セキュリティエンジニアとは?これから目指す人のための基礎知識まとめ
2026年01月07日更新
近年、サイバー攻撃や情報漏洩のニュースが増えるなかで、企業にとって欠かせない存在となっているのが「セキュリティエンジニア」です。
セキュリティエンジニアとは、システムやネットワークを外部の攻撃や内部不正から守り、万が一トラブルが起きた際にも被害を最小限に抑えることを専門とする職種です。一方で、「具体的に何をする仕事なのか」「開発やインフラエンジニアと何が違うのか」「未経験から目指せるのか」といった疑問を持つ人も多いでしょう。
本記事では、セキュリティエンジニアの役割や仕事内容、必要なスキル、年収や将来性、キャリアパスまでを網羅的に解説します。IT業界でのキャリアを考えはじめた人や、次のステップとして専門性を高めたい人は、ぜひ参考にしてください。
著者

串田 聡太
Kushida Sota
明治大学卒業後、富士通株式会社にて、自社製品に加えSAPやSalesforce導入、DX提案などを経験。その後、パーソルキャリア株式会社にて、ITエンジニアの転職支援を担当。業界トップクラスの実績を有する。
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監修者

岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision代表取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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セキュリティエンジニアとは?役割と全体像
セキュリティエンジニアは、ITシステムを安全に運用し続けるための土台を支えるエンジニア職です。サイバー攻撃や情報漏洩のリスクが高まるなか、セキュリティ対策は企業にとって欠かせない前提条件です。
ここからは、セキュリティエンジニアの基本的な考え方や役割を整理しながら、他のエンジニア職との関係性や、企業・組織のなかでの立ち位置を詳しくみていきましょう。
セキュリティエンジニアの定義とミッション
セキュリティエンジニアとは、ITシステムやネットワークに潜むリスクを洗い出し、攻撃や事故が起きにくい状態をつくることを専門とするエンジニアです。単にトラブルを防ぐだけでなく、「万が一の事態でも事業を止めない」ことを見据えて対策を講じる点が大きな特徴です。
セキュリティエンジニアの主な役割は、以下のように整理できます。
セキュリティエンジニアの主な役割
- サイバー攻撃や不正アクセスからシステム・データを守る
- 脆弱性やリスクを事前に把握し、事故を未然に防ぐ
- インシデント発生時に迅速に対応し、被害を最小限に抑える
- セキュリティルールや体制を整え、組織全体の安全性を高める
これらの役割を通じて、セキュリティエンジニアは企業の情報資産や信頼を守る存在として重要な役割を担っています。システムを「作る・動かす」だけでなく、「安全に使い続けられる状態を保つ」ことが、この職種に求められるミッションといえるでしょう。
他エンジニア職種との違い
セキュリティエンジニアは、ITシステムを安心して利用できる状態を維持することを専門とする職種です。開発やインフラなど他のエンジニア職種と比べると、目指す目的や重視する視点が異なります。
ここでは、それぞれのエンジニア職が担う役割の違いを整理し、セキュリティエンジニアの特徴を確認していきましょう。
エンジニア職種の違い
| 開発エンジニア | インフラエンジニア | セキュリティエンジニア | |
|---|---|---|---|
| 主要な役割 | ソフトウェアやアプリを設計・開発 | サーバー・ネットワーク等の基盤構築・運用 | セキュリティ対策・運用・インシデント対応 |
| フォーカス領域 | プログラム・機能実装 | システム基盤全般 | 情報資産の保護 |
| 目的 | 新しいシステム・サービスの創出・改善 | 安定したシステム稼働の実現 | 攻撃から守り、被害を最小化すること |
開発エンジニアやインフラエンジニアが「どう作るか」「どのように安定して動かすか」を重視するのに対し、セキュリティエンジニアは「どこにリスクが潜んでいるか」「何が起きると危険か」という視点からシステムを捉えます。完成したシステムを前提に、弱点や想定外の使われ方がないかを確認し、必要に応じて改善策を検討するのが特徴です。
また、セキュリティエンジニアの業務は一人で完結するものではありません。開発やインフラの設計段階から関わり、関係者と連携しながら全体の安全性を高めていく場面が多くあります。そのため、個々の技術力だけでなく、システム全体を俯瞰してリスクを整理する視点も求められます。
このようにセキュリティエンジニアは、「作る・動かす」役割とは異なる立ち位置から、ITシステムを安全に支える存在といえるでしょう。
企業・組織におけるセキュリティエンジニアの立ち位置
セキュリティエンジニアは、企業の情報資産を守るという観点から、IT組織のなかでも重要な役割を担う職種です。単独で完結する仕事ではなく、経営層や他のエンジニアチームと連携しながら、企業全体の安全性を高めていきます。
企業・組織のなかでセキュリティエンジニアが活躍する主なポジションには、次のようなものがあります。
| 主なポジション | 内容 |
|---|---|
| 情報システム・IT部門 | 社内全体のIT環境やセキュリティ方針の設計・運用を担う部署で、他部署と調整しながら対策を進める部門 |
| SOC(セキュリティ運用センター) | リアルタイムでログやトラフィックを監視し、攻撃の兆候や不正アクセスを検知する専門チーム |
| CSIRT(インシデント対応チーム) | 実際にセキュリティ事故が発生したときに、影響範囲の特定や対応方針の策定、再発防止策の実行などをおこなうチーム |
これらの組織はいずれも、企業のセキュリティリスクを低く保ち、事業の継続性を確保するために欠かせません。セキュリティエンジニアは、監視や分析だけでなく、設計やルール策定、教育といった幅広い活動を通じて、組織全体の安全なIT運用を支える存在です。
セキュリティエンジニアの仕事内容
セキュリティエンジニアの仕事は、ひと言で表せるほどシンプルではなく、扱う領域や関わるフェーズは多岐にわたります。
セキュリティエンジニアが日常的に関わる代表的な業務内容は、次のとおりです。
セキュリティエンジニアの仕事内容
- 脆弱性診断・ペネトレーションテスト
- インシデント対応
- セキュリティ設計・ルール策定
- ログ監視やSOC・CSIRT業務
- 社内教育・セキュリティ意識向上の取り組み
ここからはセキュリティエンジニアの業務の全体像を把握し、それぞれの役割をイメージしていきましょう。
脆弱性診断・ペネトレーションテスト
脆弱性診断・ペネトレーションテストは、システムやネットワークに潜む弱点を見つけ出し、攻撃を受ける前に対策を講じるための重要な業務です。
脆弱性診断では、ツールや手動によって既知の脆弱性を網羅的に洗い出し、リスクのある箇所を特定します。一方、ペネトレーションテストでは、攻撃者の視点で実際に侵入を試み、どこまで影響が及ぶかを検証するのが特徴です。これらを通じて、システムの安全性を客観的に評価し、改善につなげていきます。
インシデント対応
インシデント対応とは、不正アクセスや情報漏洩などのセキュリティ事故が発生した際に、被害の拡大を防ぎ、早期復旧を図るための業務です。
具体的には、次のような対応を段階的におこなっていきます。
インシデント対応の流れ
- 異常の検知・状況把握
- 影響範囲の特定
- 原因調査
- 暫定対応の実施
あわせて、関係部署と連携しながら対応方針を整理し、復旧後には再発防止策の検討・実施も担当します。迅速さと冷静な判断が求められる業務であり、企業の信頼や事業継続を支える重要な役割を担う業務といえるでしょう。
セキュリティ設計・ルール策定
セキュリティ設計・ルール策定は、システムを安全に利用し続けるための方針や基準を整える業務です。
システム構成や利用者の役割に合わせてアクセス権限を設計し、情報の取り扱い方法やセキュリティポリシーを明確にします。あらかじめルールを定めておくことで、トラブル発生時の対応が属人的になりにくくなり、安定した運用につながります。
技術的な視点に加えて、業務内容や組織の実態を理解した設計が求められる点も特徴です。
ログ監視やSOC・CSIRT業務
ログ監視やSOC・CSIRT業務は、システムの状態を常に確認し、異常の兆候を早期に捉えるための業務です。
サーバーやネットワークのログを分析し、不審な通信や挙動がないかを継続的にチェックします。SOCは主に監視や検知を担い、異変を発見した際には関係部署と連携するのが特徴です。一方、CSIRTは実際にインシデントが発生した場合の調査や対応を担当します。
平常時の監視と緊急時の対応の両面から、組織のセキュリティを支える役割といえるでしょう。
社内教育・セキュリティ意識向上の取り組み
セキュリティエンジニアは、技術的な対策だけでなく、社員一人ひとりの意識を高める役割も担います。具体的には、情報セキュリティに関する研修の実施や、パスワード管理・不審メールへの対応といったルールの周知を行います。
多くのセキュリティ事故は人的ミスが原因となるため、日常業務のなかで正しい行動を取れるようにすることが重要です。組織全体でセキュリティを意識する文化づくりが、リスク低減につながります。
以下の記事では、セキュリティエンジニアが転職でキャリアアップする方法を紹介しています。評価される転職先が気になる人は、ぜひ目を通してみてください。
セキュリティエンジニアの種類・専門分野
セキュリティエンジニアは、担当する領域や役割によっていくつかの専門分野に分かれています。守る対象がアプリケーションなのか、インフラなのか、あるいは組織全体のルールや体制なのかによって、求められるスキルや業務内容は大きく異なります。
セキュリティエンジニアの主な種類・専門分野は、次のとおりです。
セキュリティエンジニアの種類・専門分野
- アプリケーションセキュリティ
- インフラ・ネットワークセキュリティ
- SOC・CSIRT担当
- クラウドセキュリティ
- GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)
ここからは、それぞれの専門分野の役割や仕事内容を詳しくみていきましょう。
アプリケーションセキュリティ
アプリケーションセキュリティは、Webサービスや業務アプリなどのソフトウェアを対象に、安全性を確保するための専門分野です。アプリケーションに脆弱性が存在しないかを確認し、攻撃を受けにくい状態を保つことを目的としています。
アプリケーションセキュリティの主な特徴は、次のとおりです。
アプリケーションセキュリティの特徴
- WebアプリやAPIに潜む脆弱性をチェック・改善する
- 開発工程に関わり、設計段階から安全性を考慮する
- SQLインジェクションやXSSなど、アプリ特有の攻撃手法を扱う
- 開発エンジニアと連携しながら対策を進める場面が多い
アプリケーションセキュリティは、サービスの品質や信頼性を支える重要な分野です。開発経験を活かしながら、セキュリティ分野での専門性を高めていける点が特徴といえるでしょう。
インフラ・ネットワークセキュリティ
インフラ・ネットワークセキュリティは、サーバーやネットワークなどのIT基盤を対象に、安全性を確保する専門分野です。システム全体の通信や接続を管理し、不正アクセスや情報漏洩を防ぐ役割を担います。
インフラ・ネットワークセキュリティの主な特徴は、次のとおりです。
インフラ・ネットワークセキュリティの特徴
- サーバーやネットワーク機器の設定を見直し、脆弱な構成を防ぐ
- ファイアウォールやIDS・IPSなどのセキュリティ機器を運用する
- 不正な通信やアクセスを検知・遮断する仕組みを構築する
- インフラエンジニアと連携し、安定性と安全性の両立を図る
インフラ・ネットワークセキュリティは、システム全体の土台を守る役割を担う分野です。インフラ構築や運用の知識を活かしながら、セキュリティ面での専門性を深めていける点が特徴といえるでしょう。
SOC・CSIRT担当
SOC・CSIRT担当は、セキュリティインシデントの検知や対応を専門におこなう分野です。日常的な監視業務から、実際のトラブル発生時の対応までを担い、組織のセキュリティ体制を実務面から支えます。
SOC・CSIRT担当の主な特徴は、次のとおりです。
SOC・CSIRT担当の特徴
- ログやアラートを監視し、攻撃や異常の兆候を検知する
- インシデント発生時に状況を分析し、影響範囲を特定する
- 関係部署と連携し、初動対応や復旧対応を進める
- 再発防止策の検討や対応フローの改善に関わる
SOCは主に「監視・検知」を担い、CSIRTは「対応・調整」を担う点が特徴です。現場に近い立場で実践的な経験を積めるため、セキュリティ分野の基礎力を高めやすい専門領域といえるでしょう。
クラウドセキュリティ
クラウドセキュリティは、クラウド環境上で稼働するシステムやデータを安全に管理するための専門分野です。オンプレミスとは異なり、クラウド特有の構成や運用ルールを理解したうえで対策を講じる必要があります。
クラウドセキュリティの主な特徴は、次のとおりです。
クラウドセキュリティの特徴
- クラウド環境におけるアクセス権限や設定ミスを防止する
- ネットワーク設定やストレージの公開範囲を適切に管理する
- クラウドサービスごとのセキュリティ機能を活用する
- インフラ・アプリ両面から安全性を確保する視点が求められる
クラウドセキュリティは、クラウド利用が進む現代のIT環境において重要性が高まっている分野です。インフラやクラウドの知識を活かしながら、幅広いセキュリティスキルを身につけられる点が大きな特徴といえるでしょう。
GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)
GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)は、技術的な対策だけでなく、組織全体のルールや体制を通じてセキュリティを確保する専門分野です。システム単体ではなく、企業としてどのようにリスクを管理し、ルールを守るかという視点で取り組みます。
GRCの主な特徴は、次のとおりです。
GRCの特徴
- セキュリティ方針や社内ルール、ガイドラインの策定・運用をおこなう
- 情報セキュリティに関するリスクを整理し、優先度を付けて管理する
- 法令や業界基準への対応状況を確認・改善する
- 経営層や各部門と連携し、組織全体の統制を支える
GRCは、技術よりも「仕組み」や「ルール」に重きを置く分野です。現場のセキュリティ対策を経営や組織運営につなげる役割を担い、経験を積むことでセキュリティ責任者やマネジメント領域へのキャリアも目指しやすくなります。
セキュリティエンジニアに必要なスキル・知識
セキュリティエンジニアには、特定の分野に偏らない幅広いスキルと知識が求められます。システム全体の構成を理解し、起こりうるリスクを想定しながら対策を考える必要があるためです。
セキュリティエンジニアにとくに求められるスキルや知識は、以下のとおりです。
セキュリティエンジニアに必要なスキル・知識
- ネットワーク・OS・クラウドの基礎理解
- 脆弱性・攻撃手法に関する知識
- ログ分析・フォレンジックの基礎
- プログラミング・スクリプトによる自動化
それぞれのスキルがなぜ重要なのか、どのような場面で活かされるのかを詳しく解説していきます。
ネットワーク・OS・クラウドの基礎理解
ネットワークやOS、クラウドの基礎理解は、セキュリティエンジニアにとって欠かせない土台となるスキルです。攻撃やトラブルの多くは、通信の仕組みやOSの設定、クラウド環境の構成と密接に関係しています。システムがどのように動いているのかを理解していなければ、リスクの原因や影響範囲を正しく判断することはできません。
主に求められる理解のポイントは次のとおりです。
ネットワーク・OS・クラウドの基礎理解におけるポイント
- ネットワークの基本構成や通信の流れ
- OSの仕組みや権限管理の考え方
- クラウド特有の構成や設定ミスによるリスク
これらの基礎知識があることで、実践的なセキュリティ対策やトラブル対応につなげやすくなります。通信や権限の仕組みを理解していれば、異常な挙動や設定ミスにも気づきやすくなり、的確な対策や迅速なトラブル対応につなげることができます。
セキュリティエンジニアとして実務に取り組むうえで、欠かせない土台となる知識といえるでしょう。
脆弱性・攻撃手法に関する知識
セキュリティエンジニアには、システムにどのような脆弱性が潜んでいるのか、またそれがどのような手法で悪用されるのかを理解する知識が求められます。
攻撃の仕組みを知らなければ、適切な対策を選んだり、対応の優先順位を判断したりすることはできません。代表的な攻撃パターンや脆弱性の傾向を把握し、リスクを具体的に想定する力が重要です。
主に押さえておきたいポイントは次のとおりです。
脆弱性・攻撃手法に関する知識で押さえるべきポイント
- SQLインジェクションやXSSなどの代表的な攻撃手法
- 設定ミスや権限管理の不備から生じる脆弱性
- 新たに発見される脆弱性への継続的な情報収集
これらの知識は、単に「知っている」だけでなく、実際の設計や運用、インシデント対応に活かすことが重要です。攻撃者の視点を踏まえてシステムを見直すことで、リスクの高い箇所を早期に見つけ出し、現実的で効果的な対策につなげられるでしょう。
ログ分析・フォレンジックの基礎
ログ分析・フォレンジックの基礎は、セキュリティ事故の原因や影響範囲を正確に把握するために欠かせないスキルです。サーバーやネットワーク、アプリケーションに残されたログを確認することで、「いつ・どこで・何が起きたのか」を時系列で整理できます。
主に押さえておきたいポイントは次のとおりです。
ログ分析・フォレンジックの基礎で押さえるべきポイント
- 各種ログの役割や記録内容を理解する
- 不審な操作や異常な挙動を見つけ出す
- インシデント発生後に原因や影響範囲を特定する
ログ分析やフォレンジックの知識があることで、感覚的な判断に頼らず、根拠に基づいた対応が可能になります。再発防止策の検討にもつながる、実務で重要度の高いスキルといえるでしょう。
プログラミング・スクリプトによる自動化
プログラミングやスクリプトによる自動化は、セキュリティ業務を効率的かつ安定的におこなうために重要なスキルです。ログの収集や分析、脆弱性チェック、設定確認などを自動化することで、人的ミスを減らし、作業負荷を軽減できます。手作業では対応しきれない大量のデータを扱う場面でも、自動化は大きな効果を発揮します。
主に活用される場面は次のとおりです。
プログラミング・スクリプトによる自動化のスキルが活用されるシーン
- ログ収集・分析の自動化
- セキュリティチェックや設定確認の効率化
- 定期的な監視・レポート作成の自動化
プログラミングスキルは必須ではありませんが、身につけておくことで業務の幅が広がり、より実践的なセキュリティ対策につなげやすくなります。
技術だけでなくリスク思考・注意力が求められる理由
セキュリティエンジニアには高度な技術力が求められますが、それだけでは十分とはいえません。実務では、「どこにリスクが潜んでいるか」「違和感のある挙動はないか」といった視点でシステムを見つめる力や、細かな変化に気づく注意力が欠かせません。
セキュリティ上の問題は、必ずしもエラーや障害として分かりやすく現れるとは限らず、気づかれないまま進行するケースも多いためです。
セキュリティエンジニアにリスク思考・注意力が求められる主な理由は、次のとおりです。
リスク思考・注意力が求められる理由
- 一見すると問題のない挙動のなかに、攻撃や不正の兆候が紛れていることがある
- 技術的に正しくても、運用や使われ方次第でリスクが生じる場合がある
- 想定外の使われ方や人為的ミスが、事故の引き金になることが多い
- 被害が起きてからではなく、起きる前に気づくことが求められる
こうした理由から、セキュリティエンジニアには「この設定で本当に大丈夫か」「別の使われ方をされたらどうなるか」といった視点で考える力が欠かせません。技術力に加えてリスクを想定する姿勢を持つことで、より実践的で信頼性の高いセキュリティ対策につなげられるでしょう。
セキュリティエンジニアの年収・市場価値
セキュリティエンジニアは、ITエンジニアのなかでも比較的高い年収水準が期待できる職種として知られています。その背景には、専門性の高さや慢性的な人材不足といった市場環境があります。
ここからは、平均的な年収レンジや他職種との違い、人材需要の動向を踏まえながら、セキュリティエンジニアの市場価値を詳しくみていきましょう。
平均年収レンジと他エンジニア職種との比較
セキュリティエンジニアの年収水準を理解するには、他のエンジニア職種と比較して見るのが分かりやすいでしょう。以下は、代表的なエンジニア職種ごとの年収レンジをまとめたものです。
代表的なエンジニア職種ごとの年収レンジ
| 職種 | 年収レンジ(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 開発エンジニア | 400万〜650万円 | 求人数が多く、経験や言語によって幅が広い |
| インフラエンジニア | 400万〜700万円 | 運用〜設計で年収差が出やすい |
| セキュリティエンジニア | 500万〜800万円 | 専門性が高く、人材不足の影響を受けやすい |
(年収はあくまで目安であり、経験・スキル・担当領域・企業規模によって変動します。)
セキュリティエンジニアは、他のエンジニア職種と比べて平均年収がやや高い傾向にあります。ただし、すべての人が最初から高年収を得られるわけではなく、実務経験や専門分野の深さによって評価に差が出やすい点が特徴です。とくに、インシデント対応や設計・運用まで担える人材は市場価値が高く、年収にも反映されやすいといえるでしょう。
セキュリティエンジニアが高年収である理由
セキュリティエンジニアは、他のエンジニア職種と比べて高年収になりやすい傾向があります。その背景には、業務の特性に加えて、セキュリティ人材を取り巻く市場環境の変化があります。企業にとってセキュリティ対策は、システム運用の一部ではなく、事業を守るための重要な要素となっているためです。
主な理由は次のとおりです。
セキュリティエンジニアが高年収である理由
- 専門性が高く、代替できる人材が少ない
- セキュリティ分野全体で慢性的な人材不足が続いている
- 情報漏洩やサイバー攻撃による企業リスクが大きい
- 経験やスキルが年収に反映されやすい職種である
- 業界や企業規模を問わず需要がある
これらの要因が重なり、セキュリティエンジニアはスキルや経験を積むほど評価が高まりやすく、年収面でも成果が反映されやすい職種といえるでしょう。若手のうちから専門性を意識してキャリアを築くことで、将来的な選択肢も広がります。
以下の記事では、セキュリティエンジニアの年収を年代別・他エンジニアとの比較ほか、年収が高いセキュリティエンジニアの特徴や高年収を狙える業界・企業の特徴など、さまざまな側面から解説しています。
セキュリティエンジニアの将来性
セキュリティエンジニアは、専門性が高く、代替されにくい職種として注目されています。
サイバー攻撃の増加やDX・クラウド化の進展により、企業にとってセキュリティ対策は欠かせないものとなりました。さらに、法規制やガイドラインの強化も追い風となり、今後もセキュリティ人材への需要は高まり続けると考えられます。
ここからは、セキュリティエンジニアの将来性を支える具体的な背景を詳しくみていきましょう。
サイバー攻撃の高度化・増加による需要の拡大
近年、サイバー攻撃は件数だけでなく、手口の巧妙化・高度化が進んでいます。
ランサムウェアや標的型攻撃など、企業や組織を狙った攻撃は被害規模も大きく、従来の対策だけでは防ぎきれないケースも少なくありません。そのため、攻撃を未然に防ぐだけでなく、侵入を前提とした監視や迅速な対応まで含めたセキュリティ体制が求められるようになりました。
こうした背景から、専門的な知識を持つセキュリティエンジニアの重要性は年々高まっており、今後も安定した需要が見込まれています。
DX・クラウド化により高まるセキュリティの重要性
DXやクラウドサービスの導入が進むと、企業はこれまで以上にデータやシステムを柔軟・高速に活用できるようになります。その一方で、同時に従来とは異なるリスクや攻撃対象も増えるため、セキュリティの重要性がより高まります。企業のDX推進では、業務プロセスや情報共有の高速化が求められる一方で、その裏側でサイバー攻撃や不正アクセスの脅威も拡大しているからです。
企業活動のデジタル面は、ビジネスの競争力を左右する重要な資産となり、その安全性を確保することが不可欠です。DX・クラウド化が進む環境では、セキュリティ対策が単なる技術的な後付けではなく、ビジネス基盤として組み込まれるべき課題となっていくでしょう。
法規制・ガイドライン強化が求めるセキュリティ対策
企業や組織に対するセキュリティの法規制や業界ガイドラインは年々強化されており、単なる任意の取り組みではなく、法令遵守としてのセキュリティ対策が必須になりつつあります。
これは、データ保護や個人情報の取り扱い厳格化、インシデント発生時の報告義務、業務継続性の確保など、幅広い領域で対応が求められているためです。規制やガイドラインが具体化・強化されることで、企業は単に攻撃を防ぐだけでなく、定められた基準に沿った体制づくりをおこなう必要があります。
こうした背景から、企業に求められる対応は次のとおりです。
法規制・ガイドライン強化によって企業に求められる対応
- 企業における情報セキュリティ関連の法令遵守義務が強化されている
- 個人情報保護やインシデント報告などの対応が法律で求められるケースが増加している
- ガイドラインに基づく体制構築や監査対応が必要とされる
このような動きは、企業の法的リスクを低減すると同時に、実務としてセキュリティ対策を担える人材の需要拡大につながっています。
以下の記事では、セキュリティエンジニアのさまざまなキャリアパスを紹介しています。求められるスキルや仕事内容、セキュリティエンジニアの将来性と市場価値についても解説しているので、参考にしてください。
セキュリティエンジニアに向いている人・向いていない人
セキュリティエンジニアは専門性の高い職種であり、向き・不向きが比較的はっきり分かれる傾向があります。仕事内容や求められる考え方を理解したうえで、自分の性格や志向と合っているかを確認することが大切です。
ここでは、セキュリティエンジニアに向いている人・向いていない人の特徴を詳しくみていきましょう。
セキュリティエンジニアに向いている人の特徴
セキュリティエンジニアは、システムやデータを守る重要な役割を担うため、技術力だけでなく考え方や性格面も重視される職種です。
セキュリティエンジニアとして活躍しやすい人に共通する特徴は、以下のとおりです。
セキュリティエンジニアに向いている人の主な特徴
- リスクを想定しながら物事を考えるのが得意な人
- 小さな違和感や変化に気づける注意力がある人
- 仕組みや原因を深く考えるのが好きな人
- 新しい技術や攻撃手法を学び続ける意欲がある人
- 他のエンジニアや関係部署と連携できるコミュニケーション力がある人
これらの特徴を持つ人は、日々変化するセキュリティリスクに向き合いながら、安定したシステム運用を支える存在として活躍しやすいでしょう。すべてに当てはまる必要はありませんが、複数当てはまる場合は適性が高いといえます。
セキュリティエンジニアに向いていない人の特徴
セキュリティエンジニアは高度な技術力だけでなく、細かな変化への気づきやリスクを先読みする姿勢が求められる仕事です。そのため、次のような傾向が強い人には向かない場合があります。
セキュリティエンジニアに向いていない人の主な特徴
- 変化や不確実性に対して不安を感じやすい人
- 単調な作業が続くと集中力が維持できない人
- リスクや問題を想定する前に「まず動く」傾向が強い人
- 他部署との調整や細かなすり合わせが苦手な人
- ひとつの技術領域にしか興味が持てない人
これらの特徴が当てはまる場合でも、すべてが絶対的な「不適性」というわけではありません。ただし、日々変化するリスクを意識しながら作業を進める必要があるため、自分の適性や働き方とも照らし合わせてキャリアを考えていきましょう。
セキュリティエンジニアになるには
セキュリティエンジニアを目指す道はひとつではなく、未経験からスタートする場合や、インフラ・運用経験を活かしてキャリアチェンジするケースなど、さまざまなルートがあります。
ここでは、セキュリティエンジニアになるための具体的なステップとおすすめの資格を詳しくみていきましょう。
未経験から目指す場合のステップ
未経験からセキュリティエンジニアを目指す場合は、基礎的なITスキルを段階的に積み上げていくことが重要です。いきなり専門領域に進むのではなく、システム全体の仕組みを理解するところからはじめる必要があります。
現実的なステップは次のとおりです。
未経験から目指す場合のステップ
- ネットワーク、OS、クラウド、プログラミングの基礎を学ぶ
- セキュリティの基礎知識や代表的な攻撃手法・防御方法を理解する
- 脆弱性診断やログ分析などの演習で実践経験を積む
- オンライン学習やハンズオンを通じて手を動かす習慣をつける
- 運用・監視系の職種や未経験可のポジションで実務経験を積む
段階的に学習と実務経験を積むことで、未経験からでもセキュリティエンジニアへの転向は十分に可能です。
インフラ・運用経験からのキャリアチェンジ
インフラや運用の経験は、セキュリティエンジニアへのキャリアチェンジにおいて大きな強みだといえます。サーバやネットワークの構成を理解していることは、リスクの見極めや脆弱性対策の土台となるためです。
まずは現職のなかで、ログ監視やアクセス制御、パッチ適用など、セキュリティに近い業務へ関わる機会を増やすことが重要です。加えて、社内のセキュリティ関連プロジェクトに参加したり、脆弱性診断の補助業務を担当することで、実務を通じた理解が深まります。
運用経験にセキュリティの専門知識を掛け合わせることで、より高度なセキュリティエンジニアへのステップアップが現実的となるでしょう。
セキュリティエンジニアになるためにおすすめの資格
セキュリティエンジニアを目指すうえで、資格はスキルを客観的に示す手段であると同時に、学習内容を整理する指針としても役立ちます。必須条件ではないものの、基礎から実務レベルへと段階的に知識を身につけることで、転職時の評価やキャリアアップにつながりやすくなるでしょう。
代表的なおすすめ資格は次のとおりです。
セキュリティエンジニアになるためにおすすめの資格
| 資格名 | 内容 |
|---|---|
| CompTIA Security+ | セキュリティ分野の基礎を幅広く学べる入門資格。未経験者や初学者が最初に取り組みやすい。 |
| CEH(Certified Ethical Hacker) | 攻撃者の視点から脆弱性や攻撃手法を理解する資格。実践的な内容が多く、実務を意識したスキル習得に適している。 |
| CISSP(Certified Information Systems Security Professional) | 設計・運用・管理まで含む高度な知識を証明できる上級資格。マネジメントや上流工程を担いたい人に向いている。 |
これらの資格に加えて、ネットワークやクラウド関連の資格を組み合わせることで、より実務に直結したスキルを体系的に強化できます。現在のレベルに合った資格から挑戦し、段階的なステップアップを意識するとよいでしょう。
セキュリティエンジニアへの転職ならテックゴーへ
サーバーサイドエンジニアとして経験を積むなかで、「今のスキルはこの先のキャリアにつながるのか」「次に何を伸ばすべきか」と迷うこともあるでしょう。
そんなときに役立つのが、ITエンジニア特化の転職支援サービス「テックゴー」です。サーバーサイドエンジニアの技術やキャリアを理解したアドバイザーが、これまでの経験を整理し、次の選択肢を客観的に示してくれます。
テックゴーの特徴
- サーバーサイド・インフラ・クラウドに精通したエンジニア専門アドバイザーが対応
- 技術スタックや志向に合わせた求人提案
- 非公開求人を含むキャリアアップ向け案件が豊富
「今の経験がどう評価されるのか知りたい」「次の一歩を考えたい」という段階でも、無料で相談可能です。キャリアの選択肢を整理するきっかけとして、積極的に活用してください。
まとめ
セキュリティエンジニアは、システムや情報を安全に保つために欠かせない存在であり、サイバー攻撃の高度化やDX・クラウド化の進展、法規制の強化などを背景に、今後も高い需要が続く職種です。
業務内容や専門分野は幅広く、技術力だけでなく、リスクを想定する視点や注意力も求められます。未経験からでも段階的にスキルを身につけることで目指せる点や、インフラ・運用経験を活かしやすい点も特徴です。
将来性の高い分野だからこそ、自分に合った関わり方や専門性を意識しながら、無理のないペースでキャリアを築いていくことが大切といえるでしょう。
もし「今の経験がセキュリティ分野でどう活かせるのか分からない」「次に身につけるべきスキルを整理したい」と感じているなら、エンジニア特化型の転職支援サービスを活用するのもひとつの方法です。
テックゴーでは、エンジニアのキャリアや技術領域に精通したアドバイザーが、これまでの経験をもとに今後の選択肢を整理するサポートをおこなっています。転職すべきか迷っている段階でも、キャリア相談や情報収集の一環として気軽に活用してください。



