金融系SEとは?仕事内容・年収・将来性から転職戦略まで徹底解説
2026年02月28日更新
金融系SEは、銀行、証券、保険といった金融機関のシステムを専門に手がけるエンジニアです。私たちが日常的に使うATMやネットバンキング、クレジットカード決済などは、すべて金融系SEの仕事によって支えられています。
金融系SEは「堅実で年収が高い」というイメージがある一方で、「激務」「古い技術」といった声を聞くこともあります。
しかし、2026年現在の金融業界は、AI活用やクラウド移行といった「金融DX」の真っただ中にあり、その役割は大きく変化しているといえるでしょう。
本記事では、金融系SEのリアルな実態を徹底解説します。
著者

岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision代表取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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監修者

山口 翔平
Yamaguchi Shohei
株式会社MyVision代表取締役
早稲田大学を卒業後、JTB、オリックス生命を経てコンサルティング転職に特化した人材紹介会社へ入社。 長年のエージェント経験を基に、より多くの求職者様に対して質の高い転職支援サービスを提供するため、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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金融系SEとは?
金融系SEとは、金融機関の業務を支えるITシステムの企画、設計、開発、運用を専門におこなうエンジニアのことです。
扱うデータは「お金」そのものであり、1円の誤差も許されない正確さと、24時間365日止まることがない信頼性が求められます。
かつては特定のプログラミング言語(COBOLなど)を扱う職人のようなイメージもありましたが、現在はFinTechの普及により、最新技術を駆使して新しい顧客体験を創造する役割へと変化しています。
金融系SEの役割と業務領域(銀行・証券・保険・決済)
金融系SEが活躍する領域は、大きく4つに分けられます。
- 銀行:預金や振込を管理する「勘定系」や、融資判断を支援するシステム
- 証券:秒単位で膨大な取引がおこなわれる「トレーディングシステム」や株価情報配信
- 保険:契約管理、保険金支払い、リスクシミュレーションをおこなうシステム
- 決済:クレジットカード、QRコード決済、電子マネーなどの決済ネットワーク
いずれの領域も、それぞれの業界特有の法律や商慣習に基づいた緻密なロジックが組み込まれています。金融系SEは、エンジニアでありながら、金融の専門家としての視点を持つことが期待されるポジションです。
他業界のSEとの違い
Web系やメーカー系SEとの最大の違いは、「品質への要求水準」と「ドメイン(業務)知識の重要性」にあります。
一般的なWebサービスでは、リリース後にバグを修正する「アジャイル」な進め方が許容されることもありますが、金融システムではミスが社会的な混乱につながるため、徹底したテストをおこないます。
また、単にプログラミングができるだけでなく、銀行法や保険業法といった法的知識の理解も求められます。技術力と業務知識、このふたつがそろって初めて、金融系SEとして一人前とみなされます。
金融系SEの主な仕事内容
金融系SEの仕事は多岐にわたりますが、主に「ウォーターフォール」と呼ばれる、工程をひとつずつ確実に完了させていく手法で進められることが多いのが特徴です。
要件定義から運用までの流れ
一般的な開発フローは以下のとおりです。
- 要件定義:金融機関の担当者と「どんな機能が必要か」を法律やルールに基づき議論
- 設計:膨大なデータを確実かつ高速に処理するための詳細な設計図を作成
- 開発・テスト:厳格なコーディング規約に沿って実装し、数ヶ月かけて異常系テストを繰り返す
- 運用・保守:24時間体制で稼働を監視し、法改正などがあればシステムを更新
とくに金融系では「テスト」の比重が重く、想定外の事態が起きてもシステムが停止しないよう、何重もの検証がおこなわれます。
勘定系・基幹システムの特徴
金融システムのなかでも、とくに「勘定系」や「基幹システム」と呼ばれる領域は特殊です。これらは企業の心臓部であり、メインフレームという超大型コンピュータで稼働しているケースがいまだに多く存在します。
これらのシステムは、数十年前から積み上げられた堅牢な資産(コード)で構成されています。
一方で、近年はこれらを最新のクラウド環境(AWSやAzureなど)へ移行するプロジェクトが加速しており、古い技術の知見と、最新のクラウドインフラ知識を掛け合わせる難易度の高い仕事が増えています。
金融系SEは「激務」「やめとけ」と言われる理由と実態
ネット上で散見される「金融系SEはやめとけ」という文言の背景には、金融業界特有の厳しい環境があります。
激務と言われる理由と繁忙期
「激務」と言われる要因は、リリース時期やシステム移行期にあります。利用者が少ない連休や年末年始にシステムを切り替える必要があるため、休日出勤が発生しやすくなります。
また、万が一システム障害が発生した際は、社会インフラを守るために昼夜を問わず復旧作業に当たらなければなりません。
しかし、近年は「働き方改革」により、多くの企業で残業時間の徹底管理や代休取得が義務付けられており、以前のような「過酷な労働が当たり前」という風潮は確実に改善されつつあります。
金融業界特有の責任とプレッシャー
金融系SEが抱える重圧は、他職種では味わえないほど大きなものです。自分が書いたひとつのミスが、数千億円の誤送金や、決済ネットワークの停止を引き起こす可能性があるからです。
MyVision編集部の見解として、年収の高さや安定性だけで金融系SEを検討することは失敗しやすいでしょう。その理由は、技術力以上に『ミスが許されない極限の状態』で冷静に判断を下す精神的タフさが求められるからです。
仕事のやりがいを『自由な創造性』に求める人にとっては、ルールと制約の多い金融の世界は窮屈に感じてしまうリスクがあります。
金融系SEに求められるスキル
金融系SEとして生き残るためには、コードを書く能力以上に「守る能力」と「理解する能力」が重視されます。
【必須】金融業務知識と品質重視の設計力
金融系SEにとって、業務知識はエンジニアリングの前提条件です。「利息の端数処理」「証券の約定プロセス」などを理解していなければ、正しいプログラムは書けません。
また、設計段階から「止まらない」「不正を許さない」という品質重視の思考が不可欠です。パフォーマンスを1ミリ秒単位で削り、セキュリティホールをひとつも残さないための、緻密で正確な設計力が現場では何よりも重宝されます。
【推奨】COBOL言語の知識や理解
意外に思われるかもしれませんが、金融業界ではいまだに「COBOL」という言語が現役で動いています。
基幹システムの多くがCOBOLで構築されており、これらをモダンな言語(Javaなど)へ移行するにしても、まずは元のコードを正しく読み解く力が必要です。
COBOLを知っているエンジニアは高齢化で減少しているため、若手がこの知識を持っていると、重宝されるという現状があります。
【推奨】セキュリティ・コンプライアンス対応
金融機関は「信頼」がすべての土台です。そのため、最新のサイバー攻撃手法への対策や、個人情報保護法、マイナンバー法などのコンプライアンス(法令遵守)への深い理解が求められます。
システムをつくる際、常に「この設計は最新の法規制をクリアしているか」「外部からの不正アクセスに耐えられるか」という厳しい視点を持つ必要があります。
こうした専門性は、将来的に「セキュリティエンジニア」や「IT監査」へとキャリアを広げる際にも役立ちます。
金融系SEの年収相場とキャリアパス
金融系SEは、ほかのIT職種と比較しても年収レンジが高めに設定されています。
平均年収と企業規模別の違い(大手・中小)
年収は「どの立ち位置の企業に所属するか」で大きく変わります。
| 企業タイプ | 平均年収の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 大手ユーザー系子会社 | 600万〜1,100万円 | 親会社の案件が中心。福利厚生が非常に手厚い |
| 大手SIer | 700万〜1,300万円 | 大規模案件のPMを担う。年収の伸び幅が大きい |
| 独立系・中小SIer | 450万〜750万円 | プログラミング実務が中心。経験を積み上位へ転職 |
年収が上がりにくい人をMyVision編集部が分析した結果、特定のプログラミング言語(例:COBOLのみ)の習得に留まり、業務知識や上流工程の経験を積もうとしない特徴があることがわかりました。
実際にエージェントの視点でも、技術の幅が狭い場合は、面談で事前に伝えて改善にのぞむ傾向があります。市場価値を落とさないよう、事前にクラウド技術やPM(プロジェクトマネジメント)経験を積める環境か確認し、面接対策するのもおすすめです。
年収アップにつながるキャリアパス
金融系SEとして高年収を狙うなら、ふたつの道があります。
ひとつは、プロジェクトマネージャー(PM)として大規模プロジェクトを完遂させるマネジメントの道であり、もうひとつは特定の金融商品(FXやデリバティブなど)のIT実装に特化したITコンサルタントの道です。
とくに近年は、銀行内部の事情とITの両方がわかる人材が不足しており、事業会社(銀行そのもの)のIT部門へと好待遇で「逆引き抜き」されるケースも増えています。
金融系SEの将来性
「古い技術ばかり」と揶揄されることもあった金融系SEですが、その将来性は明るいといえます。
金融DXとレガシー刷新の動向
現在、日本の金融業界は、俗にいう「2025年の崖」を越え、巨大なレガシーシステムの刷新を本格化させています。
メインフレームからクラウド(AWS/Azure/GCP)への移行、AIによる自動与信審査、ブロックチェーンを活用した次世代決済基盤など、刺激的なプロジェクトが目白押しです。
これらのDX投資は、一過性のものではありません。金融系SEが培った「信頼性と最新技術の融合」というスキルセットは、今後あらゆる産業がDX化するなかで求められる能力となるでしょう。
金融系SEは新卒で目指すべき?
金融系SEは新卒で目指すべきなのでしょうか。
こちらでは、新卒で目指すメリットや注意点などを紹介します。
新卒で選ぶメリットと注意点
新卒で金融系SEを目指すメリットは、研修制度の充実度です。大手金融系SIerは、半年近くかけてITの基礎から金融実務までを教育する体制が整っています。
一方で注意したいのは、大規模すぎるプロジェクトに配属されると、自分の担当範囲が狭く「全体像が見えにくい」と感じる点です。若いうちに幅広い技術に触れたい場合は、配属予定のプロジェクトの規模や役割を確認しておくことが大切です。
文系でも金融系SEは目指せる?
文系出身の金融系SEは多いとされています。
金融システムの開発において重要なのは、高度な数学的センスよりも、複雑な業務ルールを読み解き、矛盾なく整理する「論理的思考力」と「読解力」だからです。
「IT=理系」という先入観で諦める必要はありません。むしろ、緻密な事務処理能力や、多角的な視点から物事を整理する力を持つ文系の人こそ、信頼が第一の金融ITの世界で重宝される傾向にあります。
新卒・若手におすすめの資格
文系・未経験から金融系SEを目指すなら、まずは以下の資格で「意欲」と「適性」を証明しましょう。
- 基本情報技術者試験:ITの共通言語を学ぶための必須資格
- ITパスポート:ITと経営の基礎知識を証明
- 証券外務員:金融実務への興味をアピールするのに有効
IT・金融系で評価されやすい資格
実務を見据えるなら、キャリアの武器として以下の資格がおすすめです。
- 応用情報技術者試験:ワンランク上の設計能力を証明
- AWS認定ソリューションアーキテクト:金融DXで必須のクラウド知識を証明
- 情報処理安全確保支援士:金融系で重要視されるセキュリティの専門家資格
これらの資格を持つことで、面接官に「論理的な思考ができ、継続的に学習できる人材である」という信頼感を与えられます。
金融系SEに向いている人の特徴
金融系SEとして長く活躍できる人には、共通する資質があります。
- 誠実で責任感が強い:「社会インフラを守っている」という自覚を持てる
- 緻密な作業が得意:膨大な仕様書を読み込み、細かな計算の齟齬に気づける
- 学習し続ける姿勢がある:堅い業界ルールと、目まぐるしく変わる最新ITの両方を追い続けられる
- コミュニケーションを大切にする:多様な関係者の意向を汲み取り、論理的に調整できる
派手な開発よりも、コツコツと「究極の安定」をつくり上げることに喜びを感じるタイプの人が向いています。
金融系SEの転職戦略
転職を検討する際は、自分が「何を持っていて、次は何を得たいのか」を明確にすることが成功の鍵です。
大手金融系企業を目指す場合
大手(ユーザー系子会社や大手SIer)を目指すなら、実績の「再現性」が問われます。
過去のプロジェクトで、いかに品質を担保したか、どのようにチームをまとめたかというエピソードを、数値や具体例を交えて伝える必要があります。
未経験者の場合は、資格取得などの具体的な行動でポテンシャルを証明しましょう。
他業界へ転向する場合
金融系SEからWeb系や事業会社のSEへ移る場合、最大の武器は「高い信頼性」です。
金融業界で鍛えられた品質へのこだわりやドキュメント作成能力は、他業界では高く評価されます。ただし、技術スタックが古い場合は、自力でモダンな言語(GoやPythonなど)を学習し、ポートフォリオを用意しておきましょう。
金融系SEの転職ならテックゴーへ
金融系SEのキャリアは、どの企業で、どのシステムを、どの役割で担うかによって、その後の市場価値が大きく変わります。
テックゴーでは、金融業界特有の「プロジェクトの質」を理解したアドバイザーが、あなたのキャリアを支援します。ただ年収を上げるだけでなく、5年後、10年後も「必要とされるエンジニア」でいるための環境探しを、ともに伴走しながらお手伝いします。
まとめ
金融系SEは、ITエンジニアのなかでも「堅牢さ」と「専門性」を兼ね備えた職種です。
社会を支える責任は重いですが、そこで得られる確かなスキルと高い報酬、そして社会的信用は、あなたの人生において大きな資産となるでしょう。
今、金融業界はDXという変革期にあります。これまでの伝統を守りつつ、新しい技術で未来を創る。そんな刺激的なキャリアの第一歩を、ここから踏み出してみませんか?
金融系SEに関するよくある質問
こちらでは、金融系SEに関するよくある質問にお答えします。
金融系SEは文系でもなれる?
はい、十分になれます。金融システム開発で重要なのは、複雑な業務ルールを論理的に整理する能力です。
これは文系の人が得意とする分野でもあり、実際に現場の第一線で活躍している文系出身者は多数いるとされています。
金融系SEは他業種にも活かせる専門職?
活かせます。金融系で求められる「徹底した品質管理」や「大規模プロジェクトの推進能力」は、IT業界全般で高く評価される汎用的なスキルです。
金融系からITコンサルタントや他業界のPL/PMへ転向し、年収をさらに上げる人も多くいます。
