SESの闇とは?業界の構造的問題とブラック企業の見極め方を徹底解説
2026年05月26日更新
「SESの闇」「やめとけ」「ブラック」といったネガティブな声は、SES業界に常につきまといます。実際にSESで働いているエンジニアなら、自社の状況が業界の構造的な問題なのか、それとも自社固有の悪質さによるものなのか、判断に迷う場面もあるのではないでしょうか。
本記事では、SESが闇と呼ばれる5つの構造的な理由から、避けるべきブラック企業の兆候、優良なホワイト企業の見極め方、そして闇から抜け出すための具体的な選択肢までを整理して解説します。 読み終える頃には、自社の状況を冷静に判断し、次の一歩を選ぶための判断軸が見えてくるはずです。

著者
串田 聡太
(Kushida Sota)
明治大学卒業後、富士通株式会社にて、自社製品に加えSAPやSalesforce導入、DX提案などを経験。その後、パーソルキャリア株式会社にて、ITエンジニアの転職支援を担当。業界トップクラスの実績を有する。
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監修者
飯尾 洸太
(Iio Kota)
大学を卒業後、IT企業の営業職として新卒入社。1~2年目で全ての半期において優績者表彰を獲得し、2年目には全社MVPを受賞。3年目に管理職へ昇進し、組織運営や数値管理を担当。就任時は全国最下位だった支店を立て直し、5年目には全国1位へと導く。その後、仕事を通じて輝ける人を1人でも増やしたいと考えキャリアアドバイザーに転身し、技術職ならではの志向やキャリアパスを踏まえた伴走支援を徹底することでITエンジニアの転職支援を得意としている。転職を通じて志願者の方々がより豊かな生活を送れるよう、誠実かつ丁寧なサポートが信条。
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目次
CONTENTS
SESが「闇」と呼ばれる5つの構造的な理由
SES業界の「闇」は、特定の悪質企業だけの問題ではなく、業界全体の仕組みに根ざした構造的な問題です。個別企業の話と業界全体の話を切り分けて理解できると、自分の状況を客観的に判断しやすくなります。
ここでは、SESが闇と呼ばれる5つの構造的な理由を順番に整理していきます。
多重下請け構造による「中抜き」でエンジニアの給与が低くなる
SESエンジニアの給与が低くなる最大の要因は、多重下請け構造による中抜きです。 クライアント企業(発注元)が大手SIerに発注し、大手SIerから一次請け、一次請けから二次請け、二次請けから三次請けへと、エンジニアの労働が転売される構造があります。
商流が1階層下がるごとに、中間業者がマージン(手数料)を10〜20%程度取るのが一般的です。3次請け、4次請けまで深くなると、末端エンジニアの取り分は単価の30〜50%程度にまで圧縮されるケースもあります。
たとえば、クライアントが月単価100万円で発注した案件でも、3次請けのSES企業がエンジニアを送り込む場合、エンジニア本人の給与に反映されるのは月35〜45万円程度というケースは珍しくありません。 給与が伸びない理由を「自分のスキル不足」だと感じているSESエンジニアは多いですが、実際には商流の深さなど構造的な要因の影響も大きいのが実情です。自社が何次請けの案件を多く扱っているかを把握することは、自分の市場価値を正しく判断する第一歩になります。
客先常駐により自社への帰属意識と成長機会が薄れる
SESの本質は「準委任契約に基づく客先常駐」という働き方にあります。自社にいる時間がほぼないため、帰属意識や成長機会が薄れやすい構造があります。
SESエンジニアの多くは、平日のほとんどの時間を客先のオフィスで過ごします。自社オフィスに出社するのは月1回の帰社日のみ、あるいはまったく出社しないケースもあります。
その結果として、以下のような問題が起こりやすくなります。
- 自社の同僚や上司との交流が薄く、社内で相談できる相手がいない
- 自社の評価面談が形骸化し、キャリア相談が機能しにくい
- 案件先での評価が自社に伝わりにくく、昇給につながりにくい
- 「誰のために働いているのか」がわからなくなる
未経験で入社した1〜2年目はとくに影響が大きく、ロールモデルとなる先輩エンジニアと接する機会が少ないため、技術的な成長速度が落ちやすくなります。
案件ガチャで「ロースキル塩漬け」のリスクがある
SESエンジニアの案件は基本的に会社が決めるため、希望するスキルや技術スタックを選べない「案件ガチャ」の側面があります。 案件によっては、以下のような状況に陥るリスクがあります。
- 古い技術(COBOL、VBなど)の保守案件に長期固定される
- テスター業務やデータ入力など、エンジニアのスキルが伸びにくい業務に配属される
- 運用保守業務でルーティンワーク中心になり、開発経験が積めない
このような案件に2〜3年単位で配属されると、市場で求められるモダンな技術スキル(クラウド、コンテナ、フロントエンドフレームワークなど)が身につかず、転職時の市場価値が伸び悩む状態を「ロースキル塩漬け」と呼びます。 気づいたときには、20代後半〜30代前半の貴重な期間を消費してしまっているケースもあります。今の案件で何が身についているのかを定期的に棚卸しすることが、塩漬けを防ぐ最初の防衛策になります。
環境変化が激しく長期的なキャリアの軸を作りにくい
SESエンジニアの案件は半年から2年程度で切り替わることが多く、その都度、人間関係も技術スタックもリセットされます。長期的なキャリアの「軸」を作りにくいという問題が、構造的に起こりやすくなります。
案件が変わるたびに以下のような対応が発生します。
- 新しい現場のルールや文化への適応
- 新しいクライアント- チームメンバーとの関係構築
- 案件によっては異なる技術スタックへの学び直し
- 前案件で築いた信頼関係や成果の引き継ぎが困難
5年勤めても「自分は何が専門なのか」をひと言で説明できない、というSESエンジニアもいます。 これは個人の努力不足ではなく、SESという働き方の構造上、専門性を積み上げにくい仕組みになっているのが原因です。明確な専門領域を意識的につくるには、案件選択や副業- 学習で軸を補完する戦略が必要になります。
偽装請負- 経歴詐称など違法- グレーな慣習と隣り合わせ
SES業界には、偽装請負や経歴詐称といった違法- グレーな慣習と隣り合わせの環境があります。SESの契約形態は本来「準委任契約」であり、客先の指揮命令を受けることはできません。
しかし実態としては、客先の社員から直接業務指示を受け、勤怠も客先の管理下にあるケースが多く、これは法律上「偽装請負」に該当する可能性があります。 また、未経験エンジニアを経験者として偽り、客先に派遣する「経歴詐称」の問題も業界の一部で指摘されています。2024年には、経歴詐称を強要されたエンジニアによる訴訟で、最高裁が賠償命令を確定させた事例もあります。
知っておきたいSES業界の闇に関する事件・データ
「闇」という言葉は抽象的に語られがちですが、実際に起きた事件や公開されているデータを見ると、業界の実態がより具体的に見えてきます。 ここでは、最高裁で判決が確定した経歴詐称事件、多重下請けによる単価圧縮の実態、SES職種の年収- 離職率のリアルを順に見ていきます。
最高裁で賠償命令確定の「闇SES経歴詐称事件」とは
2024年、SES業界の経歴詐称強要をめぐる訴訟で、最高裁が会社側に対する賠償命令を確定させた事件があります。一連の事件は「闇SES」と呼ばれ、業界の違法な慣行が司法判断を受けた象徴的なケースとなりました。
事件の概要は、SES企業が未経験で入社した若手エンジニアに対して「現場では3年の経験があると言うように」と指示し、経歴を偽った状態で客先に派遣していたものです。エンジニアは派遣先で実力不相応な業務を担当させられ、心身ともに追い詰められたと報じられています。
会社側は、客先から得た高い単価のうち大半をピンハネし、エンジニア本人には低い給与しか支払っていませんでした。裁判では、経歴詐称の強要・ 給与の不当な搾取が違法と認定されています。
参考:若者を“詐欺のコマ”にする「闇SES」 経歴詐称を強要し給与ピンハネ、最高裁で賠償命令確定…背景にIT業界「多重下請け構造」
この事件は、多重下請け構造のなかで起きた極端な事例ですが、経歴詐称や不当なピンハネ自体は業界の一部で長く問題視されてきた慣行でもあります。自社が同じ構造に組み込まれていないかを把握しておくことは、エンジニア自身を守る意味でも大切です。
多重下請けによる単価圧縮の実態

多重下請け構造によって、エンジニアの取り分がどれくらい圧縮されているのかは、業界団体や調査機関の公開データから具体的に把握できます。 経済産業省や情報サービス産業協会(JISA)の調査によれば、ITサービスの取引は1次請けから2次請け、3次請けと深くなるほど中間マージンが発生し、末端の事業者が受け取る単価は元請単価の半分以下になるケースが少なくありません。 たとえば、クライアントが月単価120万円で発注した案件の場合、商流の階層ごとに以下のような単価圧縮が発生することがあります。
- 1次請け:100〜110万円
- 2次請け:80〜90万円
- 3次請け:60〜70万円
- 4次請け:50〜60万円
エンジニア本人の給与は、所属する企業の取り分からさらに会社の経費や利益を差し引いた金額です。3次請けの企業に所属するエンジニアの場合、客先での実単価が60万円でも、本人の月収は30〜40万円程度に圧縮されるケースもあります。
絶対に避けるべきブラックSES企業の5つの兆候
ここからは、業界共通の構造的問題ではなく、避けるべき個別企業の特徴に踏み込んでいきます。 以下の5つは、現役エンジニアからの相談で繰り返し挙がるブラックSES企業の典型的な兆候です。自社や、検討している企業に当てはまるものがないかを照らし合わせながら読み進めてみてください。
- 面接で経歴詐称を示唆される
- 家電量販店やコールセンターへの派遣が常態化している
- 待機期間中に給与をカットする規定がある
- 給与体系- 還元率が不透明で説明を拒む
- 求人票の年間休日が110日未満/昇給実績が不明
面接で経歴詐称を示唆される
面接や入社時の説明で「現場では3年と言って」「使ったことがなくても“経験あり”と申告して」と指示される企業は、明確なブラック兆候です。 経歴詐称は、客先との契約に対する詐欺行為に該当します。発覚した場合は契約解除や損害賠償、刑事責任を問われる可能性もあり、リスクを負うのはエンジニア本人です。
具体的には以下のような指示が出されることがあります。
- 未経験者を「3年経験あり」と申告して案件にアサインする
- 触ったことのない技術を「業務経験あり」とスキルシートに記載させる
- 関わっていない大手案件のジョブヒストリーを書かせる
こうした指示に応じてしまうと、客先で実力を発揮できず本人が追い詰められるだけでなく、業界内で評判が広がり、将来の転職活動にも影響が出ます。経歴詐称を打診された時点で、別の会社を探し始めるのが賢明な判断です。
家電量販店やコールセンターへの派遣が常態化している
ITエンジニア求人で入社したのに、家電量販店の販売員、量販店の商品説明スタッフ、コールセンターのオペレーターとして配属される企業も、避けるべき典型例です。こうした企業は、エンジニア育成のリソースがなく、技術案件を受注できないため、IT周辺の人的派遣で収益を確保している構造になっています。
配属された場合、以下のような問題が起こります。
- 職務経歴書に書ける開発経験が一切たまらない
- 在籍期間がそのまま空白として扱われる
- 転職活動の際に経歴の説明が難しくなる
求人票に「初期は研修期間として家電量販店で接客経験を積む」などと記載されている企業は、入社後も同じ業務を長期間続けさせられるリスクが高い傾向にあります。応募前に研修内容や配属先の実態を確認するのが安全策です。
待機期間中に給与をカットする規定がある
案件と案件の間(待機期間)に基本給を減額する、あるいは賞与から差し引く規定がある企業は、エンジニア側にしわ寄せが集中する構造になっています。 本来、待機期間が発生する原因は、会社の営業活動や案件マッチングの能力に依存するものです。エンジニア個人の責任ではない期間の収入を、会社側の都合で減額するのは健全な姿ではありません。
具体的には以下のような規定が見られます。
- 待機中は基本給の60%しか支払われない
- 待機3ヶ月以上で自動的に解雇される
- 賞与査定で「待機期間あり」が大幅に減点される
労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業に対して平均賃金の60%以上の休業手当を支払うよう定められています。とはいえ、この下限を「最低限」と扱う運用が常態化している企業は、健全な労務管理がおこなわれているとは言いがたい状態です。
給与体系・還元率が不透明で説明を拒む
自分の単価がいくらで、会社の取り分がどれくらいかを聞いても答えない、あるいは話を逸らす企業は、構造的にエンジニアから搾取している可能性が高くなります。
健全な企業であれば、以下のような情報を説明できるのが通常です。
- 現場での月額単価と本人の月収の対応関係
- 賞与の計算式や評価指標
- 昇給テーブルとその基準
- 売上に占める人件費の比率(還元率)
逆に「評価次第」「実力次第」「会社として決まっていない」としか答えない場合、ピンハネ率が高すぎて開示できないという可能性もあります。
最近は「高還元SES」を掲げる企業も増えていますが、本当に還元率が高いかどうかは、実際の単価と給与の対応関係を確認するまでわかりません。面接時に具体的な数字を聞いて、誠実に答えてくれるかどうかで判断するのが現実的な方法です。
求人票の年間休日が110日未満/昇給実績が不明
求人票の年間休日が110日を切っている、昇給実績や賞与の金額レンジが公開されていない企業も、待遇面で危険信号が出ています。 IT業界全体の平均年間休日は120日前後が一般的です。110日未満の場合、土日祝日が完全には休めない、有給取得が想定されていないなど、労働時間の長さが構造化されている可能性が高くなります。
求人票でチェックしたいポイントは以下のとおりです。
- 年間休日:120日以上が望ましい、110日未満は要注意
- 賞与:金額レンジまたは月数が明記されているか
- 昇給:過去の昇給実績(平均額・人数)が公開されているか
- 固定残業代:何時間分が基本給に含まれるか
これらの情報を意図的にぼかしている求人は、入社後に「想定と違った」というギャップが発生しやすくなります。応募前に求人票の数値を一つひとつ確認しておくと、後悔を減らせます。
【テックゴー編集部の見解】 ここまで挙げた5つの兆候のうち、3つ以上当てはまる場合は、すでに転職活動を始めるべき段階だとテックゴー編集部は考えます。なぜなら、入社後にこれらの要素が改善されるケースは極めて少ないからです。
経歴詐称や待機給与カットといった構造的な問題は、経営判断の根本にあるもので、社員側の働きかけで変わる性質のものではありません。時間を費やすほど、市場価値の機会損失が大きくなります。
一方、1〜2つに該当が留まる場合は、社内交渉や案件異動の余地が残されている可能性もあります。たとえば給与体系の不透明さが気になるレベルであれば、人事との面談で具体的な数字を確認することで解消できるケースもあります。 判断に迷うときは、第三者の視点で自社の状況を整理してみてください。テックゴーでは、エージェントが業界知見をもとに客観的な所見をお伝えしています。
▼SESがやめとけと言われる理由をさらに整理したい人は、以下の記事もおすすめです。

SESはやめとけと言われる理由5選|エンジニアが転職を後悔しない優良企業の条件とは?
ホワイトSES企業を見極めるための5つの判断基準
ブラックな兆候の裏返しとして、優良なホワイトSES企業には共通する特徴があります。 ここで紹介する5つの基準は、求人票や面接、口コミサイトなどから事前に確認できるものです。応募前のスクリーニングや、現在の所属企業との比較に役立ててみてください。
商流が直請け〜二次請けまでに収まっている
優良なSES企業は、クライアントから直接受注する「直請け」または「二次請け」までの案件を中心に保有しています。 商流が浅いほど中間マージンが発生しないため、エンジニアに還元される単価が高くなり、給与水準も向上しやすい構造です。3次請け、4次請けが中心の企業と比べると、同じ実力でも年収で50〜100万円程度の差が出るケースもあります。
商流を確認する具体的な方法は以下のとおりです。
- 面接で「主な取引先はどこですか」「商流は何次請けが多いですか」と直接聞く
- 口コミサイトで「単価」「還元率」のキーワードで検索する
- 企業の取引先一覧やプレスリリースで大手SIerの直接取引があるか確認する
商流に関する質問に明確に答えてくれる企業は、契約構造を社員に開示する文化があるため、その後の働き方も透明性が期待できます。
エンジニアへの還元率を公開している
優良SES企業の多くは、エンジニアの給与が会社の売上に対してどれくらいの比率になっているかを公開しています。「還元率70%」「単価の8割を給与に反映」といった具体的な数字を打ち出している企業は、ピンハネが少なく、エンジニアの取り分が大きい設計になっている可能性が高いです。
ただし、還元率の数字には注意も必要です。具体的には以下のような視点で確認してみてください。
- 還元率の分母は「単価」か「会社売上」か(定義によって意味が変わる)
- 社会保険料や福利厚生コストを含むかどうか
- 教育研修や案件待機時の給与保証がどう反映されているか
数字の高さだけで判断せず、実際の月収・ 年収レンジと照らし合わせて妥当性を確認することが重要です。面接時に「同年代のエンジニアの月収はどれくらいですか」と聞いて、数字が一致しているかをチェックする方法もあります。
▼高還元SESを謳う企業の見極めについては、以下の記事もおすすめです。

優良SES企業の見極め方|未経験におすすめの優良企業も一挙紹介
案件選択制度や評価制度が明文化されている
エンジニアが希望する案件・技術スタックを選べる「案件選択制度」や、昇給・評価のルールが明文化されている企業は、ホワイトSESの代表的な特徴です。
案件選択制度がある企業では、以下のような運用がおこなわれています。
- 営業から複数案件の打診があり、エンジニア本人が選択できる
- 希望スキル- 希望業界をシステム上で登録し、マッチングが管理されている
- 案件参画前に客先と面談する機会が設けられている
評価制度の明文化については、以下の点が公開されているかを確認します。
- 等級ごとの年収レンジ
- 昇給に必要なスキル- 経験の要件
- 四半期や半年ごとの評価サイクル
これらが整っている企業では、エンジニアが自分のキャリアの進捗を可視化できるため、長期的なスキルアップ計画も立てやすくなります。
口コミサイトに「サービス残業ゼロ」の声がある
OpenWorkやライトハウスなどの口コミサイトで、「サービス残業がない」「残業代がきちんと支払われる」という声が複数挙がっている企業は、労務管理が機能している可能性が高いです。
口コミサイトを確認するときのチェックポイントは以下のとおりです。
- 残業時間の実態(自己申告制か、客先のタイムカードで管理されているか)
- 残業代の支払い状況(固定残業代を超えた分が支払われるか)
- 有給取得率(30%を下回る企業は注意)
- 退職者の声(とくに直近1〜2年以内のものを重視)
口コミは個人の主観も含まれるため、1件だけで判断するのは避けたほうが安全です。同じ趣旨のコメントが複数のユーザーから投稿されている場合、その内容は企業の実態を反映している可能性が高くなります。
面接の逆質問で具体的な案件
面接で「現在募集している案件の内容を具体的に教えてください」と質問したときに、即答できる企業はホワイトSESの傾向が強くなります。
逆に、以下のような回答をする企業は注意が必要です。
- 「入社後に案件を探します」と濁す
- 「とりあえず研修からスタート」と具体策がない
- 「案件はたくさんあるので大丈夫」と抽象的に答える
優良な企業であれば、面接段階で複数の案件オプションを提示し、技術スタックや勤務地、チーム規模まで具体的に説明できるはずです。
面接で確認したい逆質問例は以下のとおりです。
- 直近で参画予定の案件は何件ありますか
- 最も多い技術スタックは何ですか
- 参画後の評価フィードバックは誰がおこないますか
- 他のエンジニアの平均参画期間はどれくらいですか
これらに具体的に答えられる企業は、エンジニアのキャリアを真剣に考えている姿勢の表れです。
▼SES面談での逆質問について詳しく知りたい人は、以下の記事もおすすめです。

SES面談で「逆質問なし」は落ちる?好印象を与える例文10選とNG集を解説
SESの闇から抜け出すための4つの選択肢
ここまで読んで「自社は明らかに闇に該当する」「ホワイトな環境に移りたい」と感じた人に向けて、現実的な選択肢を整理します。
選択肢は以下の4つです。年収レンジや難易度、必要なスキルがそれぞれ異なるため、自分の状況に合うものを見つけてみてください。
| 選択肢 | 想定年収レンジ | 難易度 | 主な必要スキル |
|---|---|---|---|
| 同じSES内で案件異動・ 条件交渉 | 現状+20〜50万円 | 低 | 社内交渉力、案件選定の視点 |
| ホワイトSESへ転職 | 450〜600万円 | 中 | 開発実務経験1〜3年 |
| 自社開発- 受託開発(SIer)へ転職 | 450〜700万円 | 中〜高 | 開発実務経験、ポートフォリオ |
| ITコンサル・ PMOへキャリアチェンジ | 550〜900万円 | 高 | 上流工程経験、論理思考力 |
※年収レンジは編集部による想定。実際は経験-・ 年齢・企業規模により変動します。
同じSES会社内で案件異動・条件交渉を試みる
すぐに転職せず、今の会社内で案件異動や条件交渉を試みるのが、最もリスクの低い選択肢です。 ブラック兆候が1〜2個程度で、会社全体は健全な場合、案件単位の問題であるケースもあります。営業担当者やキャリアアドバイザーに以下のような相談を持ちかけてみてください。
- 「クラウド技術を扱う案件にアサインしてほしい」など希望スキルの明示
- 現案件での評価フィードバックの確認
- 次の案件選定時の希望条件すり合わせ
- 単価交渉のタイミングと根拠(資格取得- スキル習得など)
この方法のメリットは、現職を続けながら状況改善を試せること、転職活動の手間が不要なことです。 ただし、構造的にブラックな企業では交渉が通らないケースも多くあります。3ヶ月程度交渉してみて変化がなければ、次の選択肢に進むのが現実的な判断です。
ホワイトなSES企業に転職する
開発実務経験が1〜3年あるエンジニアであれば、ホワイトなSES企業への転職が現実的な選択肢になります。
SESという働き方自体は、複数の現場で多様な技術に触れられるメリットがあり、本人の志向次第ではキャリア形成に活かせる選択肢です。重要なのは「ブラックSESから抜け出す」のであって、「SESという働き方そのものを辞める」必要は必ずしもありません。
ホワイトSESに転職する場合のポイントは以下のとおりです。
- 5つの判断基準をもとに企業をスクリーニングする
- 現職への不満を、「次の会社で実現したいこと」に言い換える
- 面接では案件内容や参画体制について具体的に質問し、回答の透明性を確認する
- 口コミサイトの情報と面接での説明に大きな乖離がないかチェックする
転職活動中は現職を続けながら進めるため、最低でも3〜6ヶ月の期間を見ておくと選考対策に余裕が生まれます。
自社開発・受託開発(SIer含む)企業に転職する
客先常駐の働き方そのものから離れたい場合は、自社開発企業または受託開発企業(SIer)への転職が選択肢になります。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
自社開発企業
- 自社のサービス- プロダクトを継続的に改善していく働き方
- モダンな技術スタックを採用している企業が多い
- 事業フェーズによっては年収レンジが大きく分散する
- 実務経験の「質」と「ポートフォリオ」が選考で重視される
受託開発企業(SIer)
- クライアント企業から請け負った案件を自社内で開発
- 大規模システムや業務システムの開発経験を積みやすい
- 大手SIerは年収- 福利厚生ともに安定している
- 上流工程(要件定義- 設計)の経験が積みやすい
SESから自社開発・SIerへ転職する場合、書類選考の通過率が課題になりやすい傾向があります。担当した業務内容を具体的に職務経歴書に落とし込み、開発の上流フェーズに関わった経験があれば積極的に記載するのがコツです。
▼SESからの転職について詳しく知りたい人は、以下の記事もおすすめです。

SESからの転職ロードマップ|おすすめのキャリアと選考突破の実践ノウハウ
ITコンサル・PMOなど上流職にキャリアチェンジする
エンジニア経験を活かしつつ、より上流の意思決定に関わる仕事へキャリアチェンジしたい場合は、ITコンサルタントやPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)が選択肢になります。
ITコンサル・ PMOの特徴は以下のとおりです。
ITコンサルタント
- クライアントの経営課題をITで解決する戦略立案- 実行支援
- 年収レンジは600〜1,000万円超まで広がる
- 論理思考力・プレゼンテーション能力が求められる
- 選考難易度は高く、ケース面接の対策が必要
PMO
- 大規模プロジェクトの進行管理・品質管理・ コスト管理を担う
- エンジニア経験を直接活かしやすい
- ITコンサルよりも実務寄りで、未経験からの転職もしやすい
- 年収レンジは500〜800万円が中心
SESで複数案件を経験してきたエンジニアは、業界横断的な視点や折衝経験を持っているため、PMO適性が高いケースもあります。とくに大規模案件で要件定義- テスト工程に関わった経験があれば、ポータブルなスキルとして評価されやすくなります。
ITコンサル・PMOは選考の難易度が高い分、転職後の年収アップ幅も大きい選択肢です。書類選考や面接対策に時間をかけて準備するだけの価値があります。
SESの闇に気付いた今、取るべき3つの行動ステップ
ここまで読んで「動き出したい」と感じた人に向けて、具体的な行動の順序を整理します。 焦って転職活動を始める前に、以下の3ステップを順番に進めることで、後悔の少ない意思決定につながります。
ステップ1|自分の市場価値を棚卸しする
最初におこなうのは、自分の市場価値を客観的に把握することです。
転職活動を始める前にこの作業をしておくと、応募する企業の選定や年収交渉の根拠づくりに直結します。具体的には以下の項目を整理してみてください。
スキル面
- 使える言語・フレームワーク(Java、Python、AWS、Docker など)
- 担当した工程(要件定義- 設計- 実装- テスト- 運用のどこか)
- プロジェクト規模(人数- 期間- 予算)
- 保有資格(基本情報、応用情報、AWS認定など)
経験面
- どの業界・業種のシステムに関わったか
- 最も成果を出したプロジェクトと、その具体的な貢献
- チーム内での役割(メンバー/リーダー/取りまとめ役)
志向面
- 今後伸ばしたい技術領域
- 働き方の優先順位(年収・技術・働き方・人間関係)
- 3年後・5年後にどんな状態でありたいか
これらを文章として書き出すことで、職務経歴書のベースが完成すると同時に、転職活動の「軸」が言語化されます。
転職サービスのスカウト機能に登録すると、市場からの引き合いを定量的に把握できます。スカウトの数や提示年収のレンジを見ることで、自分の現在地が客観的に見えてきます。
▼職務経歴書の書き方を知りたい人は、以下の記事もおすすめです。

SESエンジニアの職務経歴書の書き方|応募先(自社開発・優良SES)別の書き分け術
ステップ2|違法行為がある場合は外部機関に相談する
経歴詐称の強要、偽装請負、待機給与の不当カット、サービス残業の常態化など、明確な違法行為が現職にある場合は、外部機関への相談を検討してください。
相談先とそれぞれの役割は以下のとおりです。
| 相談先 | 主な役割 | 相談内容の例 |
|---|---|---|
| 労働基準監督署 | 労働基準法違反の調査・ 是正指導 | サービス残業、不当な給与カット、有給拒否 |
| 総合労働相談コーナー | 個別労働紛争の助言・ あっせん | パワハラ、退職時のトラブル |
| 弁護士(労働問題専門) | 民事訴訟、損害賠償請求 | 経歴詐称強要、悪質な搾取 |
| 法テラス | 法的トラブルの無料相談 | 弁護士費用が払えない場合の支援 |
これらの機関への相談は無料で、匿名でも受け付けてもらえるケースがほとんどです。
転職活動と並行して相談を進めることで、現職での違法行為の証拠(指示メール、給与明細、契約書など)を保全しながら、新しい職場への移行を進められます。
ステップ3|転職活動の前に「軸」を言語化する
転職活動を始める前に、自分なりの「転職軸」を言語化しておくことは、後悔の少ない転職につながります。
軸が曖昧なまま転職活動を始めてしまうと、「とりあえず内定が出た会社」に流されやすくなり、結果として「前職とあまり変わらない環境だった」と感じるケースも少なくありません。
転職軸を整理する際は、以下のような問いを自分に投げかけてみましょう。
- 年収・技術・働き方・人間関係のうち、最も優先したいものは何か
- 5年後に、どのような技術スタックや役割を担っていたいか
- 自分にとって長く続けやすい働き方は何か(リモート/出社/フレックスなど)
- 避けたい環境は何か(多重下請け、過度な客先常駐、深夜対応など)
- 転職によって実現したいことは何か
こうした問いに向き合うことで、自分にとって譲れない価値観や、意思決定の基準が整理されていきます。
転職軸が明確になると、求人選びの判断がしやすくなるだけでなく、面接で「なぜ転職したいのか」を説明する際にも、一貫性のある説得力を持たせやすくなります。

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まとめ|SESの闇を構造として理解し、自分の判断軸を持とう
SESが「闇」と言われる背景には、多重下請け構造や案件依存といった業界特有の課題と、一部企業による悪質な運営の両方があります。 そのため、「SESだから危険」と決めつけるのではなく、企業ごとの実態を見極めることが重要です。
特に、以下のような兆候が複数当てはまる場合は注意が必要です。
- 経歴詐称を勧められる
- 給与体系や還元率が不透明
- 待機時の給与保証が弱い
- スキルが身につかない案件ばかり続く
一方で、教育体制や案件選択制度が整った「ホワイトSES」も存在します。 大切なのは、「今の環境に不満があるか」だけでなく、「次にどんな働き方・キャリアを実現したいか」を整理したうえで行動することです。自社開発、SIer、ホワイトSESなど選択肢は幅広くあります。自分の経験や目指したいキャリアに合わせて、納得できる環境を選んでいきましょう。
よくある質問
Q
SESを辞めて自社開発企業に転職するのは難しいですか?
A
開発実務経験が1〜3年程度あり、職務経歴書やポートフォリオをしっかり準備できれば、自社開発企業への転職は十分に現実的です。 ただし、SES特有の環境によって、以下の点が選考で不利に働くケースがあります。 - 担当工程がテスト- 運用保守など下流工程に偏っており、開発スキルをアピールしにくい - 客先案件の都合上、職務経歴書に具体的な企業名や成果を書きづらい - 短期間で複数案件を経験している場合、ジョブホッパーと受け取られる可能性がある こうした課題を補う方法として有効なのが、業務外でのアウトプットです。 たとえば、以下のような取り組みは評価につながりやすくなります。 - GitHubでの個人開発 - 技術ブログの執筆 - OSSへの貢献 - ポートフォリオの公開 特に、応募先企業の技術スタックに合わせて準備を行うことで、選考通過率が大きく変わることもあります。 もし書類選考のハードルが高いと感じる場合は、まずは「ホワイトSES」で開発経験を積み、その後に自社開発企業へ転職する二段階ルートも現実的な選択肢です。
Q
「高還元SES」を謳う会社は本当にホワイトですか?
A
「高還元SES」を掲げている企業でも、必ずしも優良企業とは限りません。実態を見極めるには、「還元率」の定義と、実際の給与との対応関係を確認することが重要です。 比較的ホワイトに近い企業では、以下のような特徴が見られます。 - ホワイトに近いケース - 単価の70〜85%程度を給与へ反映している - 還元率の計算方法を公開している - 待機期間中も基本給を満額支給している - 福利厚生や社会保険料を会社側が別途負担している 一方で、注意が必要なケースもあります。 - 実態として注意が必要なケース - 還元率の分母が「会社売上」ではなく「クライアント単価」になっている - 社会保険料や教育費などを差し引いた後の数字を「還元率」としている - 待機時の給与保証が弱く、年収ベースでは他社と大差がない - 「平均還元率」のみを掲載し、個別の計算根拠を開示していない 「高還元」という言葉だけで判断するのではなく、面接時に「自分の単価と給与の関係」を具体的に確認することが大切です。 誠実な企業であれば、還元率の考え方や給与体系について、一定の説明ができるはずです。
