ITストラテジストの年収は?仕事内容やキャリアパス、転職するためのポイントを解説
2026年06月15日更新
「ITストラテジスト」という資格名を聞いて、自分の年収にどのくらい影響するのか気になったことはないでしょうか。
ITストラテジスト試験は、情報処理技術者試験の中でも最難関に位置づけられる国家資格であり、合格率は例年15%前後で推移しています。企業のDX推進が加速するなか、経営戦略とIT戦略を結びつける人材への需要は高まっていますが、実際にITストラテジストという肩書きで働く人は少なく、転職市場ではITコンサルタントに近い職種として評価されることが多いです。
そのため、年収を調べる際には、公的な統計データと求人データの両方を確認すると、実態をつかみやすくなります。この記事では、以下の内容を解説します。
- 厚生労働省のデータと求人データから見るITストラテジストの年収の実態
- 業務内容や資格の特性から見る、年収が高くなりやすい3つの背景
- ITストラテジストの仕事内容と、ITアーキテクトやプロジェクトマネージャーとの役割の違い
- ITストラテジスト試験の難易度や合格率、資格取得によるメリット
- キャリアアップにつながる関連資格
ITストラテジストという資格やキャリアパスに興味があるエンジニア、コンサルタントの方に、年収の実態とキャリアアップのヒントをお伝えしているので、ぜひ参考にしてください。

著者
江原 万理
(Ehara Mari)
大学を卒業後、事業会社を楽天グループにてマーケティングコンサルタントとしてMVPを受賞。ITエンジニアやCRM領域からIT系コンサルファームへの転職支援に強みを持つ。特に面接対策を強みとしており、量・質ともに業界トップクラスの転職成功率を有する。
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監修者
岡﨑 健斗
(Okazaki Kento)
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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目次
CONTENTS
ITストラテジストの平均年収は?
ITストラテジストの年収は、参照するデータによって数字が大きく異なります。これは、データの出どころが違うためです。ここでは、転職市場の求人データと、厚生労働省が公表している統計データの両方を確認します。
それぞれのデータが何を示しているのかを理解したうえで、ご自身の年収と比較してみましょう。
転職サイトの求人相場から見る平均年収は997万円
ITストラテジストという肩書きで転職活動をおこなう場面は多くありませんが、実務上はITコンサルタントという職種で募集されるケースが目立ちます。エンジニア特化の転職エージェント「テックゴー」が保有する求人データによると、ITストラテジスト(ITコンサルタント)職の平均年収は997万円でした。
この数値は、実際に転職を経て入社した方々の年収をもとに算出された、求人市場での実態に近い数字です。とくに、経営層やクライアント企業の上流工程に近いポジションほど、年収のレンジは高くなる傾向があります。
ITストラテジスト試験で問われる知識や経験は、こうした上流案件の選考で高く評価されやすく、年収アップにつながりやすくなります。
厚生労働省のデータから見る平均年収は889万円
厚生労働省が公表している令和7年賃金構造基本統計調査をもとにしたデータでは、システムエンジニア(基盤システム)、プロジェクトマネージャ(IT)、ITコンサルタントをまとめた職種区分の平均年収は889万円でした。
この数値は、ITストラテジストという職種に限定したものではなく、上流工程を担う複数の職種を合算した平均であり、997万円という求人データの数字とは前提が異なります。
年齢別のデータを見ると、45〜49歳の平均年収は1,226万円まで上昇しており、年代が上がるにつれて年収が伸びる傾向が見られます。経験を積み、上流工程での実績を重ねるほど、年収は高まりやすくなるといえます。
参考:厚生労働省「job tag(職業情報提供サイト)ITコンサルタント」
ITストラテジストが高年収になる3つの理由
ITストラテジストが他の職種に比べて高年収になりやすいのには、いくつかの理由があります。よく挙げられる理由は、以下の3つです。
- 経営戦略を決める超上流工程を担っているから
- ITSSレベル4クラスの人材として希少性が高い立場にあるから
- 専門的知識等を有する労働者として法的に位置づけられているから
それでは、順に見ていきましょう。
経営戦略を決める超上流工程を担っているから
ITストラテジストが担う仕事は、システム開発の最も上流に位置する工程です。経営課題を分析し、その解決のためにITをどう活用するかという方向性を決める段階であり、ここでの判断は後続のすべての工程に影響を与えるものです。
要件定義や設計、開発といった工程に携わる人材は数多くいますが、経営戦略とIT戦略を結びつけて方向性を定める役割を担う人材は限られています。プロジェクトの成否を左右する判断をおこなう立場であるため、企業側もこのポジションには相応の対価を用意する傾向があります。
携わる人数が少なく、求められる視野の広さも特殊である点が、年収の水準を高めている要因です。
ITSSレベル4クラスの人材として希少性が高いから
ITストラテジストの能力を測る基準のひとつに、経済産業省が策定した「ITスキル標準(ITSS)」があります。ITSSは、IT人材のスキルを7段階のレベルで分類した指標であり、ITストラテジスト試験はその中でも最高位のレベル4に相当する高度試験のひとつです。
レベル4は、試験に合格するだけでなく実務経験も評価の対象になる水準であり、知識だけでは到達できません。実際の現場で経営層と対話し、戦略をかたちにしてきた経験があってはじめて、レベル4の人材として認められます。
こうした経験を積んだ人材は、エンジニア全体の中でもごく一部に限られるため、企業側も採用や待遇の面で、相応の評価をおこなう傾向があります。
「専門的知識等を有する労働者」として法的に位置づけられているから
ITストラテジストが高年収になりやすい理由は、法律上の位置づけにも見て取れます。厚生労働省は労働基準法第14条にもとづき、専門的知識等を有する労働者の基準を告示で定めていますが、2015年の改正により、ITストラテジスト試験の合格者がこの基準に加えられました。
これにより、ITストラテジスト試験の合格者は、公認会計士や税理士、弁理士などと並んで、有期労働契約の期間を通常の3年から5年まで延長できる対象に含まれています。
国の制度のなかで専門性の高さが認められている資格であることは、企業が採用時の年収を判断する材料にもなります。資格そのものが、客観的なスキルの証明として活用できる点も、年収に反映されやすい理由のひとつです。
参考:厚生労働省「労働基準法第十四条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の一部改正について」
そもそもITストラテジストとは?仕事と資格、2つの視点から解説
ITストラテジストという言葉を聞いたことがあっても、具体的に何をする人なのか、ピンとこない方も多いでしょう。
ここでは、仕事内容と資格という2つの視点から、ITストラテジストの基本を整理します。
経営戦略をIT面から実現する「戦略家」
IPAの試験要綱では、ITストラテジストは経営戦略にもとづいてIT戦略を策定し、提案し、推進する人材として定義されています。システムを開発する立場ではなく、企業がどの方向に進むべきかという経営の視点から、ITをどう活用するかを考える立場です。
たとえば新しい事業の立ち上げにあたって、どのようなシステムや技術を導入すれば競争力を高められるかを検討し、経営層に提案するといった業務が挙げられます。経営とITの両方を理解し、両者をつなぐ役割を担う点が、ITストラテジストという職種の最大の特徴です。
実務では、ITコンサルタントやCIOといった肩書きで、この役割を担っている方が多くいます。
国家資格「ITストラテジスト試験」の合格者
ITストラテジスト試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験のひとつです。試験は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4つの区分に分かれており、午前は多肢選択式、午後Ⅰは記述式、午後Ⅱは論述式で出題されます。4つの区分すべてで基準点を超えなければ合格できないため、知識だけでなく、文章で考えを伝える力も求められます。
試験は2025年度までペーパーテスト方式でおこなわれてきましたが、2026年度からはCBT方式に移行する予定です。出題範囲や出題形式そのものに変更はないため、これまでの対策方法が引き続き有効です。
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「ITストラテジスト試験」
ITストラテジストの基本については、次の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてください。

ITストラテジストとは?仕事内容・年収・試験の難易度まで解説
ITコンサルタントやCIOなど実務上の呼び方との関係
ITストラテジストという肩書きで募集されている求人は、決して多くありません。IPAの試験要綱では、ITストラテジスト試験はCIO(最高情報責任者)やCTO(最高技術責任者)、ITコンサルタントを目指す人材に適した試験として紹介されています。つまり、企業内でIT戦略を統括する責任者や、外部の立場から経営とITをつなぐコンサルタントといった役職が、ITストラテジストの実務上の姿といえる立場です。
前述のとおり、転職市場でもITストラテジストという職種名そのもので求人が出ることは少なく、ITコンサルタントや情報システム部門の責任者といった肩書きで募集されるケースが目立ちます。
ITストラテジスト試験の合格は、こうした上流職種に求められる思考力や戦略策定の能力を客観的に示す材料として活用できます。資格名と実務上の職種名が一致しない点は意外に感じられますが、資格が示す能力と、転職市場で評価される職種は、根本的なところでつながっています。
ITストラテジストの仕事内容は?超上流工程で何をするのか
ITストラテジストが超上流工程で具体的にどのような業務をおこなっているのか、イメージしにくい方も多いでしょう。ここでは、実際の業務を3つのステップに分けて解説します。
- 経営課題を分析し、抽出する
- IT戦略を策定し、投資判断を支援する
- 戦略の実行をモニタリングし、評価する
それぞれ順に見ていきましょう。
経営課題を分析し抽出する
ITストラテジストの仕事は、まず企業が抱える経営課題を洗い出すところから始まります。市場の動向や競合の状況、自社の事業環境を分析し、現在の業務プロセスのどこに課題があるのかを明らかにする段階です。経営層や現場へのヒアリングを重ね、表面的な問題だけでなく、その背景にある構造的な課題まで掘り起こす視点が欠かせません。
たとえば、ある部門の生産性が低いという事象の裏に、システム間の連携が取れていないという原因が隠れている場合があります。こうした分析の精度が、その後の戦略の質を大きく左右します。
経営とITの両方を見渡す視点があるからこそ、技術だけでは見えない課題に気づけるのです。
IT戦略を策定し投資判断を支援する
経営課題が明確になった段階で、ITストラテジストはその課題を解決するためのIT戦略を策定します。具体的には、どのようなシステムや技術を導入すれば課題の解決につながるのかを検討し、複数の選択肢を比較しながら最適な方向性を描いていく業務です。
投資の規模や優先順位を判断する場面では、コストと効果のバランスを経営層にわかりやすく示すことが欠かせません。新しいシステムを導入する際には、初期費用だけでなく運用にかかる費用や、導入によって得られる効果を数値で示しながら、投資の妥当性を説明していきます。
経営層が意思決定をおこなううえで、専門的な知識にもとづいた判断材料を提供する役割を担っているのです。
戦略の実行をモニタリングし評価する
IT戦略は策定して終わりではなく、実行後の進捗を継続的に確認していく工程です。ITストラテジストは、設定した目標に対してどの程度の成果が出ているのかを定期的に確認し、計画と実績の差を把握する役割を担います。当初の計画どおりに進んでいない場合には、その原因を分析し、戦略そのものを見直す判断もおこないます。
市場環境やビジネス環境は常に変化するため、一度策定した戦略を固定的に運用するのではなく、状況に応じて柔軟に調整していく姿勢が求められるでしょう。こうしたモニタリングと評価の繰り返しが、次の戦略立案にもつながっていきます。
経営戦略とIT戦略を継続的にすり合わせていく、息の長い業務です。
ITストラテジストとよく似た職種との違い
ITストラテジストの仕事内容を理解すると、似たような上流職種との違いが気になってきます。ここでは、とくに混同されやすい2つの職種との違いを整理します。
ITアーキテクト
ITストラテジストとITアーキテクトは、どちらも上流工程に関わる職種ですが、担う範囲が異なります。
| 項目 | ITストラテジスト | ITアーキテクト |
|---|---|---|
| 担当する工程 | 超上流工程 | 上流工程 |
| 主な役割 | 経営戦略をもとにIT戦略を策定する | IT戦略を実現するためのアーキテクチャを設計する |
| 重視される視点 | 経営とビジネスの視点 | 技術とシステムの視点 |
| 主な成果物 | IT戦略、投資計画 | システム構成、要件定義書 |
ITストラテジストは、経営戦略にもとづいて何を作るかという方向性を決める立場です。一方、ITアーキテクトは、ITストラテジストが示した方向性を受け取り、それを実現するための要件を定義し、システムの構造や技術的な土台となるアーキテクチャを設計する立場にあります。ITストラテジストが描いた構想を、技術的に実現可能な形に落とし込むのがITアーキテクトの役割です。
経営とビジネスの視点が強いITストラテジストに対し、ITアーキテクトはより技術的な視点から、システム全体の設計に責任を持つ立場です。両者は連続した工程を担っており、ITストラテジストとしての経験を積んだのちに、技術側からITアーキテクトを目指すというキャリアパスも考えられます。
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトマネージャー(PM)は、IT戦略にもとづいて立ち上がったプロジェクトの責任者として、計画から実行までを管理する立場です。具体的には、プロジェクト全体の計画を作成し、必要な人員や予算を確保したうえで、スケジュールや品質を管理しながらプロジェクトを進めていきます。
| 項目 | ITストラテジスト | プロジェクトマネージャー(PM) |
|---|---|---|
| 担当する工程 | 超上流工程 | プロジェクトの実行フェーズ |
| 主な役割 | 何を作るかを決める | 決まった方針をどう進めるかを管理する |
| 主な業務 | 経営課題の分析、IT戦略の策定 | 計画の作成、人員・予算・スケジュールの管理 |
| 評価される対象 | 戦略の妥当性 | プロジェクトの進行、品質、期限の達成度 |
ITストラテジストが何を作るかを決める立場であるのに対し、PMは決まった方針をどのように進めるかを管理するという違いです。ITストラテジストがそのままPMを兼任するケースもありますが、これは業務範囲を広げて対応している例であり、本来の役割としては明確に分かれています。
ITストラテジストとして経営戦略の策定に携わったのち、PMとしてプロジェクトの実行管理に強みを持つキャリアを描く方もいるでしょう。
ITストラテジスト試験の実態と難易度
ITストラテジスト試験は、情報処理技術者試験の中でも最難関に位置づけられる国家資格です。具体的にどれくらいの難易度なのか、データで確認していきましょう。
合格率15%前後の最難関国家資格である
ITストラテジスト試験の合格率は、近年14〜16%前後で推移しています。直近3年間の合格率をまとめました。
| 年度 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 |
|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 0.155 | 4,972人 | 769人 |
| 令和6年度 | 0.158 | 5,327人 | 842人 |
| 令和7年度 | 0.15 | 5,586人 | 836人 |
受験者の6人から7人にひとりしか合格できない計算になり、応用情報技術者試験などと比べても難易度の高さがうかがえます。4区分すべてで基準点を超える必要がある出題形式が、合格率の低さに直結しています。
とくに記述式と論述式の対策には時間がかかるため、計画的な学習が欠かせません。難易度の高さは、合格者の市場での評価にもそのまま反映されます。
合格者の平均年齢は40歳前後と高い
ITストラテジスト試験の合格者は、他の情報処理技術者試験に比べて年齢層が高い傾向にあります。令和5年度の合格者の平均年齢は40.3歳、令和6年度は40.1歳と、いずれも40歳前後で推移しています。また、令和7年度春期の応募者の平均年齢は41.8歳でした。この年齢層の高さは、試験で問われる内容が実務経験を前提にしていることを示しています。
経営課題の分析や投資判断の支援といった業務は、現場での経験を積んでいないと解答を組み立てにくい内容です。プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーといったポジションを経て、さらに上流を目指す段階で受験する方が多いという背景が、この年齢層につながっているといえるでしょう。
受験資格はなく実務経験がなくても挑戦できる
ITストラテジスト試験には、年齢や学歴、実務経験による受験資格の制限はありません。情報処理技術者試験全体に共通する仕組みであり、何歳からでも、何度でも挑戦できます。実際に、令和元年度には18歳の合格者がいたという記録もあり、10代の受験者も一定数存在します。
ただし、受験資格がないからといって、誰でも簡単に合格できる試験ではない点には注意が必要でしょう。前述のとおり合格者の多くは実務経験を積んだ層であり、未経験から挑戦する場合は、午後Ⅰ・午後Ⅱで問われる経営視点での解答をどう組み立てるかが大きな課題になります。
とはいえ、受験のハードル自体が低いことは、キャリアの早い段階から目標として意識できるという意味で、ひとつの強みです。
資格取得とキャリアアップについては、次の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてください。

システムエンジニアに資格は必要?おすすめ資格とキャリア別の選び方を徹底解説
資格取得が年収・キャリアに与える3つのメリット
ITストラテジスト試験の合格は、年収やキャリアにどのような形で活かせるのでしょうか。資格取得によって得られるメリットは、大きく以下の3つに整理できます。
- 市場価値が上がり、年収交渉で有利になる
- 他の高度試験区分で、科目免除を受けられる
- 資格手当によって、収入アップが期待できる
それぞれのメリットを順に見ていきましょう。
市場価値が上がり年収交渉で有利になる
ITストラテジスト試験に合格していることは、転職市場において客観的な能力の証明として機能します。合格率15%前後という難易度の高さや、合格者の平均年齢が40歳前後という実態は、企業側にも一定の認知が広がっており、実務経験だけでは伝わりにくい戦略思考や経営視点を、資格というかたちで裏付けられる点が強みです。
とくに、これまでの経験を職務経歴書だけで説明しようとすると、評価する側との間で認識のずれが生まれることもあります。資格があれば、そうしたずれを減らし、面談の場でもスムーズに話を進めやすくなるでしょう。年収交渉の場面でも、根拠のひとつとして提示できる材料になります。
他の高度試験区分で科目免除を受けられる
情報処理技術者試験の高度試験には、科目A-1(旧・午前Ⅰ試験)の免除制度があります。ITストラテジスト試験に合格するか、科目A-1で基準点以上の成績を収めると、その後2年間は、システムアーキテクト試験やデータベーススペシャリスト試験、情報処理安全確保支援士試験といった他の高度試験区分でも、科目A-1が免除されます。
1つの試験で得た成果が、複数の資格取得に向けて活用できる点は、効率的にスキルの幅を広げたい方にとって大きな利点です。たとえばITストラテジスト試験の合格後、データベース分野の専門性を補強するためにデータベーススペシャリスト試験に挑戦する場合、科目A-1の対策に時間をかけずに済みます。
複数の高度資格を組み合わせることで、専門性の幅と深さの両方を示せるようになります。
資格手当による収入アップが期待できる
ITストラテジスト試験はIT資格の中でも難易度が高いことから、企業によっては資格手当の対象として設定されているケースがあります。
資格手当の有無や金額は企業ごとに異なりますが、高度試験への合格を、給与に反映する制度を持つ企業は一定数存在します。資格手当そのものは月々の収入に直接プラスされるものであり、転職を伴わなくても収入アップにつながる可能性がある点が特徴です。
ただし、資格手当だけで年収全体が大きく変わるわけではないため、年収アップを目指すのであれば、資格を活かせる職種や企業への転職と組み合わせて考えることが大切です。資格はあくまで土台であり、その土台をどう活かすかが、年収アップの幅を左右します。
市場価値をさらに高める関連資格
ITストラテジスト試験への合格は大きな実績ですが、ここで学びを止めるのではなく、関連する高度試験にも目を向けることで、市場価値をさらに高められます。
ここでは、ITストラテジストとの組み合わせで評価されやすい3つの資格を紹介します。
- システムアーキテクト試験
- データベーススペシャリスト試験
- 情報処理安全確保支援士試験(登録セキスペ)
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験は、ITストラテジスト試験と同じくITSSレベル4に位置する高度試験です。IPAの試験要綱では、ITストラテジストが示した方向性を受けて、システムの要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、開発を主導する人材として位置づけられています。
ITストラテジストが『何を作るか』を決める立場であるのに対し、システムアーキテクト試験は『どう実現するか』を問う試験であり、両方の視点を兼ね備えることで、戦略の立案から実現までを一貫して語れる人材になります。
経営層への提案と、現場の技術者への橋渡しを両方できる存在は、企業にとって価値が高い人材です。前述の科目A-1免除制度を活用すれば、効率的に挑戦できます。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験も、ITSSレベル4に相当する高度試験のひとつです。出題内容に定番のパターンが多いという特徴があり、高度試験の中では比較的取得しやすいとされています。
とはいえ、難易度そのものが低いわけではなく、データベース設計に関する深い知識と、論理的な思考力が求められる試験です。経営戦略を実現するためのIT戦略には、データをどう活用するかという視点が欠かせないため、データベーススペシャリストとしての専門性は、ITストラテジストの提案に説得力を持たせる要素になります。
データの整備や活用方針を具体的に語れる人材は、DX推進を掲げる企業にとって重要な存在です。
情報処理安全確保支援士試験(登録セキスペ)
情報処理安全確保支援士試験は、IT系の国家資格の中で唯一、名称独占資格として位置づけられている試験です。合格後に登録手続きをおこなうことで、情報処理安全確保支援士、通称「登録セキスペ」として活動できます。
ITSSレベル4に相当する高度試験であり、サイバー攻撃の脅威が増すなかで、企業からの注目度も上がっています。経営戦略にセキュリティの視点を組み込めることは、ITストラテジストの提案の幅を広げる強みです。
新規事業やシステム導入の提案にセキュリティリスクへの対応をあらかじめ盛り込んでおけば、経営層からの信頼も得やすくなります。
年収アップを目指すエンジニアの転職ならテックゴー
ITストラテジスト試験で身につけた知識や、関連資格で広げた専門性は、上流案件への転職市場で大きな強みになります。しかし、その強みを正しく伝え、年収に反映させるには、求人選びや交渉の進め方が重要です。
テックゴーは、エンジニア・ITコンサル領域に特化した転職エージェントとして、経営戦略やIT戦略に関わる上流案件の求人を多数保有しています。
エンジニア・ITコンサル領域に特化しており、上流案件の求人を多数保有している 平均年収アップ金額は138万円と、収入アップの実績が豊富にある 年収交渉の成功率は100%で、交渉をすべて代行してもらえる アドバイザーは元エンジニア・ITコンサル出身者が多く、現場感覚に基づいたアドバイスを受けられる 面接対策は回数無制限で、選考通過に向けて徹底サポートしてもらえる
これまでの経験や資格が、今の年収に正しく反映されているか気になる方は、まずは無料相談で市場価値を確認してみましょう。
まとめ
この記事では、ITストラテジストの年収について、厚生労働省のデータと求人データの両方から実態を整理しました。ITストラテジストが高年収になりやすい背景には、超上流工程を担う立場であることや、ITSSレベル4という希少性、専門的知識等を有する労働者としての法的な位置づけがあります。また、ITアーキテクトやプロジェクトマネージャーとの役割の違い、試験の難易度、関連資格についても確認してきました。
ITストラテジスト試験で得られる知識や経験は、資格名そのものよりも、ITコンサルタントやCIOといった実務上の職種で評価される場面が多いです。今のスキルや経験が、転職市場でどの程度の年収に結びつくのかを把握しておくことは、今後のキャリアを考えるうえで大きな意味を持ちます。
ITストラテジストとしての知識や経験を活かし、年収アップやキャリアアップを目指すなら、テックゴーへの相談がおすすめです。エンジニア・ITコンサル領域に特化したアドバイザーが、上流案件への転職をサポートします。
よくある質問
Q
ITストラテジストと中小企業診断士はどちらが難しいですか?
A
単純な合格率で比較すると、中小企業診断士の最終合格率は約4〜5%程度であり、ITストラテジスト試験の合格率15%前後よりも低い数字です。この点だけを見ると、中小企業診断士のほうが難しいように感じられるでしょう。 一方で、必要な勉強時間で比較すると、中小企業診断士は1,000時間以上が目安とされ、実務経験のあるエンジニアであればITストラテジストは150〜200時間程度で合格に近づけるとされています。出題範囲の広さも異なり、中小企業診断士は経済学や法務、人事など幅広い分野を問われるのに対し、ITストラテジストはITとビジネスに関する内容に絞られています。 試験の性質が異なるため、単純にどちらが上ということはできませんが、総合的に見るとおおむね同程度の難易度と考えてよいでしょう。
Q
ITストラテジストになるには何年くらいかかりますか?
A
試験勉強そのものに必要な期間は、実務経験のあるエンジニアであれば3ヵ月から半年程度が目安とされています。ただし、試験で問われる経営課題の分析や投資判断の支援といった内容は、実務経験がないと解答を組み立てにくいため、合格までの期間を考えるうえでは、実務経験を積む期間も含めて考える必要があります。 実際に、合格者の平均年齢は40歳前後であり、システムエンジニアやプロジェクトリーダーとしての経験を積んだうえで受験する方が多い傾向にあります。エンジニアとしてのキャリアをスタートしてから10年前後の実務経験を経て挑戦するケースが一般的といえるでしょう。 受験資格そのものに制限はないため、キャリアの早い段階から目標として意識しておくことも可能です。
Q
ITストラテジストとITアーキテクトの違いは何ですか?
A
ITストラテジストとITアーキテクトは、どちらも上流工程に関わる職種ですが、担う範囲が異なります。 ITストラテジストは経営戦略にもとづいて、IT戦略として何を作るかという方向性を決める立場です。一方、ITアーキテクトは、ITストラテジストが示した方向性を受け取り、それを実現するための要件を定義し、システムのアーキテクチャを設計する立場にあります。 ITストラテジストが構想を描き、ITアーキテクトがその構想を技術的に実現可能な形に落とし込むという関係性です。経営とビジネスの視点が強いITストラテジストに対し、ITアーキテクトはより技術的な視点からシステム全体の設計に責任を持つ立場といえます。
