GCPエンジニアとは?仕事内容や想定年収・資格取得までのロードマップまで徹底解説
2026年02月28日更新
GCPエンジニアは、Google Cloud(GCP)を活用してシステム基盤の設計・構築・運用をおこなう専門職です。
Googleが自社サービスで培った最高水準のインフラ技術を利用できる点が最大の特徴で、近年では、とくにAIやビッグデータ領域での需要が急増しています。
本記事では、GCPエンジニアの具体的な仕事内容や、AWS・Azureとの違い、最新の年収相場とGCPエンジニアの将来性について解説します。
著者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
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監修者

岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision代表取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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GCPエンジニアとは?
GCPエンジニアとは、Googleが提供するクラウドプラットフォーム「Google Cloud」に特化したエンジニアです。
単なるサーバー構築にとどまらず、クラウドネイティブな開発環境の整備や、データの利活用を支える基盤づくりを担います。
Google Cloudは、検索エンジンやYouTubeといった大規模サービスを支える技術をベースにしています。そのため、GCPエンジニアには高い可用性と拡張性を備えたシステム設計能力が求められます。
とくにモダンな開発手法であるコンテナ技術(GKE)やサーバーレス(Cloud Run)に強いエンジニアが多いのも特徴です。
クラウドエンジニアにおけるGCPエンジニアの立ち位置
クラウドエンジニアの中でも、GCPエンジニアは「データとAIに強いスペシャリスト」という立ち位置を確立しています。
クラウド市場全体ではAWSが先行していますが、GCPはGoogleの強力なデータ分析技術やAIサービス(Vertex AIなど)を武器に、特定の領域で極めて高い支持を得ています。
そのため、従来のインフラ管理だけでなく、データサイエンティストや機械学習エンジニアと連携して「動くデータ基盤」をつくる役割を期待されるケースが多い職種です。
GCPの市場シェアと特徴
2026年現在、GCPの市場シェアは約11〜13%で推移しており、上位のAWS・Azureを猛追しています。とくに日本国内ではDXの進展にともない、ビッグデータ解析や生成AIのビジネス活用を目的としてGCPを採用する企業が増えています。
GCPの最大の特徴は、ネットワークの速さとデータ処理能力の高さ、そして開発者体験の良さです。直感的なコンソール操作や強力なCLIツールにより、インフラ構築のスピード感がほかのクラウドよりも速い傾向にあります。
AWS・Azureエンジニアとの違い
GCPエンジニアと、AWSやAzureエンジニアの主な違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | GCPエンジニア | AWSエンジニア | Azureエンジニア |
|---|---|---|---|
| 得意領域 | データ分析・AI・コンテナ | 汎用性・多機能・シェア | MS製品連携・エンタープライズ |
| 主要サービス | BigQuery, GKE, Vertex AI | EC2, S3, Lambda | Azure AD, SQL Database |
| 主な顧客層 | スタートアップ・テック企業 | あらゆる業界・規模 | 大企業・官公庁 |
| エンジニア像 | データ/AIに強い開発寄り | 総合的なインフラ設計 | 社内基盤・認証に強い |
GCPエンジニアは、ほかのクラウドよりも「データ活用による事業成長」に深くコミットする場面が多いのが特徴です。
GCPエンジニアの仕事内容
GCPエンジニアの業務範囲は多岐にわたりますが、中心となるのは「Google Cloudの特性を活かした最適解の提供」です。
クラウドインフラの設計・構築
システムの基盤となるVPC(ネットワーク)の設計や、Compute Engine(仮想マシン)、Cloud Storageなどのリソース配置をおこないます。
GCPでは、TerraformなどのIaC(Infrastructure as Code)を用いた自動化が一般的です。手作業での構築ではなく、コードによってインフラを管理することで、ヒューマンエラーを排除し、再現性の高い環境を構築します。
また、負荷に応じて自動で拡張するスケーラビリティの設計も重要な役割です。
データ分析基盤の構築
GCPエンジニアの代表的な業務のひとつが、BigQueryを中心としたデータ分析基盤の構築です。
企業内に散らばる膨大なデータをCloud Storageや各種データベースから収集し、分析しやすい形に加工(ETL処理)してBigQueryへ集約するパイプラインを構築します。これにより、マーケターや経営層がリアルタイムでデータを可視化できる環境を整えます。
単に箱をつくるだけでなく、クエリコストを抑えるための最適化スキルも求められます。
機械学習・AIモデルの実装支援
2026年現在、生成AI「Gemini」や「Vertex AI」を活用したシステム開発が活発です。GCPエンジニアは、これらのAIサービスを既存システムに組み込むための基盤整備を担います。
AIモデルを学習・デプロイするためのMLOps(Machine Learning Operations)体制の構築も重要です。データエンジニアと協力し、AIが継続的に学習と推論をおこなえるパイプラインを安定稼働させることで、ビジネスにAIの価値を組み込んでいきます。
既存システムからのクラウド移行
オンプレミス(自社所有サーバー)や他社クラウドからGCPへの移行(マイグレーション)を支援します。
単にデータを移すだけでなく、GCPの特性に合わせて「コンテナ化」や「サーバーレス化」を提案し、コスト削減と運用負荷の低減を同時に実現するスキルが求められます。
移行にともなうネットワーク接続(Cloud Interconnect)の設計や、ダウンタイムを最小限に抑える移行戦略の立案が腕の見せどころです。
セキュリティ対策・コスト最適化
クラウド利用において避けて通れないのがセキュリティとコストの管理です。IAM(IDとアクセスの管理)による厳密な権限設定や、Cloud ArmorによるDDoS対策など、強固な防御態勢を構築します。
また、クラウドは利用した分だけ料金が発生するため、不要なリソースの削減や確約利用割引の適用など、コストパフォーマンスを最大化するための継続的なモニタリングと改善もGCPエンジニアの重要な任務です。
GCPエンジニアに求められるスキル・資格
GCPエンジニアとして活躍するためには、クラウド固有の知識だけでなく、周辺技術への深い理解が必要です。
【必須】Google Cloud 主要サービスの知識
まずは、GCPのコアサービスを使いこなせる知識が不可欠です。
- Compute:GKE(Kubernetes), Cloud Run, Compute Engine
- Storage/DB:BigQuery, Cloud Spanner, Cloud SQL, Cloud Storage
- Network:Cloud Load Balancing, Cloud DNS, VPC Service Controls
これらのサービスがどのように連携し、どのようなユースケースに適しているかを理解し、アーキテクチャ図に落とし込めるまでが「基礎能力」です。
【必須】IaCによる自動化スキル
現代のGCP開発において、手動構築は「悪」とされることもあります。インフラをコードで管理する IaC(Infrastructure as Code)スキル、とくにTerraformの習熟はほぼ必須といえます。
CI/CDツール(GitHub ActionsやCloud Build)と連携し、コードをマージするだけで環境が自動更新される仕組みを構築できるエンジニアは、現場で重宝されます。
【推奨】データエンジニアリングの知識
GCPの強みを引き出すなら、データエンジニアリングの知識は強力な武器です。
SQLによるデータ操作はもちろん、Dataflow(Apache Beam)を用いたストリーミング処理や、Pub/Subによるメッセージング基盤の構築経験があると、担当できるプロジェクトの幅が劇的に広がります。
AI活用が当たり前となった今、データを「流す・貯める・整える」スキルは、GCPエンジニアにとっての付加価値です。
【推奨】ネットワーク・セキュリティ設計の専門性
エンタープライズ(大規模企業)案件では、高度なネットワーク設計とセキュリティ要件への対応が求められます。
オンプレミスとの専用線接続や、共有VPCを用いた大規模なマルチプロジェクト管理、さらにはゼロトラスト・アーキテクチャの実現など、専門性の高い領域です。これらの知識を備えることで、単なる「構築担当」から「信頼性を担保するアーキテクト」へと昇華できます。
取得を推奨される資格
GCPには、Google公式の認定資格が用意されています。
客観的なスキル証明として、以下の順での取得が推奨されます。
- Associate Cloud Engineer (ACE):基本的な管理・デプロイ能力の証明(実務1年相当)
- Professional Cloud Architect (PCA):ビジネス要件を技術仕様に落とし込む設計力の証明
- Professional Data Engineer (PDE):データ分析基盤の構築に特化した資格
- Professional Machine Learning Engineer:最新のAI活用スキルを証明する資格
GCPエンジニアの年収相場
GCPエンジニアの年収は、ほかのITエンジニアと比較しても高い水準にあります。こちらでは、2026年の市場データに基づいた年収相場の目安を紹介します。
GCPエンジニアの平均年収と経験別目安
経験年数やスキルレベルによる年収の目安は以下のとおりです。
- 実務未経験〜2年程度(ジュニア):450万〜650万円
- 実務3〜5年程度(ミドル):650万〜900万円
- 実務5年以上・設計経験あり(シニア):900万〜1,200万円
- クラウドアーキテクト / テックリード:1,200万円以上
GCPは専門性が高いため、基本的なインフラ知識に加えて**「BigQueryによるデータ基盤構築」や「GKEによるマイクロサービス化」ができると、30代前半で1,000万円を超えるケース**もあります。
年収が上がりにくい人をMyVision編集部が分析した結果、「特定のサービス構築(例:Compute Engineのみ)」など限定的な作業に終始し、全体のアーキテクチャ設計やコスト最適化の提案ができないという特徴があることがわかりました。
実際にエージェントの視点でも、単なる構築作業だけでなく、ビジネス課題をクラウド技術でどう解決するかを語れない場合は、面談で事前に伝えて改善にのぞむ傾向があります。
年収に影響が出ないように、事前に「なぜその構成を選んだのか」を言語化する練習をし、面接対策するのもおすすめです。
GCPエンジニアの将来性
結論として、GCPエンジニアの将来性は明るいといえます。その理由は、技術の進歩がGoogleの強みと一致しているからです。
AI・ビッグデータ市場の拡大とGoogleの優位性
あらゆる企業が「データの利活用」を至上命題としています。
GoogleはBigQueryを筆頭に、データの保存から分析、AIによる予測までを一気通貫でおこなえるエコシステムを持っており、この領域での優位性は揺るぎません。生成AIの普及にともない、その基盤としてのGCP需要は今後さらに拡大するでしょう。
マルチクラウド・ハイブリッドクラウド需要の増加
「ひとつのクラウドに依存したくない」というリスク分散の観点から、AWSとGCPを併用するマルチクラウド戦略を採用する企業が増えています。
とくに「基幹システムはAWS、データ分析とAIはGCP」という使い分けが定石となっており、GCPを扱えるエンジニアは、複数のクラウドを横断して設計できる貴重な人材として重宝されます。
「インフラエンジニア」から「データ/AIプラットフォームエンジニア」への変遷
2026年、GCPエンジニアの定義は「サーバーを立てる人」から「データとAIが動くプラットフォームをつくる人」へと変化しています。
単なる保守運用だけでなく、開発チームと一体となってプロダクト価値を高める役割へとシフトしており、より上流工程で活躍できるチャンスが広がっています。
GCPエンジニアのキャリアパス
GCPエンジニアの経験を積んだ先には、多様な専門職への道が開かれています。
- クラウドアーキテクト:全体最適を考えたシステム構成を設計する、技術選定の責任者
- データエンジニア・MLOpsエンジニア:大規模データ処理やAIモデルの運用に特化したスペシャリスト
- SRE(Site Reliability Engineering):Googleが提唱した運用手法を実践し、システムの信頼性を高める役割
- ITコンサルタント・CTO候補:技術を武器に経営課題を解決する、ビジネスサイドに近いポジション
資格を多数持っていれば、先のキャリアパスを描きやすいと考えてしまうかもしれません。しかし、MyVision編集部が重視するポイントは違います。
- 実機でのトラブルシューティング経験
- TerraformなどによるIaCの実装力
- ビジネスサイドへの技術説明能力
これらの能力が備わってこそ、キャリアパスに広がりが生まれると考えています。資格取得という形だけにとらわれると、後悔することもあります。技術を磨くことを最優先で考えましょう。
未経験からGCPエンジニアを目指すためのロードマップ
未経験からGCPエンジニアを目指すには、体系的な学習と「手を動かすこと」の両立が最短ルートです。
1. 基礎知識の習得(Cloud Digital Leaderレベル)
まずはクラウドの概念とGCPの全体像を把握します。
公式の「Cloud Digital Leader」の学習教材を利用し、専門用語(リージョン、ゾーン、VPC、バケットなど)を理解しましょう。
2. 認定資格の取得順序(Associate → Professional)
次に「Associate Cloud Engineer (ACE)」の取得を目指します。これにより、GCPの主要サービスを実際に操作して環境を構築する基礎体力がつきます。
その後、自分の進みたい方向に合わせて「Professional Cloud Architect」や「Data Engineer」へステップアップしましょう。
3. Google Cloud コンソールでの実戦演習とハンズオン
座学だけでは実務に通用しません。Google Cloudが提供する「Google Cloud Skills Boost」などのハンズオン教材を使い、実際に仮想マシンを立てたり、SQLを叩いてデータを分析する経験を積みましょう。
無料枠を賢く使うことが重要です。
4. ポートフォリオ作成とモダンな開発環境の経験
学習の成果として、自分だけのデータ分析基盤やWebアプリのインフラをGCP上に構築し、GitHubで公開しましょう。
単に構築するだけでなく「Terraformでコード化した」「Cloud Buildで自動デプロイを組んだ」といったモダンな要素を入れることで、採用担当者への強いアピールにつながります。
GCPエンジニアの転職・キャリア相談ならテックゴーへ
GCPエンジニアとしてのキャリアを最大化させるには、求人票の年収だけでなく「その企業でどの程度の裁量を持ってGCPを扱えるか」を見極める必要があります。
- 最新のVertex AIやBigQueryを活用できる環境か
- IaCやSREの文化が根付いているか
- マルチクラウド環境での設計経験が積めるか
テックゴーでは、こうした「現場の技術スタック」まで踏み込んだ求人提案をおこないます。あなたが目指すべきエンジニア像に合わせた企業選びを支援します。
まとめ
GCPエンジニアは、Googleの先進的な技術を駆使して、企業のデータ活用とAI実装を支える市場価値の高い職種です。
2026年、その需要はこれまでにないほど高まっており、インフラの基礎とデータ活用のスキルを併せ持つエンジニアは、あらゆる業界で求められています。
まずは基礎的な資格取得からはじめ、実際に手を動かしてGCPの「面白さ」に触れてみてください。その一歩が、数年後のあなたの市場価値を大きく変えるはずです。
【FAQ】GCPエンジニアに関するよくある質問
こちらでは、GCPエンジニアに関するよくある質問にお答えします。
GCPエンジニアは未経験からでもなれますか?
はい、可能です。ただし、インフラ(Linuxやネットワーク)の基礎知識は必須です。
まずはインフラエンジニアとして実務経験を積みつつ、GCP資格を取得して社内プロジェクトや転職でチャンスを掴むのが現実的です。
AWSとGCP、どちらを先に学ぶべきですか?
汎用性を求めるならAWS、データ分析やAI領域に興味があるならGCPがおすすめです。
現在の市場では、AWS経験者がGCPを学ぶケースも増えており、最終的には両方を扱える「マルチクラウド」なスキルを目指すのが理想的です。
AI(Geminiなど)の進化でGCPエンジニアの仕事はなくなりますか?
なくなりません。むしろ、AIを動かすためのプラットフォームを設計・管理するエンジニアの重要性は増しています。
AIをツールとして使いこなし、より高度な設計に集中できるエンジニアが生き残る時代です。


