SESとSIerの違いを徹底解説|仕事内容・年収・キャリアの差が一目でわかる
2026年01月05日更新
ITエンジニアのキャリアを考えるなかで、「SESとSIerの違いがよくわからない」「どちらを選ぶべきか判断できない」と感じている人は少なくありません。どちらもIT業界では一般的な働き方ですが、契約形態や仕事内容、年収、キャリアの積み方には明確な違いがあります。
本記事では、SESとSIerの違いを基礎から整理し、仕事内容・年収・働き方・キャリア形成までを体系的に比較します。
転職を検討している人が自分に合った選択をするための判断軸を持てるよう、わかりやすく解説するので、これからITエンジニアを目指す人はぜひ参考にしてください。
著者

高久 侑歩
Takaku Yuho
新卒で技術接客業経験後、株式会社リクルートにて法人営業を行う。企業の経営課題を解消するコンサル営業として多くの中小企業の立て直しを経験。 その後、企業成長へ貢献したいと思い、IT企業にてWebコンサルタントとして従事。そこで、エンジニアファーストではない現場の実態から、企業成長の妨げの根本はここにあるのではないか?と考え、My Vision・ITエンジニアのCAへ転職。企業の実態や求める人材を誰よりも深く理解し、候補者様のキャリアビジョンと精度の高いマッチングを実現し、候補者様・企業様の「成長」をサポート。
プロフィール詳細を見る
監修者

北野 雄大
Kitano Yudai
株式会社MyVision取締役
名古屋大学を卒業後、トヨタ自動車、デロイトトーマツコンサルティング、エクサウィザーズを経てコンサルティング業界特化のエージェントに入社。その後、株式会社MyVisionを設立。 大企業~コンサル、スタートアップまでの幅広い経験を活かしたキャリア支援に強みを持つ。
プロフィール詳細を見る
目次
全部見る
SESとSIerの違いとは?
SESとSIerは、どちらもITエンジニアの代表的な働き方として知られていますが、その違いを「なんとなくのイメージ」で捉えている人も多いのではないでしょうか。
実際には、契約形態や立ち位置、責任範囲といった根本的な仕組みが異なり、それが仕事内容や働き方の差につながっています。 ここではまず、SESとSIerそれぞれの基本的な仕組みを整理し、両者の違いを構造的に理解していきましょう。
SESとは何か
SES(System Engineering Service)とは、ITエンジニアが企業のプロジェクトに参画し、技術力や業務対応力を提供する契約形態を指します。SESで結ばれる契約の多くは「準委任契約」であり、特定のシステムや成果物を完成させることを目的とするのではなく、業務を遂行するプロセスそのものに対して報酬が支払われる点が大きな特徴です。
この契約構造により、SESエンジニアはSES企業に所属したまま、クライアント企業のオフィスに常駐して業務をおこなうケースが一般的です。プロジェクト単位で業務に関わるため、担当領域や役割は現場の状況に応じて変化しやすく、業務範囲があらかじめ固定されていないことも少なくありません。
以下が、SESの基本的な特徴です。
| 内容 | |
|---|---|
| 契約形態 | 準委任契約が中心 |
| 働き方 | 客先常駐が多い |
| 報酬の考え方 | 成果物ではなく作業時間・業務遂行に対して支払われる |
| 業務内容 | 現場やプロジェクトごとに変動しやすい |
また、SES契約では指揮命令権がSES企業側にある点も、制度を理解するうえで重要なポイントです。実務上はクライアント企業の担当者と日常的に連携しながら業務を進めるものの、法的にはSES企業がエンジニアを管理する立場にあり、この点が後述するSIerとの責任範囲の違いにつながっています。
このようにSESは、契約上「成果」ではなく「業務対応」を提供する働き方であるため、関わるプロジェクトや環境によって経験の内容に差が出やすい傾向があります。SESを選択する際は、仕事内容そのものだけでなく、契約形態や立ち位置を理解したうえで判断することが重要といえるでしょう。
SIerとは何か
SIer(System Integrator)とは、企業や官公庁などから依頼を受け、システムの設計から開発、導入までを一括して請け負う事業者を指します。
SIerの業務は「請負契約」や「受託開発」を前提としており、SESとは異なり、あらかじめ定められた成果物を完成させることに対して責任を負う点が大きな特徴です。
この契約形態では、SIerはクライアントから提示された要件に基づき、システム全体の構成や進め方を設計し、納期や品質を含めて成果物を管理します。業務の進行はプロジェクト単位で行われることが多く、個々のエンジニアはSIer企業の一員として、チームの役割分担に沿って業務に関わるのが特徴です。
以下が、SIerの基本的な特徴です。
| 内容 | |
|---|---|
| 契約形態 | 請負契約・受託開発が中心 |
| 働き方 | プロジェクト単位での業務 |
| 報酬の考え方 | 成果物の完成に対して支払われる |
| 業務内容 | チーム内で役割分担しながら進行 |
また、SIerの場合は成果物の完成責任が企業側にあるため、スケジュール管理や品質管理、進行上の判断もSIerが主体となって行います。この点が、業務遂行プロセスを提供するSESとの最も大きな違いであり、責任範囲や裁量の差につながっているといえるでしょう。
SIerは、契約上「成果」を求められる立場であるため、プロジェクト全体を見渡した設計力や調整力が重視されやすい働き方です。一方で、プロジェクトの内容やフェーズによって関わり方が変わるため、契約形態や役割構造を理解したうえでキャリアを考えることが重要です。
SESとSIerの仕事内容・働き方の違い
SESとSIerは、契約形態や責任範囲が異なるだけでなく、日々の仕事内容や働き方にも明確な違いがあります。同じ「ITエンジニア」という職種であっても、プロジェクトへの関わり方や現場での立ち位置、仕事の進め方は大きく変わるものです。
ここでは、SESとSIerそれぞれの仕事内容や働き方を具体的に整理し、裁量や指示系統、評価のされ方といった実務面の違いを比較していきましょう。
SESの仕事内容と働き方
SESの仕事内容や働き方は、プロジェクト現場に直接入り、求められる役割を柔軟に担うのが大きな特徴です。契約上は業務遂行のプロセスに対して報酬が支払われるため、あらかじめ決められた成果物を完成させることよりも、現場で必要とされる業務に対応していく姿勢が重視されます。
そのため、SESエンジニアの仕事内容はプロジェクトごとに異なり、担当範囲や関わり方が変わりやすい傾向があります。まずは、SESにおける仕事内容の特徴を整理してみましょう。
SESの仕事内容の特徴
- クライアント企業のプロジェクトに客先常駐して業務をおこなうケースが中心
- 担当する作業はプロジェクトごとに変動しやすく、役割が固定されにくい
- 設計・開発・テスト・運用・保守など、幅広いフェーズに関与する可能性がある
- クライアント企業の要望やプロジェクト状況に合わせて、柔軟な対応が求められる
続いて、こうした仕事内容を前提としたSESならではの働き方の特徴は、以下のとおりです。
SESの働き方の特徴
- 指示系統が現場ベースになりやすく、所属企業とは別にクライアント側の管理者から日々の作業指示を受ける場合が多い
- プロジェクトごとに、チーム構成や作業環境、開発ルールが異なる
- 案件が変わるたびに、新しい環境や作業の進め方に適応する力が求められる
- 自社に戻って評価や面談を受ける一方、日々の業務はクライアントのプロジェクト進行に合わせておこなう
このようにSESは、現場ごとの状況に応じて動き方が変わりやすく、環境変化への対応力やコミュニケーション力が求められる働き方といえます。一方で、複数のプロジェクトやフェーズを経験できる点は、スキルの幅を広げたいエンジニアにとって大きな魅力のひとつです。
SIerの仕事内容と働き方
SIerの仕事内容や働き方は、プロジェクト全体を計画的に進め、成果物を完成させることを前提としているのが大きな特徴です。請負契約・受託開発を基本とするため、業務は場当たり的に変わるのではなく、あらかじめ定められた要件やスケジュールに沿って進行します。
そのため、SIerでは個人が単独で動くというよりも、チームの一員として役割を担いながらプロジェクトに関わるケースが一般的です。
まずは、SIerにおける仕事内容の特徴を整理してみましょう。
SIerの仕事内容の特徴
- クライアントから依頼を受けたシステム開発を、プロジェクト単位で担当する
- 要件定義・設計・開発・テスト・導入といった工程を、計画的に進めていく
- プロジェクト内で役割分担が行われ、担当フェーズや業務内容が比較的明確
- スケジュールや品質を意識しながら、成果物の完成をゴールに仕事を進める
- クライアントとの調整や社内外メンバーとの連携が発生する場面も多い
続いて、こうした仕事内容を前提としたSIerならではの働き方をみていきましょう。
SIerの働き方の特徴
- 指示系統が社内ベースで、プロジェクトマネージャーや上長の指示に沿って業務を進める
- チームでの開発が基本となり、役割や責任範囲が比較的明確
- プロジェクトの進行状況に応じて、業務量や忙しさに波が出やすい
- 自社内での業務が中心となるケースが多く、評価や育成制度と仕事が結びつきやすい
このようにSIerは、計画性やチームワークを重視しながら、成果物の完成に向けて着実に業務を進めていく働き方といえます。プロジェクト全体を見渡しながら仕事を進めたい人や、上流工程やマネジメントに関わっていきたい人にとって、経験を積みやすい環境と感じられるでしょう。
裁量・指示系統・評価のされ方の違い
SESとSIerでは、仕事内容だけでなく、誰の指示で動くのか、どこが評価されるのかといった点にも違いがあります。
ここまで解説してきた内容をもとに、裁量・指示系統・評価の観点から整理すると、以下のようにまとめることができます。
| SES | Sler | |
|---|---|---|
| 指示系統 | クライアント現場の担当者から日々の指示を受けることが多い | 社内の上司やPMを中心に指示が出る |
| 裁量の傾向 | 現場の方針に依存しやすく、個人裁量は案件ごとに差が出やすい | プロジェクト内で役割に応じた裁量を持ちやすい |
| 評価のされ方 | 現場での業務遂行や姿勢が重視されやすい | 成果物への貢献度や役割遂行が評価されやすい |
| 評価される場 | SES企業と現場評価の両方が関係する | 自社内の評価制度が中心 |
SESは、現場ごとの状況やクライアントとの関係性が働き方や評価に影響しやすい一方、SIerは社内の指示系統と評価制度のもとで、チームとして成果を積み上げていく働き方になりやすいといえるでしょう。
この違いは、働きやすさやキャリアの感じ方にも直結するため、次章以降の判断材料として押さえておきたいポイントです。
SESとSIerの年収・待遇・働き方を比較
SESとSIerでは、仕事内容だけでなく、年収水準や昇給の仕組み、働き方の傾向にも違いがあります。
ここでは、平均年収レンジ・評価制度・ワークライフバランスといった観点から、両者の違いを詳しくみていきましょう。
平均年収レンジの違い
SESとSIerでは年収の傾向にも差があり、働き方や契約形態の違いがその背景に影響しています。それぞれの年収レンジの違いは、以下のとおりです。
主な年収レンジの比較
| SES | Sler | |
|---|---|---|
| 平均年収 | 350〜420万円程度 | 450〜500万円程度 |
| 新卒〜若手 | 250〜320万円程度 | 300〜360万円程度 |
| 中堅層 | 500万円前後 | 600万円前後 |
| 上位層・大手企業 | 700万円以上のケースも | 大手SIerでは高年収層も多い |
SESは平均年収がやや低めの傾向にあり、未経験者や若手の内は給与水準が抑えられるケースが多くみられる一方で、経験や専門性を高めていくことで上昇も可能です。
SIerはプロジェクト全体の設計・調整など上流工程に関わる機会があることもあり、平均年収の水準が比較的高い傾向にあります。
両者とも個人のスキル・経験・企業規模によってばらつきはありますが、全体としてSIerのほうが年収の中央値が高めといえるでしょう。
昇給・評価制度の違い
SESとSIerでは、評価されるポイントや昇給の仕組みにも違いがあり、年収やキャリア形成に影響を与えています。以下が、両者の傾向を比較したものです。
評価・昇給の比較
| SES | Sler | |
|---|---|---|
| 評価の基準 | 現場での業務遂行力・コミュニケーション | プロジェクト成果・役割遂行・工程管理 |
| 評価の頻度 | 現場評価+社内評価(不定期・案件ごと) | 定期評価制度(年1〜2回が一般的) |
| 昇給の仕組み | 現場評価次第で変動が大きい | 社内評価制度に基づいた昇給体系が整備 |
| キャリア評価への反映 | 現場での実績が直接影響しやすい | プロジェクト全体・成果物への貢献が反映されやすい |
SESでは、所属企業の評価に加えてクライアント現場での評価が影響する場合があり、担当案件ごとに評価ポイントが変わりやすい傾向があります。そのため、同じ評価基準が継続して適用されるとは限らず、評価の一貫性に差が出る場合も少なくありません。
一方でSIerは、社内の評価制度が整備されている企業が多く、昇給や評価の基準が比較的明確であるケースも多くみられます。成果物の完成やプロジェクトの進行に対する貢献が評価につながる仕組みが取り入れられており、中長期のキャリアプランに沿った評価が受けやすいという特徴があります。
このように、評価制度や昇給の仕組みの違いは、同じエンジニアとして働いても評価される指標やキャリアの描き方が変わるという点で、SESとSIerの大きな違いのひとつといえるでしょう。
残業時間・ワークライフバランスの傾向
SESとSIerでは、働き方の実務環境にも違いがあり、残業時間やワークライフバランスの傾向にも差が見られます。 両者の特徴は、以下のとおりです。
| SES | Sler | |
|---|---|---|
| 残業時間の傾向 | プロジェクト次第で変動が大きい | プロジェクトスケジュールに沿って波がある傾向 |
| 残業発生の要因 | 現場の稼働状況・クライアントの進行状況に左右されやすい | 全体工程(設計・テスト・リリース前)で忙しくなる時期がある |
| 平均的な傾向 | 案件次第で短くなることも長くなることもある | 大規模SIerでは制度整備が進みワークライフ配慮が進む企業も多い |
| 柔軟な働き方 | 現場ルールに左右されやすい | 社内制度に基づく柔軟性が期待できる場合あり |
SESの場合 SESの場合、プロジェクトごとの稼働状況に大きく左右されるため、残業時間には案件ごとのバラつきが出やすいのが特徴です。
たとえば、繁忙局面ではクライアントの開発スケジュールに合わせて残業が増える一方、比較的落ち着いた現場では定時退社に近い働き方ができることもあります。また、客先常駐のため、その現場の文化やルールに従う必要があり、ワークライフバランスの取りやすさが現場次第になる場面も少なくありません。
Slerの場合 SIerでは、社内のプロジェクトマネジメントや労務管理制度が比較的整っているケースが多く、大規模プロジェクトにおいては計画的な工程進行が重視される傾向があります。そのため、残業の増減についても、ある程度の見通しが立てやすい環境といえるでしょう。
一方で、リリース前やテスト期間など、プロジェクトの山場となるタイミングでは業務が集中しやすく、忙しくなる時期が生じる点は避けられません。ただし、社内制度やチーム体制が整っている企業では、有給休暇やフレックス制度、リモートワークといった柔軟な働き方が取り入れられている例も多く、全体としてはワークライフバランスを調整しやすい環境が整えられているケースも考えられます。
このように、SESは現場依存でワークライフバランスが変動しやすいのに対し、SIerは社内制度に基づく計画的な働き方がしやすいという傾向があります。どちらが働きやすいかは、個々の価値観や環境によって異なりますが、残業やバランスを重視したい場合は、プロジェクトの文化や企業の制度設計をチェックすることが大切です。
キャリア形成の観点で見るSESとSIerの違い
SESとSIerは、同じエンジニア職であっても、積み重なっていく経験や身につくスキルの方向性に違いがあります。
ここでは、SES・SIerそれぞれで得やすいスキルや経験を整理し、将来のキャリア形成にどのような影響があるのかを詳しくみていきましょう。
SESで身につきやすいスキル・経験
SESでは、特定の企業やプロダクトに長く関わるというよりも、複数のプロジェクトや現場を経験しながらスキルを積み重ねていくケースが多いです。そのため、専門領域を一点で深く掘るというより、実務対応力や環境適応力を高めていくキャリアになりやすいのが特徴です。
SESで身につきやすい主なスキル・経験は、次のとおりです。
SESで身につきやすいスキル・経験
- 現場対応力・適応力
- 幅広い技術・工程への理解
- コミュニケーション力
- 実務遂行力
- 複数現場での業務経験
このようにSESでは、現場で即戦力として動く力、そして状況に応じて柔軟に立ち回るスキルが蓄積されていきます。一方で、プロジェクト全体の設計や意思決定に深く関わる機会は限定されやすいため、将来的にどのようなキャリアを目指すのかを意識しながら、案件選びやスキルの伸ばし方を考えることが重要です。
SIerで身につきやすいスキル・経験
SIerでは、個々の業務対応だけでなく、プロジェクト全体を計画的に進め、成果物を完成させる経験を積みやすい点が特徴です。チームで役割分担しながら業務を進めるため、実装スキルに加えて、設計力や調整力といった上流寄りのスキルが身につきやすい傾向があります。
SIerで身につきやすい主なスキル・経験は、次のとおりです。
SIerで身につきやすいスキル・経験
- 要件定義・基本設計などの上流工程スキル
- プロジェクトマネジメントの基礎力
- チーム開発・分業体制での役割遂行力
- 品質・納期を意識した仕事の進め方
- 顧客折衝・調整スキル
このようにSIerでは、システム全体を俯瞰しながら仕事を進める力や、チームやプロジェクトをまとめる視点が育ちやすくなります。その一方で、担当領域が明確に分かれている場合も多く、技術分野によっては特定の工程に関わる期間が長くなるケースも少なくありません。
将来的に上流工程やマネジメント、社内SEなどを目指したい場合には、SIerでの経験がキャリア形成に活かしやすいといえるでしょう。
SESとSIerのメリット・デメリット
SESとSIerには、それぞれ異なる強みと注意点があります。
ここでは、働き方やキャリア形成の観点から、SES・SIerそれぞれのメリット・デメリットを詳しくみていきましょう。
SESのメリット・デメリット
SESには、現場対応力や柔軟性といった強みがある一方で、案件や配属先によって経験や待遇が変わりやすいという特徴もあります。
SESのメリット・デメリットを整理すると、次のとおりです。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| スキル経験 | 多様な現場で幅広い実務経験が積める | 専門領域の深掘りしづらい場合がある |
| キャリア | 現場ごとに新しい知識・技術に触れやすい | 長期的なキャリア形成の方向性が見えにくい |
| 仕事の裁量 | 現場に応じて柔軟に対応する力が付く | 現場依存で裁量が限定されることも |
| 評価・待遇 | 現場での活躍が評価につながるケースもある | 評価基準が現場ごとに異なりやすい |
| 働き方 | さまざまな企業文化を経験できる | 案件次第でワークライフバランスに差が出る |
このようにSESは、さまざまな現場を経験しながら実務スキルや対応力を磨ける点が大きな魅力です。一方で、案件や配属先によって担当領域や評価のされ方が変わりやすく、キャリアの方向性が見えにくくなることもあります。
そのためSESで働く場合は、「どのようなスキルを身につけたいのか」「将来的にどのようなエンジニアを目指したいのか」を意識しながら、案件選びや経験の積み方を考えることが重要です。現場経験を通じて得たスキルを、次のキャリアにつなげる視点を持つことで、SESのメリットをより活かしやすくなるでしょう。
SIerのメリット・デメリット
SIerは、プロジェクト全体を管理しながらシステムを完成させる立場で仕事を進めるため、 上流工程やマネジメント寄りの経験を積みやすい一方、担当領域が限定されるケースもあります。
SIerのメリット・デメリットを整理すると、次のとおりです。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| スキル経験 | 要件定義・設計など上流工程に関わりやすい | 実装など特定工程に関与しにくい場合がある |
| キャリア | PM・PLなどへのキャリアパスが描きやすい | 技術特化型のキャリアは選択肢が限られることも |
| 仕事の裁量 | 役割に応じた裁量を持って業務に関われる | 組織やプロジェクト規模によって裁量が制限される |
| 評価・待遇 | 社内評価制度が整っている企業が多い | 評価が年功序列寄りになる場合がある |
| 働き方 | 社内制度に基づいた働き方がしやすい | 繁忙期は業務量が集中しやすい |
このようにSIerは、プロジェクト全体を見渡す視点や上流工程の経験を積みやすい点が大きな強みです。評価制度やキャリアパスが比較的明確な企業も多く、長期的なキャリア設計を描きやすい傾向があります。
一方で、組織やプロジェクトの分業体制によっては、特定の工程や役割に固定されやすく、技術分野によっては経験の幅が広がりにくい場合もあります。SIerでのキャリアを活かすためには、自身がどの工程・役割を伸ばしたいのかを意識しながら経験を積んでいくことが重要です。
SESとSIerに向いている人・向いていない人
SESとSIerは、働き方やキャリアの積み方に違いがあるため、向いている人のタイプも異なります。
ここでは、それぞれの特徴を踏まえながら、SES・SIerに向いている人の傾向を詳しくみていきましょう。自分の志向や価値観と照らし合わせながら、どちらが合っているかを考えてみてください。
SESに向いている人の特徴
SESは、プロジェクトや現場ごとに役割や環境が変わる働き方です。そのため、次のような志向や強みを持つ人は、SESの働き方と相性のよい傾向があります。
SESに向いている人の主な特徴
- さまざまな現場や技術に触れて経験を広げたい人
- 環境やルールの変化に柔軟に対応できる人
- 決められた役割を着実にこなすことが得意な人
- 指示を理解し、求められる業務を安定して遂行できる人
- 特定の業界・システムに縛られずに働きたい人
- まずは実務経験を積むことを重視したい人
- コミュニケーションを取りながら現場に溶け込める人
SESでは、プロジェクトごとに求められる役割やスキルが異なるため、適応力や実務対応力を発揮しやすい人ほど活躍しやすいといえるでしょう。一方で、明確なキャリア設計がないまま働き続けると、経験が分散してしまう点には注意が必要です。
SIerに向いている人の特徴
SIerでは、プロジェクト全体を見渡しながら遂行する力や、チーム・顧客との調整を重視する姿勢が求められます。次のような特徴を持つ人は、SIerの働き方と相性がよい傾向があります。
SIerに向いている人の主な特徴
- 上流工程(要件定義・設計)に関わりたい人
- プロジェクト全体を見渡す視点を持ちたい人
- 計画的な進行とチームワークを重視したい人
- 長期的なキャリア設計を意識できる人
- 責任ある役割を担って業務を進めたい人
- 社内制度や評価制度を活かして成長したい人
- 顧客やメンバーとの調整・合意形成が得意な人
SIerではチームプレーや責任ある役割が重視されるため、計画性や調整力、全体最適を意識したアプローチができる人ほど活躍しやすい傾向があります。さらに、プロジェクトの進行に伴って関係者との調整や判断を求められる場面も多く、自分の担当範囲だけでなく、その先の影響を考えながら行動できる人ほど評価されやすい環境といえるでしょう。
SESとSIerの選び方・判断基準
SESとSIerのどちらが合っているかは、年収や企業名だけで決まるものではありません。どのようなスキルを伸ばしたいのか、どんな働き方を重視したいのかによって、選ぶべき道は変わります。
ここでは、「技術志向」「上流工程・マネジメント志向」「安定性・働き方重視」という3つの観点から、SESとSIerの選び方を詳しくみていきましょう。
技術を深めたい場合の選び方
「技術を深めたい」といっても、何を・どの深さで伸ばしたいのかによって選ぶべき環境は変わります。以下のポイントを基準に、自分の志向に近い働き方を考えてみましょう。
技術志向で判断する際の基準
- 特定の技術領域を深く掘り下げたいか
- 実装スキルを中心に磨きたいか
- 技術選定や設計に関わりたいか
- 複数技術を横断的に経験したいか
- 学習環境や技術支援制度があるか
技術を深めたい場合は、「SESかSIerか」だけで判断するのではなく、どのような案件に、どの立場で、どれくらいの期間関われるのかを具体的にイメージすることが重要です。企業や案件ごとの違いを見極めながら、自分の技術志向に合った環境を選ぶようにしましょう。
上流工程・マネジメントを目指す場合の選び方
上流工程やプロジェクトマネジメントを目指す場合は、単に「SESかSIerか」だけでなく、どのような形で上流やマネジメントに関わる機会があるかを重視することが重要です。次の基準を参考に、自分のキャリア設計に合う働き方を考えてみましょう。
上流工程・マネジメント志向で見る判断基準
- 要件定義・基本設計に関わる機会があるか
- プロジェクト全体の計画策定に参加できるか
- PM・PLとしての役割にステップアップ可能か
- 提案活動や顧客折衝のチャンスがあるか
- 研修・育成制度が整っているか
上流工程やマネジメントは、単に技術力だけでなく、計画力・調整力・コミュニケーション力なども必要とされる領域です。そのため、実務経験を積むと同時に、こうしたスキルを育てられる環境かどうかを見極めることが、将来のキャリア形成には欠かせません。
安定性・働き方を重視する場合の選び方
働き方の安定性やワークライフバランスを重視する場合は、給与水準や評価制度だけでなく、プロジェクトの進め方・制度設計・環境の整備状況なども判断材料だといえます。以下の基準を参考に、自分の価値観に合った選択を考えてみましょう。
安定性・働き方重視で見る判断基準
- 労働時間の傾向が安定しているか
- 社内制度が整っているか
- 評価・昇給の基準が明確か
- 配属されるプロジェクトの安定性
- 企業規模・業界の安定性
- 福利厚生・休暇制度の充実度
安定性・働き方を重視する場合、単に「SESかSIerか」という二択だけでなく、企業ごとの働く環境や制度の質そのものを比較することがとても重要です。どちらの働き方にも良い面はありますが、自分の価値観とライフスタイルを踏まえて、総合的に判断していきましょう。
SESからSIerへ、SIerからSESへ転職する際の注意点
SESとSIerでは、働き方や評価のされ方や求められる役割が異なるため、転職時には「なぜ環境を変えたいのか」「これまでの経験をどう伝えるか」を整理しておくことが大切です。
ここでは、転職理由の考え方から職務経歴書・面接での伝え方まで、SES・SIer間の転職で押さえておきたい注意点を詳しくみていきましょう。
転職理由の考え方と面接での伝え方
SESからSIer、あるいはSIerからSESへ転職する場合、面接で重視されるのは「なぜ今の環境を離れるのか」よりも、これまでの経験をどう捉え、次の環境で何を実現したいのかという視点です。
転職理由を整理する際は、まず現在の働き方や業務内容を振り返り、「得られた経験」と「今後伸ばしたい領域」を切り分けて考えるように意識しましょう。
たとえば、次のように不足や不満ではなく、次の成長軸として言語化すると説得力が増します。
- 現場対応力や幅広い工程経験は身についたが、より上流工程に関わりたい
- 技術力は高まったが、成果物全体に責任を持つ立場を経験したい
面接では、現在の環境を否定する表現は避け、「これまでの経験があったからこそ、次はこの環境に挑戦したい」という前向きな文脈で伝えることがポイントです。転職理由・これまでの経験・志望動機が一本の線でつながっているかを意識すると、評価されやすくなります。
SES・SIer転職で評価される職務経歴書のポイント
SESとSIerの間で転職する際、職務経歴書は単に経験を列挙するだけでは評価されません。 自分が何をやってきたのか、どの程度の関与・責任範囲だったのかを明確に示すことが重要です。以下のポイントを意識して書くことで、評価されやすい職務経歴書に仕上がるでしょう。
職務経歴書で押さえるべきポイント
- プロジェクト名・期間・規模(人数・予算)を明記する
- 自分の役割・担当工程を具体的に書く
- 成果と数字で成果を具体的に表現する
- 使用技術やツールを明示する
- プロセス改善や工夫した点をアピールする
- SIer志望の場合は上流工程への関与意欲を示す
- SES志望の場合は現場での成果を具体化する
職務経歴書は、あなたの実務価値を伝えるための道具です。ただ役割を書くだけではなく、どのような状況で、どの程度の裁量や責任を持って行動したかが読み手に伝わることが評価につながります。
とくにSES・SIer間の転職ではこれまでの経験が次の環境でどのように活かせるかを意識して書いていきましょう。
面接でチェックされる評価ポイント
SESとSIerそれぞれの転職面接では、企業側がとくに注目しているポイントが少しずつ異なります。単に技術面だけで判断されるのではなく、これまでの経験・役割・働き方の背景をどのように説明できるかも評価対象です。
ここでは、面接で見られる主な評価ポイントを詳しくみていきましょう。
面接でチェックされる主な評価ポイント
- これまでの経験の一貫性と説得力
- 問題解決力・対応力の表現
- 成果物・役割への責任感
- コミュニケーション力・調整力
- 次の環境でのビジョン・熱意
- 業務理解・技術理解の深さ
- 将来のキャリアプラン
これらの評価ポイントに共通しているのは、「即戦力かどうか」だけでなく、自社の環境で再現性をもって活躍できる人材かを見極めようとしている点です。とくにSES・SIer間の転職では、働き方や責任範囲が異なるため、「同じ経験をしてきた人」ではなく、「経験をどう捉え、どう活かそうとしているか」が重視されます。
そのため面接では、スキルや担当業務を列挙するだけでなく、次のような思考プロセスや意図まで含めて説明できるかが評価の分かれ目となるでしょう。
- どのような背景でその役割を担ったのか
- 課題に対して自分は何を考え、どう行動したのか
- その経験を次の環境でどう活かしたいのか
こうした点を事前に整理しておくことで、面接官にとってもあなたの強みや再現性がイメージしやすくなり、評価につながりやすいでしょう。
SES・SIerの転職相談ならテックゴー
SESとSIerの違いを知り、「今の働き方は自分に合っているのだろうか」「この先、どんな経験を積めばキャリアにつながるのか」と感じた人も多いのではないでしょうか。
こうした悩みを一人で抱え込まず、第三者の視点で整理したいときに活用したいのが、テックゴーの転職支援サービスです。
テックゴーは、ITエンジニアの転職支援に特化し、SES・SIerそれぞれの働き方やキャリアパスを理解したキャリアアドバイザーが在籍しています。これまでの経験を「良い・悪い」で判断するのではなく、どの経験が強みになり、次に何を伸ばすべきかを一緒に整理してくれるのが特徴です。
テックゴーの強み
- SES・SIer双方のキャリア事情に詳しいエンジニア専門アドバイザーが担当
- 開発・インフラ・PM・ITコンサルなど幅広い職種・工程に対応
- 非公開求人を含む、成長環境・年収アップを狙える案件を多数保有
実際にテックゴーを利用したエンジニアのなかには、「現場経験を活かして上流工程へ進んだ」「働き方を見直し、無理のない環境に転職できた」といったように、自分に合った選択を実現したケースも少なくありません。
SESとSIer、どちらが合っているのか相談したいケースや自分の経験が市場でどう評価されるのか知りたいといった段階からでも、無料でキャリア相談が可能です。
この機会に、テックゴーの専門コンサルタントにご相談ください。
まとめ
SESとSIerは、どちらもITエンジニアとしてのキャリアを築く選択肢ですが、契約形態や責任範囲、働き方、求められる役割には明確な違いがあります。SESは現場対応力や柔軟性が身につきやすい一方、SIerは成果物に対する責任を通じて、上流工程やマネジメント経験を積みやすい点が特徴です。
両者の職種のどちらが優れているかではなく、自分がどのような経験を積み、将来どんなエンジニアを目指したいのかという視点で選ぶことが大切です。これまでの経験をどう活かし、次に何を伸ばしたいのかを整理することで、SES・SIerいずれの道も意味のあるキャリアにつながります。
迷ったときは、一人で悩まず、第三者の視点を取り入れながら選択肢を広げていきましょう。
「SESとSIer、どちらの経験が今後のキャリアにどうつながるのか」 「今のスキルで、どんな職種や年収レンジを目指せるのか」
このようなお悩みを抱えている人は、ITエンジニアの転職に特化したテックゴーのキャリア相談を活用してみてください。
情報収集や方向性の整理といった段階からでも相談できるため、まずは無料相談からはじめてみましょう。
