プロジェクトマネージャー(PM)とは?年収・種類・キャリアアップ方法を徹底解説
2026年09月14日更新
SEやPL(プロジェクトリーダー)として経験を積み、次のキャリアとしてPM(プロジェクトマネージャー)を考えている方もいるでしょう。一方で、「PLと何が違うのか」「自分の経験から目指せるのか」と疑問を持つ方も少なくありません。
PMは、プロジェクト全体の計画を立て、予算や人員、進捗、品質などを管理する役割です。担当範囲は企業やプロジェクトによって異なりますが、チームをまとめるPLよりも広い視点でプロジェクトを管理します。
この記事で扱うのは、次の5点です。
- PMの仕事内容とSE・PLとの違い
- PMの平均年収
- PMがきついと言われる理由
- PMになるための方法と役立つ資格
- PM経験を活かせるキャリア
読み終えるころには、自分がPMを目指すべきか、そのために次に何を積むべきかが判断できるはずです。

著者
高久 侑歩
(Takaku Yuho)
新卒で技術接客業経験後、株式会社リクルートにて法人営業を行う。企業の経営課題を解消するコンサル営業として多くの中小企業の立て直しを経験。 その後、企業成長へ貢献したいと思い、IT企業にてWebコンサルタントとして従事。そこで、エンジニアファーストではない現場の実態から、企業成長の妨げの根本はここにあるのではないか?と考え、My Vision・ITエンジニアのCAへ転職。企業の実態や求める人材を誰よりも深く理解し、候補者様のキャリアビジョンと精度の高いマッチングを実現し、候補者様・企業様の「成長」をサポート。
プロフィール詳細を見る

監修者
川村 莉子
(Kawamura Riko)
名古屋工業大学卒業後、新卒でDirbatoに入社。通信会社に対する業務改善プロジェクトや次世代ネットワーク移行案件のPMOなどに従事。自身のコンサルタント経験を活かした、IT系コンサルファームへの開発支援を得意とする。
プロフィール詳細を見る
目次
CONTENTS
プロジェクトマネージャー(PM)とは
プロジェクトマネージャー(PM)は、プロジェクトを決められた品質・予算・納期で完了させることに最終責任を負う職種です。進捗を取りまとめる役割として説明される場面もありますが、実務でPMを他の役割と分けているのは、集めた情報をもとに決める場面の多さです。
PMが責任を持つ範囲は、おおむね次の6つに整理できます。
| 責任範囲 | 内容 |
|---|---|
| スコープ | どこまでを開発の対象にするかを決める |
| 品質 | 求められる水準を満たしているかを判断する |
| コスト | 原価と工数を予算の中に収める |
| 納期 | 決められた期日までに完了させる |
| 要員 | 必要な人数とスキルを揃える |
| リスク | 起こりうる問題を先に見つけて手を打つ |
上の6つは、どれかひとつを優先すると別の項目が崩れる関係にあります。納期を守るために人を増やせばコストが膨らみ、品質を上げようとすれば期日が遠のきます。正解のない場面で優先順位を決め、その結果を引き受けることがPMの仕事の中心です。
そのため、進捗表を更新する作業を想像してPMに就いた人は、判断を求められる回数の多さに戸惑いやすい傾向があります。逆に言えば、決めることに慣れている人ほど早く立ち上がります。
需要の面から見ても、この役割を担える人材は不足しています。IPAの調査では、DXを推進する人材の量が不足していると答えた企業は85.5%、質が不足していると答えた企業は88.8%にのぼりました。プロジェクト全体を預けられる人材は、業界全体で取り合いになっている状態です。
プロジェクトマネージャーの5つの仕事内容
PMの業務は、プロジェクトが正式に動き出す前から、納品後の振り返りまで続きます。ここでは、時系列に沿って5つの工程に分けて解説します。
- 企画・提案から計画を立てる
- 要件定義でスコープを決める
- 体制を組みメンバーを集める
- 進捗・品質・課題をコントロールする
- 予算と原価を管理する
それぞれの工程で、SE・PLの立場から何が増えるのかもあわせて確認していきましょう。
企画・提案から計画を立てる
PMの仕事は、プロジェクトが正式に始まる前から動き出します。SIerやベンダーの立場であれば、顧客の要望を聞き取り、実現方法とおおよその工数を見積もって提案書にまとめる段階から関わります。受注できるかどうかは提案の内容で決まるため、ここでの見立ての精度が案件全体を左右します。
受注が決まったあとは、全体の計画に落とし込みます。作業を洗い出して工程に分け、マスタースケジュールと体制の案を作り、どこにバッファを置くかを決めていきます。この段階で置いた前提が、後工程で起きる遅延の大半を決めてしまいます。
SE・PLの立場では、担当領域の工数を積み上げて提出するところまでを求められる場面が多いはずです。PMになると、その積み上げを束ねた数字そのものに責任を負い、顧客と自社の双方が納得する金額と期間に着地させる立場に変わります。見積もりを出す側から、見積もりを守る側に移ると考えるとわかりやすいでしょう。
こちらの記事では、要件定義や基本設計といった上流工程の仕事内容と年収の水準を解説しています。PMを目指す前に、上流工程で何を任されるのかを具体的に知っておきたい方におすすめです。

エンジニアの上流工程とは?仕事内容、年収、メリット、求められるスキルを徹底解説
要件定義でスコープを決める
要件定義は、システムに何をどこまで作るのかを固める工程です。ここで引いた線が曖昧なままだと、開発が進んでから追加の要望が入り込み、工数も期日も膨らみます。炎上したプロジェクトをさかのぼると、要件定義の詰めの甘さに行き着く例が多くあります。
PMは、顧客の要望を機能に翻訳する作業に加えて、どこまでを今回の範囲に含めるかを決めます。予算と期間の中に収まらない要望については、次期フェーズに回すか、追加費用として扱うかを顧客と合意していきます。断る判断と、その理由を説明するところまでがPMの担当範囲です。
SEとして要件定義に参加した経験があっても、多くは打ち合わせに同席して技術的な実現性を答える立場だったはずです。PMになると、同じ場で範囲を決める側に立ちます。技術的にできるかどうかではなく、この期間と金額でやるべきかどうかを判断する点が、いちばん大きな変化です。
体制を組みメンバーを集める
計画が固まったら、実行する体制を組みます。必要なスキルと人数を洗い出し、社内の要員を確保し、足りない分は協力会社に依頼します。要員の確保は他部署との調整になるため、部門をまたいだ交渉が発生します。
現実には、希望どおりの人を集められないまま開始する案件も多くあります。経験の浅いメンバーが中心になる場合は、レビューの回数を増やす、難易度の高い箇所を経験者に寄せるといった手当てで補っていきます。人を選べない前提で、成立する体制を組み直せるかがPMの力量です。
PLの立場では、与えられたメンバーの中で役割を割り振るところまでが担当範囲になりがちです。一方でPMは、そのメンバーを誰にするかという段階から関わり、協力会社との契約条件や単価の交渉にも踏み込みます。人と金の両方を動かす立場になる点が、PLとの違いとして表れます。
進捗・品質・課題をコントロールする
進捗管理は、報告を集めて表を埋める作業ではありません。予定と実績のズレから遅れの兆候を早い段階で見つけ、要員を動かすか、順序を入れ替えるか、範囲を削るかを決めて手を打つ工程です。ズレが誰の目にも見える形で表に出てから動くと、打てる手は限られます。
品質については、テストの網羅性や不具合の収束具合を見て、リリースの可否を判断します。あわせて、まだ起きていないリスクと、すでに起きている課題を分けて扱います。
| 区分 | 状態 | PMの動き |
|---|---|---|
| リスク | まだ起きていない | 発生の確率と影響の大きさを見積もり、回避策を用意する |
| 課題 | すでに起きている | 対応の担当者と期限を決め、解決まで追いかける |
障害が発生した場面では、原因の切り分けと並行して、顧客への報告内容と復旧の見通しを決めます。情報が揃わない段階で方針を出せるかどうかが、PMとして最も試される場面です。
SE・PLの時点では担当する範囲の遅れと品質に責任を負いますが、PMは他チームや協力会社の遅れも含めて、プロジェクト全体の結果として引き受けます。
予算と原価を管理する
予算の管理は、SE・PLの立場では触れる機会が少ない領域です。プロジェクトの売上は受注の時点で決まっているため、利益を左右するのは原価の側になります。原価の大部分は人件費と外注費で、投入した工数がそのまま金額に跳ね返ります。PMは毎月の消化工数と進捗を突き合わせ、このままの進み方で予算に収まるかを確認していきます。
赤字の見込みが立った場合は、要員の構成を見直す、作業の一部を体制ごと組み替える、追加費用を顧客と交渉するといった手を検討します。どれも簡単ではありませんが、判断を先送りするほど選べる手段は減っていきます。
そして、赤字になった案件の責任は、最終的にPMに向かいます。工数が膨らんだ原因がメンバーのスキル不足でも、顧客からの仕様変更でも、社内の評価としてはPMの見立てと管理の問題として扱われる場面が多くあります。この重さが、PMという役割に高い年収が付いてくる理由でもあります。
PL・SE・PMO・プロダクトマネージャーとの違い
PMという役割は、近い立場の職種と並べたときに輪郭がはっきりします。ここでは、次の4職種との違いを整理します。
- PL(プロジェクトリーダー)との違い
- SE(システムエンジニア)との違い
- PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)との違い
- PdM(プロダクトマネージャー)との違い
まず全体像を確認しましょう。5つの職種を、責任の範囲と意思決定の権限で並べると次のようになります。
| 職種 | 責任の範囲 | 意思決定の権限 | 評価される成果 |
|---|---|---|---|
| SE | 自分が担当する成果物 | 設計や実装の方法を選ぶ | 仕様を満たすものを作れたか |
| PL | 担当するチームや工程 | 与えられた範囲の中で判断する | 担当工程を予定どおり終えられたか |
| PM | プロジェクト全体の品質・コスト・納期 | 予算・要員・範囲を決める | 案件を予算と期日の中で完了させたか |
| PMO | 管理の仕組みと支援 | 個別案件の決定はおこなわない | 全社の案件管理が回っているか |
| PdM | プロダクトが生む成果 | 何を作るかを決める | プロダクトが事業に貢献したか |
上から順に、担当する範囲と背負う金額が大きくなっていきます。自分が今どの行にいるかを確認したうえで、以降の解説を読み進めてください。
PL(プロジェクトリーダー)との違い
PLとPMの違いは、責任を負う範囲の広さに表れます。PLは担当するチームや工程の完遂に責任を持ち、PMはプロジェクト全体の結果に責任を持ちます。開発チームが予定どおり進んでいても、外部との連携部分が遅れて全体が止まれば、それはPMの管理の問題として扱われます。
もうひとつの違いは、顧客との窓口になるかどうかです。PLは社内やチーム内の調整が中心になるのに対し、PMは顧客と直接向き合い、費用や納期の変更を持ち帰らずにその場で判断する場面が出てきます。金額の話に踏み込むかどうかが、実務上のいちばんわかりやすい境目です。
ただし、この線引きは会社によって動きます。小規模な組織ではPLという肩書きのままPM相当の役割を担っている例もありますし、大規模案件ではPLが数人置かれ、その上にPMが立つ体制も一般的です。肩書きではなく、予算と要員をどこまで動かせるかで自分の立ち位置を測りましょう。
こちらの記事では、PLの仕事内容やPMとの違い、年収、必要なスキルを詳しく解説しています。いきなりPMを狙うのではなく、まずPLを経て段階的に進みたい方におすすめです。

プロジェクトリーダー(PL)とは?仕事内容・PMとの違い・年収・必要なスキルを徹底解説
SE(システムエンジニア)との違い
SEとPMの違いは、何に対して責任を負うかという一点に集約されます。SEは自分が担当する成果物に責任を持ち、設計書やプログラムが仕様を満たしていれば役割を果たしたことになります。一方でPMは、成果物が揃ったうえで、それが予算と期日の中で完成したかという結果に責任を持ちます。
この差は、判断の材料にも表れます。SEは技術的に正しいかどうかを軸に選択しますが、PMは技術的に正しい選択肢を、費用と期間の制約の中で採用できるかどうかで判断します。品質を高める改修案が出てきたときに、それを採用すれば納期に間に合わないという場面で、どちらを取るかを決めるのがPMです。
SEからPMを目指す場合、埋めるべき差分はこの判断の軸にあります。技術の知識そのものが不足しているわけではなく、金額と期間を含めた全体の中で優先順位を付けた経験が足りていない状態です。だからこそ、PLやサブリーダーの経験が次のステップとして意味を持ちます。
こちらの記事では、SEの仕事内容と平均年収、年収を上げる方法を解説しています。SEとしての現在地を整理したうえで、PMへ進むべきか判断したい方におすすめです。

SE(システムエンジニア)とは?仕事内容・年収・向いている人を解説
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)との違い
PMOは、プロジェクトの管理を支援する立場です。進捗やコストの情報を集めて可視化し、社内の管理手法を標準化し、複数の案件を横断して状況を把握します。PMの仕事と重なる部分は多いものの、決定的な違いがひとつあります。
PMOは個別のプロジェクトについて意思決定の責任を負いません。遅延が起きたときに要員を追加するか範囲を削るかを決めるのはPMであり、PMOはその判断に必要な情報を整え、選択肢を示すところまでを担当します。責任を引き受ける側か、支援する側かという違いです。
なお、PMOはキャリアの後半で選ぶ人もいます。PMとして案件を回した経験があるほど、現場が何に困るかを踏まえた支援ができるためです。実行の責任から距離を置きながら、これまでの経験を活かす道として選択肢に入れておくとよいでしょう。
こちらの記事では、PMOの役割やPMとの違い、組織における位置づけと将来性をエンジニア向けに解説しています。実行の責任を負う側と支援する側、どちらが自分に合うかを比べたい方におすすめです。

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)とは?PMとの違いや組織における役割、将来性をエンジニア向けに解説
PdM(プロダクトマネージャー)との違い
PMとPdMは略称が似ていますが、求められる思考は別物です。PMが担当するプロジェクトには開始と終了があり、決められたものを決められた条件で完成させれば役割を終えます。対してPdMが担当するプロダクトに終わりはなく、リリースしてからが本番になります。
そのため、評価される軸も変わります。PMは予算と期日を守れたかで評価されますが、PdMは作ったものが売上や利用者の数にどうつながったかで評価されます。決められたものを確実に作る力と、何を作るべきかを決める力は、必要になる場面が異なります。
自社サービスを開発する企業では、この2つの役割が1人に集約されている場合もあります。求人票にPMと書かれていても、実態はPdMに近い職務を求められている例があるため、応募の段階で担当範囲を確認しておきましょう。作るものが決まっている案件を回すのか、作るものを決めるところから任されるのかで、日々の仕事は大きく変わります。
プロジェクトマネージャーに求められる5つのスキル
PMに求められるスキルは、エンジニアとして積んできた経験の延長にあるものと、PLまでの働き方では身につかないものに分かれます。ここでは、実務で差が出やすい5つを解説します。
- 利害の異なる相手から合意を引き出す調整力
- 崩れた計画を立て直すマネジメント力
- 情報が足りない状況で決めきる決断力
- 見積もりの妥当性を判断できる技術理解
- 納期・費用・要員を動かす交渉力
それぞれについて、今の経験のどこが活きて、何が足りないのかを確認していきましょう。
利害の異なる相手から合意を引き出す調整力
調整力は、周囲と円満にやっていく力ではありません。顧客は要望を通したい、開発チームは無理のない期間で作りたい、自社の経営層は利益を確保したいと、関係者はそれぞれ違うものを見ています。この状態から、全員が動ける着地点を作るのが調整力です。
実務でこの力が最も効くのは、悪い報告が早く上がってくる関係を作れているかどうかです。遅れや不具合は、把握が1週間早いだけで打てる手が変わります。責める場を作らず、事実を早く出したほうが得だとメンバーが感じる状態を保てるかが分かれ目です。
SE・PLとして障害対応や仕様調整を経験していれば、土台はできています。PMで加わるのは、社外の相手と利害が正面からぶつかる場面です。社内であれば最後は同じ目的に立ち返れますが、顧客との間ではそれが通じません。相手の事情を踏まえたうえで、こちらの制約を納得できる形で伝える力が求められます。
崩れた計画を立て直すマネジメント力
計画どおりに進むプロジェクトはまれです。そのため、精密な計画を引く力よりも、崩れた後に組み直す力のほうが実務では役に立ちます。遅れが出たときに、要員を足すのか、順序を入れ替えるのか、範囲を次期に回すのかを選び、新しい計画に引き直していきます。
立て直しの精度を決めるのは、クリティカルパスを把握しているかどうかです。全体の納期に直結する作業と、多少遅れても吸収できる作業を分けられていれば、限られた時間をどこに投じるかを判断できます。バッファをどこに置いたかを自分で説明できない計画は、崩れたときに立て直せません。
PLの経験があれば、担当工程の中で遅れを取り戻した場面は思い当たるはずです。PMになると、その調整が複数チームと協力会社をまたぎ、自分の指示だけでは動かない相手が増えます。全体を見て、どこを削ればどこが助かるかを判断する視点が新たに必要になります。
情報が足りない状況で決めきる決断力
PMが判断を求められるのは、材料が揃っている場面ではありません。原因が特定できていない障害への対応方針、まだ確定していない仕様を前提にした要員の手配など、わからないことを残したまま決める場面がほとんどを占めます。
こうした場面で大切なのは、正解を探し続けないことです。情報を集める時間が長引くほど、選べる手段は減っていきます。7割の情報で決めて、外れたら早く戻すほうが、10割を待って動けなくなるより被害は小さくなります。決めた前提を記録しておき、状況が変わったら見直す進め方が現実的です。
エンジニアとして原因究明を突き詰めてきた人ほど、この切り替えに戸惑いやすい傾向があります。技術の世界では、わからないまま進めることは避けるべき行為でした。PMでは、期限までに決めないこと自体が損失になります。この価値観の切り替えが、SEからPMへ移るときの見えにくい壁です。
見積もりの妥当性を判断できる技術理解
PMに実装できる力は求められません。ただし、出てきた数字と説明が妥当かどうかを判断できる程度の技術理解は欠かせません。ここが弱いと、2つの場面で判断を誤ります。
| 場面 | 技術理解がないと起きること |
|---|---|
| 見積もりの査定 | 過大な工数をそのまま顧客に提示し、失注や赤字につながる |
| 現場からの相談 | できませんという回答の真偽を確かめられず、対応を丸ごと諦める |
技術理解は、メンバーを疑うためではなく、根拠を一緒に確かめるために使うものです。この機能はなぜ3人月かかるのかを聞き、返ってきた説明に納得できるかどうかを判断できれば十分です。
エンジニア出身のPMが評価されやすいのは、この判断ができるためです。開発の実務を通っていない人には身につけにくい部分であり、SE・PLからPMを目指す人にとって最大の武器になります。
納期・費用・要員を動かす交渉力
交渉力は、SE・PLの立場ではほぼ経験しない領域です。PMになると、仕様変更が発生したときに追加費用を請求するのか、無償で対応するのかを顧客と話し合う場面が出てきます。社内に対しても、要員の追加や期間の見直しを認めてもらうために、根拠を持って説明する機会が増えます。
交渉で成果を出せるかどうかは、その場の話術ではなく準備で決まります。変更の経緯と工数の内訳を記録に残しておけば、追加費用の話は交渉ではなく確認の場に変わります。逆に、口頭で受けた依頼を積み重ねたまま最後にまとめて請求すると、たいてい通りません。
この領域は、日々の業務の中で自然に身につくものではありません。PMを目指すのであれば、現職のうちに顧客との打ち合わせに同席させてもらう、見積もりの作成を手伝うといった形で、金額が動く場面に触れておきましょう。経験の有無は職務経歴書にも表れます。
こちらの記事では、エンジニアの市場価値がどう決まるのかと、それを高める方法を解説しています。ここまでのスキルのうち、どれが転職市場での評価に直結するのかを確かめたい方におすすめです。

エンジニアの市場価値はどう決まる?高める方法と将来性を徹底解説
プロジェクトマネージャーの年収
PMの年収を知りたい読者が本当に確かめたいのは、平均値そのものではなく、今の自分の年収からどれだけ動くかでしょう。ここでは、次の4つに分けて解説します。
- 平均年収と年収レンジ
- SIer・事業会社・コンサルで年収はどう変わるか
- SE・PLからPMになると年収はいくら上がるか
- PMになっても年収が上がらないケース
自分の現在の年収を思い浮かべながら読み進めてください。
平均年収と年収レンジ
エンジニア特化の転職エージェント「テックゴー」が保有する求人データを集計したところ、PM求人の平均年収は890万円、中央値は875万円でした。求人が提示する年収の下限は平均657万円、上限は平均1,123万円です。
他の職種と並べると、水準の違いがはっきりします。
| 職種 | 平均年収 | 年収の中央値 |
|---|---|---|
| インフラエンジニア | 676万円 | 650万円 |
| SE | 698万円 | 650万円 |
| 開発エンジニア | 710万円 | 675万円 |
| PL | 763万円 | 738万円 |
| PM | 890万円 | 875万円 |
| ITコンサルタント | 997万円 | 950万円 |
(※)年収は、エンジニア特化の転職エージェント「テックゴー」が保有する求人情報より算出しています。
SEとPMの間には、平均で190万円ほどの開きがあります。中央値で比べると225万円差になり、実際に多くの人が受け取る金額の差はさらに大きくなります。
ただし、レンジの広さにも注意してください。PM求人の下限は320万円、上限は2,400万円と、7倍以上の幅があります。上限に近い求人は、事業責任者に近い職責を含むポジションが中心です。PMという肩書きが年収を保証するわけではなく、預かる案件の規模と責任の重さで金額が決まる職種だといえます。
こちらの記事では、ITエンジニアの平均年収を職種別・年代別・経験年数別に解説しています。PM以外の職種も含めて、業界全体の相場感をつかんでおきたい方におすすめです。

【2026年最新】ITエンジニアの平均年収は?職種別・年代別・経験年数別に相場を解説
SIer・事業会社・コンサルで年収はどう変わるか
同じPMでも、どの立場で働くかによって年収の水準は変わります。傾向としては、顧客の課題を定義する側に近いほど高くなります。
上のデータでも、ITコンサルタントの平均年収は997万円と、PMを107万円上回りました。上限側で比べると、PMの1,123万円に対してコンサルは1,338万円と、差はさらに広がります。上流に近づくほど、上振れの幅が大きくなる構造です。
立場ごとの違いは、次のように整理できます。
| 立場 | 年収の傾向 | 背景 |
|---|---|---|
| SIer・ベンダーのPM | 標準的 | 受注金額が先に決まり、原価の管理で利益を出す |
| 事業会社のPM | 会社の給与水準に連動 | 案件の規模より、社内の等級制度で決まる |
| コンサルファームのPM | 高め | 提供する価値に対して金額が決まり、上限が緩い |
事業会社のPMは、案件の規模が大きくても給与テーブルの範囲に収まりやすい傾向があります。一方で、労働時間や納期の圧力は受注側より穏やかな会社が多く、金額だけで優劣を判断できません。年収を上げたいのか、働き方を整えたいのかを先に決めておきましょう。
SE・PLからPMになると年収はいくら上がるか
現職からの昇給幅は、年代によって変わります。年齢別の年収を並べると、次のようになりました。
| 年齢 | 開発系エンジニア | PL(推定) | PM・コンサル |
|---|---|---|---|
| 30〜34歳 | 560万円 | 662万円 | 866万円 |
| 35〜39歳 | 636万円 | 747万円 | 968万円 |
| 40〜44歳 | 686万円 | 854万円 | 1,189万円 |
| 45〜49歳 | 729万円 | 895万円 | 1,226万円 |
(※)厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の職種別・年齢階級別データをもとに算出しています。PLの数値は、開発系とPM・コンサルの中間として推計した値です。
注目してほしいのは、差の広がり方です。30代前半では開発系とPM・コンサルの差は306万円ですが、40代前半では503万円まで開きます。エンジニアの年収は40代で伸びが緩やかになる一方、PM側は伸び続けるため、年齢が上がるほど差が積み上がります。
昇給の幅は、動き方でも変わります。社内で昇格する場合は役職手当の範囲に収まり、数十万円の上積みで止まる例が多くあります。対して転職の場合は、求人が提示する年収レンジに乗るため、100万円を超える変動も起こります。ただし転職には環境が合わない可能性も伴うため、金額だけで選ぶのは避けたいところです。
こちらの記事では、PMの年収相場を年代別のデータで整理し、1,000万円に届くための条件を解説しています。具体的な目標金額から逆算してキャリアを組み立てたい方におすすめです。

プロジェクトマネージャーの年収相場は?年代別データと1000万円への道
PMになっても年収が上がらないケース
PMになれば年収が上がると考えたくなりますが、そうならない場合もあります。代表的なのが、多重下請けの下位に位置する会社でPMを名乗るケースです。
この構造では、元請けから流れてくる金額に上限があり、そこから各層が取り分を引いた残りが自社の売上になります。会社が受け取る金額に天井があれば、社員の年収にも天井ができます。案件の規模が小さければ、PMという役割を担っても支払える金額は限られます。
年収が上がりにくい環境には、次のような特徴があります。
- 自社が元請けではなく、上位の会社から仕事を受けている
- 担当する案件の規模が数百万円から数千万円にとどまる
- 予算や要員を決める権限が実質的に上位の会社にある
- 社内の給与テーブルに上位の等級が用意されていない
この場合、役割の重さだけが増えて評価が追いつかない状態になります。責任は背負っているのに年収が動かないと感じているなら、努力の量ではなく、置かれている環境を疑ってみましょう。
こちらの記事では、SESとSIerの違いを契約形態と商流の観点から解説し、年収差が生まれる仕組みを整理しています。自社が商流のどこに位置しているのかを確かめたい方におすすめです。

SESとSIerの違いは?年収差とどっちを選ぶべきか解説
プロジェクトマネージャーが「きつい」と言われる3つの理由
PMを検討していると、きついという評判が必ず耳に入ります。実際に負荷の高い職種であることは事実ですが、その中身は3つに分けて見ておきたいところです。
- 遅延もトラブルも最終責任が自分に集まる
- 顧客と開発チームの板挟みになる
- 見積もりと実態のズレを自分で吸収する
大切なのは、どこへ行ってもついてくるきつさと、会社や案件の構造が生んでいるきつさを切り分けることです。順に確認していきます。
遅延もトラブルも最終責任が自分に集まる
PMのきつさの中心にあるのは、自分が手を動かしていない部分の結果まで引き受ける点です。メンバーの作業が遅れても、協力会社が期日を守らなくても、対外的にはプロジェクトの遅れとして扱われます。顧客の前で説明に立つのはPMであり、社内の報告で問われるのもPMです。
障害が起きたときの動き方にも、この立場が表れます。原因の特定は担当のエンジニアが進めますが、顧客にいつ何を伝えるか、復旧までの見通しをどう示すかを決めるのはPMです。自分では直せない問題について、期限のある判断を求められる場面が繰り返し訪れます。
この部分は、会社を変えても軽くなりません。責任の集中はPMという役割の定義そのものであり、環境の問題ではないからです。むしろ、この重さを引き受けることに対して年収が支払われていると考えたほうが実態に近いといえます。
顧客と開発チームの板挟みになる
顧客は要望を通したい、開発チームは無理のない条件で作りたいと考えています。この2つが食い違ったとき、両方に説明する立場に立つのがPMです。顧客には実現できない理由を伝え、チームには受け入れた条件の背景を伝えます。どちらの説明でも、相手が納得しなければ話は前に進みません。
つらいのは、どちらか一方を選べば済む場面が少ない点です。顧客の要望をそのまま受ければ現場が疲弊し、断り続ければ関係が悪化します。両方から不満を持たれる状態が続くこと自体が、この役割の負荷です。
ただし、この板挟みの強さは環境によって差があります。営業が受注だけして後を引き継がない体制や、顧客との力関係が一方的な取引では、PMが吸収する量が増えます。逆に、無理な要望を組織として断れる会社であれば、同じPMでも負荷は変わってきます。ここは環境で緩和できる部分です。
見積もりと実態のズレを自分で吸収する
受注時に決まった金額と期間は、開始後に簡単には変えられません。ところが、作り始めてから判明する仕様の複雑さや、想定より手間のかかる調整は必ず出てきます。この差を、追加費用として認めてもらえない場合、残った手段は工夫と気合いになりがちです。
とくに厳しいのは、自分が関与していない見積もりを引き継いだ場合です。営業や別のPMが作った数字を渡され、実現できる根拠を確認できないまま開始する例は珍しくありません。根拠のわからない数字を守る立場に置かれると、打てる手は最初から限られています。
一方で、これは会社の構造が生んでいるきつさです。見積もりの段階からPMが関わる体制であれば、無理のある前提を持ち込まずに済みます。追加の要望を追加費用として整理する仕組みがある会社なら、ズレを個人で抱える必要もありません。見積もりに関与できるかどうかは、PMとして働く環境を選ぶときの重要な判断材料になります。
こちらの記事では、PMがきついと言われる理由を掘り下げ、しんどいと感じたときの具体的な対処法を解説しています。すでにPMとして働いていて負荷の高さに悩んでいる方におすすめです。

プロジェクトマネージャー(PM)がきつい理由は?しんどいときの対策を解説
PMになると技術力は落ちるのか
PMへの転向を迷う理由として、技術力を失うことへの不安を挙げる人は多くいます。この不安は、落ちませんという答えでは解消しません。ここでは3つに分けて整理します。
- コードを書かなくなることで失われるもの
- 代わりに積み上がる、代替されにくい経験
- 技術から離れすぎたPMが評価されなくなる分岐点
失うものを確認したうえで、それが自分にとって許容できる交換かを判断していきましょう。
コードを書かなくなることで失われるもの
実装から離れれば、手を動かす感覚は確実に鈍ります。エディタを開いてから形になるまでの速さ、エラーの原因を見当で絞り込む勘、テストコードを書きながら設計を整えていく進め方は、日常的に触れていないと保てません。1年も離れれば、以前の速度では書けなくなります。
新しい技術への追随も難しくなります。フレームワークの世代交代やクラウドの新機能は、業務で使う中で自然に身についていた部分が大きいはずです。業務時間の中に学習の機会が組み込まれていた状態から、意識して時間を作らなければ触れられない状態に変わります。
ここをごまかす説明には注意してください。マネジメントも技術のうちだという言い方はできますが、実装力そのものは別の能力です。手を動かし続けたいと考えているなら、PMではなくテックリードやアーキテクトの道を検討したほうが納得感は高いでしょう。
こちらの記事では、テックリードの仕事内容や年収、必要なスキルと「やめとけ」と言われる理由を解説しています。マネジメントではなく技術の側で影響範囲を広げたい方におすすめです。

テックリードとは?仕事内容・年収・将来性・必要なスキルと「やめとけ」と言われる理由を徹底解説
代わりに積み上がる、代替されにくい経験
一方で、PMの立場でしか積めない経験があります。代表的なのは次の3つです。
- 見積もりの精度を上げていく経験
- 制約の中で成立する体制を設計する経験
- 崩れた案件を立て直す経験
いずれも、教材で学んで身につくものではありません。自分が出した数字が現実とどれだけずれたかを何度も確認し、原因を振り返る中でしか精度は上がらないためです。外した経験の蓄積そのものが資産になる領域であり、経験年数が価値に直結します。
生成AIの普及を踏まえても、この差は意識しておきたいところです。IPAの調査では、AI導入の効果として業務の効率化や迅速化を挙げた企業が91.6%にのぼる一方、売上や利益の向上を挙げた企業は3.9%にとどまりました。情報通信業ではコードの生成や開発の支援にAIを使う企業が76.3%と、他の業種を大きく上回っています。
つまり、実装や設計の作業を速くする方向での活用が先行している状況です。この先どうなるかを断定はできませんが、顧客と社内の利害を調整し、限られた情報で決めるという領域は、現時点で置き換えが進んでいるとは言えません。
技術から離れすぎたPMが評価されなくなる分岐点
とはいえ、技術から完全に離れたPMは市場で評価されにくくなります。分岐点になるのは、判断ができるかどうかです。
| できなくなること | 現場で起きること |
|---|---|
| 見積もりの妥当性を確かめる | 出てきた数字をそのまま受け入れ、赤字か失注につながる |
| できませんの理由を確認する | 代案を検討できず、顧客への説明が伝聞になる |
| 技術的な選択の影響を測る | 後工程で表面化する問題を予測できない |
この状態になると、報告を右から左に流す役割になり、社内でも顧客からも頼られなくなります。PMの技術理解は、深さではなく判断に使えるかどうかで測られます。
維持のために必要なのは、実装を続けることではありません。設計のレビューに参加する、採用している技術の選定理由をメンバーに説明してもらう、担当領域の主要な技術動向を年に数回まとめて追いかけるといった関わり方で足ります。手を動かす時間ではなく、判断の材料を切らさないことが目的です。
エンジニアからPMになった人が評価されやすいのは、この土台を持っているためです。技術の詳細を追い続けられなくても、開発の実務を通ってきた経験は残ります。失うのは実装の速度であり、判断の基礎は使い方次第で保てます。
こちらの記事では、エンジニアのマネジメント職の役割や年収と、技術力が落ちる不安への向き合い方を解説しています。管理側へ移ることへの迷いを整理したい方におすすめです。

エンジニアのマネジメントとは?役割・年収・「技術力が落ちる」不安への最適解
プロジェクトマネージャーに向いている人・向いていない人
向き不向きは、性格の良し悪しではなく仕事の性質との相性で決まります。ここでは、実務の場面に照らして判断できる6つの特徴を挙げます。
向いている人の特徴は次の3つです。
- 複数案件を並行して回せる人
- 立場の違う相手に論理立てて説明できる人
- 決めきれない状況で決断できる人
一方、向いていない可能性が高いのは次の3つに当てはまる人です。
- 自分で手を動かして完結させたい人
- 対立や交渉の場面を避けたい人
- 成果が数字で見えないと納得できない人
過去の自分の働き方を思い出しながら、順に確認していきましょう。
複数案件を並行して回せる人
PMの1日は、細切れの対応で埋まります。朝は進捗の確認、昼前に顧客との打ち合わせ、午後は障害の報告を受けて対応方針を決め、夕方には別案件の見積もりに目を通すといった流れです。ひとつの作業に数時間集中できる日はほとんどありません。
この働き方が向くのは、頭の切り替えが速い人です。中断されても前の作業に戻れる、複数の案件の状況を並行して把握しておけるという性質が求められます。割り込みを負担ではなく前提として受け入れられるかが、最初の分かれ目です。
判断の目安として、過去に複数の担当を同時に持ったときのことを振り返ってみてください。あのとき、順番に片付けたくてもどかしかったなら注意が必要です。逆に、状況に応じて優先順位を組み替えることに手応えを感じたなら、PMの働き方に合っている可能性があります。
立場の違う相手に論理立てて説明できる人
PMは、同じ内容を相手ごとに違う言葉で伝えます。顧客には業務への影響と費用で、経営層には利益と納期のリスクで、開発チームには技術的な背景と作業の優先度で説明します。同じ事実を、相手が判断できる形に組み替える作業です。
必要なのは話のうまさではなく、結論と根拠を分けて示せることです。説明を聞いた相手が、その場で判断できる材料を受け取れているかが基準になります。
自己判定の目安は、遅延の報告をした場面です。原因の説明が長くなり、相手から結局どうなるのかと聞き返された経験が多いなら、鍛える余地があります。まず結論を伝え、必要な判断を示し、そのあとに背景を補えていたなら、PMの説明の型はすでに身についています。
決めきれない状況で決断できる人
PMが判断を求められる場面は、材料が揃っていないときがほとんどです。原因が特定できていない障害への対応方針、確定していない仕様を前提にした要員の手配など、わからないことを残したまま決めていきます。
向いているのは、決めた後に修正する前提で動ける人です。完璧な答えを探して情報を集め続けるより、7割の材料で決めて、外れたら早く戻すほうが被害は小さくなります。決断力とは正しく決める力ではなく、期限内に決めて結果を引き受ける姿勢です。
判定してみるなら、上長やチームで結論が出なかった会議を思い出してください。あの場で自分なりの案を出せていたか、それとも情報が足りないという理由で保留にしていたかが目安になります。保留を選びがちだった人ほど、PMでは負荷を感じやすいでしょう。
自分で手を動かして完結させたい人
自分で設計し、実装し、動くものを確認するまでを一貫してやりたい人にとって、PMの働き方は物足りなく感じられます。PMの成果は他のメンバーの作業を通じて表れるため、自分の手で作り上げた実感は得にくくなります。
とくに衝突するのは、品質への関わり方です。自分ならもっと良い作り方ができると思っても、担当を外れた領域に手を出せば体制が崩れます。任せた結果を受け入れる前提で動けるかどうかが、この特徴の判断基準です。
ただし、これは適性がないという話ではありません。手を動かして価値を出したい人には、テックリードやアーキテクトという道があります。技術で組織に貢献する役割は、PM以外にも用意されています。
こちらの記事では、マネジメントを望まないエンジニアが取れるキャリア戦略を解説しています。管理職以外の道で市場価値を高めたい方におすすめです。

マネジメントをやりたくないエンジニアが知っておくべきキャリア戦略
対立や交渉の場面を避けたい人
PMの業務には、相手にとって望ましくないことを伝える場面が定期的に含まれます。顧客の要望を断る、追加費用を請求する、社内で要員の追加を求めるといった交渉です。角が立たないように進めたいという気持ちが強いと、この場面が大きな負担になります。
避けた場合に起きるのは、負担の先送りです。言いにくさから追加の要望を無償で引き受け続ければ、しわ寄せはチームと自分の稼働に向かいます。その場の関係を守った結果、後で大きな軋轢が生まれるのがこの職種の構造です。
過去に、顧客や他部署に対して条件の変更を切り出した経験を思い出してみてください。切り出せずに自分で抱えたことが多かったなら、PMでは同じ場面が繰り返し訪れます。
成果が数字で見えないと納得できない人
エンジニアの成果は、動くものと処理の速さで示せます。対してPMの成果は、防いだトラブルや回避した遅延といった、起きなかったことに宿ります。うまく回ったプロジェクトほど、外からは何もなかったように見えます。
この見えにくさは、評価にも影響します。炎上した案件を立て直したPMより、静かに完了させたPMのほうが目立たないという逆転が起こります。手応えを自分の中で作れるかどうかが、続けられるかの分かれ目です。
数字で確かめたい志向が強いなら、成果が指標に直結する役割のほうが合っています。プロダクトの数値に責任を持つPdMや、システムの安定性を指標で管理するSREなどが選択肢になるでしょう。向いていないと感じることは、別の適性が見つかったということです。
こちらの記事では、PMに向いていない人の特徴と、つらいと感じたときの対処法、代わりに検討できるキャリアパスを解説しています。ここまで読んで自分には合わないかもしれないと感じた方におすすめです。

PMが向いてない人の特徴は?つらい時の対処法とおすすめキャリアパスを紹介
プロジェクトマネージャーになる4つのルート
PMになるまでの実務経験は、IT分野で5年前後、PLやサブリーダーとしての経験が1年から2年というあたりが、求人票に記載される応募条件の目安です。ただし、年数を満たせば自動的に任されるわけではありません。ここでは4つのルートを解説します。
- 現職でPL・サブリーダーの経験を積んで昇格する
- 社内異動でPM候補のポジションに移る
- 転職してPM候補として入社する
- 自社にPMのポジションがない場合の選択肢
自分の会社にPMという役割があるかどうかで、選ぶべき道は変わります。順に見ていきましょう。
現職でPL・サブリーダーの経験を積んで昇格する
最も一般的なのが、現職で段階的に責任範囲を広げていくルートです。信頼関係のある環境で経験を積めるため、失敗の許容度が高く、リスクは最も小さくなります。
ただ、待っているだけでは順番は回ってきません。取りに行きたいのは次の3つです。
- 小規模案件のPLを任せてもらう
- 顧客との打ち合わせに同席させてもらう
- 見積もりの作成を手伝う
このうち、後ろの2つが重要になります。顧客折衝と見積もりは、PMとPL以下を分ける領域であり、経験の有無が職務経歴書にそのまま表れる部分です。担当工程の管理だけを積み重ねても、PM候補として見てもらえる材料にはなりにくいでしょう。
期間の目安は、PLとして1年から2年です。ただし、上のポジションが埋まっている組織では、経験を満たしても空きが出るまで待つことになります。自分の会社で今後2、3年のうちにPM枠が空きそうかは、早い段階で確認しておきたいところです。
社内異動でPM候補のポジションに移る
同じ会社の中でも、部署によってPMの登用状況は違います。上流工程を担当する部署や、大規模案件を扱う事業部にPMのポジションが集まっている場合、社内公募や異動の希望を出すことで距離を縮められます。
このルートの利点は、リスクの小ささです。会社の文化や社内の人間関係を把握したまま役割だけを変えられるため、転職に比べて失敗の可能性は低くなります。一方で、年収は社内の給与テーブルの範囲に収まるため、大きな上積みは期待しにくいでしょう。
異動を希望する際は、なぜその部署なのかを実績で示す準備をしておきましょう。現在の担当で進捗の遅れをどう立て直したか、顧客との調整をどう進めたかを具体的に語れると、受け入れ側の判断材料になります。社内であっても、選考の考え方は転職と変わりません。
転職してPM候補として入社する
PM未経験でも、PL経験があればPM候補として採用される求人はあります。とくに人材が不足している領域では、入社後にPMを任せる前提で、リーダー経験者を採用する動きが見られます。
職務経歴書で示したいのは、肩書きではなく担当した範囲です。
| 示す項目 | 具体的に書く内容 |
|---|---|
| 案件の規模 | 予算の金額、期間、関わった人数 |
| 担当した工程 | 要件定義から関与したか、どこから参加したか |
| 判断した内容 | 遅延やトラブルの際に何を決め、どう動いたか |
| 対外的な役割 | 顧客との折衝や協力会社との調整の経験 |
PL経験ありと書くだけでは伝わらず、何をどこまで決めていたかを書けるかで評価は変わります。金額と人数を添えるだけでも、読み手が想像できる情報量は大きく増えるでしょう。
転職はリスクを伴う一方で、年収の上がり幅は最も大きくなります。社内昇格が役職手当の範囲に収まりやすいのに対し、転職では求人が提示するレンジに乗るためです。ただし、環境が合わない可能性もあるため、応募先のPMがどこまでの権限を持つかは面接で確認しておきましょう。テックゴーでは、PM候補としての採用実績がある企業の情報も踏まえて求人を提案しています。
こちらの記事では、PMの職務経歴書の書き方を、マネジメント実績が伝わる例文とテンプレート付きで解説しています。PL経験をどう言語化すればよいか迷っている方におすすめです。

プロジェクトマネージャーの職務経歴書の書き方|マネジメント実績が伝わる例文・テンプレート付き
自社にPMのポジションがない場合の選択肢
ここまでの3つは、自社にPMという役割が存在することを前提にしています。しかし、多重下請けの下位に位置する会社や、小規模なSESでは、そもそもPMのポジションが用意されていない場合があります。
元請けがPMを出し、下位の会社は決められた作業を担当する構造では、社内でPMを名乗る機会は生まれません。予算と要員を決める権限が上位にあるため、経験年数を重ねても、担当できるのは作業の管理までです。この状況では、努力の量にかかわらずPMには届きません。
自社にPMの機会があるかどうかは、次の点で判断できます。
- 自社が元請けとして案件を受注しているか
- 予算と要員を自社の判断で決めているか
- 社内にPMの肩書きを持つ社員がいるか
- 給与テーブルにPM相当の等級が用意されているか
該当しない項目が多いなら、環境を変える以外に方法はありません。役割の重さだけが増えて評価が追いつかない状態が続くなら、それは個人の課題ではなく置かれた環境の問題です。
とはいえ、外から見て判断するのは簡単ではありません。求人票にPM候補と書かれていても、実態は元請けの指示のもとで進捗を取りまとめる役割ということもあります。応募先が元請けとして受注しているかは、テックゴーのようなエージェント経由であれば事前に確認できます。
こちらの記事では、大手SIerの企業例や年収、キャリアパスと転職のポイントを解説しています。元請けの立場で大規模案件のPMを目指したい方におすすめです。

大手SIerとは?企業例とその年収、キャリアパスや転職するためのポイントについて解説
プロジェクトマネージャーに役立つ3つの資格
PMになるために、資格は必須ではありません。転職では資格の有無だけでなく、担当したプロジェクトの規模や役割、どのような課題を解決したかといった実務経験も重要です。
一方、資格取得には次のようなメリットがあります。
- プロジェクトマネジメントの知識を体系的に学べる
- PMとしての知識やスキルを客観的に示せる
- 企業によっては昇格や評価の材料になる
資格だけでPMになれるわけではありませんが、実務経験を補強したり、PMを目指すための知識を身につけたりする手段として活用できます。
代表的な資格は、次の3つです。
- プロジェクトマネージャ試験
- PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)
- ITストラテジスト試験
目指すキャリアによって、取得する資格を選びましょう。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験です。高度なIT人材に求められる知識や技能を問う「高度試験」のひとつに位置づけられています。
プロジェクトの計画や管理だけでなく、ステークホルダーとの調整やリスクへの対応など、PMとして必要な幅広い知識が問われます。論述式の問題もあるため、知識を暗記するだけではなく、プロジェクトの状況に応じて考える力が必要です。
国内のITプロジェクトでPMとしてキャリアを伸ばしたい方にとって、知識を体系化し、自身のスキルを示す選択肢のひとつといえます。
なお、2026年度から高度試験はCBT方式へ移行しています。プロジェクトマネージャ試験は2026年度の後期試験として実施されるため、受験する際は最新の日程をIPA公式サイトで確認してください。
PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)
PMPは、PMI(Project Management Institute)が認定するプロジェクトマネジメントの国際資格です。
大きな特徴は、受験資格として一定の実務経験が求められることです。必要なプロジェクトマネジメント経験は学歴などによって異なり、所定の教育・トレーニング要件も設けられています。2026年7月には新しいPMP試験が開始されているため、受験時点の要件を確認しておきましょう。
すでにプロジェクトをリードした経験があり、体系的な知識とあわせてスキルを示したい方に適した資格です。グローバルなプロジェクトマネジメント資格を取得したい場合にも候補となります。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験も、IPAが実施する高度試験のひとつです。経営戦略に基づいてIT戦略を策定し、事業革新や業務改革を企画・推進する人材を対象としています。
プロジェクトマネージャ試験がプロジェクトを計画・実行する立場を想定しているのに対し、ITストラテジスト試験は、経営や事業の視点から「ITを使って何を実現するか」を考える力を問う試験です。
そのため、PM経験を活かしてITコンサルタントやIT戦略、事業企画などへキャリアを広げたい方に向いています。
なお、ITストラテジスト試験も2026年度からCBT方式となり、2026年度は前期試験として実施されます。
こちらの記事では、ITストラテジストの仕事内容や年収、試験の難易度を解説しています。PMの先に経営寄りのポジションを見据えている方におすすめです。

ITストラテジストとは?仕事内容・年収・試験の難易度まで解説
PM経験を積んだ先の3つのキャリア
PMはキャリアの終着点ではありません。プロジェクト全体を預かった経験は、他の役割に移ったときにも評価される部分が多くあります。ここでは代表的な3つを解説します。
- ITコンサルタント
- 事業会社のIT部門・DX推進担当
- PMO
どの経験がどう評価されるのかを、それぞれ確認していきましょう。
ITコンサルタント
年収の伸び幅が最も大きい選択肢です。前述のとおり、ITコンサルタントの平均年収は997万円で、PMの890万円を100万円以上上回りました。上限側で比べると差はさらに開きます。
評価されるのは、要件定義と顧客折衝の経験です。顧客の要望を機能に翻訳し、予算と期間の中に収める判断を繰り返してきた経験は、コンサルタントの実行フェーズでそのまま使えます。構想だけを描いて終わらせず、実現までの道筋を示せる点が、事業会社側から評価される部分でしょう。
一方で、求められる視点は変わります。PMが決められたものを完遂させる立場なのに対し、コンサルタントは何をやるべきかを提案する立場です。提案の質が成果に直結するため、プレッシャーの種類も変わってきます。年収だけで選ぶと、想像と違ったと感じる場面が出てくるかもしれません。
こちらの記事では、コンサルとエンジニアの年収や仕事内容、働き方、向き不向きを比較しています。コンサル側へ移るべきか具体的に比べたい方におすすめです。

コンサルとエンジニアはどっちが高年収?仕事内容や働き方、向き不向きを徹底比較
事業会社のIT部門・DX推進担当
受注する側から、発注する側に回るキャリアです。自社の業務課題を整理し、外部のベンダーを選定し、開発の進行を管理する役割になります。
評価されるのは、ベンダーをコントロールした経験です。見積もりの妥当性を判断できる目と、遅延やトラブルの兆候を早く見抜く感覚は、発注側に立ったときに強みになります。作る側の事情を知っているため、ベンダーの説明を鵜呑みにせず、実現できる条件を交渉できる点が重宝されるでしょう。
需要の面でも追い風があります。前述のIPAの調査では、DXを推進する人材の量が不足していると答えた企業が85.5%、質が不足していると答えた企業が88.8%にのぼりました。また、AIの導入や活用で中心的な役割を担うのはIT部門の長が46.0%と最多で、事業会社側のマネジメント人材が求められている状況です。
こちらの記事では、社内SEの仕事内容や年収、他のエンジニア職との違いを解説しています。発注側に回る働き方が自分に合うかを確かめたい方におすすめです。

社内SEとは?仕事内容や年収、他のエンジニア職との違いを解説
PMO
実行の責任から離れ、管理の仕組みづくりと支援に回る道です。複数の案件を横断して進捗やコストを可視化し、社内の管理手法を整えていきます。
評価されるのは、現場で何に困るかを知っていることです。案件を回した経験のない人が作った管理の仕組みは、報告のための作業が増えるだけで現場に定着しません。PMとして苦労した経験があるほど、必要な情報だけを集める設計ができます。
働き方の面でも選択肢になります。個別案件の結果に対する責任を負わないため、障害対応で深夜に呼び出される場面は減ります。負荷を抑えながら経験を活かしたい場合や、家庭の事情で働き方を変えたい時期には現実的な選択肢でしょう。ただし、意思決定の中心から離れるため、決める仕事にやりがいを感じてきた人には物足りなさもあります。
こちらの記事では、PMの転職先を職種別・業界別に整理し、それぞれの年収相場を解説しています。PM経験を活かせる選択肢を一覧で比べたい方におすすめです。

プロジェクトマネージャーの転職先はどこ?職種・業界別の選択肢と年収相場を徹底解説
PMへのキャリアチェンジならテックゴー
PMを目指せるかは、本人の経験だけでなく、元請け案件の有無や社内で持てる権限など、会社の環境にも左右されます。こうした情報は、求人票だけでは判断しにくい部分です。
エンジニア・ITコンサル領域に特化した「テックゴー」では、元エンジニア・ITコンサル出身のアドバイザーが、PMを目指せる環境かを踏まえて求人を提案します。
- 上流案件の求人を多数保有
- 平均年収アップ額138万円
- 年収交渉の成功率100%
- 面接対策は回数無制限
今の会社でPMを目指すべきか、転職したほうがよいのか迷っている段階でも相談できます。まずは自分の経験が市場でどう評価されるのかを確認し、次のキャリアを整理してみましょう。
こちらの記事では、エンジニアのキャリア相談先を4種類に分けて比較し、失敗しない選び方を解説しています。誰に相談すべきか決めかねている方におすすめです。

エンジニアのキャリア相談はどこがいい?相談先4種の比較と失敗しない選び方
まとめ
プロジェクトマネージャーは、品質・コスト・納期を踏まえて意思決定し、プロジェクトを成功へ導く役割です。
PMを目指すなら、まず顧客折衝や見積もりなど、PMにつながる経験を積めているかを確認しましょう。足りない経験は、現職での昇格・異動・転職によって補えます。資格も知識の体系化やスキルの証明には役立ちますが、実務経験の代わりにはなりません。
現在の会社でPM経験を積みにくい場合は、環境を変えることも選択肢です。まずはテックゴーの無料相談で、いまの経験がPM求人でどう評価されるかを確認してみましょう。
よくある質問
プロジェクトマネージャ試験とPMPはどちらを先に取るべきですか?
国内のSIerなどでPMを目指すならプロジェクトマネージャ試験、グローバル案件も視野に入れるならPMPが選択肢です。 ただし、PMPには実務経験などの受験要件があります。資格取得だけを優先せず、PMにつながる実務経験とあわせて検討しましょう。
PL経験がなくてもプロジェクトマネージャーになれますか?
PL経験がなくてもPMを目指すことは可能です。PLという肩書きよりも、進捗管理や顧客折衝、メンバーをまとめた経験などを具体的に示せるかが重要になります。 経験が不足している場合は、サブリーダーやPM候補などから段階的に責任範囲を広げる方法もあります。
プロジェクトマネージャーからエンジニアに戻ることはできますか?
PMからエンジニアへ戻ることは可能です。ただし、開発から離れていた期間が長いほど、技術のキャッチアップが必要になります。 将来的にエンジニアへ戻る可能性があるなら、PMになった後も設計レビューや技術選定に関わり、技術との接点を持ち続けることが大切です。
