評価につながる
- 顧客ごとに異なる要望や文化に対応する必要がある
- プロジェクトごとにチーム構成や働き方が変わる場合もある
このように、内販は事業側との対話を軸にじっくり取り組む環境、外販は多様な顧客要求に応えながら成果を出す環境といった違いがあります。どちらが自分の働き方に適しているかは、キャリアの志向や価値観によって異なると覚えておきましょう。
内販・外販がエンジニアのキャリアに与える影響
内販と外販は、働き方の違いだけでなく、エンジニアのキャリア形成にも大きな影響を与えます。どちらの比重が高い環境で経験を積むかによって、担当する業務の幅や身につくスキル、将来描けるキャリアパスに違いが生まれます。
内販でのキャリアへの影響
- 親会社・グループ企業の業務に深く関わるため、業務理解が深まる
- 同じシステムを長期的に担当することで、改善提案や運用支援まで幅広く経験できる
- 事業部門とのコミュニケーションを通じて、ビジネス視点での思考力が育まれる
外販でのキャリアへの影響
- 異なる顧客・業界のプロジェクトに関わることで、幅広い開発経験が得られる
- プロジェクトごとに求められる要件や技術が変わるため、柔軟な技術適応力が身につく
- 納期や成果に対する責任が明確に問われる場面が多く、成果志向のスキルが養われやすい
内販は業務や事業理解を深めやすい一方で、外販は技術領域やプロジェクト経験の幅を広げやすい点が特徴です。目指すキャリアによって、内販・外販で得られる経験の価値は大きく異なります。
独立系・メーカー系SIerとの違い
SIerには、ユーザー系のほかに「独立系SIer」や「メーカー系SIer」といった分類があります。成り立ちや事業モデルの違いは、業務内容や働き方、身につくスキルにも大きく影響します。
ここではユーザー系SIerを軸に、独立系・メーカー系SIerとの違いを詳しくみていきましょう。
ユーザー系SIerと他のSIerとの違い
ユーザー系SIer・独立系SIer・メーカー系SIerは、いずれも同じ「SIer」に分類されますが、主な顧客や案件の性質、身につきやすい経験には違いがあります。
転職先を検討する際は、企業名や待遇だけでなく、どのような環境でどんな経験を積めるのかを軸に比較することが重要です。
ここでは、エンジニア目線で判断しやすいポイントを詳しくみていきましょう。
ユーザー系SIerと他のSIerの違い
| 項目 | ユーザー系SIer | 独立系SIer | メーカー系SIer |
|---|---|---|---|
| 成り立ち | 事業会社のIT部門が分社化 | 親会社を持たず独立して設立 | IT・ハードウェアメーカーのIT部門が分社化 |
| 主な顧客 | 親会社・グループ企業 | 外部企業 | 親会社+外部企業 |
| 案件の特徴 | 長期・継続案件が多い | 案件ごとに変わる | 中〜大規模案件が多い |
| 得られる経験 | 業務理解・上流工程 | 技術の幅・開発経験 | 製品・インフラ知識 |
| 技術の自由度 | 比較的高い | 高い | 制約がある |
| 向いている人 | 安定志向・業務重視 | 成長志向・技術重視 | 技術特化志向 |
このように、ユーザー系SIerは業務理解や上流工程に強みがあり、独立系SIerは技術領域や開発経験の幅を広げやすい傾向があります。一方、メーカー系SIerは特定の製品や基盤技術を深く扱える環境が特徴です。
どの分類が適しているかは、安定性を重視するのか、成長機会を重視するのか、専門性を深めたいのかといったキャリア志向によって大きく異なります。
【転職者向け】エンジニアから見たSIerの分類と違い
SIerは同じ「エンジニア職」であっても、分類によって評価されやすいポイントや身につく経験の方向性が異なります。転職を考える際は、企業規模や知名度だけでなく、「どのような経験が積めるか」「将来どんなキャリアにつながるか」という視点で比較することが重要です。
エンジニアの転職では、次のような観点が評価やキャリアに影響します。
転職目線で見た評価やキャリアに影響するポイント
- どの工程にどれくらい関われるか
- 技術の幅と深さのどちらを伸ばしやすいか
- 業務理解・ビジネス視点が求められるか
- キャリアの安定性と変化の大きさ
たとえば、ユーザー系SIerでは業務理解や上流工程での経験が評価されやすく、事業部門と近い立場でシステム改善に関わるキャリアを描きやすい傾向があります。業務とITの両面から価値を出したい人や、安定した環境で経験を積みたい人に向いた選択肢といえるでしょう。
一方、独立系SIerでは、技術力や開発経験の幅が評価につながりやすく、さまざまな業界・技術に触れながらスキルを広げていくキャリアを描きやすい環境です。エンジニアとしての市場価値を高めたい人や、技術志向の強い人に適しています。
メーカー系SIerは、特定の製品やインフラ基盤を軸とした専門性が評価されやすく、限られた技術領域を深く掘り下げていくキャリアと相性の良い分野です。専門分野を明確にし、その分野で強みを築きたい人に向いた環境といえるでしょう。
このように、SIerの分類ごとに「評価されるポイント」や「キャリアの広がり方」は異なります。どの分類が正解ということはなく、自分の志向や将来像に合った環境を選ぶことが、転職後の満足度を左右すると覚えておきましょう。
ユーザー系SIerで働くメリット・デメリット
ユーザー系SIerには、安定性や上流工程の経験といった魅力がある一方で、技術の幅やスピード感を重視する人にとっては注意が必要な側面もあります。
ここでは、メリット・デメリットの両面から、ユーザー系SIerに向いている人の特徴を詳しくみていきましょう。
ユーザー系SIerで働くメリット
ユーザー系SIerで働く大きなメリットは、事業に近い立場でITに関われる点です。親会社やグループ企業の業務を深く理解しながら、システムの企画から開発、運用まで一連の工程に関わる機会が多く、長期的な視点で経験を積みやすい環境といえます。
ユーザー系SIerで働く主なメリットは、次のとおりです。
ユーザー系SIerで働く主なメリット
- 業務理解を深めながらシステム開発に携われる
- 要件定義など上流工程を経験しやすい
- 長期・継続的なプロジェクトが多く、腰を据えて取り組める
- 親会社を背景に、比較的安定した働き方がしやすい
このような環境は、業務とITの両方を理解し、事業に貢献できるエンジニアを目指したい人にとって、大きな強みとなります。
ユーザー系SIerで働くデメリット
ユーザー系SIerは比較的安定した環境で働ける反面、キャリアの方向性によっては注意しておきたい点もあります。担当する業務や技術領域が長期間固定されるケースもあるため、自分の志向や成長イメージと合っているかを事前に確認することが大切です。
ユーザー系SIerで働く主なデメリットは、次のとおりです。
ユーザー系SIerで働く主なデメリット
- 親会社やグループ企業向けの案件が中心となり、扱う技術領域が限定されやすい
- 同一システムを長期間担当することで、業務に変化を感じにくい場合がある
- 企業によっては、最新技術や新しい開発手法に触れる機会が限られる
- 親会社の方針や業績の影響を受けやすい側面がある
こうした特徴から、技術トレンドを積極的に追いたい人や、短期間で多様なプロジェクトを経験したい人にとっては、物足りなさを感じることもあります。転職を検討する際は、企業ごとの事業内容や内販・外販の比率、担当できる案件の幅を確認しておくことが重要です。
メリット・デメリットから見える向き・不向き
ユーザー系SIerには安定して働きやすい魅力がある一方、キャリアの方向性によっては合わないと感じる場面もあります。
ここでは、ユーザー系SIerに向いている人・向いていない人の特徴を詳しくみていきましょう。
ユーザー系SIerに向いている人の特徴
- 事業や業務の流れを理解しながら、ITを通じて課題解決に関わりたい人
- 要件定義や改善提案など、上流工程を中心に経験を積みたい人
- 同じシステムや業務に長期的に関わり、継続的な改善を行いたい人
- 安定した環境で腰を据えてキャリアを築いていきたい人
ユーザー系SIerに向いていない人の特徴
- 短期間で多様な技術や案件を次々に経験したい人
- 最新技術やトレンドを常に追い続ける働き方を重視したい人
- 頻繁な環境変化や刺激のあるプロジェクトを求める人
- 特定の技術分野に特化したキャリアを最優先したい人
ユーザー系SIerは、業務理解とITを掛け合わせたキャリアを築きたい人に適した環境です。一方で、成長スピードや技術領域の広さを重視する場合は、独立系SIerやメーカー系SIerなど、他の選択肢と比較する視点も欠かせません。
ユーザー系SIerへの転職を考える際に大切にしたい判断軸
ユーザー系SIerへの転職を検討する際は、「今できる仕事」だけでなく、「将来目指したいキャリア像」を起点に判断することが重要です。
転職を検討する際に特に意識しておきたい判断軸は、次のとおりです。
ユーザー系SIerへの転職を考える際に大切にしたい判断軸
- 将来のキャリアから逆算して考える
- 技術力とビジネス理解のバランスをどう取るかを意識する
- 会社構造と働き方の安定性を理解する
ここからは、それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
将来のキャリアから逆算して考える
ユーザー系SIerへの転職を考える際は、目先の業務内容や年収条件だけで判断するのではなく、「数年後にどのようなエンジニアになっていたいか」を起点に考えることが重要です。
ユーザー系SIerでは、業務理解を深めながら要件定義や運用改善などの上流工程に関わる経験を積みやすい一方、特定技術を深掘りするキャリアとは方向性が異なる場合もあります。
将来的にPMや企画寄りの役割を目指すのか、技術力を軸に専門性を高めたいのかを整理したうえで、そのキャリアに必要な経験が得られる環境かどうかを見極めていきましょう。
技術力とビジネス理解のバランスをどう取るかを意識する
ユーザー系SIerでは、システムを実装する技術力だけでなく、業務や事業の背景を理解したうえで判断する力が重視されます。単に仕様どおりに開発するのではなく、「なぜこの仕組みが必要なのか」「業務や事業にどのような影響を与えるのか」を踏まえて設計・改善に関わる場面が多いためです。
そのため、技術を突き詰めることを最優先にしたい人にとっては、成長の方向性にギャップを感じることもあります。一方で、ITを通じて事業全体に貢献したい人や、業務と技術をつなぐ役割を担いたい人にとっては、大きなやりがいを得やすい環境です。
自身が目指すエンジニア像に照らし、技術力とビジネス理解のどちらに軸を置きたいかを意識して判断していきましょう。
会社構造と働き方の安定性を理解する
ユーザー系SIerは、親会社やグループ企業を主な顧客とするケースが多く、事業基盤が比較的安定している点が特徴です。
内販比率が高い企業では、長期的なプロジェクトに携わりやすく、業務計画も立てやすいため、落ち着いた働き方を実現しやすい傾向があります。一方で、親会社の経営方針やIT投資の優先度によって、担当領域や業務内容が左右される可能性もあります。
そのため、転職時には内販・外販の比率だけでなく、親会社との関係性やプロジェクトの継続性まで確認しておくことが重要です。安定性を重視したいのか、変化や挑戦の多い環境を求めたいのか、自身の価値観と照らし合わせて判断する視点を意識しましょう。
ユーザー系SIerで描けるエンジニアのキャリアパス
ユーザー系SIerでは、業務理解とITスキルの両方を活かしながら、さまざまなキャリアパスを描くことができます。
ユーザー系SIerで描けるエンジニアの代表的なキャリアパスは、次のとおりです。
ユーザー系SIerで描けるエンジニアのキャリアパス
- ジェネラリストとしてのキャリアパス
- スペシャリストとしてのキャリアパス
- マネージャー職としてのキャリアパス
- 事業会社IT部門・フリーランスへのキャリア
それぞれのキャリアパスの具体的な内容を詳しくみていきましょう。
ジェネラリストとしてのキャリアパス
ユーザー系SIerでのジェネラリストは、業務理解と技術スキルの両方をバランスよく身につけていくキャリアのことです。
特定の技術領域に限定せず、要件定義や設計、開発、運用といった工程を横断的に経験することで、システム全体を俯瞰できる視点を養うことができます。事業会社に近い立場で働くユーザー系SIerでは、業務の流れを理解したうえでITを活用する力が重視されやすい点も特徴です。
ジェネラリストとして成長するには、次のようなスキルと経験が求められます。
ジェネラリストに求められる主なスキル・経験
- 業務フローや業界特性を理解する力
- 要件定義・設計など上流工程の知識と経験
- 関係部署やベンダーと調整するコミュニケーション力
- システム全体を見渡して判断する俯瞰的な視点
- 課題を整理し、改善につなげる提案力
これらのスキルを積み重ねることで、単なる実装担当にとどまらず、業務改善やプロジェクト推進の中心的な役割を担いやすくなります。将来的には、プロジェクトマネージャーや企画寄りのポジションなど、事業とITをつなぐ存在として活躍の幅を広げていくことも可能です。
スペシャリストとしてのキャリアパス
ユーザー系SIerでスペシャリストを目指す場合、特定分野の技術や知識を深く掘り下げ、専門性を強みにキャリアを築いていく道もあります。
要件定義から運用まで一貫して関わる環境のなかで、技術的な判断や改善提案を任される立場へと成長していくのが特徴です。単なる実装担当ではなく、特定分野において「この領域ならこの人」と評価されるような、技術的信頼を築くキャリアといえます。
ユーザー系SIerでスペシャリストとして評価されやすいスキル・経験には、次のようなものがあります。
スペシャリストとして求められる主なスキル・経験
- 特定技術やシステムに対する深い理解と実務経験
- 既存システムの課題を技術的に分析し、改善につなげた経験
- 設計段階から関与し、技術的な判断や方針決定を行った経験
- 障害対応やトラブルシューティングを通じた問題解決力
- 業務要件を踏まえたうえで、技術面から最適解を提示できる力
こうしたスキルを積み重ねることで、プロジェクト内の技術的な中核を担う役割を任されるようになります。ユーザー系SIerでは業務理解が深まりやすいため、「技術を深めながら、事業価値にも貢献できるスペシャリスト」を目指しやすい点が大きな特徴です。
マネージャー職へのキャリアパス
ユーザー系SIerでのマネージャー職は、プロジェクトやチームを統括し、成果を安定的に生み出すための全体マネジメントを担うポジションです。
技術的な知見を土台にしながら、人・プロセス・コストといった要素をバランスよく管理し、プロジェクトを前に進める役割が求められます。上流工程や関係部署との調整を経験するなかで、視野を広げながらマネジメント力を磨いていくのが一般的な流れです。
マネージャー職として求められる主なスキル・経験は、次のとおりです。
マネージャー職に求められる主なスキル・経験
- プロジェクト全体の計画立案・進行管理を行った経験
- 複数メンバーをまとめ、役割分担や進捗を管理した経験
- 事業部門や関係者との調整・合意形成を行うコミュニケーション力
- 品質・コスト・スケジュールを意識した意思決定力
- メンバー育成や評価に関わった経験
これらの経験を積むことで、PMやPLとしての役割にとどまらず、組織単位での計画策定や人材育成を担うマネージャーへとステップアップしていくことができます。
ユーザー系SIerでは事業部門と近い距離で業務を進めるため、事業視点と現場視点の両方を踏まえたマネジメント力を身につけやすい点も特徴です。
事業会社IT部門・フリーランスへのキャリア
ユーザー系SIerでの経験は、事業会社のIT部門やフリーランスといった別のキャリアへつなげやすい点が特徴です。
業務理解を前提にシステムに関わる立場だからこそ、単なる開発経験にとどまらず、企画や調整、改善まで含めた実務経験が評価されやすくなります。こうした経験は、社内ITを担うポジションや、外部から支援する立場のどちらでも活かせるでしょう。
事業会社IT部門やフリーランスへの転身で強みとなる主なスキル・経験は、次のとおりです。
事業会社IT部門やフリーランスへの転身で強みとなる主なスキル・経験
- 業務要件の整理や課題抽出を行った経験
- 事業部門や関係者と調整しながらプロジェクトを進めた経験
- システム企画・改善提案など上流工程に関わった実績
- 運用・保守を通じて業務改善を継続してきた経験
- 技術と業務の両面から説明・提案ができるコミュニケーション力
これらのスキルを備えていることで、事業会社のIT部門では「業務を理解して動けるIT人材」として評価されやすくなります。また、フリーランスとして独立する場合も、要件整理から提案、クライアント折衝までを一貫して対応できる点が、大きな強みとなるでしょう。
ユーザー系SIerへの転職ならテックゴーへ
要件定義や設計、開発、運用に関わるなかで、「このまま今の工程だけを続けていて、市場価値は高まるのか」「もっと上流工程や改善・企画に関わりたいが、今の環境では難しい」と感じるSIer系エンジニアは少なくありません。
特に、運用や下流工程が中心で、役割や評価基準が曖昧な場合、自分がどんなエンジニアとして成長しているのかを実感しにくく、将来像を描きづらくなりがちです。
こうした悩みを整理する際に活用できるのが、エンジニア特化の転職支援サービス 「テックゴー」 です。
テックゴーでは、SIerや事業会社の開発・インフラ領域に精通したアドバイザーが、要件定義・設計・開発・運用といったこれまでの経験を丁寧に整理し、上流工程や改善フェーズに関われるポジションの提案を行っています。
テックゴーの特徴
- 開発・インフラなど、技術領域に精通したエンジニア専門アドバイザーが対応
- 技術スタックやキャリア志向に合った求人を厳選して提案
- 非公開求人を含め、設計・改善フェーズに関われるポジションも豊富
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「このまま今の工程にとどまっていていいのか不安」「SIerとしての経験が、他社でも通用するのか知りたい」と感じている方も、まずは無料相談から利用できます。
今後のキャリアの可能性を広げるためにも、一度テックゴーのキャリア相談を利用してみるのも一つの選択肢です。
まとめ
ユーザー系SIerは、事業会社のITパートナーとして、業務に密接に関わりながらシステム開発に携われるのが大きな特徴です。
要件定義や設計などの上流工程に携わる機会も多く、中長期的な視点で経験を積みやすい一方、案件や技術領域が固定化しやすい側面もあります。そのため、自身が描きたいキャリアと合っているかを意識して選ぶことが重要です。
ユーザー系SIerでの経験は、社内でのキャリアアップだけでなく、事業会社のIT部門など別の環境へ広げていく土台にもなります。今の業務が将来につながっているかを、定期的に見直していきましょう。
「このまま成長できるのか不安だ」「自分の経験の市場価値を知りたい」と感じている方は、エンジニア特化の転職支援サービス「テックゴー」の無料キャリア相談を活用してみてください。
SIer業界に精通したアドバイザーが、これまでの経験整理から今後のキャリアの方向性まで丁寧にサポートします。
