プロジェクトマネージャーで年収1000万は可能?上位25%に入る4つのルート
2026年08月03日更新
PMで年収1,000万円は、届く人には数年で届き、届かない人には十年かけても届きません。実力の差というより、構造の差です。
厚生労働省のjobtagによると、プロジェクトマネージャ(IT)の平均年収は889万円。平均だけを見れば1,000万円は目の前に見えます。ところがスキルレベル別のデータを開くと、最上位のレベル5以上でも第3四分位が1,100万円でした。1,000万円は、スキルの高い層のなかでさらに上位4分の1に入って、ようやく見えてくる水準です。
この記事では、1,000万円のPM求人が実際に何を条件にしているのかを求人票のレンジから分解し、そこに届く人と届かない人を分けている要素、到達までの4つのルートを整理します。
先に結論を書きます。1,000万円を分けているのはPM歴の長さではなく、いくらの意思決定を任されてきたかです。

著者
川村 莉子
(Kawamura Riko)
名古屋工業大学卒業後、新卒でDirbatoに入社。通信会社に対する業務改善プロジェクトや次世代ネットワーク移行案件のPMOなどに従事。自身のコンサルタント経験を活かした、IT系コンサルファームへの開発支援を得意とする。
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監修者
笠原 英樹
(Kasahara Hideki)
法政大学を卒業後、開発企業での技術職経験を経て、サイバーエージェントの子会社へ転職。技術領域に深くコミットしてきた経験を武器に、入社半年でプロジェクトリーダーを兼任する。「圧倒的なコミットメント力」、そして培ったリーダーとしての専門性をもって一貫して高い成果と信頼性を証明してきました。 この確かな技術的バックグラウンド、そして「誰かを支え、その人の強みを最大限に引き出すリーダー」としての経験を活かし、求職者の方々が心から納得できる「次の挑戦」をサポートしたい、という思いで転職エージェントMyVisionに入社しました。
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目次
CONTENTS
プロジェクトマネージャーの年収1,000万はスキル上位層の上位25%
PMの平均年収は889万円
厚生労働省が運営する職業情報提供サイトjobtagでは、プロジェクトマネージャ(IT)の賃金は年収889万円とされています。令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした数値で、就業者の平均年齢は38.3歳、有効求人倍率は2.1倍です(令和6年度)。
後述するテックゴーの求人集計では、開発エンジニアの提示年収レンジの中点が710.3万円、インフラエンジニアが675.6万円でした。PMはそこから180万円以上高い位置にあります。同じIT職種のなかでは、明らかに上振れした集団です。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト jobtag「プロジェクトマネージャ(IT)」
ただし、この889万円という数字を見て「あと100万円で届く」と読むのは早計です。平均は、上振れした一部に引っ張られます。次の求人データを見ると、その中身がわかります。
▼PMの仕事内容や種類から確認したい人は、以下の記事もおすすめです。

プロジェクトマネージャー(PM)とは?年収・種類・キャリアアップ方法を徹底解説
【自社調査】3職種で平均上限が1,000万を超えるのはPMだけ
テックゴーが掲載するIT職種の求人5,976件(70職種)から、PM・開発エンジニア・インフラエンジニアの3職種1,625件を抽出し、提示年収のレンジを比較しました(2026年8月時点)。
| 職種 | 平均年収下限 | 平均年収上限 | レンジ中点 | 中央値 | レンジ幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| PM | 656.8万円 | 1,123.0万円 | 889.9万円 | 875.0万円 | 466.2万円 |
| 開発エンジニア | 524.0万円 | 896.6万円 | 710.3万円 | 675.0万円 | 372.6万円 |
| インフラエンジニア | 499.6万円 | 851.6万円 | 675.6万円 | 650.0万円 | 352.0万円 |
この表からは3つのことが読み取れます。 このデータから見えてくるのは、PMという肩書だけで年収が決まるわけではないということです。
PM求人のレンジ中点は889.9万円で、jobtagの公的統計が示す889万円とほぼ一致しました。求人市場の実勢と公的データが同じ水準を指しているため、PMの平均年収はおおむね890万円前後と考えてよいでしょう。
一方で、PM求人の年収レンジは非常に広く、下限は320万円、上限は2,400万円まで開いています。同じPMでも、担当するプロジェクトの規模や業界、求められる経験・スキルによって年収には大きな差があります。
また、開発エンジニアやインフラエンジニアの平均年収上限はそれぞれ896.6万円、851.6万円でしたが、テックリードの上限平均は1,225.4万円(92件)、リードエンジニアは1,183.9万円(51件)、SREは1,099.1万円(38件)と、技術職でも1,000万円を超える職種は存在します。
つまり、年収を伸ばすために必ずしもPMを目指す必要はありません。重要なのは、マネジメント職として価値を高めるか、あるいは高度な専門性を持つ技術職として市場価値を高めるかです。反対に、マネジメントにも専門領域にも強みを持たないまま、汎用的な職種として経験年数だけを重ねると、年収の伸びは限定的になりやすいといえるでしょう。
なお、PM求人の下限は最小320万円、最大は2,400万円まで開いています。PMという肩書だけでは、年収は何も決まりません。
※本集計は求人票に提示されたレンジを集計したものであり、実際の支給実績ではありません。
ITSSレベル別に見ると1,000万は「第3四分位」のライン
jobtagには、スキルレベル別の給与データも掲載されています。ただしこちらは先ほどの889万円とは調査が別で、厚生労働省が2023年度に実施した委託調査がもとになっています。
| スキル領域 | ITSSレベル3 | レベル4 | レベル5以上 |
|---|---|---|---|
| プロジェクトマネージャ | 600〜925万円 | 675〜950万円 | 700〜1,100万円 |
| 企画立案・プロジェクト管理 | 600〜900万円 | 650〜950万円 | 700〜1,100万円 |
※金額は第1四分位から第3四分位までのレンジ
注目すべきはレベル5以上の右端です。最上位のスキルレベルでも、第3四分位が1,100万円。つまりレベル5クラスの人のうち、上位4分の1に入って1,100万円という世界です。1,000万円はその少し手前に位置します。
裏を返すと、レベル3から4に留まっているうちは、第3四分位でも950万円。制度上、1,000万円にはほぼ届きません。年収を上げたいという相談の答えが「もっと頑張る」では成立しない理由がここにあります。頑張る方向を、レベルの階段を上がる側に向ける必要があります。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト jobtag(スキルレベル別給与データは同省が2023年度に実施した委託調査に基づく)
給与所得者全体では1,000万円超は6.2%
視野を日本全体に広げます。国税庁の令和6年分 民間給与実態統計調査(2025年9月公表)によると、1年を通じて勤務した給与所得者のうち、年収1,000万円を超えているのは6.2%です。男性で9.7%、女性で1.6%。給与所得者の平均給与は478万円でした。
30歳で年収1,000万円ならさらに希少で、上位数%どころではない世界に入ります。年収1,000万円がすごいかどうかという問いには、統計上は「給与所得者の上位6.2%」と答えるほかありません。
一方で、PMという職種に限れば話は変わります。全体では16人に1人でも、PM求人のなかでは提示レンジの上限側にごく普通に置かれている金額です。この職種を選んだ時点で、確率は大きく動いています。
年収1,000万円のPM求人に共通する4つの条件
「年収1,000万円 PM」で検索すると、求人一覧ページがずらりと並びます。ただ、そこに載っているのは募集要項であって、その求人に受かる条件ではありません。実際にオファーが出ている人が何を持っているのか、4つに分けて整理します。
条件1:プロジェクト規模に下限がある
目安は、予算1億円以上、あるいは20名以上のチーム。複数プロジェクトの並行管理も同じ枠に入ります。
なぜ規模が効くのか。企業側の原価構造を見ると単純な話です。年収1,000万円のPMを1人置くと、社会保険料の会社負担分などを含めた総額は1,200万円前後になります(会社負担率15%前後で試算)。予算1億円のプロジェクトなら人件費比率は10%程度で吸収できますが、予算3,000万円のプロジェクトに同じ人を充てると、それだけで原価の4割が消えます。案件が成立しません。
小規模プロジェクトを安定して回せることは、実務上は立派な能力です。ただ、それは評価レンジそのものを押し上げてくれません。動かしている金額が、そのまま値付けの上限になります。
条件2:業界・企業タイプで、同じPMでも数百万変わる
| 企業タイプ | 年収レンジ目安 | 1,000万到達のしやすさ |
|---|---|---|
| 外資系IT・SaaSベンダー | 1,000〜1,500万円 | ◎(英語と成果連動が前提) |
| コンサルティングファーム | 800〜1,200万円 | ◎(マネージャー昇格が実質的な条件) |
| 大手SIer・元請ベンダー | 600〜900万円 | △(給与テーブルに上限がある) |
| 事業会社のDX・内製部門 | 500〜800万円 | △(一部大手で見直しが進行中) |
※テックゴーの保有求人と支援実績をもとにした編集部の目安です
同じスキルセットの人が、外資系ITと国内SIerのどちらに在籍しているかで、提示される金額は300万円から500万円動きます。腕の差ではなく、その会社が人件費に何を乗せられるかの差です。
大手SIerが不当に安いという話ではありません。多重下請け構造のなかで元請けが確保できる粗利には上限があり、給与テーブルはそれに合わせて設計されています。構造の問題なので、社内で頑張って覆せる性質のものではありません。
条件3:経験年数より「役割の中身」が見られる
求人票には「PM経験5年以上」と書かれます。ただ、選考で実際に確認されるのは年数ではなく、要件定義、予算策定、ベンダーコントロールまで担っていたかどうかです。
肩書はPM、実態はPL。この状態は書類でかなり正確に見抜かれます。職務経歴書に進捗管理、課題管理、ベンダーとの調整しか並んでいないと、予算と決裁の記述が欠けていることが浮き上がるからです。逆に、見積の妥当性を判断した、追加費用の発生を顧客に交渉した、といった記述が1行でもあれば読み手の評価は変わります。
【自社調査】PLとPMでは、提示年収の中点が127万円違う
肩書の差が、そのまま金額の差として求人票に出ています。
| 肩書 | 平均年収下限 | 平均年収上限 | レンジ中点 |
|---|---|---|---|
| PL(候補) | 535.1万円 | 872.9万円 | 704.0万円 |
| PL | 577.3万円 | 948.3万円 | 762.8万円 |
| PM(候補) | 582.7万円 | 982.3万円 | 782.5万円 |
| PM | 656.8万円 | 1,123.0万円 | 889.9万円 |
PLとPMの中点の差は127.1万円。ひとつ肩書が上がるごとに、20万円から110万円ずつ積み上がっていきます。
ここで効いてくるのが、さきほどの「肩書はPM、実態はPL」です。書類でPLと判定されれば、評価されるレンジはPMの889.9万円ではなくPLの762.8万円。127万円は、その読み替えで失う金額です。
▼PLとPMの線引きが曖昧だと感じた人は、以下の記事もおすすめです。

プロジェクトリーダー(PL)とは?仕事内容・PMとの違い・年収・必要なスキルを徹底解説
条件4:英語力とグローバル案件の経験
1,000万円レンジの主戦場が外資とグローバル案件である以上、実務で使える英語は加点ではなく前提になりつつあります。オフショア開発のベンダーコントロール、海外本社への進捗報告、多国籍チームの会議進行。このあたりが日常業務に含まれる求人ほど、レンジは上に伸びます。
とはいえ、英語がなければ無理と言うつもりはありません。国内大型案件を扱うコンサルティングファーム、官公庁や金融の基幹系プライム案件など、日本語だけで1,000万円に届くルートは残っています。数は少ない。ただ、確実に存在します。
【自社調査】1,000万円は「レンジの上限側」に置かれている
先ほどのテックゴー求人データでは、平均年収下限656.8万円、平均年収上限1,123.0万円、中央値875.0万円。
この分布が意味するのは、多くの求人で1,000万円が提示レンジの上限付近に設定されているということです。求人票に「600万円〜1,200万円」と書かれていても、あなたに提示されるのが650万円になるか1,150万円になるかは、ここまでの4条件をどれだけ満たしているかで決まります。
だとすれば、打ち手はひとつではありません。1,000万円以上と書かれた求人を探すことよりも、同じ求人でレンジの上限を取りにいくほうが現実的です。応募先を絞り込む前に、自分の経歴のどこを見せるかを設計し直すほうが先になります。
年収1,000万円に届くPMと届かないPMの分岐点
年収の大半は「実力」ではなく「どの箱にいるか」で決まる
言い過ぎに聞こえるかもしれません。ただ、データを並べるとそう書きたくなります。
先ほどのPM求人のレンジ幅は466.2万円。開発エンジニアの職種内格差372.6万円を大きく上回ります。同じPMという職種名のなかに、職種をまたぐより大きな差が存在しています。この差の正体は個人のスキルではなく、その求人を出している企業のレンジ設計です。
給与テーブルの上限が850万円の会社にいる限り、どれだけ優秀でも1,000万円は出ません。制度上、出せない。ここで多くの人が「もっと成果を出せば」と考えますが、上限に張り付いている限りその努力は年収に反映されません。
だからといって、今すぐ転職すべきだとは思いません。先にやることがあります。自社の等級制度と各等級の給与レンジを調べてください。人事に聞くか、就業規則の賃金規程を読むか、上の等級の先輩に聞くか。上限が1,000万円を超えているなら、社内で上がるルートが残っています。850万円で止まっているなら、そこで初めて外を見る話になります。
順番を間違えなければ、転職は焦って決めるものではなくなります。
評価される実績と、されない実績
テックゴーで職務経歴書を数百枚見てきた立場で言うと、書き方ひとつで通過率は変わります。
評価されない書き方の例
- 大規模プロジェクトを成功に導きました
- 炎上案件を立て直しました
- チームメンバーのモチベーション向上に努めました
大規模とは何億なのか。立て直したとは何がどう変わったのか。読み手には判断材料がありません。
評価される書き方の例(記載例)
- 予算3億円、要員32名、期間14ヶ月の基幹システム刷新PJでPMを担当
- 要件定義フェーズで発生した2ヶ月の遅延に対し、機能を3期に分割リリースする計画変更を提案・顧客合意を取得し、当初納期を維持
- ベンダー3社の再選定と契約形態の見直しにより、原価率を8%改善
規模、期間、人数、金額インパクト。この4点セットが揃っているかどうかだけを確認してください。揃っていない項目があるなら、それが今のあなたに足りていない経験そのものです。
【テックゴー編集部の見解】 年収1,000万円を超えていったPMに共通していたのは、PM歴の長さではありませんでした。
いくらの意思決定を任されていたか。ここに尽きます。
PM3年目でも1億円の発注可否を自分で判断していた方は、面接で評価されます。一方、PM10年目でも「最終決裁は部長」という方は、経験年数の割に評価が伸びません。管理の巧拙ではなく、任せられる金額の桁を見られているからです。
これは、転職しなくても今日から動かせる部分があります。次の案件で、見積の承認や追加費用の交渉を一部でも自分に回してもらえないか、上長に相談してみてください。決裁権限の一部を引き受けた経験は、そのまま職務経歴書の一行になります。転職はそのあとでも遅くありません。
【自己診断】今の自分と1,000万円の距離を測る5項目
以下の5項目のうち、いくつ当てはまるかを数えてみてください。
- 予算1億円以上のプロジェクトでPMを担当した経験がある
- 20名以上のチームをマネジメントした経験がある
- 要件定義フェーズから関与している
- ベンダー選定や発注の決裁に関わっている
- 英語での会議やベンダーコントロールの経験がある
4個以上に該当する方。今の年収が800万円台以下なら、市場価値に対して過小評価されている可能性が高いといえます。まずは求人のレンジを見て、自分の相場を確認してください。
2個から3個の方。ここがいちばん人数の多い層で、伸びしろも大きい層です。足りていない項目のうち、社内の異動や案件アサインで埋められるものがひとつはあるはずです。転職と社内調整のどちらが早いか、両方を並べて比較する段階にいます。
0個から1個の方。1,000万円は現時点では遠い水準です。ただし、PLからPMへの移行期にいるなら順番に進めば届きます。まず予算と決裁に触れる経験を取りにいくことが、資格取得よりも先です。
▼PMの年収相場を年代別に確認したい人は、以下の記事もおすすめです。

プロジェクトマネージャーの年収相場は?年代別データと1000万円への道
プロジェクトマネージャーが年収1,000万を実現する4つのルート
1,000万円への道は1本ではありません。到達スピード、再現性、負うリスクがそれぞれ違います。自分の状況に照らして選んでください。
ルート1:高年収レンジの業界・企業へ転職する
最も再現性が高く、到達も早いルートです。年収レンジの高い箱に移るだけで200万円動くケースがあります。スキルを積み増す時間を必要としないのが利点で、先ほど挙げた4条件のうち2つか3つを満たしていれば射程に入ります。
デメリットは、環境がまるごと変わること。評価制度も文化も人間関係もリセットされます。1年目の立ち上がりで苦戦する方は珍しくありません。
ルート2:社内でシニアPM・PMO・部門責任者に上がる
時間はかかりますが、積み上げてきたドメイン知識と社内の信頼がそのまま資産になります。顧客との関係も引き継げる。リスクはいちばん小さいルートです。
ただし、上がる先は選んでください。テックゴーの求人集計では、PMOのレンジ中点は804.1万円(61件)。PMの889.9万円より85万円低い水準です。PMOへの異動は負荷が下がる代わりに、年収も下がる可能性があります。1,000万円が目的なら、PMOは経由地としては合理的でも、着地点にはなりません。
同じ集計で中点が1,000万円を超えていたのは、求人件数30件以上の職種ではエンジニアリングマネージャーだけでした。下限平均806.8万円、上限平均1,332.5万円、中点1,069.7万円(56件)。プロジェクト単位ではなく、組織と人に責任を持つ側へ移る方向です。社内昇格を狙うなら、ここを目標地点に置くほうが数字は合います。
前提条件がひとつ。自社の給与テーブル上限が1,000万円を超えていることです。ここを確認せずに社内昇格を狙うと、5年かけて上限の850万円に到達して終わります。等級ごとのレンジを先に調べてください。
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ルート3:フリーランスPMとして独立する
PM案件の月額単価は80万円から150万円が一般的なレンジで、単純計算なら年商1,000万円台に乗ります。額面という意味では最短です。
ただし比較すべきは手取りです。社会保険料は全額自己負担になり、案件の切れ目には収入がゼロの月が生まれます。厚生年金も退職金もありません。会社員の年収1,000万円とフリーランスの年商1,200万円は、可処分所得で見るとほぼ並びます。
踏み切る目安は、会社員として年収800万円を超えてから。そこまで来ていれば、単価交渉で不利になりにくく、案件が途切れたときの再就職も現実的な選択肢として残ります。
※単価レンジはフリーランスエージェント各社の公開案件をもとにした目安です。
ルート4:PdM・ITコンサルへ職種の幅を広げる
プロダクトマネージャーやITコンサルタントへの越境です。PMが持つ要件定義力、ステークホルダー調整力、予算管理の経験は、事業側でそのまま評価されます。
数字で見ると、越境の効果ははっきりしています。テックゴーの求人集計では、PdMは下限平均693.8万円から上限平均1,198.1万円、中点945.9万円(77件)。PMの889.9万円を56万円上回ります。ITコンサルタントはさらに上で、298件の集計で上限平均1,338.1万円、中点997.2万円。上限側だけを見れば、PMより215万円高い位置にあります。
IT系で最も稼げる職種はどれかという問いには、求人レンジの上限で見る限りコンサルティングファーム系と答えるのが実態に近いでしょう。
技術から離れる方向なので、手を動かし続けたい方には向きません。そこは好みの問題です。
1,000万円レンジで評価されるスキルと資格
定量化された大規模プロジェクトのマネジメント実績
最も評価されるのは資格ではありません。予算◯億円、要員◯名、期間◯ヶ月という数字で語れるマネジメント実績です。ここを先に言い切っておきます。
資格は年収を上げる道具ではなく、市場価値を可視化する道具です。実績のある人が持つと通過率が上がります。実績のない人が持っても、書類選考の入口までしか運んでくれません。
PMPとIPAプロジェクトマネージャ試験の使い分け
どちらを取るべきかは、狙う箱で決まります。
PMPは米国PMIが認定する国際資格で、外資系企業やグローバル案件で通用します。応募要件としてPMP保持を明記している外資求人もあるため、ルート1で外資を狙うなら実利があります。受験には学歴に応じた実務経験と、35時間の公式研修の受講が必要です。
IPAのプロジェクトマネージャ試験は、国内SIerや官公庁系での信頼性が高い国家試験です。ITSSレベル4相当で、合格率は例年13〜15%程度。公共案件の入札要件で有資格者数がカウントされるため、SIer内での評価や手当につながりやすい試験です。
難易度を比べると、合格率だけならIPAのほうが厳しいといえます。ただしPMPは受験資格そのもののハードルがあり、単純比較はできません。国内で管理職を目指すならIPA、外資に出るならPMP、という選び分けが実務的です。
なお、現行の情報処理技術者試験制度は2026年度の実施をもって終了し、2027年度から新試験制度へ移行する予定がIPAから公表されています。これから受験を検討する方は、移行スケジュールと新制度での区分を確認してから計画を立ててください。
PMP保持者の年収は800万円台から1,000万円前後とする調査もありますが、これは資格が年収を押し上げたというより、外資やコンサルに在籍する層が取得しているからです。因果を逆に読まないほうがよいでしょう。
クラウド・AI・アジャイル領域の技術理解
AWS認定ソリューションアーキテクト、認定スクラムマスター(CSM)あたりが実務で効きます。技術的な判断ができるPMは、ベンダーの見積に対して「その工数は妥当か」を自分で判断できます。この一点で交渉力がまったく違います。
生成AIを組み込んだ開発案件が増えたことで、AI領域の勘所を持つPMの希少性も上がっています。専門家である必要はなく、何ができて何ができないかを判断できれば十分です。
ビジネスレベルの英語力
段階で考えるとわかりやすくなります。社内の英語会議に参加して内容を理解できるレベルなら加点はわずか。オフショアベンダーへの指示出しと進捗管理ができるレベルで、明確な加点になります。顧客や海外本社と契約条件を交渉できるレベルまで来ると、それ自体が1,000万円求人の応募資格になります。
TOEICのスコアは書類上の目安でしかありません。実務でどこまでやったかを書けるかどうかが見られます。
到達する前に知っておきたい3つの現実
ここまで到達する方法を書いてきました。ただ、1,000万円を取ることが誰にとっても正解とは限りません。取ったあとで後悔する人にも、それなりの数で会ってきました。
「額面1,000万」の内訳を必ず確認する
同じ年収1,000万円でも、中身はまるで違います。
基本給800万円に賞与200万円のケース。基本給650万円にみなし残業45時間分の120万円、業績連動賞与230万円のケース。後者は残業をしなくても増えず、業績が下がれば賞与が削られ、退職金や住宅ローンの審査で基準になる基本給も低い水準にとどまります。
オファーレターを受け取ったら、基本給、固定残業代とその想定時間数、賞与の固定部分と変動部分、ストックオプションの評価方法。この4点を分解してください。総額だけを見て判断すると、あとで数字の意味が変わります。
【テックゴー編集部の見解】 1,000万円という数字を追う前に、時間単価と裁量の大きさで並べ直してみてください。
オファー額だけを見て転職を決め、1年後に「思っていたのと違った」と戻ってくる方が一定数います。原因のほとんどは固定残業代とインセンティブ比率です。
年収680万円で残業20時間の方と、年収1,000万円で残業60時間(うち45時間はみなし)の方を時間単価に直してみてください。前者が約3,000円、後者が約3,600円。差は想像よりずっと小さくなります(月間所定労働時間173時間で試算)。しかも後者には、失敗したときの説明責任が乗っています。
並べ直したうえで1,000万円を選ぶなら、それは納得できる選択です。数字に引っ張られて選んだのか、自分で選んだのか。この違いが、1年後の満足度をほぼ決めています。
責任範囲の拡大と負荷のリアル
PMはきついか。1,000万円レンジに限って言えば、きつい場面は確実にあります。
炎上時の矢面に立ち、顧客への説明も、経営への報告も、メンバーへの指示も同時に走る。失敗したときに責任を問われるのはPMです。1,000万円という金額は、その説明責任まで含めた対価だと考えたほうが実態に合っています。
ただ、負荷は環境でかなり変わります。PMO組織が整っていて事務作業が分業されている会社、プライム案件比率が高く仕様変更の主導権を握れる会社、複数PJの掛け持ちを制度的に禁じている会社。こういう環境では、同じ責任範囲でも消耗の度合いがまるで違います。
面接では給与だけでなく、PMO体制の有無、1人あたりの担当PJ数、直近1年の離職状況を聞いてください。答えづらそうにする会社は、その時点でひとつの情報です。
1,000万到達後の伸びしろ
1,000万円はゴールではなく分岐点です。ここを超えると、選択肢はPMという職種の外側に広がります。
VPoEやCTOといった技術組織の責任者、事業部長のように損益に責任を持つポジション、独立してのコンサルティングや複数社の技術顧問。テックゴーの求人集計ではVPoEが中点1,133.3万円、CTOは提示レンジが1,000万円から2,000万円でした。ただしVPoEは3件、CTOは1件と母数が少なく、相場と呼べる水準ではありません。レンジの上側が2,000万円まで開いていることだけは確認できる、という程度に読んでください。
逆に、PMのまま同じ規模の案件を回し続けると、1,100万円前後で伸びが鈍ります。jobtagのレベル5以上でも第3四分位が1,100万円、つまり上位4分の1の入口がその水準にあることの反映です。
1,000万円を取るときに、その次にどこへ行くつもりかまで考えておくと、選ぶ会社が変わります。
▼PM以外の職種も含めて考えたい人は、以下の記事もおすすめです。

エンジニアが年収1000万円を目指すには?キャリアプランや職種、注意点を解説
転職の進め方と、年収交渉の順番
実績を数字で棚卸しする
まず、これまで担当したプロジェクトを全部書き出してください。そのうえで、予算、人数、期間、改善インパクトの4点を各案件に埋めていきます。
思い出せない数字は、当時の資料や見積書を探せば出てきます。「たしか2億くらい」で書いてしまうと面接で崩れるので、根拠のある数字だけを載せてください。埋まらない欄が多い方は、それがそのまま次に取りにいく経験です。
▼職務経歴書の書き方を具体例で確認したい人は、以下の記事もおすすめです。

ITエンジニアの職務経歴書の書き方完全ガイド|評価される構成と実例を徹底解説
現年収に引きずられない交渉をする
多くの企業は現年収を基準に提示額を組み立てます。現年収680万円と伝えると、800万円のオファーが出て「120万円アップです」という話になる。その求人のレンジ上限が1,200万円だったとしても、です。
これを避けるには、応募先の等級とレンジを先に把握しておくことです。そのうえで、現年収ではなく担当していたプロジェクトの規模と決裁範囲を材料に交渉します。「同じ規模の案件を回している御社の◯等級の水準を希望します」という組み立て方です。
自分でやりにくい交渉ではあります。エージェントを使う実利は、ここに集約されます。
複数社を並行して受け、オファーを比較する
1社だけ受けて内定が出ると、その条件が唯一の選択肢になります。比較対象がない状態での判断は、たいてい後悔につながります。3社から4社を並行して進めて、オファーを横に並べてください。
比較する軸は、額面、固定残業代の有無と時間数、裁量の大きさ、その先のポジション。この4つです。額面が2番目の会社を選ぶ人は、実際そこそこいます。
テックゴーでPM転職を成功させる方法
テックゴーはIT・コンサル領域に特化した転職支援サービスです。年収800万円から1,200万円レンジのPM求人を保有しており、求人票に出ていないレンジ上限の情報や、選考で実際に見られている評価軸まで含めてお伝えできます。
ITプロジェクトマネージャーとして850万円から1,000万円へ引き上げた事例もあります。
はじめての方はご利用の流れをご覧ください。担当するアドバイザーはキャリアアドバイザー紹介、実際の支援事例は転職成功事例に掲載しています。
まとめ|年収1,000万は「目標」ではなく「選択の結果」
この記事の要点は3つです。
PMの平均年収は889万円ですが、年収1,000万円は平均の延長線上ではなく、スキル・実績ともに上位層が到達する水準です。 年収差を生むのはPM歴ではなく、担ってきた責任範囲と会社の給与レンジです。同じPMでも年収には大きな差があります。 1,000万円を目指す方法は、転職・昇格・独立・職種転換の4つ。それぞれリスクや難易度が異なります。
大切なのは、「年収1,000万円を目指すべきか」ではなく、「今の環境で到達可能か」を見極めることです。まずは自分の市場価値と現在地を把握し、そのうえで次の一手を考えましょう。
テックゴーは、IT・コンサル領域のキャリア支援を行っています。市場価値を知りたい方も、お気軽にご相談ください。 ▼キャリア相談で何ができるかを知りたい人は、以下の記事もおすすめです。

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よくある質問
Q
プロジェクトマネージャーで年収1,000万円は何歳から現実的ですか?
A
国内SIerでは40代前半が中心です。外資系ITやコンサルティングファームであれば、30代前半での到達例もあります。 ただ、年齢よりも先に効くのは担当プロジェクトの予算規模です。35歳で予算3億円規模を任されている方と、45歳で5,000万円規模を回している方なら、前者のほうが1,000万円に近い位置にいます。年齢は結果として相関しているだけで、条件そのものではありません。
Q
PMPを取れば年収1,000万円に届きますか?
A
資格単体では届きません。PMPを取得しても、担当してきたプロジェクトの規模と決裁範囲が変わらない限り、提示されるレンジは動かないためです。 有効なのは2つの場面です。PMP保持を応募要件に挙げている外資求人へのエントリーが可能になること、そして実績が同程度の候補者と並んだときに書類選考を通過しやすくなること。実績を持っている人が上乗せする資格であって、実績の代わりにはなりません。
