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SESはやめとけと言われる理由5選|エンジニアが転職を後悔しない優良企業の条件とは?

2026年03月02日更新

「エンジニアを目指すなら、SESだけはやめとけ」

ネット掲示板やSNSで、1度はこの言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか。これからエンジニアとしての第一歩を踏み出そうとしている人にとって、こうしたネガティブな評判は不安要素です。

しかし、世の中のITエンジニアの多くがSESという仕組みの中で活躍しているのも事実です。大切なことは、根拠のない不安に振り回されることではなく、「なぜそういわれるのか」という背景を正しく理解し、自分に合った企業を見極める目を持つことです。

本記事では、SESの仕組みから「やめとけ」といわれる具体的な理由、そしてSESを賢く利用してキャリアアップするためのポイントを詳しく解説します。

目次

CONTENTS

SESとは?基本的な仕組みと「やめとけ」と言われる背景

SES(システムエンジニアリングサービス)とは、ITエンジニアの「技術力」をサービスとして提供する契約形態のことです。自社でシステムをつくるのではなく、クライアント企業(客先)へエンジニアを派遣し、その現場で開発や運用をサポートします。

多くのエンジニアがSESからキャリアをスタートさせますが、一方で「労働環境が悪い」「スキルが身につかない」といった声が絶えません。これは、SESという仕組みそのものよりも、後述する「多重下請け」などの業界構造が、エンジニア個人に負担を強いる形になりやすいためです。

SESは、法律上は「準委任契約」に分類されます。これは「完成物の納品」に責任を負うのではなく、「エンジニアが一定時間、業務を遂行すること」に対して対価が支払われる仕組みです。

クライアント企業にとっては、必要な期間だけ必要なスキルを持つ人を確保できるため、非常に重宝されます。一方で、エンジニア側には「どれだけ効率よく仕事を終わらせても、現場に拘束される時間は変わらない」という特徴があります。

この契約の性質が、会社によっては「単なる労働力の提供」としてエンジニアを軽視する原因にもなりえます。

エンジニアの働き方は、主に「SES」「受託開発」「自社開発」の3つに分けられます

SES: 客先に常駐して働く。プロジェクトごとに職場や技術が変わる 受託開発: クライアントからシステム作成を請け負い、自社内で開発する。納期への責任がある 自社開発: 自社で運営するサービスを開発する。企画から改善まで一貫して携われる

SESはほかのふたつに比べて、未経験者の採用枠が広い傾向にあります。そのため、エンジニアへの入り口としては適していますが、自社への帰属意識や、長期的なプロダクト開発への関与はどうしても薄くなりがちです。

「SESは地獄」という表現が使われる背景には、エンジニアの意志を無視した「案件割り振り」の存在があります

本来、エンジニアは自分のスキルを高めたいと考えていますが、会社側の都合で「人手が足りない現場」に機械的に割り振られることがあります。その結果、何年も単純作業を繰り返すことになり、市場価値が上がらないまま年齢を重ねてしまうリスクがあります。

この「自分のキャリアをコントロールできない感覚」こそが、地獄と揶揄される最大の要因といえるでしょう。

「SESはやめとけ」と言われる5つの理由

SESに対してネガティブな意見が集まるのには、5つの理由があります。

これらを事前に知っておくことで、入社後のミスマッチを未然に防げます。

SES企業の中には、エンジニアのキャリアプランを考慮せず、ただ「空いている案件」にアサインする会社があります。これを「案件ガチャ」と呼びます。

たとえば「最新のプログラミング言語を学びたい」と思って入社したのに、実際には十数年前の古いシステムをひたすら監視する現場に送られるといったケースです。1度こうした現場に入ると、数ヶ月から数年は抜け出せないこともよくあります。

とくに未経験からSESに入った場合、最初の現場が「テスト」や「データ入力」などの周辺業務になることは多くあります。

もちろん、テスト工程は品質担保のために重要ですが、問題なのは「そこからステップアップできる環境がない」場合です。開発経験を積ませる意思がない会社では、何年経ってもコードを書かせてもらえず、エンジニアとしての基礎体力がつかないまま放置されてしまいます。

実務経験としてカウントされない作業ばかりが続くと、転職したくてもスキル不足で動けなくなるという負の連鎖に陥ります。

IT業界には、大手SIerを頂点とした「多重下請け」という構造が存在します。商流が深くなるほど、中間に入る会社が手数料を取るため、実際に働くエンジニアの給料は低くなります。また、自分の上司が現場にいないため、日々の頑張りが正当に評価されにくいという不満も生じやすいです。

どれだけ現場で感謝されても、それが昇給に結びつかない不透明な評価制度は、働くモチベーションを大きく削ぐ原因です。

SESエンジニアは、1年の大半をクライアントのオフィスで過ごします。そのため、自社の社員と顔を合わせる機会が極端に少なく、自分がどの会社に所属しているのか実感が持てなくなることがあります。

現場の人間関係が良好ならよいですが、トラブルがあった際に自社に相談しづらかったり、孤立無援の状態でプレッシャーにさらされることもあります。この「居場所のなさ」や「孤独感」がストレスとなり、精神的に疲弊してしまうエンジニアが多いといわれています。

客先常駐では、派遣先の正社員と同じフロアで働きますが、待遇面での差を痛感する場面があります。

具体的には、会議に呼ばれなかったり、利用できる社内設備に制限がかかる可能性があります。また、給与水準やボーナスの額に明らかな差があることも多く、同じ仕事をしているのに報われないという不条理を感じやすいです。

こうした「格差」を日常的に目の当たりにすることで、自己肯定感が下がってしまうケースも「やめとけ」といわれる理由のひとつです。

それでもSESを選ぶメリット

ネガティブな面が目立つSESですが、一方で「エンジニアとしてのキャリアを築くための武器」になる側面もあります。

SESの最大の魅力は、数ヶ月から数年単位で異なるプロジェクトに参画できる点です。

自社開発企業の場合、通常はひとつのサービス、限られた技術スタックに長く携わることになります。しかしSESであれば、A社ではJava、B社ではPython、C社ではクラウド構築といった具合に、幅広い技術に触れるチャンスがあります。

短期間で多くの環境を経験することで、適応能力が高まり、どんな現場でも重宝される「現場に強いエンジニア」へと成長できます。

自社開発企業は即戦力を求める傾向が強く、未経験からの入社難易度は高いのが現状です。

それに対してSES企業は、教育体制を整え、意欲のある未経験者を積極的に採用している会社が多く存在します。「まずは実務経験を1〜2年積みたい」という人にとって、SESは適した入り口のひとつです。

SESであれば、誰もが知るような超大手銀行や通信キャリア、官公庁のプロジェクトに参画できる可能性があります。

こうした大規模システム(エンタープライズ領域)の開発現場は、セキュリティ基準や品質管理が厳格です。そこで学べる設計思想や運用のノウハウは、小規模な開発では経験できない貴重なものです。

大きな組織がどう動き、どのようにして社会のインフラが支えられているのかを肌で感じることは、エンジニアとしての視座を高めることにつながります。

複数の現場をわたるSESは、社外のエンジニアやマネージャーとの接点が多い働き方です。現場で高いパフォーマンスを発揮し、信頼を得ることで、「次のプロジェクトも君にお願いしたい」と直接声をかけられることもあります。

こうした人脈は、将来的にフリーランスとして独立する際や、リファラル転職をする際に大きな助けになります。多くの企業の実態を知っていることは、将来のキャリアを選択するうえでの「目利き」の力にもなるでしょう。

優良なSESの条件とブラックSESの見分け方

「SESはやめとけ」といわれるのは、ブラックな企業が一定数存在するからです。裏を返せば、優良な企業を選びさえすれば、SESはエンジニアにとって適した成長環境です。こちらでは、見分け方を紹介します。

テックゴー編集部の見解では、入社のしやすさや『未経験歓迎』という言葉だけで企業を検討すると、転職に失敗する傾向があります。その理由は、教育体制や案件の内容を確認せずに飛び込んでしまうと、『スキルが身につかない現場』に固定され、数年後のキャリアが詰まってしまうリスクがあるからです。

まずは会社のビジネスモデルを理解することが、後悔しない転職の第一歩です。

優良なSESを見極める最大のポイントは、エンジニアに「案件を選ぶ権利」があるかどうかです。

最近では「案件選択制」を導入し、エンジニアが自分の伸ばしたいスキルに合わせて現場を選べる会社が増えています。また、クライアントからの支払単価の〇%を給与として還元する「単価連動型(高還元SES)」の会社も注目されています。

これらは透明性が高く、自分の市場価値がダイレクトに給与に反映されるため、納得感を持って働けるでしょう。

求人票に「研修あり」と書いてあっても、その中身を精査する必要があります。

ブラックな企業の場合、研修といいつつ「単なるマニュアルの読み込み」や「自習」だけで現場に送り出すことがあります。優良企業は、現役エンジニアが講師を務めたり、模擬プロジェクトを経験させたりと、現場で困らないための具体的なカリキュラムを持っています。

面接では「具体的にどのようなスキルを、どのくらいの期間で習得できるのか」を遠慮せずに質問しましょう。

案件と案件の合間、現場が決まっていない「待機期間」の扱いは重要です。

優良なSESは、待機期間中も給与を保証し、その時間を自己学習や資格取得にあてることを推奨します。一方で、待機になると給与をカットしたり、無理やり有給を消化させる会社は要注意です。

また、営業担当が現場の状況を定期的にヒアリングし、エンジニアが過度な残業やハラスメントを受けていないかチェックする体制があるかも確認すべきポイントです。

ブラックなSESを優良SESを見極めるポイントを比較したので、ぜひ参考にしてください。

比較項目不適切なSESの特徴優良SESの特徴
案件のアサイン会社が強制的に決定する(拒否権なし)エンジニアの意向を反映(案件選択制など)
給与の仕組み固定給で昇給額が不透明単価連動型や明確な評価基準がある
商流(中抜き)3次請け以降の深い商流が多い1次請け(直請け)や2次請けが中心
キャリア支援現場任せで放置される定期的な面談や学習費用の補助がある
社員の定着率離職率が高く、常に大量採用しているエンジニアの満足度が高く、定着している

SESからのキャリアステップ

SESはゴールではなく、あくまでエンジニアとしての「理想のキャリア」をかなえるための通過点です。SESで経験を積んだ後には、以下のようなさまざまな道が開けています。

一般的なのが、SESで身につけた技術力を武器に、自社開発や受託開発の企業へステップアップするパターンです。

「開発の実務経験2〜3年」は、中途採用市場において最も需要が高い層です。SES時代に複数の現場で異なる環境を経験していれば、「技術的な柔軟性がある」と高く評価されます。

SESで基礎を固め、自分の得意分野を見極めてから、よりプロダクトに深く関われる環境へ移るのは、戦略的で賢い選択といえます。

以下の記事で更に詳しく解説していますので参考にしてください。

SESから転職できるおすすめの転職先は?評価されるSES経験についても解説

SESから転職できるおすすめの転職先は?評価されるSES経験についても解説

特定の技術領域(例:Go言語、AWS、サイバーセキュリティなど)に特化し、市場価値を高める道もあります。

SESとして働きながらでも、需要が高く供給が少ない技術を磨き続ければ、単価交渉が容易です。自分のスキルアップがそのまま年収アップに直結するため、あえて特定の会社に縛られず、エンジニアとしての「腕一本」で渡り歩くスペシャリストとして活躍できるでしょう。

技術だけでなく、チームをまとめるマネジメント能力や、顧客と仕様を詰める「上流工程(要件定義・設計)」のスキルを磨くキャリアもあります。

SESの現場でリーダーを経験したり、PM(プロジェクトマネージャー)の補佐を務めることで、大規模プロジェクトを動かすノウハウが身につきます。コードを書くだけのエンジニアから、ビジネスを技術で動かせる人材へとシフトすることで、年収のレンジは上がるでしょう。

SESへの転職を考える際、入社のしやすさや出口の多さで企業を検討する人も多い印象です。しかし、テックゴー編集部が重視するポイントはそこではありません。

  1. 案件選択権の有無
  2. 商流の深さ
  3. キャリアパスの具体性

これらも十分に吟味したうえで企業は選定しましょう。入社のしやすさを重視してしまうと、その先に見据えている理想のキャリアを描けない可能性もあります。「理想を叶えられる環境」を見据えて転職活動をおこないましょう。

SESという働き方を「キャリアの踏み台」にするか「成長を止める場所」にするかは、企業選びにかかっています。しかし、求人票や企業の公式サイトだけで、その会社が実際にエンジニアを大切にしているかを見抜くのは至難の業です。

テックゴーでは、単に「未経験歓迎」の求人を紹介するのではなく、その企業がどのような案件を抱え、どのような評価制度を持っているのかを分析しています

  • 案件選択権はあるか
  • 単価や還元率は適正か
  • 現場でのスキルアップが望めるか

エンジニアの未来を第一に考え、5年後、10年後を見据えたキャリアプランを一緒に作成します。「SESはやめとけ」という言葉に不安を感じているなら、まずはその不安の正体を一緒に解き明かしましょう。

まとめ

「SESはやめとけ」といわれる理由は、一部の企業がエンジニアを「使い捨ての労働力」として扱っている事実にあります。しかし、すべてのSES企業がそうではありません。

SESは、未経験からさまざまな技術に触れ、大手企業のプロジェクトに携われるよい機会でもあります。大切なことは、案件選択の自由度や評価の透明性、商流の深さなど、自分を守り成長させるための条件を見極めることです。

SESを賢く利用して実務経験を積めば、その後の自社開発への転職やフリーランス独立、上流工程へのシフトなど、キャリアの選択肢は無限に広がります。情報の波に流されるのではなく、正しい知識を持って、納得のいくエンジニア人生をスタートさせてください。

【FAQ】SESに関するよくある質問

こちらでは、SESに関するよくある質問にお答えします。

SES(準委任契約)と派遣社員(労働者派遣)の大きな違いは「指揮命令権」にあります。派遣社員は現場(客先)の担当者から直接指示を受けますが、SESは本来、自社の責任者を通じて指示を受ける形です。

ただし、実態として現場で指示を受けるケースも多く、働く側から見た業務内容に大きな差を感じないことも多いです。

可能です。IT業界は慢性的な人手不足のため、30代であってもこれまでの社会人経験(コミュニケーション能力や管理経験)を評価して採用するSES企業は多いです。

ただし、20代に比べると「ポテンシャル」だけでなく、早期のスキル習得が求められるため、入社前の事前学習や、成長意欲を具体的にアピールすることが重要です。

厳密には、SESは「契約形態」を指し、客先常駐は「働き方(場所)」を指します。SES契約の多くが客先常駐という形をとるため、現場ではほぼ同義として使われています。

ただし、最近ではフルリモートで業務をおこなうSES案件も増えており、必ずしも「SES=出社して常駐」ではなくなりつつあるのが現状です。

単純なコーディング作業などはAIに代替される可能性がありますが、SESエンジニアの仕事全体がなくなることは考えにくいです

なぜなら、SESの本質は「現場の課題を技術で解決すること」だからです。要件の調整やシステムの全体設計、AIが出力したコードの検証など、人間にしかできない高度な判断業務の需要は、今後さらに高まっていくでしょう。