エンジニアのキャリアパス22職種|年収一覧と自分に合う選び方
2026年10月05日更新
エンジニアとして経験を積んできたものの、この先どの職種を目指せばいいのかわからないと悩んでいませんか。
エンジニアのキャリアパスは、スペシャリストやPM、ITコンサルタント、マネジメントなどさまざまです。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査でも、職種によって推計年収に300万円以上の差があります。
この記事で扱うのは、次の4点です。
- 22職種の仕事内容と平均年収の比較
- 3つの質問でわかる自分に合う方向性
- 20代・30代・40代以降の年代別の動き方
- 生成AI時代に価値が下がりにくい領域
読み終えるころには、次に目指す職種の候補が2〜3に絞れているはずです。

著者
江原 万理
(Ehara Mari)
大学を卒業後、事業会社を楽天グループにてマーケティングコンサルタントとしてMVPを受賞。ITエンジニアやCRM領域からIT系コンサルファームへの転職支援に強みを持つ。特に面接対策を強みとしており、量・質ともに業界トップクラスの転職成功率を有する。
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監修者
串田 聡太
(Kushida Sota)
明治大学卒業後、富士通株式会社にて、自社製品に加えSAPやSalesforce導入、DX提案などを経験。その後、パーソルキャリア株式会社にて、ITエンジニアの転職支援を担当。業界トップクラスの実績を有する。
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目次
CONTENTS
エンジニアのキャリアパスとキャリアプランの違い
キャリアパスとキャリアプランは似た言葉ですが、意味は異なります。キャリアパスは目標とする職種や役割までの道筋、キャリアプランは将来どのような働き方を実現したいかを考えた計画を指します。
- キャリアパスは企業が示す道筋
- キャリアプランは本人が組み立てる計画
たとえば、将来は技術力を活かして年収800万円を目指したいという希望がキャリアプランです。その実現に向けて、バックエンドエンジニアからテックリード、ITアーキテクトへ経験を広げる流れがキャリアパスにあたります。
エンジニアには、技術を極める道だけでなく、PMやEMなどのマネジメント、ITコンサルタントなど上流工程へ進む選択肢もあります。まず目指す働き方を整理し、必要な経験からキャリアパスを逆算することが重要です。
キャリアパスは目標に至るまでの道筋を指す
求人票の「キャリアパス」欄や、社内の等級制度の説明で目にするのがこちらの言葉です。目指す役割にたどり着くまでに、どの職種や工程を、どの順番で経験するかという道筋を指します。
エンジニアの典型的な流れを見てみましょう。まず実装とテストを担当し、そこから詳細設計、基本設計、要件定義へと担当範囲が上流に広がります。やがてプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーへ進むのが、これまで一般的とされてきた形です。ここに並んでいるのは「なりたい姿」ではなく、通過していく役割の順番です。
もともとは企業が従業員に示す昇進・昇格のルートを表す言葉です。「この等級に上がるには、一定規模の案件でこの役割を経験すること」という条件つきで定義されているケースが多くあります。
転職市場でも、見られているのは同じところです。書類選考で確認されるのは在籍年数ではなく、要件定義の場に入った経験があるか、基本設計をひとりで書き切ったことがあるかといった担当工程の到達点です。職務経歴書に「Javaでの開発5年」とだけ書いても、この到達点は伝わりません。担当した工程名を明記し、どこまで任されていたかがわかる形に書き換えましょう。
キャリアプランは働き方や生活も含めた計画を指す
面接で「今後のキャリアプランを教えてください」と聞かれ、答えに詰まった経験はないでしょうか。ここで採用担当者が知りたいのは、社内の昇進ルートをなぞれるかどうかではありません。転職や職種転換、働き方の希望まで含めて職業人生をどう設計しているかです。
違いは描く主体にあります。キャリアパスを用意するのは企業ですが、キャリアプランを組み立てるのは本人です。会社が示すルートの外側、たとえば上流工程への転向や他社への転職も含められます。内容も職務経歴だけにとどまらず、勤務地や残業時間、目指す年収まで織り込んで初めて計画の形になります。
面接では「マネジメントに興味があります」で止めないでください。3年以内にプロジェクトリーダーとして小規模チームの進行管理を担い、その先でPMを目指す、というように時期と役割、応募先での貢献をひと続きで語ると伝わります。
3つの質問でわかる!自分に合うキャリアパス診断

この先では22職種を紹介しますが、すべてを同じ熱量で読む必要はありません。先に方向性を絞っておけば、重点的に読む職種を3〜10職種まで減らせます。
判断材料にしてほしいのは、自分に向いていそうかという自己評価ではありません。直近1年でいちばん手応えがあった場面がどれだったかで考えてみてください。
- 質問1:技術を深めたいか、組織を動かしたいか
- 質問2:ひとつの領域を極めたいか、複数を横断したいか
- 質問3:つくることが好きか、課題を解決することが好きか
質問1:技術を深めたいか、組織を動かしたいか
難易度の高い実装をやり切ったときや、パフォーマンス問題の原因を特定できたときに満足感があったなら、技術を深める側です。
メンバーの相談に乗って案件が動き出したときや、見積もりと調整によって炎上を回避できたときに手応えを感じたなら、組織を動かす側が向いています。
質問2:ひとつの領域を極めたいか、複数を横断したいか
特定のミドルウェアについて、公式ドキュメントを端から読み込むことが苦にならないなら、ひとつの領域を深く掘り下げるタイプです。
フロントエンドを触った翌週にインフラ構成を見直すような働き方が楽しいなら、複数の領域を横断する働き方が合っています。
質問3:つくることが好きか、課題を解決することが好きか
仕様が曖昧なまま降りてきたときに「決めてから持ってきてほしい」と感じるなら、動くものをつくる仕事に手応えを感じるタイプです。
顧客から業務内容を聞き取り、要件を整理する過程に面白さを感じるなら、課題解決に関わる仕事が向いています。
診断結果と読むべき職種の対応
3つの質問の答えを組み合わせると、次のように方向性が絞れます。
| 質問1の答え | 質問2・3の答え | 向いている方向性 | 該当する職種数 |
|---|---|---|---|
| 技術を深めたい | ひとつの領域を極めたい | スペシャリスト系 | 10職種 |
| 技術を深めたい | 複数を横断したい | フルスタック・ジェネラリスト系 | 3職種 |
| 組織を動かしたい | つくることが好き | マネジメント・PM系 | 6職種 |
| 組織を動かしたい | 課題を解決することが好き | コンサルタント・上流工程系 | 3職種 |
答えが分かれた場合は、質問1を優先してください。技術と組織のどちらに軸足を置くかが、最も大きな分岐点になります。
▼どんな働き方が自分に向いているかを整理したい人は、以下の記事もおすすめです。

ITエンジニアに向いている人の特徴10選|職種ごとの適性や判断基準を解説
エンジニアのキャリアパス4つの方向性
診断で見えた方向を、もう少し具体的に見ていきます。エンジニアのキャリアは、担当する工程と関わる相手の違いによって、次の4つに整理できます。
- スペシャリストは特定の技術領域を掘り下げる
- マネジメント・PM系は人とプロジェクトを動かす
- コンサルタント・上流工程系は経営課題から関わる
- フルスタック・ジェネラリスト系は複数領域を横断する
どれが優れているという話ではありません。年収の水準と、5年後10年後に残るリスクがそれぞれ異なるだけです。
スペシャリスト(技術を極める)
診断で「技術を深める×極める」に当てはまった方に向いているキャリアです。特定の技術領域を掘り下げ、専門性を活かして技術的な判断を担います。代表的な職種には、AIエンジニア、SRE、セキュリティエンジニア、データサイエンティストなどがあります。
スペシャリストの選考では、実装力に加えて、技術選定やアーキテクチャ設計にどこまで関わったかが見られます。専門性や実績を具体的に示しやすく、技術力を強みに転職先を選べる点がメリットです。
一方、特定の製品やバージョンだけに依存した経験は、技術トレンドの変化によって活かせる場面が限られることもあります。専門領域を深めながら、分散システムの設計原則やネットワークの基礎など、製品やツールが変わっても活用できる知識を身につけておくことが大切です。
マネジメント・PM系(人とプロジェクトを動かす)
開発現場の経験を土台に、チームやプロジェクト全体を動かす側へ移る道です。プロジェクトリーダーから始まり、プロジェクトマネージャー、エンジニアリングマネージャー、CTOへと段階的にポジションが上がります。
仕事の中身は、進捗と品質の管理、見積もりと予算の調整、顧客や他部署との折衝、メンバーの育成へと移っていきます。実装に使う時間は確実に減るでしょう。ただ、技術的な実現可能性を自分で判断できるエンジニア出身のマネージャーは、現場からも顧客からも信頼を得やすくなります。
転職を考えるなら、求人票の「PM募集」という表記だけで判断しないでください。予算の決裁権があるのか、進捗管理だけを任されるのかで、実際の役割と年収は大きく変わります。面接では、担当する案件の規模とメンバー数、どこまでの判断を任されるかを必ず確認しましょう。
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プロジェクトマネージャーの役割と仕事内容とは?エンジニアがPMを目指す前に知るべき全知識
コンサルタント・上流工程系(経営課題から関わる)
診断で「組織を動かす×課題解決」に当てはまった方に向いているキャリアです。システムをつくる前の段階から入り、顧客の課題を整理して何をつくるべきかを考えます。ITコンサルタント、ITアーキテクト、ERPコンサルタントなどが代表的な職種です。
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、SEやPM、ITコンサルタントを含む「システムコンサルタント・設計者」の平均年収は約889.0万円でした。プログラマーを含む「ソフトウェア作成者」の約578.5万円と比べると、約310万円の差があります。
業務では、顧客へのヒアリングや業務プロセスの整理、課題分析、提案などを担当します。実装よりも顧客との調整や設計に使う時間が増えるため、技術を使ってつくる側から、課題を整理して方針を決める側へ移りたいかが、キャリアを選ぶ際の判断基準です。
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フルスタック・ジェネラリスト系(領域を横断する)
フロントエンド、バックエンド、インフラ、要件定義といった複数の領域を横断して担う道です。フルスタックエンジニア、SE、社内SEが当てはまります。
スタートアップや少人数の開発チームでは、ひとりで設計から運用まで回せる人材の価値が高くなります。プロダクト全体を把握しているため、障害が起きたときの切り分けも速く、技術選定の判断にも幅が出ます。
一方、転職市場では評価が割れやすい方向でもあります。書類選考で「フロントもバックもインフラも」と並べると、専門家と比較されたときに印象が薄くなりやすいからです。
職務経歴書では、いちばん深く関わった領域を軸に据えてください。そのうえで、周辺領域を支えられる強みとして幅を書き添えると、専門性と対応範囲の両方が伝わります。
スペシャリスト系エンジニアのキャリアパス10職種
技術を深める方向を選んだとしても、領域によって年収の水準もキャリアの伸び方も変わります。ここで扱う10職種の平均年収を、先に一覧で整理しました。
| 職種 | 主な担当領域 | 平均年収(※) |
|---|---|---|
| テックリード | 技術方針の決定とチームの技術支援 | 約971万円 |
| SRE | 信頼性・可用性の担保と運用の自動化 | 約875万円 |
| データサイエンティスト | データ分析とモデリングによる課題解決 | 約874万円 |
| AIエンジニア・機械学習エンジニア | 機械学習モデルの設計・実装・運用 | 約834万円 |
| バックエンドエンジニア | サーバーサイドのロジックとAPI設計 | 約827万円 |
| セキュリティエンジニア | セキュリティ方針の立案・実装・監査 | 約812万円 |
| フロントエンドエンジニア | UI・UXの実装とパフォーマンス改善 | 約773万円 |
| データベースエンジニア | DB設計・チューニング・運用 | 約753万円 |
| クラウドエンジニア | クラウドインフラの設計・構築・運用 | 約743万円 |
| QAエンジニア | テスト設計・自動化・品質プロセス改善 | 約661万円 |
(※)平均年収は、エンジニア特化の転職エージェント「テックゴー」が保有する求人情報より算出しています。
同じスペシャリスト系でも、上位と下位で300万円以上の開きがあります。この差がどこから生まれているのかを、職種ごとに見ていきましょう。
AIエンジニア・機械学習エンジニア
機械学習や深層学習を活用し、モデルの設計・実装から本番環境への導入まで担う職種です。Pythonでの実装力に加えて、統計学の知識やデータの前処理、モデルを継続的に運用するための知識も求められます。
その先のキャリアには、機械学習基盤の構築・運用を担うMLOpsや、生成AI・LLMの導入方針を設計するAIアーキテクトがあります。さらに上流では、企業のAI活用を支援するAIコンサルタントも選択肢です。
テックゴーの求人データベースでは、AIエンジニアの平均年収は約834万円、AIコンサルタントは約1,003万円でした。モデル開発だけでなく、本番導入や運用まで経験していると、担当できるポジションの幅も広がります。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、データ分析や機械学習を使って、事業上の課題解決や意思決定を支援します。統計学や機械学習、SQLなどのスキルに加えて、分析結果をビジネス側にわかりやすく伝える力も必要です。
平均年収は約874万円でした。事業部門との接点が多いため、経験を積んだ先にはデータ領域の専門職だけでなく、ITコンサルタントなど上流職へ進む選択肢もあります。
転職では、分析手法やモデルの精度だけでなく、分析によって事業や業務がどう変わったのかまで説明できると実績が伝わりやすくなります。何を分析したかと、その結果どんな判断につながったかをセットで整理しておきましょう。
SRE(サイトリライアビリティエンジニア)
システムの信頼性と可用性を、運用の力技ではなくエンジニアリングで担保する職種です。監視設計、障害対応の自動化、SLOの設定、キャパシティプランニングなどが日々の仕事です。
多いのはバックエンドエンジニアやインフラエンジニアからの転向です。KubernetesやTerraformを使った、クラウドネイティブな環境での運用経験がそのまま評価につながります。テックゴーの求人データベースでの平均年収は約875万円でした。
ポジション数がまだ限られているぶん、経験者の希少性が高い状態が続いています。現職にSREの肩書きがなくても、監視設計や障害対応の自動化に関わった経験があれば、その実績を切り出して書くことで選考の評価につながります。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、システムやサービスをサイバー攻撃などの脅威から守る職種です。脆弱性診断や監視を担当する場合もあれば、セキュリティ要件の策定やインシデント対応の体制づくりまで関わる場合もあります。
キャリアを深めると、セキュリティアーキテクトやセキュリティコンサルタントも選択肢です。テックゴーの求人データベースでは、平均年収はセキュリティエンジニアが約812万円、セキュリティコンサルタントが約1,037万円でした。
年収や担当範囲を広げたい場合は、診断や監視だけでなく、設計段階からセキュリティ要件を決めた経験を積めるかがポイントです。
クラウドエンジニア
クラウドエンジニアは、AWSやAzure、Google Cloudなどを使ってインフラの設計・構築・運用を担います。オンプレミスからクラウドへの移行や、既存環境の最適化に関わることもあります。
平均年収は約743万円でした。さらに専門性を高めるならSREやクラウドアーキテクト、マネジメント側へ進むならインフラ領域のPMなどが選択肢です。
AWSなどの認定資格は知識を示す材料になりますが、転職でより重視されるのは実務経験です。どのような要件に対して構成を考え、なぜそのサービスや設計を選んだのかまで説明できるようにしておきましょう。
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは、Webサービスなどでユーザーが直接触れる部分の開発を担います。ReactやVue、TypeScriptなどの技術だけでなく、パフォーマンスやアクセシビリティ、状態管理なども担当領域です。
平均年収は約773万円でした。技術を広げてフルスタックエンジニアを目指すほか、UI・UX領域を深めるデザインエンジニア、プロダクト側へ進むPdMなどのキャリアも考えられます。
転職では、画面を実装した経験だけでなく、コンポーネント設計やパフォーマンス改善など、開発方針や品質に関わった経験まで示せると担当範囲が伝わりやすくなります。
▼フロントエンドエンジニアの仕事内容を詳しく知りたい人は、以下の記事もおすすめです。

フロントエンドエンジニアとは?仕事内容と未経験からの現実的な目指し方
バックエンドエンジニア
バックエンドエンジニアは、サーバーサイドの処理やAPI、データベースとの連携など、サービスの裏側を支えるシステムを開発します。平均年収は約827万円で、フロントエンドよりやや高い水準です。
マネジメント志向であれば、テックリードやエンジニアリングマネージャーへの移行も自然な流れです。インフラ領域の知識を広げれば、SREへの転向も考えられます。
選択肢が多いからこそ、技術を深めるのか、担当領域を広げるのか、組織を動かすのかを早めに考えておくことが、その後の案件選びにつながります。
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データベースエンジニア
データベースエンジニアは、データベースの設計・構築・運用やパフォーマンス改善を担います。RDBMSだけでなく、BigQueryやRedshiftなど、クラウド上のデータ基盤を扱う求人もあります。
平均年収は約753万円です。データ活用への企業投資が続いているため、データエンジニアやデータアーキテクトへ転向すると年収水準が上がります。テックゴーの求人データベースでは、データエンジニアの平均年収は約813万円でした。
運用と障害対応だけを担当してきた場合、転職市場での評価は伸びにくくなります。論理設計から関わった経験や、パフォーマンス問題を設計レベルで解決した実績を職務経歴書の軸に据えましょう。
QAエンジニア
QAエンジニアは、テストの設計・実行だけでなく、自動化や品質管理プロセスの改善を通じて、プロダクト全体の品質を支えます。平均年収は約661万円でした。
キャリアを深める場合は、テスト自動化の仕組みを設計・開発するSET(Software Engineer in Test)などが選択肢です。また、開発工程全体を見てきた経験を活かして、プロジェクト管理へ担当領域を広げる道もあります。
自動化のコードを書けるかどうかで、年収の天井が変わる職種です。テストケースを作る側から、テストの仕組みを作る側へ移ることを意識してみてください。
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テックリード
テックリードは、開発チームの技術面をリードするポジションです。技術選定やアーキテクチャ設計、コードレビューの方針を決めながら、自身も開発に関わります。
平均年収は約971万円で、今回紹介するスペシャリスト系の中では高い水準です。その先は、EMやCTOなど組織を率いる方向と、アーキテクトなど技術をさらに深める方向に分かれます。
シニアエンジニアとして実績を積んだ後に就くポジションですが、肩書きがなくても実質的に担っているケースは多くあります。技術選定の理由を説明できる状態にしておくと、そのまま選考で使える材料になるでしょう。
マネジメント・PM系エンジニアのキャリアパス6職種
マネジメント側へ進む場合、ポジションごとに責任範囲が段階的に広がり、年収もそれに合わせて動きます。6職種の水準を先に確認しておきましょう。
| 職種 | 責任を持つ範囲 | 平均年収(※) |
|---|---|---|
| プロジェクトリーダー(PL) | 担当チームの進行と技術判断 | 約763万円 |
| PMO | 複数案件の標準化とガバナンス | 約804万円 |
| プロジェクトマネージャー(PM) | 案件全体の予算・品質・リスク | 約890万円 |
| エンジニアリングマネージャー(EM) | エンジニア組織の採用・評価・育成 | 約1,070万円 |
| VPoE | 技術組織全体の戦略と実行 | 約1,133万円 |
| CTO | 会社の技術戦略と事業成長 | 約1,500万円 |
(※)平均年収は、エンジニア特化の転職エージェント「テックゴー」が保有する求人情報より算出しています。
PLからCTOへ進むにつれて、担当範囲はチームからプロジェクト、組織、経営へと広がっていきます。求められる経験やスキルも異なるため、単純な役職の上下ではなく、自分がどの範囲まで責任を持ちたいかを考えることがキャリア選択のポイントです。
プロジェクトリーダー(PL)
マネジメントへ進む最初の入口にあたるポジションです。担当チームのタスク配分、技術的な判断、進捗の取りまとめ、顧客との日常的な調整を担います。実装から完全に離れるわけではなく、手を動かしながらチームを見る形が一般的でしょう。
平均年収は約763万円でした。PL経験はPMへの前提条件として扱われることが多く、転職市場ではメンバーを動かした経験があるかどうかが確認されます。
打診を受けたときに迷う方もいます。ただ、PL経験をPMの応募条件に掲げる求人が多いことを踏まえると、機会を見送り続けた場合、30代以降に応募できる求人が限られる可能性があります。技術を深める道に進む場合でも、一度チームを持った経験はテックリードの選考で評価されるため、受けておいて損はありません。
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プロジェクトリーダー(PL)とは?仕事内容やPMとの違い・必要なスキルを解説
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトマネージャーは、案件全体の計画、進行、品質、コスト、リスクを管理し、顧客や関係部署との調整を担います。平均年収は約890万円で、job tagでも全国平均889万円、平均年齢38.3歳です。ITスキル標準でレベル5以上になると、1,100万円に届く例もあります。
エンジニア経験があれば、開発チームの見積もりやスケジュールの根拠を理解し、実現可能性を踏まえて顧客と調整できることが強みです。PMPなどの資格を取得すれば、プロジェクト管理の知識を客観的に示す材料にもなります。
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プロジェクトマネージャー(PM)とは?年収・種類・キャリアアップ方法を徹底解説
PMO
複数のプロジェクトを横断して支援し、進捗管理の仕組みづくり、標準化、ガバナンスの整備を担います。個別案件を動かすPMとは立ち位置が違い、組織全体のプロジェクト管理の質を高めることが目的です。平均年収は約804万円でした。
DX推進や大規模なシステム移行を進める企業で需要が高く、複数案件の経験を持つエンジニアが転向しやすいポジションといえます。
ただ、求人によって役割の幅が大きく違う点には注意してください。資料作成と会議体運営が中心のPMOと、標準プロセスの設計まで任されるPMOでは、次のキャリアの広がり方が変わります。面接では、どこまでの権限を持つ立場かを確認しておきましょう。
エンジニアリングマネージャー(EM)
プロジェクトの進行管理ではなく、エンジニアが力を発揮できる環境をつくることに重心を置く役割です。採用、評価、1on1、育成、チーム文化の設計が主な仕事です。
平均年収は約1,070万円と、ここで1,000万円の壁を越えます。テックリードやシニアエンジニアからの転向が一般的なルートです。
マネジメントに進むと技術が落ちるという不安を持つ方が多いポジションですが、アーキテクチャの妥当性を判断できることがEMの前提条件とされています。技術を捨てて人事に移るのではなく、技術がわかる人にしかできない組織づくりを担う仕事です。実装の時間は減るため、そこをどう受け止めるかで向き不向きが分かれます。
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エンジニアリングマネージャー(EM)とは?役割やテックリードとの違いを解説
VPoE
VP of Engineeringの略で、技術組織全体の戦略、方針、予算を経営レベルで決める役割です。CTOが技術ビジョンを描くのに対し、VPoEはその実行を組織として成立させることに責任を持ちます。
平均年収は約1,133万円でした。エンジニアリングマネージャーとしての実績を経て就くケースが多く、ポジション数はまだ限られています。事業の成長期にあるスタートアップやメガベンチャーで採用が増えている領域です。
狙う場合は、複数チームを見た経験と、採用や評価制度の設計に関わった実績が求められます。組織の課題を自分で定義して、施策を回した経験があるかが選考の分かれ目になるでしょう。
CTO
会社の技術戦略を定義し、経営陣の一員として事業成長に責任を持ちます。技術の意思決定にとどまらず、採用、組織設計、投資家や顧客への技術的な説明までが役割に含まれます。平均年収は約1,500万円でした。
到達ルートは一本道ではありません。スタートアップに創業期から参画する道、社内でVPoEを経て昇格する道、転職によってCTOポジションに就く道があります。
Qiitaの「エンジニア白書2026」では、年収1,000万円を超えた層のうち、経験年数10年以上が約80%、転職回数2回以下が約60%という結果でした。上位年収帯には、一定の経験年数を積んだ層が多く分布しています。
コンサルタント・上流工程系エンジニアのキャリアパス3職種
年収の水準でいえば、エンジニアのキャリアパスの中で最も高い領域です。3職種の年収と役割を整理しました。
| 職種 | 担当する領域 | 平均年収(※) |
|---|---|---|
| ERPコンサルタント | 基幹システムの導入・設計・運用支援 | 約875万円 |
| ITアーキテクト | システム全体の技術方針とグランドデザイン | 約964万円 |
| ITコンサルタント | 経営課題の整理からIT施策の提案・推進 | 約997万円 |
(※)平均年収は、エンジニア特化の転職エージェント「テックゴー」が保有する求人情報より算出しています。
いずれも900万円前後から1,000万円超えが見えてくる水準です。ただし、実装に使う時間はほとんど残りません。その前提で読み進めてみてください。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、クライアントの経営・業務課題を整理し、ITを活用した解決策の提案から導入までを支援する職種です。業務ヒアリングや課題の整理、提案資料の作成、要件定義などを担当します。
テックゴーの求人データベースでの平均年収は約997万円でした。一方、job tagが示す全国平均は752.6万円で、244万円ほどの開きがあります。この差は、集計している母集団の違いによるものです。job tagは企業規模や年齢を問わない全国平均であるのに対し、テックゴーのデータは転職市場に出ている求人が対象で、上流案件を扱うファームや経験者向けのポジションが中心になります。
SEやPMから転向するケースも多く、要件定義や顧客折衝の経験を活かせます。選考では、顧客の課題を整理し、なぜその解決策が適しているのかを筋道立てて説明できることが重要です。
顧客の要望をそのまま実装するのではなく、課題に合わせて提案した経験があれば、アピール材料になります。
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ITストラテジストの年収は?仕事内容や必要なスキル、キャリアパスを解説
ITアーキテクト
システム全体のグランドデザインを描き、技術方針、インフラ構成、セキュリティ設計といった骨格を決める職種です。個別の実装ではなく、システム全体の一貫性と、5年後10年後の拡張性に責任を持ちます。
上流工程の中では技術的な専門性が最も高く、シニアエンジニアやテックリードからの転向が自然なルートです。平均年収は約964万円でした。ポジション数が限られているぶん、経験者の希少性が保たれている領域といえます。
目指すなら、現職で技術選定の判断に関わることから始めましょう。なぜそのミドルウェアを選んだのか、なぜその構成にしたのかを、コストや運用負荷まで含めて説明できる状態にしておくと、選考で通用する実績になります。
ERPコンサルタント
SAPやOracleといった基幹システムの導入、設計、カスタマイズ、運用支援を担います。会計、人事、生産管理、購買といった業務の知識と、ERP製品の技術的な理解の両方が必要になる職種です。
テックゴーの求人データベースでは、ERP全体の平均年収が約875万円、SAPコンサルタントに絞ると約951万円でした。製造、流通、金融といったERPを基盤とする大企業で需要が安定しています。
特徴的なのは、経験の積み上げがそのまま希少性につながる点です。特定のERP製品と業種の組み合わせに精通した人材は、市場に代わりがいません。ただ、製品への依存度が高い働き方でもあります。業種の業務知識を自分の資産として持てているかを意識しながら経験を積みましょう。
フルスタック・ジェネラリスト系エンジニアのキャリアパス3職種
領域を横断する働き方は、現場での貢献度が高い一方、転職市場では評価が割れやすい特徴を持ちます。3職種の年収を先に見ておきましょう。
| 職種 | 担当する範囲 | 平均年収(※) |
|---|---|---|
| 社内SE・情シス | 自社システムの企画・導入・運用 | 約623万円 |
| SE(システムエンジニア) | 要件定義から設計・開発・テストまで | 約698万円 |
| フルスタックエンジニア | フロントエンド・バックエンド・インフラ | 約792万円 |
(※)平均年収は、エンジニア特化の転職エージェント「テックゴー」が保有する求人情報より算出しています。
同じ「幅広く担当する」でも、200万円近い差があります。この差は担当範囲の広さではなく、どの工程まで踏み込めているかから生まれています。順に確認していきましょう。
フルスタックエンジニア
フロントエンド、バックエンド、インフラの3領域を横断して担います。スタートアップや少人数の開発チームで需要が高く、ひとりで設計から運用まで回せることが価値になる職種です。平均年収は約792万円でした。
強みは、障害が起きたときに原因の切り分けが速いことと、技術選定でフロントからインフラまで整合を取れることです。プロダクト全体を把握しているため、仕様変更の影響範囲も自分で判断できます。
キャリアは2つに分かれます。特定領域を掘り下げてスペシャリストへ移る道と、全体を見渡せる強みを活かしてテックリードやプロダクトマネージャーへ進む道です。
幅を保ったまま評価を上げるなら、特定のプロダクトや業務ドメインについて、社内で最も詳しいと言える状態をつくることが近道です。担当サービスの仕様、過去の障害履歴、既存の技術的負債まで把握していれば、横断できることが「浅い」ではなく「全体を掌握している」という評価に変わります。
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フルスタックエンジニアとは?仕事内容と年収、幅を広げる前に知るべき現実
SE(システムエンジニア)
要件定義、基本設計、詳細設計、開発、テストまで、システム開発の工程を幅広く担います。ただ、実際にどこまで任されるかは所属先の形態で大きく変わるでしょう。元請けのSIerなら要件定義から入れますが、多重下請けの下層では詳細設計と実装のみという現場も珍しくありません。
テックゴーの求人データベースでの平均年収は約698万円でした。job tagのシステムエンジニア(受託開発)では、令和7年賃金構造基本統計調査をもとに全国平均578.5万円、平均年齢37.1歳と示されています。
年収を動かすのは担当工程です。job tagのITスキル標準レベル別データでは、設計・構築領域のレベル5以上が600万〜950万円でした。一方、ソフトウェア開発スペシャリスト領域は550万〜866万円です。同じレベルでも、設計側のほうが上限が約84万円高いという結果になっています。
社内SE・情シス
自社システムの企画、導入、運用、保守、ヘルプデスク対応を担います。特定の顧客に縛られず、自社業務に深く関われる点が魅力です。残業が少ない求人も多く、転職先として人気の高い職種となっています。
その人気の裏返しとして、求人1件あたりの応募が集中し、選考の難易度は上がります。平均年収は約623万円と、この記事で紹介する22職種の中では最も低い水準でした。
年収と働きやすさのどちらを優先するかで、評価は変わります。ワークライフバランスを重視するなら合理的な選択です。収入を伸ばしたいなら、ヘルプデスクや運用の比率が高い環境から、IT戦略の企画や基幹システムの刷新に関われる立場へ移りましょう。そこからITコンサルタントへ転向するルートも現実的です。
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年代別に見るキャリアパスの考え方と優先すべき行動
同じ経歴でも、20代と40代では市場からの見られ方が変わります。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、ITエンジニアの年収は年齢とともに次のように推移していました。
| 年齢 | 推計年収 |
|---|---|
| 20〜24歳 | 約421.2万円 |
| 25〜29歳 | 約574.6万円 |
| 30〜34歳 | 約731.4万円 |
| 35〜39歳 | 約812.5万円 |
| 40〜44歳 | 約934.7万円 |
経験年数で見ると、次のようになります。
| 経験年数 | 推定年収 |
|---|---|
| 1年未満 | 約437.2万円 |
| 1〜4年 | 約582.4万円 |
| 5〜9年 | 約684.2万円 |
| 10〜14年 | 約783.5万円 |
| 15年以上 | 約921.8万円 |
伸び幅がいちばん大きいのは20代後半から30代前半です。ここで何を積んだかが、その後の水準を決めます。年代ごとに優先すべき行動を見ていきましょう。
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20代は技術の幅を広げながら得意領域を見極める
20代のうちにキャリアパスを決め切る必要はありません。ただ、20代後半までに「自分は何が得意で、何をしているときに手応えがあるか」の仮説を持てるかどうかで、30代の動き方が変わります。
この時期に優先したい行動は次の3つです。
- 複数の技術や工程を経験して得意領域の候補を絞る
- 数字で語れる実績を意識してつくる
- 社外の勉強会やコミュニティで自分の位置を確かめる
3つ目を挙げたのは、同じ会社の中だけにいると自分の技術水準を客観的に測れなくなるからです。社内で頼られていても、市場では標準的なレベルということは起こります。
転職を急ぐ必要はありませんが、今の環境で何を得ているかは問い続けましょう。設計に関われず実装だけが続いているなら、環境を変える判断も選択肢に入ります。
30代は専門性かマネジメントか方向性を決める
30代前半は、20代で積んだ経験をもとに、次のキャリアを具体化していく時期です。技術を深めるスペシャリスト、チームを率いるマネジメント、顧客の課題解決に関わるITコンサルタントなど、どの方向へ進むかによって、その後に担当する仕事や年収も変わってきます。
ただし、ひとつの方向に絞り切る必要はありません。テックリードのように、技術的な意思決定を担いながらチームを支えるポジションもあります。まずは自分が強みを伸ばしたい領域を決め、それにつながる経験を増やしていきましょう。
30代前半で意識したい行動は次のとおりです。
- 進む方向の仮説を立て、担当案件を選ぶ
- チームや案件を主導した経験を意識的につくる
- 上流工程に近い業務を現職で経験しておく
同じ年数を過ごしても、要件定義に入れた人と実装だけだった人では、転職市場での評価が大きく変わります。前述のとおり、上流と下流の区分では平均年収に約310万円の差がありました。
40代以降は専門性×経験で希少性を磨く
40代以降は、これまで積み上げてきた経験を、より大きな役割で活かすことが求められます。マネジメントなら組織やプロジェクトを動かした経験、スペシャリストなら特定領域の深い専門性など、経験年数だけではなく何を任せられる人なのかを示すことが重要です。
スキルアップ研究所の調査では、40代以降の転職経験者の50%以上が年齢の壁を感じたと回答しています。転職が難しくなるとは一概にいえませんが、これまでの経験を並べるだけでは強みが伝わりにくくなります。
この年代では、次の3点を意識してキャリアを整理しましょう。
- 経験と実績を他社でも通じる言葉に置き換える
- 特定の業種や領域での深い知見を積み上げる
- 若手の育成実績をマネジメント力の根拠として示す
40代で評価されるのは、属人化を解消し、自分が抜けても業務が回る仕組みを設計できる人です。個人の稼働に依存した貢献から、仕組みと人を通じた貢献へと視点を移しましょう。
参考:転職活動の年代別の実態の変化に関する調査(2024年)(スキルアップ研究所)
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生成AI時代に価値が上がるのはどのキャリアパス?
コードを書く仕事の価値が下がると言われて、選んだ道が数年後に残っているのか不安になっている方もいるでしょう。この不安には、公的な調査データである程度まで答えが出せます。
- 定型的な実装や運用の工程は評価が下がりつつある
- 事業課題を理解して設計できる人材の需要は伸びている
- スキルの掛け合わせで代替されにくい立ち位置をつくる
順に、根拠となるデータとあわせて確認しましょう。
定型的な実装から順にAIが担うようになっている
IPAが2026年7月に公開した「DX動向2026」では、国内企業1,799社を対象にした調査の結果、AI導入は大企業を中心に広がる一方で、その用途と効果は業務効率化や迅速化が中心にとどまっていると報告されました。
つまり、AIが最初に担うようになったのは、定型的で効率化しやすい領域です。仕様が決まった状態からのコーディング、テストコードの生成、既存コードのリファクタリングといった作業がここに含まれます。
影響が出やすいのは、SESや業務委託のような案件ベースの領域でしょう。実装工数そのものが商品になっている契約では、AIで工数が圧縮された場合に単価へ跳ね返る可能性があります。正社員として働いている場合も、担当が実装だけに閉じていると、次の転職で評価が伸びにくくなる構造は同じです。
参考:DX動向2026 広がるAI導入、DXは変われるか(独立行政法人情報処理推進機構)
事業課題を理解して設計できる人材の需要が高まっている
では、価値が残るのはどこかという話になります。ここで参考になるのが、現場のエンジニア自身の回答です。
Qiitaが2,317名を対象に実施した「エンジニア白書2026」では、生成AIの普及後にエンジニアへ必要になるスキルを聞いています。全体の約半数にあたる49%が「自身の開発・設計能力」と答えました。AIリテラシーは39%、学習し続ける姿勢は28%です。
AIを使いこなす力より、何をつくるべきかを判断する力が上位に来ている点に注目してください。AIは指示された範囲の実装を速く仕上げますが、業務のどこにボトルネックがあるか、その要件は本当に必要かという判断はできません。
要件定義、業務プロセスの整理、アーキテクチャの決定といった工程を担える人材は、この構造の中で価値が下がりにくい位置にいます。
スキルを掛け合わせて代替されにくい強みをつくる
エンジニアに求められる役割は、技術の変化に合わせて広がっています。経済産業省とIPAは2026年4月にデジタルスキル標準をver.2.0へ改訂し、DX推進スキル標準にデータマネジメント類型を新設しました。役割の細分化が制度の面でも進んでいます。
では、具体的に何と何を掛け合わせればよいのでしょうか。現実的なのは、すでに持っている技術に、隣接する1領域を足すやり方です。
| 掛け合わせの例 | 活きる場面 |
|---|---|
| バックエンド開発 × 業務ドメイン知識 | 金融や物流など、業務要件の理解が前提になる案件 |
| インフラ構築 × セキュリティ | クラウド移行時のセキュリティ設計 |
| データ基盤 × 事業分析 | 分析要件から逆算した基盤設計 |
| 開発経験 × 顧客折衝 | 要件定義やPMOなど上流のポジション |
いずれも、ゼロから新しい技術を学び直す必要はありません。現職で関わる機会のある領域を選び、担当範囲を少し広げるところから始められます。
たとえばバックエンドエンジニアであれば、担当システムの業務フローを自分で説明できる状態にする。インフラエンジニアであれば、構築時のセキュリティ要件を自分で設計してみる。こうした積み重ねが、職務経歴書に書ける掛け合わせの実績になります。
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一度選んだキャリアパスは後から変えられる?
ここまで読んで、一度方向を決めたら戻れないのではと不安に感じる方もいるでしょう。エンジニアのキャリアは、途中で方向転換できます。ただし、これまでの経験と目指す職種によって、転向のしやすさは異なります。
- キャリアの途中で方向を変える選択肢もある
- 経験を活かしやすい職種ほど転向しやすい
- 未経験領域への転向は早めに準備する
選択肢を狭めないためにも、どのような転向ルートがあるのかを確認しておきましょう。
キャリアの途中で方向転換することはできる
エンジニアのキャリアは、ひとつの職種を続けるだけではありません。これまでの経験を活かしながら、途中で担当領域を変えることも可能です。
厚生労働省のjob tagでも、システムエンジニア(受託開発)から複数のキャリアが示されています。たとえば、リーダー経験を積んでPMを目指すほか、技術を深めてスペシャリストへ進む道があります。ITコンサルタントへ転向することも選択肢のひとつです。
転職をしなくても、担当工程を広げることでキャリアの方向は変えられます。実装から設計へ進む、運用保守から構築を担当するなど、まずは現在の仕事で隣接する領域へ経験を広げる方法もあります。
参考:職業情報提供サイト(job tag)システムエンジニア(受託開発)(厚生労働省)
移りやすい組み合わせと時間がかかる組み合わせがある
キャリアチェンジの難易度は、これまでの経験をどれだけ活かせるかによって変わります。
| 組み合わせ | 難易度 | 理由 |
|---|---|---|
| バックエンド → SRE | 移りやすい | 開発と運用で活かせる知識が多い |
| SE・PL → PM | 移りやすい | 担当工程や役割を広げやすい |
| PM → ITコンサルタント | 移りやすい | 顧客折衝や要件定義の経験を活かせる |
| 開発 → データサイエンティスト | 時間がかかる | 統計学など新たな知識が必要 |
| 運用保守 → 上流工程 | 時間がかかる | 設計などの実務経験を求められやすい |
| マネジメント → スペシャリスト | 時間がかかる | 最新技術に触れていない期間が影響しやすい |
比較的移りやすいのは、現在と次の職種で必要な経験が重なっているケースです。たとえば、SEやPLとして進捗管理や顧客折衝を経験していれば、PMでも活かせます。
一方、必要なスキルが大きく異なる職種では準備期間が必要です。現職で隣接する業務を経験し、応募先で活かせる実績を増やしてから転向すると、これまでのキャリアを活用しやすくなります。
未経験領域への転向は早めに準備する
キャリアの方向は変えられますが、年齢や経験年数によって転向の難易度は変わります。とくに、経験のない職種へ移る場合は早めの準備が重要です。
前述のスキルアップ研究所の調査では、40代の転職経験者のうち50%以上が、転職活動で年齢の壁を感じたと回答しています。年齢だけで転職の可否が決まるわけではありませんが、経験を活かせない職種への転向は慎重に考える必要があります。
上流工程を目指す場合も、要件定義や設計を経験できる機会を意識して増やしましょう。現在の職場で目指す経験を積めないなら、異動や転職を含めて環境を変えることも選択肢です。
方向を決めずに経験年数だけを重ねるのではなく、次に目指す職種から逆算して、必要な経験を積んでいきましょう。
キャリアパスをキャリアプランに落とし込む4つのステップ
方向性が決まっても、それだけでは日々の仕事は変わりません。目指す姿を、今週から動かせる行動に変換する作業が必要です。
- 現在のスキルと経験を棚卸しする
- 時間軸を区切って目標を言語化する
- 目標から逆算して必要な経験を洗い出す
- 面接や1on1で伝えられる形に整える
順に進めていきましょう。
1. 現在のスキルと経験を棚卸しする
まずは、これまでの業務経験を時系列で書き出しましょう。担当した案件や使用技術、工程、チームのなかでの役割、成果まで具体的に整理します。
業務内容を並べるだけでは、自分の強みや適性までは見えてきません。あわせて、次の4つの問いから振り返ってみてください。
| 問い | 見えてくること |
|---|---|
| 周囲からよく頼まれる業務は何か | 他者から見た自分の強み |
| 苦労せず取り組める業務は何か | 自覚していない得意領域 |
| 数字で示せる実績はあるか | 選考で使えるアピール材料 |
| 時間を忘れて取り組めた業務は何か | 長く続けやすい仕事や領域 |
整理していくと、得意だが興味を持てない仕事と、好きだがまだ得意ではない仕事の違いも見えてきます。
キャリアの軸を考えるうえで注目したいのは、得意なことと興味を持てることが重なる領域です。自分の強みと志向を把握し、目指すキャリアを絞り込む材料にしましょう。
2. 時間軸を区切って目標を言語化する
棚卸しが終わったら、時間軸を区切って目標を置きます。年収を上げたい、上流に行きたいという状態から、検証できる目標へ変える作業です。
| 時間軸 | 決めること |
|---|---|
| 3年後 | どの職種でどんな実績を持っているか |
| 5年後 | 年収、ポジション、働き方の水準 |
| 10年後 | どんな専門性で信頼を得ているか |
3年後を先に決めると、逆算が働きます。3年後にPMになりたいなら、今年中にPLとして小規模案件を任される必要がある、という具合です。今年やるべきことが決まらない目標は、まだ具体性が足りません。
10年後が描けなくても構いません。3年後さえ決まれば、担当案件の選び方は変わります。
3. 目標から逆算して必要な経験を洗い出す
目標が決まったら、そこに到達している人が何を経験しているかを調べます。手がかりになるのは求人票です。
目指す職種の求人を10件ほど開き、応募要件を書き写してみてください。要件定義の経験年数、扱った案件規模、必須のスキルといった条件が繰り返し出てきます。複数の求人に共通して並ぶ要件が、その職種に入るための最低ラインです。
書き出した要件と、ステップ1の棚卸し結果を突き合わせると、足りない経験がはっきりします。技術スキルの不足なら学習で埋められますが、上流工程の実務経験のように現職では手に入らないものもあるでしょう。埋められない項目が複数残る場合、環境を変える判断が現実的な選択肢に入ってきます。
4. 面接や1on1で伝えられる形に整える
最後に、組み立てた計画を言葉にします。頭の中にあるだけでは、上司にも採用担当者にも伝わりません。
伝える形は、目標、根拠、貢献の3点セットです。「3年以内にPMを目指したい」だけでは弱いでしょう。「PLとして5名規模のチームで進行管理を経験してきたので、次は予算とリスク管理まで担いたい」まで語れると、計画として受け取ってもらえます。
社内の1on1では、この形で希望を伝えておくと案件のアサインが変わることがあります。面接では、そこに応募先での貢献を足しましょう。自分の希望だけを語ると、会社を踏み台にする印象を与えます。なお選考の場では、将来的な独立や次の転職を示唆する表現は伏せておきましょう。
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今の会社でキャリアパスを実現できるか見極める3つの方法
目指す方向が決まったら、次に確かめたいのは、それが今の会社で実現できるかどうかです。転職ありきで考える必要はありません。ただ、現職に可能性がないまま時間を使うことは避けたいところです。
- 自社が担っている工程が上流か下流かを確認する
- 目指す役割に就いている先輩が社内にいるかを見る
- 技術職のまま昇給できる等級制度があるかを調べる
3つとも、今日から調べられる内容です。順に見ていきましょう。
自社が担っている工程が上流か下流かを確認する
まず確認したいのは、自社が案件のどの工程まで担当しているかです。要件定義から参画する案件が多いのか、設計・実装以降が中心なのかによって、積みやすい経験は変わります。
確認する際は、案件の商流や取引先を見てみましょう。エンドユーザーとの直接取引が多い企業では、要件定義や顧客折衝に関われる機会もあります。一方、二次請け以降の案件が中心なら、担当工程が限定されるケースもあるでしょう。
営業担当や上司には、直請け案件がどの程度あるか、若手が要件定義に入った実績はあるかまで聞くと、実態を把握しやすくなります。
前述した厚生労働省の統計でも、職種区分によって平均年収には差があります。上流工程を目指す場合は、年収だけを見るのではなく、必要な経験を積める案件が自社にあるかまで確認しておきましょう。
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目指す役割に就いている先輩が社内にいるかを見る
次に見るのは、社内に前例があるかどうかです。目指すポジションに、自社でたどり着いた人が実際にいるかを確認してください。
いる場合は、その人がどんな案件を経て今の役割に就いたかを聞きましょう。何年目でリーダーになったか、どの規模の案件を担当したか、社外の経験を挟んだかまで踏み込めると、自分に必要な道筋が見えてきます。
問題は、社内にひとりもいないケースです。SREやITアーキテクトのポジションが会社に存在しないなら、その役割は現職では得られません。中途採用でしかそのポジションを埋めていない会社も同じで、内部から登用する仕組みがないということです。
求人ページを見れば判断できます。自社が募集している職種の一覧に目指す役割が並んでいて、社内に該当者がいないなら、外から採る前提の組織だと考えられます。
技術職のまま昇給できる等級制度があるかを調べる
スペシャリストを目指すなら、技術職として年収を伸ばせる評価制度があるかも確認しておきましょう。
企業によっては、一定の等級から管理職への昇格を前提としている場合があります。一方、技術職向けの等級を設け、マネジメントを担当しなくても昇給できる企業もあります。
社内の評価制度では、次の3点を確認してみてください。
- 技術職と管理職で等級やキャリアコースが分かれているか
- 上位等級で働く技術職が実際にいるか
- 等級ごとの評価基準や年収レンジが明確になっているか
技術力を高めても、評価する制度がなければ年収や役職に反映されにくい場合があります。スペシャリストを目指すなら、スキルアップだけでなく、専門性を評価する仕組みがあるかも重要な判断材料です。
担当したい工程がなく、目指す役割の前例もなく、評価制度も合っていない場合は、転職を含めて環境を変える選択肢が出てきます。反対に、必要な経験を積める環境が整っているなら、異動や案件変更など、まず社内で実現できる方法を検討してみましょう。
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エンジニアのキャリア相談ならテックゴー
目指すキャリアが決まっても、今の経験でどの職種を狙えるか、年収がどこまで上がるかは判断しにくいものです。
テックゴーは、エンジニア・ITコンサル領域に特化した転職エージェントです。上流工程やテックリード、EM、ITコンサルタントなどの求人を扱い、経験を整理したうえで次に狙えるキャリアを提案します。
- 平均年収アップ額は144万円
- 年収アップの成功率は86%
- 元エンジニア・ITコンサル出身のアドバイザーが在籍
- 面接対策は回数無制限
今すぐ転職する予定がなくても、現在の経験で狙える職種や年収を知ることで、次に積むべき経験が見えてきます。キャリアの方向性に迷っている方は、無料相談を活用してみてください。
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まとめ
エンジニアのキャリアパスは、技術を極める道からマネジメント、上流工程まで幅広くあります。大切なのは、年収や職種名だけで選ぶのではなく、自分の強みや志向から目指す方向を決めることです。
まずは現在のスキルと経験を棚卸しし、目指す職種に必要な経験との差を確認しましょう。必要な経験を現職で積めるかどうかが、今後のキャリアを考える判断材料になります。
現職で実現が難しい場合は、転職も選択肢のひとつです。テックゴーの無料相談で、いまの経験から狙える職種と想定年収を確認してみましょう。
よくある質問
エンジニアで年収600万円になるのは何年目ですか?
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査をもとにすると、経験1〜4年の平均が約582.4万円、5〜9年が約684.2万円でした。年齢で見ると25〜29歳が約574.6万円、30〜34歳が約731.4万円です。目安としては、経験4〜5年前後で600万円のラインに届く計算です。 ただし、この数字は職種や担当工程を問わない平均値です。要件定義や基本設計に関わっているかどうかで到達時期は前後します。同じ5年目でも、実装とテストだけを担当してきた場合は500万円台にとどまることがあり、上流工程を経験していれば600万円台後半に届くケースもあるでしょう。 職種や担当工程、企業規模などによっても変わるため、自分がどのような経験を積んできたかとあわせて考えましょう。
エンジニアの年収400万円はどのくらいの水準ですか?
同じ調査では、経験1年未満の平均が約437.2万円、20〜24歳が約421.2万円でした。400万円台は、実務1〜2年目や20代前半の水準にあたります。 問題になるのは、経験5年以上で400万円台にとどまっている場合です。この場合、スキル不足よりも環境に原因があると考えられます。 設計や要件定義へ担当範囲を広げても評価に反映されない場合は、社内の給与テーブルを確認することも重要です。
SESエンジニアのキャリアパスはどう考えればよいですか?
SESエンジニアは、参画する案件によって積める経験が変わります。そのため、目指すキャリアから逆算して案件を選ぶことが重要です。 確認したいポイントは次の3つです。 ・要件定義や基本設計など、担当したい工程に関われるか ・同じ技術領域で経験を積み重ねられるか ・直請けや元請けに近い案件へ参画できるか SESの経験が評価されないわけではありません。複数の現場を経験したことで、環境の違いに素早く適応できる点は選考でも評価されます。ただ、実装や運用監視だけの現場が続くと、職務経歴書に書ける工程が増えません。 3年以上同じ状態が続いているなら、自社開発企業や元請けのSIerへ移り、上流工程を積める環境に身を置くことを検討しましょう。
未経験からでもキャリアパスは描けますか?
未経験からでもキャリアパスは描けます。最初から職種をひとつに絞るより、まず実務経験を積みながら得意な領域を見つけていく方法もあります。 入社先を選ぶ際は、次の点を確認しておきましょう。 ・未経験者が最初に担当する仕事内容 ・開発や設計へ担当範囲を広げられるか ・研修後の配属実績やキャリア事例 重要なのは、入社時の仕事内容だけでなく、その後にどのような経験を積めるかです。実務を経験しながら、自分の強みや興味に合わせて方向を絞っていきましょう。
エンジニアに向いていないと感じたらどうすればよいですか?
まずは、エンジニアという仕事自体が合わないのか、現在の職場環境に原因があるのかを切り分けましょう。 たとえば、次のように整理できます。 ・技術を学ぶこと自体が苦痛 → 仕事内容とのミスマッチ ・学ぶ時間を確保できない → 労働環境の問題 ・成果が評価につながらない → 評価制度の問題 ・障害対応などに追われている → 業務内容や人員体制の問題 職場環境に原因がある場合は、エンジニアを辞めなくても、会社や担当業務を変えることで改善できる可能性があります。 一方、実装以外の仕事に興味があるなら、PMやPMO、ITコンサルタント、社内SEなども選択肢です。これまでの開発経験を活かしながら、自分に合う役割へ移ることを検討してみましょう。
