SESを辞めたい人向けに、辞める手順と注意点、キャリアパスを解説
2025年10月23日更新
SESとして働いていると、将来のキャリアに不安を感じる場面もあるでしょう。
常駐先が頻繁に変わる勤務環境や専門スキルを深めにくい業務内容、思うように上がらない年収といった悩みを抱えて、仕事へのモチベーションを保てなくなる方も少なくないはずです。
ただし、感情のままにSESの退職を決めてしまうと、思わぬ後悔につながることもあります。
本記事では、SESを辞めたいと感じる主な理由から、退職までの具体的な手順や注意点に加え、退職後のキャリアパスについてもわかりやすく解説します。SESからの転職を検討している方や次のステップを慎重に考えたいという方は、ぜひ参考にしてください。
著者

蓬田 和己
Yomogita Kazuki
早稲田大学卒業後、レバレジーズ株式会社に入社。キャリアアドバイザーとして開発、データ職種のエンジニアの方の支援に従事。歴代最速で事業部内単月支援者数、売上1位を獲得し、組織目標の達成に大きく貢献。社内での異動、キャリアアップ、転職もどれが良いのか単純には決められないので、お客様にとって最善の選択肢を一緒に考えていきたいという思いから、MyVisionに参画。
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監修者

山口 翔平
Yamaguchi Shohei
株式会社MyVision代表取締役
早稲田大学を卒業後、JTB、オリックス生命を経てコンサルティング転職に特化した人材紹介会社へ入社。 長年のエージェント経験を基に、より多くの求職者様に対して質の高い転職支援サービスを提供するため、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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「SESを辞めたい」と経験者が思う理由
SESとして働いているエンジニアの中には、「スキルが伸びない」「将来が見えない」といった悩みを抱える方も少なくありません。
実際に、SESを辞めたいと考える主な理由には次のようなものがあります。
「SESを辞めたい」と経験者が思う理由
- 特定領域の専門性が身につかない
- 年収が低い上に、昇給が見込めない
- 客先常駐が多く、自社からのサポートや教育を受けづらい
- クライアントごとに職場環境が変わる
- エンドユーザーが見えず、仕事のやりがいを感じづらい
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
特定領域の専門性が身につかない
SESでは、プロジェクトごとに常駐先や担当業務が頻繁に変わるため、幅広い業務に携われる一方で、特定の分野を深く極めにくいという課題があります。担当工程が限られてしまうケースも多く、開発の全体像を把握しづらいまま案件が終わることも少なくありません。
その結果、自分の強みやキャリアの方向性が明確にならず、将来に不安を感じる方も多く見られます。 長期的な成長を見据えて、専門領域を磨ける環境や、より上流の工程に携われるポジションを求めて転職を考える方が増えています。
年収が低い上に、昇給が見込めない
SESでは、契約単価に応じて報酬が決まることが多く、企業が受け取る金額に対してエンジニアへの還元率の低いケースが多くみられます。特に、多重下請け構造の下位に位置する企業では、仲介企業がマージンを差し引くため、現場で活躍する方たちの収入に反映されにくい傾向があります。
さらに、SESでは下流工程を中心に担当することが多く、上流工程や設計などの高付加価値業務に携わる機会が限られる点も、昇給しづらい要因のひとつです。その結果、努力しても給与が上がらず、キャリアアップを実感できずに悩んでいる方も少なくありません。
客先常駐が多く、自社からのサポートや教育を受けづらい
SESでは、多くの場合クライアント先に常駐して働くため、自社とのつながりを感じにくいという課題があります。常に外部の職場環境で業務を行うことで、上司や同僚との交流が減り、相談やフィードバックを受けにくくなるケースも少なくありません。
また、教育制度や研修の機会が整っていない企業では、十分な教育を受けないまま現場任せで働くことも多く、スキルアップを実感しづらい点も大きな問題です。こうした状況から、孤立感や将来への不安を抱き、転職を検討する方が増える傾向にあります。
クライアントごとに職場環境が変わる
SESでは、案件ごとに常駐先が変わるため、働く環境や人間関係がその都度リセットされるのが一般的です。クライアント企業によって勤務ルールや使用するツール、職場の雰囲気も大きく異なるため、常に新しい環境に適応しなければなりません。
環境の変化を前向きに楽しめる方には大きなメリットがある一方で、頻繁な異動がストレスとなりやすい方にとっては、大きな負担となる場合もあります。
さらに、職場が変わるたびにキャリアの一貫性を感じにくくなる点も、転職を考える理由の一つといえるでしょう。
エンドユーザーが見えず、仕事のやりがいを感じづらい
SESでは、クライアント企業の一員として開発や運用を担当するため、実際にサービスを利用するエンドユーザーと直接関わる機会がほとんどありません。自分の成果がどのように使われているのか、利用者にどんな価値を届けているのかを実感しにくい点が大きな課題です。
その結果、仕事に対する達成感ややりがいを感じにくく、モチベーションを維持しづらいと感じる方も多いでしょう。「自分の仕事がユーザーに貢献していると実感したい」という思いから、より上流工程や自社サービスに携われる環境への転職を考えるケースも少なくありません。
「SESを辞めて良かった」とかんじるタイミング
実際に、SESを辞めて良かったと感じる瞬間として、次のような声が多く挙げられています。
「SESを辞めて良かった」とかんじるタイミング
- 年収が上がった
- 一つの職場で長く働ける安心感
- 特定の領域に集中して仕事ができる
- 仕事にやりがいを感じられる
ここでは、SESから転職して良かったと感じる具体的な理由を詳しくみていきましょう。
年収が上がった
実際にSESから転職して、「年収が上がった」と実感する方は多く存在します。
SESでは契約単価が固定されているケースが多く、経験を積んでも給与に反映されにくい点が大きな課題です。
しかし、自社開発企業やSIerなどに転職すると、成果やスキルに応じて評価される仕組みが整っているため、年収アップにつながりやすくなります。また、上流工程やマネジメントに携わることで報酬の幅が広がり、努力が正当に報われるようになったと感じる方も少なくありません。
一つの職場で長く働ける安心感
SESでは、契約期間の終了やクライアントの都合により常駐先が変わることも多く、職場環境が安定しづらいと感じる方も少なくありません。しかし、自社開発企業や社内SEなどに転職すると、同じチームで長期的に働ける安心感を得やすくなります。
同じ環境で業務にあたることで人間関係を築きやすくなり、腰を据えて業務に取り組めるようになるのも大きな魅力です。精神的なゆとりが生まれ、スキルアップやキャリア形成にも積極的に取り組めるようになったという声も多く聞かれます。
特定の領域に集中して仕事ができる
SESから転職して良かったと感じる理由のひとつに、「特定の領域に集中できるようになった」という点が挙げられます。SESでは案件ごとに担当工程や使用技術が変わるため、幅広い経験を積める一方で、専門性を深めにくいという課題がありました。
一方、自社開発企業やSIerに転職すると、特定のサービスやプロジェクトに継続的に携われるため、同じ分野の知識やスキルを着実に磨ける点が大きなメリットです。得意分野を軸にキャリアを築けるようになると、仕事へのモチベーションや成長意欲も自然と高まり、専門性を活かした長期的なキャリア形成につながるでしょう。
仕事にやりがいを感じられる
SESから転職して「仕事にやりがいを感じられるようになった」と語る方は多く存在します。
特に、自社開発企業や社内SEでは、企画から運用まで一貫して携われることが多く、自分の仕事がどのようにユーザーへ価値を届けているのかを実感しやすくなります。
成果がダイレクトにフィードバックされる環境に身を置くことで、達成感や責任感を持って取り組めるのも大きな魅力です。自分の手がけたシステムが社会や顧客の役に立っていると感じられると、仕事へのモチベーションや成長意欲がより一層高まるでしょう。
SESを辞めるときの手順
SESを辞めると決断したら、まずは冷静に準備を進めることが大切です。
勢いのままに退職希望を出してしまうと、契約や引き継ぎのトラブルに発展する恐れもあります。手順をよく理解しておくことで、スムーズに次のステップへ進めるでしょう。
SESを辞める際の基本的な流れは、次のとおりです。
SESを辞めるときの手順
- 労働規則・雇用条件を確認する
- 辞める理由を整理した上で、転職活動を進める
- 転職先が決まり次第、上司に退職意向を伝える
- 引き継ぎなどを行い、退職手続きを進める
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
労働規則・雇用条件を確認する
退職を決意したら、まずは自社の「労働規則」と「雇用契約書」の内容を確認しましょう。
SESの場合、常駐先との契約期間や業務委託の取り決めによって、退職のタイミングや手続きが制限されていることがあります。
たとえば、「契約満了の30日前までに申し出ること」といったルールが定められているケースも珍しくありません。これらの条件を確認せずに退職手続きを進めようとすると、契約違反とみなされてトラブルや損害賠償のリスクを招く恐れがあります。
スムーズかつ円満な退職につなげるためにも、まずは契約条件を正確に把握し、余裕を持ったスケジュールで行動していきましょう。
辞める理由を整理した上で、転職活動を進める
退職を決める前に、まずは退職したい理由を明確に整理しておくことが大切です。感情のままに動いてしまうと、転職後に同じ悩みを繰り返してしまう恐れがあります。
退職理由を整理することで、現職に対する不満点や次の職場に求める条件を客観的に把握でき、転職先を選ぶ際の判断軸が明確になります。
たとえば「専門性を磨ける環境で働きたい」「長期的に安定した職場で成長したい」といった具体的な目的を設定して、納得した状態で次のキャリアを選んでいきましょう。
転職先が決まり次第、上司に退職意向を伝える
転職先が決まったら、できるだけ早いタイミングで直属の上司へ退職の意向を伝えてください。
報告の際は感情的にならずに、これまでの経験に対する感謝を伝えたうえで、前向きな理由を添えることが大切です。たとえば「今後は特定分野のスキルをより深めたい」「長期的にキャリアを築ける環境で挑戦したい」といった成長志向を示すと、円満に話を進めやすくなるでしょう。
最終日まで気持ちよく業務を終えられ、良好な関係のまま次のステップへ進められるでしょう。
引き継ぎなどを行い、退職手続きを進める
退職が正式に受理されたら、最後まで責任を持って引き継ぎを行いましょう。
担当していた業務内容や進行中のタスク、トラブル対応の経緯などを整理し、後任者がスムーズに作業を引き継ぐようにしてください。引き継ぎが不十分なまま退職してしまうと、チームやクライアントに多大な迷惑をかけてしまうだけでなく、これまで築いた信頼を損なう恐れもあります。
また、退職届の提出や会社支給物の返却、有給休暇の消化など、社内の退職手続きも忘れずに確認しましょう。
SESを辞めるならいつ?
SESを辞めたいと思っても、「どのタイミングで退職するのがベストなのか」と悩む方も多いでしょう。状況によって最適な時期は異なりますが、無理をせず、自分と周囲の両方にとって負担の少ない形で退職できるよう計画を立てることが大切です。
一般的に、SESを辞めるタイミングとしては次のようなケースが挙げられます。
SESをやめるベストタイミング
- 担当案件が終了する時
- 企業間の契約が切れる時
- どうしても精神的・体力的に限界を感じた時
それぞれのタイミングについて詳しくみていきましょう。
担当案件が終了する時
SESエンジニアにとって、もっとも自然な辞め時の一つに、担当しているプロジェクトが終了するタイミングが挙げられます。
フェーズ完了、納品・検収完了といったプロジェクトの一区切りは、業務の整理がしやすく、引き継ぎもスムーズに進められるため、現場やクライアントに与える影響を最小限に抑えながら退職しやすい点が大きなメリットです。
また、この時期は次の案件切り替えや契約更新のタイミングであることが多く、会社側との調整も比較的しやすいタイミングでもあります。ただし、終了のタイミングを逃すと、案件の途中で辞めざるを得なくなり、引き継ぎが不十分になるリスクもあります。プロジェクトの完了時期が近づいたら、早めに上司へ相談し、退職の準備を計画的に進めましょう。
企業間の契約が切れる時
SES契約では、派遣元企業とクライアント企業の間に「契約期間」が定められています。契約が終了するタイミングは、エンジニアにとって自然な退職のタイミングです。契約更新を行わない、または契約満了が決まっている場合は、無理なく手続きを進めやすく、トラブルのリスクも抑えられるでしょう。
ただし、契約書には「中途解約のペナルティ」や「満了⚪︎日前の通知義務」などの条項が含まれていることが多く、確認を怠ると損害賠償などのトラブルに発展する恐れもあります。
特に、業務の成果ではなく作業時間に対して報酬が支払われる「準委任契約」を締結している場合は、相手先に不利益を与える形で中途解除すると法的責任を問われるケースも考えられます。契約終了の時期を見逃さず、次の職場の入社スケジュールを逆算して行動しましょう。
どうしても精神的・体力的に限界を感じた時
長時間労働や頻繁な異動、人間関係のストレスなどが重なってしまうと、心身のバランスを崩してしまう方も少なくありません。疲労や不安が蓄積すると、集中力の低下や睡眠障害などが起こり、仕事への意欲が低下するケースもあるでしょう。
このような状態では、まず健康と生活の安定を優先することが何よりも大切です。無理を重ねてしまうと、回復に時間がかかり、キャリア形成にも長期的な悪影響を及ぼしかねません。
もし「もう限界かもしれない」と感じたら、無理をせずに退職を視野に入れることも選択肢の一つです。ただし、急な離職は経済的にも、キャリア面においても大きなリスクを伴います。可能な範囲で備えを整えてから行動を起こすようにしましょう。
SESを辞める時の注意点
SESを辞めると決断したあとは、できる限り円満に退職できるよう注意を払うことが大切です。
トラブルを避けてスムーズに次のキャリアへ進むためにも、次のポイントを意識して行動してください。
SESを辞める時の注意点
- 退職意向は直属の上司に最初に報告する
- どんなに遅くても1ヶ月前には退職意向を伝える
- 業務の引き継ぎをしっかり行い、バックレをしない
- 次にいく会社の目処が立ってから退職報告をする
- 有給休暇は計画的に消化しておく
それぞれの注意点を詳しくみていきましょう。
退職意向は直属の上司に最初に報告する
退職を決意したら、まずは直属の上司に最初に伝えるのが原則です。
同僚や先輩など、上司以外の方に先に相談してしまうと、情報が意図せず広まってしまい、上司の信頼を損ねたり、職場に混乱を招いたりする恐れがあるためです。
退職の意思を伝える際は、単に「退職を希望する」旨を伝えるのではなく、これまでの経験への感謝を添えてください。また、事前に時間を設けてもらうと、落ち着いた雰囲気で話を進めやすくなるでしょう。
どんなに遅くても1ヶ月前には退職意向を伝える
退職の意向は、できるだけ早めに伝えるのが理想ですが、目安として「遅くとも1ヶ月前」までには申し出るようにしましょう。多くの企業では、後任者の選定や引き継ぎの準備に時間がかかるため、1ヶ月前の申告を就業規則で定めているケースが一般的です。
一方で、民法第627条では「期間に定めのない雇用契約の場合は2週間前までに退職の意思を示せば退職できる」と定められています。法律上では2週間前の申告でも退職できますが、現場への影響や信頼関係を考慮すると、最低でも1ヶ月前までに伝えておくのが良いでしょう。
また、上司から引き止めや退職時期の引き延ばしを求められる場合もありますが、誠実に引き継ぎ計画を提示し、冷静かつ建設的に話し合う姿勢を示すことが重要です。退職はあくまで次のステップへの前向きな決断として、丁寧な対応を心がけましょう。
参照:厚生労働省「退職の申出は2週間前までに」 参照:e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」
業務の引き継ぎをしっかり行い、バックレをしない
退職を決めたら、最後まで責任を持って引き継ぎをしましょう。
途中で業務を放棄してしまうと、現場やクライアント、自社に迷惑をかけるだけでなく、後任者にも大きな負担がかかります。
引き継ぎの準備をする際のポイントは、次のとおりです。
引き継ぎの準備をする際のポイント
- 担当業務の一覧・進捗をまとめて文書化する
- 関係者や取引先、重要な連絡先の情報を整理・共有する
- 使用ツールや操作手順、設定方法などをマニュアル化する
- 後任者と一緒に実務を並行して行い、疑問点を潰す時間を確保する
引き継ぎをする際は、後任者と一緒に実務を行い、疑問点をその場で解消しておくとスムーズです。法律上の義務はなくても、引き継ぎを怠るとトラブルの原因になりかねません。最後まで誠実に対応することで、良好な関係を保ったまま次のキャリアへ進めるでしょう。
次にいく会社の目処が立ってから退職報告をする
退職の意思を伝えるタイミングは、転職先の内定および入社日が確定してからにするのが望ましいです。
次の勤務先が決まっていない状態で退職の意思を伝えてしまうと、経済的な不安から焦って転職を進めてしまい、条件の合わない職場を選んでしまうリスクが高まります。また、早すぎるタイミングで伝えてしまうと、上司から引き止められたり、社内で居づらくなったりする恐れもあるでしょう。
そのため、転職先の内定または入社日が確定してから退職意向を伝えるのがおすすめです。特にSESのように契約関係が複雑な場合は、次の勤務先の契約内容や開始時期を整理したうえで退職意思を伝えるようにしましょう。
有給休暇は計画的に消化しておく
退職前には、有給休暇を可能な範囲で計画的に消化しておくことも大切です。
退職時に未消化の有給を買い取る制度のない企業も多く、有給が未消化のまま退職してしまうと、せっかくの権利を無駄にしてしまいます。
ただし、プロジェクトの進行状況や引き継ぎとの兼ね合いもあるため、早目のタイミングで上司や現場担当者と休暇スケジュールを調整しておくことが大切です。チームへの影響を最小限に抑えながら計画的に取得すれば、気持ちよく最終日を迎えられるでしょう。
SESを辞めた後のおすすめキャリアパス
SESから転職した人が選ぶ代表的なキャリアパスには、次のようなものがあります。
SESを辞めた後のおすすめキャリアパス
- 自社開発企業
- SIer
- 社内SE
- 別のSES
- フリーランス
それぞれのキャリアパスについて詳しくみていきましょう。
自社開発企業
自社開発企業とは、自社で企画・設計・開発・運用までを一貫して行う企業のことです。代表的な業界は、ITサービス・Webアプリ・SaaS・ゲームなどが挙げられます。自社製品を継続的に改善していくため、エンジニアは長期的な視点で開発に携われるのが特徴です。
SESからの転職先として人気が高く、次のような魅力があります。
自社開発企業へ転職するメリット
- 企画から運用まで携われるため、サービス全体の流れを把握できる
- 特定分野の専門性を深められる
- 自分の成果がユーザーの反応として見える
ただし、次のような注意点もあります。
自社開発企業へ転職するデメリット
- 事業の成長や経営方針に業務が左右されやすい
- 開発以外の幅広い業務を担うケースもある
自社開発企業への転職を目指すなら、関心のあるプロダクト分野や技術スタックを明確に言語化しておくことが大切です。また、ポートフォリオや開発経験をアピールできる準備もしておきましょう。
SIer
SIer(System Integrator:システムインテグレーター)とは、クライアント企業の要望に応じて、システムの設計・開発・導入・保守までを請け負う企業のことです。
SESとは異なり、受託契約として案件全体をまとめて担当するケースが多く、官公庁や大手企業を相手にするプロジェクトも多数あります。
SIerへ転職する代表的なメリットは、次のとおりです。
SIerへ転職する代表的なメリット
- 大規模案件が中心で、安定して受注できる
- 上流工程に携われる
- 幅広い業界知識を得られる
- キャリアの選択肢が増える
ただし、次のようなデメリットも考慮しなければなりません。
SIerへ転職する代表的なデメリット
- 最新技術へのキャッチアップが難しく、スキルアップしづらい
- 納期が厳しい
- プロジェクト規模・下請け構造次第で裁量が限定される
このように、SIerは、大規模案件で上流工程を経験しながら、マネジメント力や業界知識を着実に積み上げられる環境が整っており、長期的なキャリア基盤を築きやすいのが特徴です。安定性とキャリア形成の両面を重視する方にとって、SIerはSESからの次のステップとして非常に有力な選択肢といえるでしょう。
社内SE
社内SEは、自社内のシステム企画・運用・改善を担う職種です。クライアント常駐が基本のSESと異なり、自社オフィス勤務が中心で、勤務環境や担当領域が安定しやすいとされています。
社内SEに転職する主なメリットは、次のとおりです。
社内SEに転職するメリット
- 勤務地が安定している
- 利用者の声が直接届きやすい
- 業務システムの理解が深まる
- 納期や残業をコントロールしやすい
一方で、次のようなデメリットも考えられます。
社内SEに転職するデメリット
- 技術が古くなりやすい
- 業務範囲が広い
- 昇給が限定的なケースも多い
安定した環境で腰を据えて働きつつ、業務改善やDX推進などに携わりたい方にとって、+社内SEは非常に魅力的なキャリアパス*といえるでしょう。
別のSES
同じSES業界に転職するということは、一見環境が変わらないと思われがちです。しかし、実際には条件を見極めて移ることで、環境改善やキャリアアップにつながるケースも多くあります。
SESが別のSES企業に転職するメリットは、次のとおりです。
別のSES企業へ転職するメリット
- これまでの経験がそのまま評価されやすい
- 上流工程や高単価案件に関われる可能性がある
- 待遇や評価制度の改善が期待できる
一方で、次のようなデメリットも挙げられます。
別のSES企業へ転職するデメリット
- これまでの企業と同じような課題や問題を抱えている恐れがある
- 転職理由を明確に提示する必要がある
見極めを誤ると、前職と変わらない、もしくはより悪い環境に移ってしまうリスクもあります。そのため、商流や契約形態、還元率、案件選定の仕組みなどを具体的に確認し、自分のキャリアプランに合うSES企業を選ぶようにしましょう。
フリーランス
SESでの経験を活かし、フリーランスエンジニアとして独立する選択もあります。自由度の高さや収入アップの可能性が大きな魅力である一方で、安定性や保証がなくなるため、リスクを理解した上で慎重に判断する必要があります。
フリーランスになるメリットとデメリットは、次のとおりです。
フリーランスとして活動するメリット
- 大幅に収入アップする可能性がある
- 担当する案件を自由に選べる
- 働く場所・時間の自由度が高い
フリーランスとして活動するデメリット
- 案件が途切れると収入がゼロになる恐れがある
- 営業・契約交渉を一人で行わなければならない
- 事務・税務処理の負担が増える
フリーランスとして活躍するには、高い自己管理能力と、一定水準の技術力・実績が欠かせません。
独立前に副業や業務委託案件で実績や人脈を築いておくことで、安定して仕事を受けやすくなるでしょう。万が一の収入減に備えて生活費6か月分ほどの貯金を確保しておくのもおすすめです。
万が一税務や契約面に不安がある場合は、専門家やフリーランス向けエージェントの活用も検討しましょう。
SESからの転職を成功させるためのポイント
SESをただなんとなく辞めるだけでは、結局また同じ悩みにぶつかる恐れがあります。SESから別の働き方に踏み出す際は、自分の軸を明確にして行動することが大切です。
転職を成功させるために意識したいポイントは、次のとおりです。
SESからの転職を成功させるためのポイント
- 転職先に求めることやキャリアパスを整理する
- 自身のスキルと経験の棚卸しをする
- 足りないスキルや経験を資格などで補う
- 選考用の書類や志望動機などを作り込む
- 実践を想定した面接対策をする
- IT業界に強い転職エージェントを利用する
それぞれのポイントを詳しくみていきましょう。
転職先に求めることやキャリアパスを整理する
転職活動を始める前に、自分がどのような働き方を望んでいて、どのようなキャリアを築いていきたいのかを明確にしておくことが大切です。目的がはっきりしないまま転職活動を進めてしまうと、入社後に環境のギャップを感じて後悔するケースも少なくありません。
「技術を極めたい」「マネジメントに挑戦したい」「ワークライフバランスを重視したい」など、自分が優先したいポイントを整理することからはじめてみましょう。
そのうえで、希望に合う業界や職種をリストアップし、現職で培ったスキルをどう活かせるかを考えておくと、転職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
自身のスキルと経験の棚卸しをする
転職活動を始める際は、まず自分のスキルや経験を整理し、客観的に把握することからはじめましょう。
SES経験者の場合は、常駐先や案件によって業務内容が分散しやすいため、これまでの経験を整理しておくことが重要です。これまで関わってきたプロジェクトの内容や使用した技術、成果などを一つずつアウトプットすることで、自分の得意分野や強みが自然とみえてきます。
また、技術スキルだけでなく、顧客対応や課題解決、チームでの調整といった実務面の能力も大きな強みです。スキルの棚卸しを通じて、自分が現場で培ってきた力を整理し、次の職場でどのように活かせるかを明確にしておきましょう。
足りないスキルや経験を資格などで補う
転職活動の準備を進めるなかで、自分に足りないスキルや経験が浮き彫りになった場合は、資格取得や学習で補うことも検討しましょう。資格はスキルを客観的に証明できる手段であり、特に実務経験が浅い段階では効果的なアピール材料になります。
ただし、資格はあくまで学びや経験を補うものであり、取得することが目的ではありません。資格で得た知識を現場でどう活かせるかを意識し、実務経験と組み合わせて伝えられるように準備しておくと、選考での評価につながるでしょう。
選考用の書類や志望動機などを作り込む
転職活動を成功させるためには、まず書類選考を突破することが第一のステップです。そのためには、履歴書や職務経歴書、志望動機といった書類を丁寧に作り込み、自分の強みや魅力を採用担当者にわかりやすく伝える必要があります。
職務経歴書では、担当業務を箇条書きで並べるだけでなく、「課題・取り組み・成果」の一連の流れで記載しましょう。数字や成果指標を併せて記載すると、説得力と具体性が高まります。
志望動機では、企業の特徴や事業内容を踏まえたうえで、自分の経験をどう活かし、どんな価値を提供できるかを明確に示すことが大切です。
さらに、退職理由を前向きな言葉に言い換えて成長意欲を具体的に示すことで、採用担当者に好印象を与えられます。たとえば「現職では経験できない領域に挑戦したい」や「より専門性を高めて貢献できる環境で働きたい」などと表現すると、主体的かつ前向きな姿勢を伝えられるでしょう。
実践を想定した面接対策をする
書類選考を通過しても、面接で自分の強みをうまく伝えられなければ内定にはつながりません。
面接では、転職理由やこれまでの経験、入社後にどのように貢献できるかといった点を通して、あなたの価値観や将来性をアピールすることが大切です。
よくある質問を想定して回答を整理し、具体的なエピソードを交えて話せるようにしておくとスムーズに対応できます。特にSES出身者は、「どのような課題に取り組み、どのような成果を上げたのか」、そして「チーム内でどのように貢献したか」を具体的に伝えるとより説得力が増すでしょう。
また、企業のビジョンや事業内容を理解したうえで、自分のスキルやキャリアがどのように活かせるかを説明できるようにしておくことも重要です。入社後の成長や貢献のイメージを具体的に伝えられると、面接官に前向きで主体的な印象を与えられます。
また、模擬面接やキャリアアドバイザーとの練習を通じて、面接で伝える内容だけでなく表情や話し方、姿勢などもチェックしておくのもおすすめです。実践を意識した準備を重ねることで、本番でも落ち着いて自分らしさを発揮できるでしょう。
IT業界に強い転職エージェントを利用する
SESからの転職を成功させるには、IT業界に特化した「転職エージェント」を活用するのがおすすめです。エンジニア職は専門性が高く、企業によって求められるスキルや業務範囲が異なるため、自分だけで最適な求人を見つけるのは簡単なことではありません。
IT業界に強いエージェントであれば、最新の求人動向や企業文化、技術トレンドを踏まえて、あなたのスキルや志向に合った企業を紹介してくれます。さらに、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策、年収交渉などのサポートも受けられるため、効率的かつ戦略的に転職活動を進められるでしょう。
特にSES出身者の転職支援実績が豊富なエージェントなら、SES特有の課題や転職理由の伝え方、スキルの整理・アピール方法まで的確にアドバイスしてもらえる点も心強いでしょう。非公開求人や優良企業とのマッチング機会も広がるため、まずは複数のエージェントに相談し、自分に合うサポート体制を見極めることをおすすめします。
SESからの転職ならテックゴー
SESとして培った技術力やコミュニケーション力を活かして新たなステップへ進みたい方には、転職支援サービス「テックゴー」がおすすめです。
テックゴーは、IT業界・エンジニア転職に特化した転職支援サービスです。現場経験を持つキャリアアドバイザーが、あなたのスキル・志向・今後のキャリアパスを丁寧に分析し、最適な選択肢を提案します。
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テックゴーの強み
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まとめ
SESとして働くなかで、「スキルが伸びない」「将来のキャリアが見えない」と悩む方は少なくありません。しかし、感情の赴くままに辞めるのではなく、まずは退職したい理由を整理したうえで、自分のキャリアを冷静に見直すことが大切です。
本記事では、SESを辞めたいと感じる主な理由から、辞める際の手順・注意点、そしてその後のキャリアパスまでを解説しました。大切なのは、退職自体を目的にするのではなく、「自分が将来的にどのように働きたいのか」「どのようなキャリアアップを目指したいのか」を明確にすることです。
SESで培った技術力や課題解決力、現場対応力は、幅広い業界や職種でも活かせる貴重なスキルです。これまで積み重ねてきた経験をもとに、理想のキャリアへと進んでいきましょう。
SESからのキャリアアップを目指す際は、テックゴーの転職支援サービスを活用するのがおすすめです。
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