データベースエンジニアとは?AI時代の需要と仕事内容を解説
2026年02月28日更新
「エンジニア職の中でも、データベースエンジニアは地味に感じる」 「AIが普及したら、データの管理は自動化されるのでは?」
もしあなたがそう考えているなら、チャンスを見逃しているかもしれません。実は、ChatGPTをはじめとする生成AIの爆発的な普及により、その「学習元」となるデータを正しく整理・管理できるデータベースエンジニアの価値は高まっています。
専門性が高いゆえに「きつい」といわれることもありますが、一度スキルを身につければ、AI時代において強力な武器となるでしょう。
本記事では、データベースエンジニアの仕事内容から年収相場、未経験からデータベースエンジニアになるためのロードマップを紹介します。
著者

山口 翔平
Yamaguchi Shohei
株式会社MyVision代表取締役
早稲田大学を卒業後、JTB、オリックス生命を経てコンサルティング転職に特化した人材紹介会社へ入社。 長年のエージェント経験を基に、より多くの求職者様に対して質の高い転職支援サービスを提供するため、株式会社MyVisionを設立。
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監修者

岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision代表取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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データベースエンジニアとは?
データベースエンジニアは、企業の膨大なデータを蓄積・管理・活用するためのシステムを設計・構築・運用する専門職です。DXやAI活用の加速により、データの重要性は高まっています。
データベースエンジニアは情報の「器」をつくるだけでなく、高速なデータ抽出や堅牢なセキュリティの確保、さらにはコスト最適化までを担うため、ITインフラの要といえる存在です。
近年ではオンプレミスからクラウド(AWS/Azure/GCP)への移行や、Snowflakeなどの次世代プラットフォームの活用が主流となり、求められる役割も変化しています。
データベースエンジニアの役割
データベースエンジニアの役割は、システムが扱うデータを「確実に」「高速で」「止まることなく」利用できる環境を維持することです。
どんなに優れたアプリケーションであっても、データの読み書きが遅ければユーザーは離脱し、データが消失すればビジネスは破綻します。そのため、データの整合性を保ちながら、システム負荷に応じた最適な構成を提案する技量が求められます。
また、近年のビッグデータ時代においては、単なる保存にとどまらず、分析しやすい形にデータを整理・統合する基盤づくりも重要な役割のひとつです。
データベースエンジニアの仕事内容
データベースエンジニアの仕事は、フェーズによって大きく3つに分けられます。それぞれの工程で高度な専門知識が求められます。
データベースの設計・構築
最初に紹介するのは、要件に合わせてデータの構造や保存ルールを決定する仕事です。具体的には「どのデータをどのテーブルに持たせるか(正規化)」や「どのようにインデックスを貼るか」といった論理設計・物理設計をおこないます。
設計が完了したら、実際にサーバー上にデータベース製品(Oracle, MySQL, PostgreSQLなど)をインストールし、設定を流し込みます。近年はクラウド上のマネージドサービス(Amazon RDS等)を利用することが多いため、クラウドインフラの設定能力も必須のスキルです。
データベースの運用・保守
稼働中のデータベースが安定して動作し続けるよう、日々の管理をおこないます。バックアップのスケジュール管理、パッチ適用、容量のモニタリングなどが主な業務です。
万が一システム障害が発生した際には、迅速にデータを復旧させなければなりません。データの損失は企業にとって致命的なダメージになるため、この工程には責任感と、正確なオペレーション能力が求められます。
パフォーマンスチューニング
システムの動作が重くなった際、原因を特定して高速化を図ることも仕事内容のひとつです。SQL文の書き換え、インデックスの見直し、メモリ割り当ての調整などをおこない、ミリ秒単位で処理速度を改善します。
この作業は、データベースの内部構造を深く理解しているエンジニアの「見せ場」でもあります。チューニングひとつでシステム全体の性能が向上することも珍しくなく、エンジニアとしての技術力がダイレクトに表れる領域です。
データエンジニア、他インフラ・バックエンド職との違い
データベースエンジニアと混同されやすいのが「データエンジニア」です。
データエンジニアは、主に「分析」に特化した基盤(データレイクやDWH)の構築や、データの加工(ETL処理)を担当します。一方、データベースエンジニアは「システムの安定稼働」を目的とした管理に重きを置く傾向があります。
また、インフラエンジニアはサーバーやネットワーク全般を広く扱いますが、データベースエンジニアはその中の「データ層」に特化した深い専門性を持ちます。バックエンドエンジニアがアプリのロジックを書くのに対し、彼らが使いやすいデータの受け皿を用意するのが、データベースエンジニアの仕事です。
データベースエンジニアは「きつい」「やめとけ」と言われる理由
データベースエンジニアは専門性が高く魅力的な職種ですが、ネット上で「きつい」「やめとけ」といわれることもあります。その背景には、この職種特有のプレッシャーがあります。
理由1:ミスが許されない責任の重さ
データは企業の資産そのものです。万が一、操作ミスでデータを削除したり、セキュリティ設定の不備で漏洩させた場合、その損害は計り知れません。
常に「失敗できない」という緊張感の中で作業することが、精神的な負担を感じる理由のひとつです。
理由2:休日・深夜の障害対応
データベースは24時間365日稼働しています。そのため、深夜に障害が発生した際のアラート対応や、利用者が少ない夜間・休日におこなうメンテナンス作業が発生する可能性もあります。
ワークライフバランスを重視したい人にとっては、この不規則さがデメリットかもしれません。
理由3:技術習得の難易度が高い
データベースの理論は数学的で抽象度が高く、習得には時間がかかります。さらに、クラウド化やNoSQLの普及など、技術のアップデートも激しいため、常に最新情報をキャッチアップし続ける学習意欲が欠かせません。
結論:きついけれど、市場価値が高いことがメリット
データベースエンジニアの仕事はプレッシャーがありますが、それゆえに「誰にでもできる仕事」ではありません。高度な専門性を持つデータベースエンジニアは、どの企業からも重宝される「希少な人材」にであるため、年収水準も高くなりやすいのがメリットです。
データベースエンジニアに向いてる人・向いていない人
データベースエンジニアは、向き不向きがハッキリとした職業です。
自分の資質と照らし合わせてみましょう。
向いている人の特徴
「パズルを解くように論理的に考えるのが好きな人」や、「コツコツと細かな設定を確認できる慎重派の人」には適性があります。
また、トラブル時に慌てず、ログから原因を冷静に特定できる論理的思考力も重要です。
大規模なデータを効率よく整理することが楽しい人にも向いているでしょう。
向いていない人の特徴
「大雑把な性格で、確認作業を疎かにしがちな人」は、重大な事故を招く可能性があるため不向きです。
また、技術の深掘りよりも「目に見える派手な画面をつくりたい」という人は、バックエンドやフロントエンドエンジニアの方が満足度が高いかもしれません。
データベースエンジニアに求められるスキル
実務で評価されるためには、以下の3つのスキルセットが重要です。
【必須】SQL・RDBMSの知識
SQLはデータベースを操作するための標準的な言語です。単に書けるだけでなく、実行計画を読み解き、効率的なクエリを書く能力が求められます。
また、Oracle、MySQL、PostgreSQLといった主要なRDBMSの特性を理解していることも必須条件です。
【必須】クラウド・分散処理の理解
2026年現在、オンプレミスのみで完結する案件は減っています。
AWSのAuroraやGoogle CloudのSpannerといったクラウド固有のDBサービスの知識、および大量のデータを複数のサーバーで処理する分散処理の理解は、転職市場で強く求められます。
【推奨】パフォーマンス最適化スキル
前述のふたつはチューニングのための能力です。
それとは別に、スロークエリの原因特定や、実行統計の分析スキルがあれば、シニアエンジニアとして高単価な案件を狙うことが可能です。
データベースエンジニアに求められる資格
必須ではありませんが、以下の資格は客観的なスキルの証明として有効です。
| 資格名 | 難易度 | 特徴 |
|---|---|---|
| データベーススペシャリスト試験 | 高 | IPA主催の国家資格。論理設計の深い知識を証明できる |
| ORACLE MASTER | 中〜高 | 世界シェアの高いOracle Databaseの認定資格。実務評価が高い |
| OSS-DB技術者認定試験 | 中 | PostgreSQLを中心としたオープンソースDBの知識を証明 |
| AWS認定データベース | 中 | クラウド上でのDB設計・管理能力を証明するベンダー資格 |
データベースエンジニアの年収相場
データベースエンジニアは専門職であるため、ITエンジニアの中でも比較的高水準です。
平均年収と経験別の目安
平均年種と経験別の給与の目安は、以下の通りです。
- 実務未経験〜2年程度:400万〜550万円
- 実務3〜5年程度:550万〜800万円
- 実務5年以上/スペシャリスト:800万〜1,200万円
設計やパフォーマンスチューニングまで担えるようになると、年収1,000万円を超えるケースも多く見られます。
MyVision編集部で仮の条件で年収をシミュレーションしてみると、30歳のリーダー候補(設計経験あり)は、約750万円で、40歳のスペシャリスト(クラウド移行・最適化担当)の場合は、約1,050万円あたりの年収が想定できました。
リーダー候補の場合は扱える製品数や実務でのトラブル対応経験が、スペシャリストの場合はアーキテクチャ全体の選定能力などが影響する可能性があるからです。
自身の経験を正しく評価してくれる企業選びが重要です。
企業規模による違い
メガベンチャーや大手SIerでは、扱うデータ量が膨大になるため、高いスキルが求められる分、報酬も高額です。
一方、中小規模の企業ではインフラエンジニアが兼務することも多いため、DB専任として高年収を狙うなら、ある程度の規模以上の企業を目指すのが定石です。
一般公開されている情報だけでは、年収が転職の決め手となるかもしれません。しかし、MyVision編集部が重視するポイントはそこではありません。
- 扱うデータの規模感
- モダンなクラウド環境(Snowflake等)への投資意欲
- DBエンジニアの裁量権の指標
上記が大切だと考えます。
このポイントを間違えてしまうと、転職後にキャリアが停滞してしまうケースもあります。実際に『レガシーな環境で保守ばかりになり、スキルが錆びついてしまった』といった例もあるので、その企業でどんな挑戦ができるかは確認しておきましょう。
データベースエンジニアの将来性
「データベースエンジニアはいすれなくなる」という声もありますが、事実は異なります。
クラウド時代でもなくならない理由
マネージドサービス(自動運用)の普及により、単純なインストール作業は減りました。しかし、「どのサービスを選び、どう設計すればコストと性能を両立できるか」という高度な判断はAIや自動化ツールでは代替できません。
むしろ、クラウド化によってデータ管理の難易度が上がったことで、専門家の需要は高まっています。
AI・ビッグデータ分野との関係
AIブームにより、学習用データの質が問われています。
データをきれいに整理(クレンジング)し、AIが読み込みやすい基盤をつくるデータベースエンジニアの技術は、AI時代のインフラを支えるコアスキルとして再定義されています。
データベースエンジニアは未経験から目指せる?
未経験からデータベースエンジニアを目指す場合、難易度は高いですが、戦略次第では可能であるといえます。
未経験の難易度
いきなり「データベースエンジニア」として採用されるケースは稀です。まずは開発エンジニアやインフラ運用として現場に入り、SQLやDB管理のタスクを積極的に引き受けることで実績をつくるのが一般的です。
未経験からデーターベースエンジニアを目指す際のロードマップ
未経験からデータベースエンジニアを目指す際のロードマップは、以下の通りです。
- 基本情報の取得: ITの基礎知識を固める
- SQLのマスター: Progate等で基本を学び、複雑な結合や集約をスラスラ書けるようにする
- OSS-DB資格の取得: PostgreSQLなどで実機操作を学ぶ
- クラウドの学習: AWSなどの無料枠で実際にDBを立ててみる
- 実務でのアピール: 現職でDB関連の業務に手を挙げ、実績をレジュメに書く
データベースエンジニアへの転職ならテックゴーへ
データベースエンジニアへの転職は、その専門性ゆえに「求人票に書かれていない実態」を見極めるのが困難です。
- その会社で扱うデータ量はどの程度か?
- 運用保守ばかりでなく、設計・構築に携われるか?
- 最新のクラウド技術を導入する予定はあるか?
テックゴーでは、エンジニア出身のアドバイザーが企業の内部情報を精査し、あなたのキャリアを最大化できる環境をご提案します。
まとめ
データベースエンジニアは、AIやビッグデータがビジネスの根幹となった現代において、情報の「器」を支える市場価値の高い職種です。
未経験から目指すのは決して簡単ではありません。しかし、SQLの習得や資格取得といったステップを踏むことで、異業種からでも着実にキャリアを築けるでしょう。
まずはSQLを触ってみる、あるいはITの基礎知識を整理することからはじめてみてください。
データベースエンジニアに関するよくある質問
こちらでは、データベースエンジニアに関するよくある質問にお答えします。
データエンジニアの仕事はなくなるは本当?
いいえ、なくなりません。
むしろデータの重要性が増す中で、役割が「保守」から「データの戦略的活用」へとシフトし、需要はより高まっています。ただし、従来型の「インストールするだけ」のエンジニアの価値は下がっているため、クラウドや分析スキルへのアップデートが必須です。
データベースエンジニアとデータアナリストはどちらが将来性がありますか?
どちらも将来性はありますが、役割が異なります。
データベースエンジニアは「データ基盤の安定性・性能・設計」を担うインフラ寄りの専門職です。一方、データアナリストは「データの解釈・可視化・示唆出し」を中心とするビジネス寄りの職種です。
AIやビッグデータ活用が進むほど、質の高いデータ基盤が不可欠になるため、データベースエンジニアの専門性は今後も一定の価値を保つと考えられます。
最終的には「インフラを極めたいか」「分析や意思決定支援に関わりたいか」という志向で選ぶのが現実的です。
データベースエンジニアはフリーランスとして独立できますか?
可能です。
特に以下のスキルを持つ場合、フリーランス市場でも高単価案件を獲得しやすい傾向があります。
- クラウドDB設計(AWS / Azure / GCP)
- 大規模データのパフォーマンスチューニング
- データ基盤移行プロジェクト経験
- SnowflakeやBigQueryなどのDWH設計
ただし、未経験や運用保守のみの経験では独立は難しいのが実情です。まずは企業で設計・構築フェーズまで経験し、「自分がいなくても回る」レベルではなく「自分がいないと困る」専門性を築くことが重要です。


